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売れない物はネットでも売れない
 三陽商会の決算がかなり悪い。
詳細はどこぞのニュースででも見ていただければわかる。

打開策として「EC比率を高める」と答えているが疑問符しか浮かばない。
三陽商会に限らず、ワールドもTSIもその他不振アパレルはこぞってこう答えるが、何を言っているのか理解に苦しむ。

ECというのは売る場所の問題であって、売れない商品・売れないブランドならネットだろうが実店舗だろうが売れない。

実店舗で売れない商品をネットに並べたら突如バカ売れした。なんてそんなことにはならない。

今の三陽商会に「売れる商品」「売れるブランド」が残っているのだろうか。

売れない商品・売れないブランドはどこに並べても売れない。
それを打破するには、商品づくり、ブランド育成を強化するしかない。あとは、販促を強化するかだ。

それこそ、品質が怪しいボールペンを「書けないかもしれないボールペン 1本10円」みたいなPOPやキャッチコピーを作成するかである。

ブランド廃止・リストラは当然のことだといえるが、その挽回策としての「EC強化」はイコールには結びつかない。

それすらわかっていないのだとしたら、ますます苦境に陥るだろう。
 2016/10/31 09:53  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)

投げ売るくらいならアップチャージで少数生産しろ
 なんだかんだで断続的にお付き合いのある「短パン社長」こと奥ノ谷圭祐社長が自身の名前を付けたオリジナルブランド「Keisuke Okunoya」を発売してから2年強になる。

個人の人気に支えられている側面はあるが、個人の人気も自分自身で作り出したものなので、並の人間には到底真似ができないが、そういうやり方はありだろう。

単品に絞り込んだ形で、年に8型〜10型くらいの商品を打ち出しているが、販売はすべてSNSとEメールのみ。完全受注形式で行われ、その受付期間はだいたい2日〜5日間くらいとかなり短い。例えば他ブランドのように1カ月とか2週間とか期間を延ばせば、もっと受注数が増えるのではないかと思うが、それはしない。

先日もなんだか思い付きでグレーのカシミヤマフラーを作ることになっていた。
期中企画なので当然、手配できる原料の量も決まっている。
彼によると130人分しか原料がないそうだ。

ところが彼の人気のせいか、たった2〜3日間で177人の注文が殺到した。

すると彼は47人にお詫びしながらお断わりをしていた。

通常のアパレルなら、「これは美味しい」とばかりに飛びついたことだろう。

しかし、47人分なんていう半端な数量はキッチリには生産できない。
少し多めか少し少なめにしてキリの良い数量にしなくてはならない。

多くのアパレルはその際、製造コストを考えて、少し多めの数量を発注する。
47枚ではなく、50枚。
50枚ならまあ、賢い企業だが、多くの企業はちょっとアレなので100枚くらい追加生産する。
たしかに1枚当たりの製造コストは下がるが、43枚は売れ残る可能性が高い。

その後も順調に売れたとしても10枚か20枚は売れ残るだろう。
そうするとその10枚か20枚は値引き販売される。
最終的には超投げ売りされることもアパレルでは珍しくない。

これがアパレル製品の値崩れの原因の一つといえる。

正解は短パン社長のように47人に断るか、アップチャージを支払って50枚を作るか、である。
アップチャージ生産はご法度みたいな固い頭の人間がこの業界には掃いて捨てるほど存在するが、売れ残って大幅値引きするくらいなら、アップチャージを支払って製造して売り切ったほうがよほど財務内容にも貢献するだろう。

アパレル業界人は地頭が悪いのか、強固な誤った固定概念を抱えた人が嫌になるくらい多数存在する。
その固定概念を破壊しないことには、業界が浮上することはありえない。
 2016/10/28 08:32  この記事のURL  /  コメント(1)  / トラックバック(0)

すべてが多すぎる
 ときどき、OEM/ODMメーカーに「新規取引先を紹介してほしい」といわれるが、正直なところ、製造窓口を探しているブランドはほとんどない。
小規模でスタートしたばかりのブランドならないことはないが、成長軌道を描いているようなブランドはない。

なぜなら、それらはごく少数で、しかもすでにいくつものそういうOEM系の企業が入りこんでいるからだ。
今から新参者が割り込める余裕はない。

アパレル業界自体が景気の良い時代なら成長ブランドも数多く生まれたので、いくらでも新規受注がとれただろうが、今は成長ブランドが数えるほどしかなく、それ以外は衰退ブランドばかりである。

成長している大手といえば
ユニクロ、ジーユー、しまむら、アダストリア、マッシュスタイルラボ、バロック、マークスタイラー、ユナイテッドアローズ、アーバンリサーチ、くらいだろうか。

