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必要不可欠な機能
 世の中には処分屋という職業がある。
大手の在庫品を二束三文で引き取り、催事などで超安値で販売してしまう仕事である。

先日から、大手通販の在庫を引き取り、催事で販売する会社の手伝いをして店頭に立っている。
3〜4枚購入しても2000数百円である。
3000円は越えない。

以前、90年代半ばに並行輸入物とか在庫品を破格値で販売する心斎橋筋商店街のバッタ屋でアルバイトをしたことがあるから、その時以来の安物販売である。

やり慣れるとけっこう楽しいものである。

ファッションだ、トレンドだ、とかっこいい言葉がウェブ上では踊っているが、実際にそういうブランドだって在庫品はこういうところで処分しているのである。
あとは外国に売るか、焼却するかである。

以前、アジア地区に国内ブランドの在庫品を流す相談を受けたことがある。
あの時に提示された買い取り価格は1枚あたり数百円だった。

結局どこかで在庫も現金化しないといけないからこういう機能も業界には必要不可欠といえる。

チャラっとしてスカしているファッショニスタにもこういう現場を体験させてみたいと思うのは少し底意地が悪いことだろうか?


 2014/04/30 07:30  この記事のURL  /  コメント(2)  / トラックバック(0)

製造工程の多層構造が問題
 海外にSPAという方式が生まれて、流通段階の多層構造の弊害が指摘されるようになった。しかし、問屋が完全に不要というわけではない。個人経営の専門店からすると一枚から購入できる現金問屋は重宝な存在である。
ただ、従来のように問屋が何段階にも並立するような業界構造では成り立たなくなったというのも事実である。

これまで指摘されてこなかったが川上での多層構造も今後は是正されるべきだろう。

生地メーカーは直接アパレルに卸すことなく、商社(総合商社や専門商社、生地問屋、ブローカー)に販売する。
そこからさらに次のコーディネイターが介在し、そこからももう一人を経由する、なんて構図はザラである。

これによって製造コストはさらに上がる。

縫製工程だって同じだ。

たとえば、SPAとセレクトの折衷型ブランド「A」があるとしよう。
そこへ納めている提案型企画会社がある。しかし、この企画会社は自社では商品の製造に関してハンドリングしていない。その下にまだOEM企業がある。
このOEM企業が縫製工場をハンドリングし、生産管理を行う。

OEM企業が企画会社に3000円〜4000円くらいで商品を納める。
企画会社が「A」に8000円くらいで納める。
「A」は店頭で1万数千円の価格で販売するという構図である。

OEMとして有名な企業がさらに外部のOEM企業に製造を委託するという構図も掃いて捨てるほどある。

アパレルと工場を直接つなぐのはなかなか難しい。

その理由は縫製工場は「縫うこと」のみの機能しかなく、副資材・芯地・付属品をアソートする機能がない。そのため、OEM企業はある程度必要となるが、OEMのOEMとかそういう存在はどうなのだろうかと疑問を感じる。

これまではコスト増の要因として流通の多層構造が問題となってきたが、原価率20%以下の粗悪な商品が氾濫する理由は、製造段階の多層構造である。
 2014/04/28 09:54  この記事のURL  /  コメント(1)  / トラックバック(0)

多層構造の弊害
 日本のアパレル業界の問題点の一つに、過剰な多層構造によるコスト増がある。

通常、誌面や紙面で語られるのは「流通での多段階の問屋」という部分のみだが、現実はこれだけではない。生地メーカーが生地をアパレルに生地を修めるまでにも何層もの介在がある。

やれブローカーだ、やれ振り屋だ、やれコーディネーターだ、その都度、彼らへのマージンが発生しているわけである。

生地メーカーからすんなりと生地商社・生地問屋へ行くのではない。
その間に何度もブローカー、振り屋、コーディネーターの間を通る。そのたびにマージンが発生して生地の価格が高くなる。

日本の縫製工場は一部を除いて「縫うこと」のみに徹している場合が多いから、副資材・付属・芯地などの手配はアパレル側が行わねばならない。
アパレルからするとこれは非常に手間である。
だからOEM/ODM企業に縫製工場のハンドリングを任せた方が楽だという側面がある。

