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卵と鶏
 ファッション専門学校での職員勤務経験と、ときどきの非常勤講師の経験からいうと、ファッション専門学校というビジネスを続けていくのは非常につらいと感じる。

株式会社のファッション専門学校は言わずもがなだが、学校法人の専門学校もそれなりに利益を追求しなくてはならないから、けっこうつらい。
業界が不況で、専門学校のカリキュラムが時代遅れになっているのに、学校存続のために生徒をなるべくたくさん獲得しなくてはならない。

工業製品をたくさん仕入れろとかたくさん売れというならまだしも、学校の収入源は人間であり、しかも右も左もわからない若者だから余計につらい。

たくさん生徒を獲得したければ、先にカリキュラムを精査して就職斡旋を強化しろよと思う。
しかし、学校側の理屈からすると生徒をたくさん集めて資金にゆとりができなければそういう活動はできないという。

卵が先か鶏が先かみたいな話でいつも堂々巡りになる。
学校側の言い分もわからないではないが、自分が学生だったり学生の親だったりしたら、やっぱりすんなりとは入学しないしさせない。

非常勤講師としては学生に役立つことを教えようとは思うが、職員を続けられなくなったのは、ある意味でホっとした部分もある。

まったくの外野として思うことは、今のままの校数を維持させる必要はまったくない。
何校かに集約して、内容を強化するほうが良いのではないか。
 2016/08/31 09:52  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)

ブランド廃止
 来年の春に向けてまたブランド廃止のうわさが耳に入ってきた。
まだ正式発表されていないようなので、ブランド名は伏せるがそこそこに有名なブランドがいくつか廃止になる。

そういえば、ヤマトインターナショナルの「ユニバーシティオブオックスフォード」と「カーニーハウス」も廃止になるそうで、これもちょっとショックである。

両ブランドはジーンズ専門店やカジュアル専門店では長い間親しまれてきたブランドで、オックスフォードはマックレガーと近い価格帯で同じような店で販売されてきた。カーニーハウスはもう少し安い店で販売されてきた。

卸売りのみでの展開だったからその部分でも苦しかったのだろう。

廃止になるという噂のブランドたちは卸売りはなく、直営店展開されている。

どちらにせよ知名度が高いブランドばかりだからオッサン世代としては驚きを隠せない。
かつての大手、中堅どころはどんどんブランド数を減らしている。
ブランド数も多すぎたのだろう。同じテイストで同じ価格で同じ売り先のブランドが同社内にいくつもあったことのほうが異常だったといえる。

とはいえ、業界全体でみるとブランド数はおそらく増えているし、これからも増え続ける。

リストラをされた人たちがまた独自のブランドを立ち上げるからブランド数自体は減らない。
 2016/08/30 10:26  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)

美味しいとこどりはあり得ない
 グループも企業も国家も成果を上げるためにはある種の独裁が必要ではないかと思う。
完璧に民主的な運営をしていれば、意思決定の速度が格段に遅くなる。
また大多数の人が「良い」と思う方針は実際のところは八方美人のどっちつかずの方針であることが多くて、ほとんど成果を上げられない。

ただ独裁もやりすぎると謀反が起きるし、独裁者が引き際をわきまえないと、今度は無能老害に成り下がって集団自体を損なってしまうから難しいところである。

我が国は経済活動をはじめとして多くの分野でなかなか変革が出にくいといわれている。
国民もそういう閉塞感を持っている。

引き換えにシンガポールを称賛する声は多い。
金融改革、それから大学教育改革に成功したといわれている。

しかし、シンガポールの成功事例は、強烈な独裁によって叶えられたのである。
シンガポールの別名は「きれいな北朝鮮」といわれるほどの独裁国家である。

病的なほどミンシュ主義を信奉するイシキタカイ系の人たちがなぜシンガポールを称賛するのか理解に苦しむ。

先日、4年にわたるフィリピン赴任から帰国したばかりのIT業界の人にお会いした。
休暇や出張で東南アジア諸国をけっこう訪れたのだという。
イシキタカイ系wwの人たちが評価するシンガポールは華麗な高層ビルのすぐ裏にはスラム街があり、そのスラムっぷりはとても日本でスラムといわれている街とは比べ物にならないという。
それほどの経済格差がある。

我が国の変化が遅いのは極端なほどに合議制が染みついているからであり、性急な効果を出したければシンガポール並みの強権指導者が必要となる。

美味しいとこどりのフランケンシュタインみたいなツギハギだらけのシステムなんていうのはこの世には存在できない。

 2016/08/29 08:34  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)