(漏れているブランドがあったら済みません)

その少ないパイを大勢のOEM企業で取り合っているというのが今の業界状況である。

商品も過剰供給だし、ショップもオーバーストアだが、OEM/ODMメーカーも増えすぎており、生き残りが難しくなっている。

やれやれだぜ。
 2016/10/27 09:55  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)

過剰供給になれば値崩れを起こす
 洋服の値段が下がっている原因の一つは言うまでもなく過剰供給である。
供給が過剰になれば値崩れするのは秋刀魚も大根もスマホもテレビも洋服も同じだ。
供給量が少なくなれば値段は上がる。野菜の不作によって店頭価格が高騰している現在が良い例だろう。

国内の洋服の流通量は年間約40億点ある。

日本の全国民が毎年30枚くらい服を買い続けなくてはならない計算になる。
消費がそれほど必要ではない子供や超高齢者を除くと、現役世代は毎年50枚くらいは服を買わなくてはいけないということになり、完全消化するのか到底不可能ということになる。

じゃあ、近代以前の手縫い、手紡ぎの時代に戻れるかというとそれも不可能で、一挙に失業者が増加して、おそらく産地や縫製工場はクラッシュする。海外の工場従事者も路頭に迷う。

ZARAがやっているように売り切りごめん体制を作るほかないだろう。

ユニクロや大型量販店の「欠品させない病」を如何に発症させないかがカギになる。
彼らは欠品することを「機会損失」だと考えており、固定観念としてこびりついているだろうから、これを捨てさせるのは容易ではないだろう。

バブル期まではその考え方で商売が成り立っただろうが、成熟社会に突入した現在となっては、別に洋服なんてほとんどの人が1年間買わずに過ごせるだけの量を持っている。
「明日着る服がない」なんていう人はほとんどいない。よほどの災害にあった人だけだろう。

逆に「欠品させない」からブランド価値が生まれずに値下がりするまで待たれてしまう。
鳴り物入りで9月30日から発売を開始したユニクロUだが、さっそく昨日から一部商品が値下がりしている。

定価で買う人がアホである。
どうせ「欠品させない病」の重症患者なんだから、たっぷりと製造されており、定価で売り切れるなんていうことはない。
だったら3週間ほど待って、1000円下がってから買ったほうがお得である。これから12月、1月とさらに値段は下がるだろう。

気温は12月ごろまで暖かいだろうから、急いで冬物を買う必要はなく、気温が下がって値段が下がってから買えばよいということになる。

下手をしたら追加生産することもあり得る。その場合はさらに値段が下がるまで待っていればよい。

こういう「欠品させない病」の重症患者を治療すれば、洋服の過剰供給は幾分おさまるのではないか。
 2016/10/26 10:00  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)

クラウドファンディング
 ブランド立ち上げを手伝った、Tシャツブランド「ナインオクロック」がクラウドファンディングに挑戦している。

縫製の街、岩手県久慈市を盛り上げるために、わざわざ久慈市に移住して香取正博という美容師あがりのオニイチャンが奮闘している。

http://ishiwari.iwate.jp/pj/IswS2701440


正直、このクラウドファンディングは苦戦している。
目標100万円のところをまだ37万円強しか達成できていない。
期限は今月末までであるがちょっと厳しいと思われる。

100万円という金額設定が高すぎたのではないかと思う。3000円のTシャツがメインなのだから50万円にすべきだったのではないかと思うが、今さら言っても始まらない。

興味のある人は一度覗いてみていただきたい。

100万円を達成した企業やブランドをいくつか知っているが、そのすべてが単価が最低でも1万円くらいしていた。100人に協力してもらえば100万円が達成できる。
ところが「ナインオクロック」の場合は、3000円が中心だから300人くらいに支持されないと達成できない。

よほどの著名ブランドでないとこれはなかなか難しいだろう。

残り1週間なんとか頑張ってもらいたいと思って草葉の陰から見守っている。
 2016/10/25 09:40  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)

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プロフィール
南 充浩(みなみ みつひろ)
ファッションメディアプランナー。
「繊維ニュース」記者としてジーンズ業界を、紡績、産地、アパレルメーカー、小売店と川上から川下までを担当。
同時にレディースアパレル、子供服、生地商も兼務した。退職後、量販店アパレル広報、雑誌編集を経験し、雑貨総合展示会の運営に携わる。その後、ファッション専門学校広報を経て独立。
現在、記者・ライターのほか、広報代行業、広報アドバイザーを請け負う。

掲載実績
繊維流通研究会ウエブ記事、WWD

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