長年の知人で古典織物を生涯の業として追求し続ける
中島洋一氏の個展を西荻の
数寄和(ギャラリー)に尋ねました。
中島氏は歴史的な
文化財の保存修復を専門に当時の『布切れ』の断片から時代を推測し再現すると言う大変珍しく又、貴重な仕事をされている。
例えば、当時使われている絹を再現する為に蚕でさえ
古代蚕品種に近い繭を捜し選び、機械でなく手で繰糸する。当然、製織は手織りになる。。。
そういった物理的な分析、再生技術だけでも気の遠くなる仕事ですが、中島氏は更に先人の気持ちに成りきる事が重要である事を強調する。
それは
模様への拘りである。
先人が模様に秘めた願いや心がメッセージとして時代を超え訴えてくるそうだ。
なるほど
、「五穀豊穣」「子孫繁栄」「延年益寿」等、先人の
吉祥を願う気持ちが込められた図柄である事を作品ごとに教えてくれる。
そして現代人が忘れかけた「幸せ」とは何かを教えてくれる。
例えば、私も購入しました下記の『
匂袋』ですが・・・
■
栗鼠葡萄唐草文錦(りすぶどうからくさもんにしき)■と言うそうです。
こちらの内容は織物14世紀の錦を復元され 原料となる絹の品種は『四川三眠』と『あけぼの』と言う蚕から糸を紡いだとの事です。染色は天然染料で『藍』と『やしゃぶし』です。
こちらの
文様の意味は・・・
まず栗鼠(りす)は古代中国から繁殖力の旺盛な鳥獣の代表とされるようです。そして豊饒な葡萄(ぶどう)の実と人類最古からの柄と言われる蔓(ツル)も全ては『
子孫繁栄』を願う縁起の良い文様との事です!
他にも古代織物にはキモノをはじめ現代でも何気なく周りで見かける文様の起源と意味があるようです!
皆さんも古代ロマンを探してみてください!
■ 中島洋一氏 略歴
1955 埼玉県秩父市に生まれる
1978 多摩美術大学 デザイン科 染織デザイン学科 卒業
1978 - 1998 大塚テキスタイルデザイン専門学校 勤務
1986 - 現在 文化財修理に伴う古典織物の制作
1991 - 2000 杉野女子大学 非常勤講師
1999 - 2001 多摩美術大学 非常勤講師
2000 - 2004 東京文化財研究所 特別研究員
2003 - 現在 東北芸術工科大学 非常勤講師
2007 - 現在 JICA 海外青年協力隊 技術専門員
2008 - 現在 玉川大学 非常勤講師
所属学会
文化財保存修復学会、日本シルク学会、蚕糸学会
研究発表
2003 文化財保存修復学会第25 回大会ポスターセッション
「イラン・中国における空引機による錦織物保存の調査と研究」
第51 回日本シルク学会口頭発表
「バングラディシュにおける繭と絹織物の調査と研究」
2004 文化財保存修復学会第26 回大会口頭発表
「蚕品種とその保存の違いによる絵絹劣化の研究」
第52 回日本シルク学会口頭発表
「ベトナム少数民族の養蚕から織物まで」
2005 第53 回日本シルク学会口頭発表
「生繭・蒸殺繭・塩蔵繭による比較研究」
2007 トルコマラマラ大学 FRENDSHIP AND PEACE ON THE SILK ROAD 口頭発表
「古典織物に観る日本人の美意識」
受賞歴
2006 第26 回 伝統文化ポーラ賞 奨励賞
2007 第27 回 民族衣装文化功労者 きもの文化賞