しかし、各段階で振り屋、ブローカー、コーディネーターなどが過剰に介在するのは業界にとって百害あって一利なしだ。

なぜならマージンの発生によってコスト増になる。
そうすると一番削減されるのは縫製工賃や素材そのものの価格である。
店頭価格を上げようという発想にはならない。

安物の生地を使えばええやん
縫製工賃を下げればええやん

という具合になってしまい、原価率20%以下の粗悪品が出来上がってしまう。
これは仮定の話ではなく、今現在すでにそうなっているということである。

本来は生地工場→縫製工場→アパレルもしくは店頭 という構図が一番コストパフォーマンスが高い商品が出来上がる。

某デニム生地メーカーによると、この構図でジーンズを作った場合、オールジャパン製で店頭販売価格9000円以下に抑えることは可能だという。

原価率20%以下の商品とオールジャパン製で9000円以下の商品とどちらが真に値打ちがあるかは言わずもがなであろう。
 2014/04/25 10:06  この記事のURL  /  コメント(1)  / トラックバック(0)

高品質とは?
 日本の物づくりは高品質だといわれるが果たしてそうだろうか。
筆者は日本の物づくりを評価している立場をとっているつもりだが、一概に「高品質」とは言い切れない部分が出てきている。

そもそも何を持って高品質というのか定義も必要だろう。

ユニクロでヒットした商品の一つに「ウルトラストレッチデニム」がある。
このデニム生地を生産したのは国内企業ではなく、トルコの大手デニム生地メーカー、ISKOである。
ISKOと仕事をしている日本人によると、「ここまでストレッチ性の高いデニム生地は、最新鋭織機をそろえているISKOしか織れない。国内デニム生地メーカーでは無理だ」という。

この言葉が事実だとすると、果たして「日本の物づくりは高品質」といえるのだろうか?

こういう事例が探すと業界内にはけっこうあるのではないか。

ムードだけの「高品質論」からそろそろ脱却する必要がある。
 2014/04/24 10:10  この記事のURL  /  コメント(1)  / トラックバック(0)

使い勝手の差
 ジーンズのOEM生産を請け負う事務所を経営する友人がいる。
彼はもともと中国生産を得意としていたが、3年ほど前から国内工場にもルートを作って国産を開始した。

現在だとおそらく国産比率は半数くらいになっていると考えられる。

中国も日本も仕事としては同じだが、いざやってみると国内工場の方が手間がかかるという。

彼が付き合っていた中国工場の多くは商社機能みたいなものが付いており、革パッチやボタン、リベット、ファスナー、芯地などの品番と必要な数を指定すると、工場側がすべてそろえてくれる。
こちらはパターンを送って、生産管理に徹すれば良い。

一方、日本の縫製工場は一部の大手を除いて家内制手工業みたいな状態であるから「縫うこと」しか機能を持たない。
革パッチもボタンもリベットもファスナーも芯地も全部OEM会社が手配して必要数をそろえて工場へ送らねばならない。
革パッチもボタンもリベットもファスナーも芯地もすべてメーカーは異なるので、少なくとも数社と折衝する。
数社と折衝するのはなかなかの手間である。

縫製業者は今まで通りのやり方を続けていくつもりなのだろうか?
使い勝手の良さではすでに中国工場に大きく水を開けられている。そこに対しての危機感は持たないのだろうか。

クールジャパンとか国産ブームとかがもてはやされているが、日本の繊維製造業はかなり危機的状況を迎えつつある。
 2014/04/23 09:53  この記事のURL  /  コメント(1)  / トラックバック(0)

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プロフィール
南 充浩(みなみ みつひろ)
ファッションメディアプランナー。
「繊維ニュース」記者としてジーンズ業界を、紡績、産地、アパレルメーカー、小売店と川上から川下までを担当。
同時にレディースアパレル、子供服、生地商も兼務した。退職後、量販店アパレル広報、雑誌編集を経験し、雑貨総合展示会の運営に携わる。その後、ファッション専門学校広報を経て独立。
現在、記者・ライターのほか、広報代行業、広報アドバイザーを請け負う。

掲載実績
繊維流通研究会ウエブ記事、WWD

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