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誰も困らない
 毎年この時期になると各地の産地展が相次いで開催される。
多くの産地展が2月、3月に集中しているがそれはなぜか?
ズバリ、行政からの補助金、助成金で開催しており、3月の年度末近辺で消化しなくてはいけないからだ。

4月からは年度が更新される。
以前に手伝っていた産地展のタイムスケジュールでは、4月に前年度の展示会のレポートが提出され、次年度の予算が申請される。

その申請が許可されるのがだいたい6月か7月になる。
そこから準備して2月、3月ごろに展示会開催の運びとなる。
だいたいどこの産地も同じような流れだろう。

しかし、一口に産地と言ってもフェイクファーの得意な産地、綿細番手の得意な産地、麻織物の得意な産地、楊柳・クレープの得意な産地、ニットの得意な産地、ウールの得意な産地、とさまざまある。
そして、作っている生地は春夏向きもあれば秋冬向きもある。

春夏素材産地と秋冬素材産地が同じ時期に産地生地展を開催する意味はまったくない。

さらにいうと、同じ産地展でも産地が一丸となっている産地もあれば、互いに出展者同士で牽制しあう産地もある。
「最新生地を出品したら隣のブースにコピーされるから出さない」とか「会場で商談すると、近隣のブースに手の内を見られるので、詳しい商談は後日別途行う」とか、そんな言動をするのであれば産地企業の合同展示会なんぞ止めてしまえば良いのである。

産地企業が見せる場というのが必要であることは間違いないが、開催時期も見直す必要があるし、開催のモチベーションも見直す必要がある。

単に「年間行事を開催しましたよ」というスタンスなら止めてしまえば良い。
止めたところで繊維・ファッション業界は誰も困らない。
 2014/02/28 08:07  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)

言うは易く行うは難し
 最近、靴下はすっかりトレンドアイテムになったと感じる。
昔、10年ほど前までは靴下のトレンドなんてそれほどなかった。
メンズならカラー無地のリブソックスで十分だったし、レディースもカラー無地かベージュか黒のパンストで十分だった。

それらをいかに安く大量に作るかというのが靴下メーカーに求められたことだった。

ところが数年前のカラータイツ・柄物タイツから流れが変わったように感じる。
カラータイツ・柄タイツは形はあまり変わらなくてもシーズンごとに色柄にトレンドがある。
シーズンごとということになると3か月おき、長くても半年で色柄のトレンドは変わる。

メンズはこれと比べるとトレンドの変化は長期間かかるが、それでもショート丈になったり色柄も変化するようになった。

先日、今春の靴下のトレンドが白無地であることを日経ビジネスオンラインに書いたところ反響がすごかった。
メンズでいうと、この3年くらいはショート丈の靴下がトレンドだった。とくに昨年夏はショートパンツが大流行したので、ショート丈の靴下とスリッポンのような靴を合わせるのがトレンドだった。

秋になってズボンの丈が長くなると今度は白無地の普通丈の靴下がトレンドに浮上した。
白無地靴下はトレンドセッターの人々は2011年秋ごろから注目していたようだが、一般的に広がりつつあるのは昨年秋以降だと感じる。

レディースはもっとトレンドの移り変わりが早い。
昨年春夏はパンストが復活し、とくにワンポイント柄のある「タトゥーパンスト」が流行したが、秋冬には失速した。
現在、街中でタトゥーパンストなんて履いている女性を見かけることはない。

秋冬は圧倒的に白無地、黒無地の靴下・パンスト・タイツだったという。

今春はレディースも白無地靴下に勢いがあるが、これまでの事例からすると秋以降は失速するのかもしれない。

靴下メーカーの展示会にお邪魔すると「ファッショントレンドはチェック柄なのでチェック柄の靴下を提案しました」というような説明を聞くことがある。
この時点では「なるほど」と思うのだが、よく考えてみると、チェック柄がトレンドだったとしてそのトレンドを取り入れるのはトップスだったりボトムスだったりする。
ジャケットやコート、ブラウス、Tシャツ、スカート、パンツなどである。