手放しでは称賛できない
 アメリカの黒人奴隷の多くは綿花農場で働かせるために連れてこられたということは広く常識として知られている。

じゃあ、どうして綿花栽培に奴隷が必要だったのかは正直なところこの業界で働くまでわからなかった。
綿花というのは農作物の中でひどく手間がかかる部類なのである。

とくに綿の実がはじけて、それを採取するのだが、雨に打たれるとゴミ屑になってしまうのである。
だからはじけたら雨が降る前に採取してしまわねばならない。

雨が降るのは天候任せだからいつ降るのかがわからない。
長い間降らないこともあるだろうし、はじけた途端に夕立のように降ることもあるかもしれない。
長い間降らなければゆっくりと少ない人手で摘めばよいが、もうすぐ雨が降るという雲行きになれば、大人数で早く摘まねばならない。
となると人手が必要ということになる。

また綿の実はどの株も同時にはじけるわけではない。
朝顔の種と同じで、株によってはじける時期が異なる。
となると、どの株がはじけそうか、どの株がはじけたかを細かくチェックしてはじけたらすぐに摘まねばならない。
となると、これにもまた人手が必要になる。

だから奴隷が必要だったのである。

近代になってこれを少し効率的にした。
枯葉材を少量散布するとほぼ同時に実がはじける。
なんでもそうだが大量に摂取すれば毒になるが、少量ならば薬になる。
農薬でも飲み薬でも酒でも全部同じである。

適度な枯葉剤を散布すれば一斉にはじけるからそれを摘み取ればよい。
非常に合理的である。

ところがオーガニックにこだわると化学肥料、農薬はもちろんのこと枯葉剤も使わなくなる。
となると、人手が必要になる。
オーガニックが一概にダメとは思わないが、一概に素晴らしいとも思わない。

逆に人手の部分をどう解決するつもりなのかと興味深く観察している。

綿花に限らず野菜や果物でも同じで、少量の農薬や化学肥料さえ使わないことが本当に良いことなのかどうなのか甚だ疑問を感じる。

人手を増やすことはコストを増やすことになり、ひいては販売価格に跳ね返る。
そういう価格上昇が良いことなのかどうかも疑問である。


 2016/08/26 10:42  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)

手作業で何をしたの?
 ジーンズに関するファッション雑誌や一般紙の記事でいつも違和感を感じる部分がある。

「職人が手作業で仕上げた」とか「職人が手作業で作り上げた」とか書かれている部分である。

はて?ジーンズのどこの工程に職人が手作業でかかわるのだろうか?
さっぱり理解できない。

紡績→ロープ染色→織布→後加工→縫製→洗い加工

という製造工程をたどるが、手作業が絡む可能性が高いのは「洗い加工」のみである。
しかし、一口に洗い加工といっても様々な仕様があり、仕様によっては全自動化されていることも多い。

手作業が最も必要だと一般的に思われているヒゲ加工でさえ、レーザー光線で自動的にできる工場もある。
レーザー光線の台にジーンズを1枚ずつ置くのは手作業だが、それ以外は全自動である。

ロープ染色は手作業では無理だ。
本藍を使う場合は甕で手作業で回すが、そんなジーンズは超高額品になるし、製造量が多くないので一般にはあまり出回らない。

デニム生地を手織りするなんていうのは論外だし、縫製もミシンを操作するのは人間だが縫うのはミシンである。手縫いなんて論外である。

となると、「職人が手作業で云々」なんていう部分は特殊な場合を除いてほとんどないはずなのである。
漆器の手塗職人とか木彫り職人をイメージして記事を書いているなら見当違いも甚だしい。

そして、何も知らない読者にそういうイメージを植え付けるような報道をメディアはするべきではない。
産業の形がゆがめられて伝えられるのはまったく害悪でしかない。
 2016/08/25 10:33  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)

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プロフィール
南 充浩(みなみ みつひろ)
ファッションメディアプランナー。
「繊維ニュース」記者としてジーンズ業界を、紡績、産地、アパレルメーカー、小売店と川上から川下までを担当。
同時にレディースアパレル、子供服、生地商も兼務した。退職後、量販店アパレル広報、雑誌編集を経験し、雑貨総合展示会の運営に携わる。その後、ファッション専門学校広報を経て独立。
現在、記者・ライターのほか、広報代行業、広報アドバイザーを請け負う。

掲載実績
繊維流通研究会ウエブ記事、WWD

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