トレンドの柄を靴下のみで取り入れようとする人はあまり多くない。

そうなると、せっかくチェック柄の靴下を提案しても在庫の山になるだけである。

こうして見ると、靴下もファッションアイテムの一部となったのでファッショントレンドの研究は必要だが、トレンドそのものを靴下で表現してしまう必要はないのではないか。
衣服のトレンドを知りつつ、そこと組み合わせやすい靴下というものを企画するのが一番売れるということになる。

まあ、これも言うは易く行うは難しの一例なのだけど。

 2014/02/27 09:36  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)

狭く深く
 ターゲットを狭めれば深くなるという場合がある。

西脇に阿江ハンカチーフという企業がある。
ハンカチ用の生地からスタートしたのだろうが、主要業務は今ではハンカチのOEM生産になっている。しかし、ハンカチの需要はそうそう増えはしない。
もしかしたらミニタオルに押されて減っているのかもしれない。

そこで6年ほど前に一転して自社で手配できる生地を使ってゴスロリテイストの傘を企画した。もちろん、社長の思い込みでスタートしたのではなく、マーケティング企画会社に依頼して組み立てた。

ブランド名は「ルミエーブル」である。

ゴスロリテイストの傘なんてどれほどの需要があるのかと疑問に思われる方もおられるかもしれないが、これがけっこうバカにならない。

ゴスロリ用の衣料品や雑貨は日本にしか売っていないので、海外からもネット通販を通じてオーダーが来るそうだ。
4000円の傘を欧米まで取り寄せるのに6000円の送料を平気で支払うという。

なぜ、欧米の人間が日本のゴスロリブランドを知っているかというと、日本のゴスロリファッション専門雑誌は海外にも輸出されており、そこで愛読者は日本のゴスロリブランドを知って目星をつける。

マイナーなイメージのあるゴスロリファッション雑誌と言ってもなかなかバカにならない。
国内だけで発行部数は10万部内外あるという。
著名なメンズ雑誌「LEON」よりも多い。(LEONは8万部内外)

すごく狭いターゲットが実は意外な深さを持っていたという例である。

万人に向けた商品は資金力も物量もユニクロにかなうはずがない。だったらそこで競争するよりもターゲットを絞り込んだ方が得策である。

阿江ハンカチーフの「ルミエーブル」はその好例といえる。

逆に日本はクールジャパンでゴスロリ服・雑貨をアピールした方が効率的ではないか。
先ほども書いたようにゴスロリ服・雑貨は日本企業しか企画製造販売していなのだから。
これこそブルーオーシャンである。

血まみれのレッドオーシャンであるカジュアル服だとかモード服だとかを輸出することに血道を上げることよりはよほどマシである。

 2014/02/26 00:34  この記事のURL  /  コメント(2)  / トラックバック(0)

残念な結果に
 ライトオンの新業態「ソルト&ペッパー」が開始2年で終了してしまった。
狙いは悪くなかったが、アメカジテイストで育ったスタッフと経営者がどこまでクロージングを含めたクリーンなカジュアルに対応できるかと興味深く見ていたのだが、対応できないままに終わった。

スタート当初は「10店体制を目指す」としていたが、結果的に2店舗のみの展開のままで終わっている。途中から規模拡大はあきらめたようだ。2店舗のみの展開だと製造ロットもまとまらないから製造原価は割高になり収益性を圧迫する。
10店舗体制まで拡大できていたら、1型100枚くらいのロットはまとまるから製造原価を引き下げることができる。

それに加えて、ブランドスタートからわずか半年くらいでプロデューサーのN氏が退職してしまったことも大きいと見ている。
たった半年で現場指揮官が変わるのだからブランドとしての性格はまとまらない。

返す返すも残念なことである。
 2014/02/25 09:32  この記事のURL  /  コメント(1)  / トラックバック(0)

趣味の手作り品?
 せっかく試作品を作ってもそれを営業しない製造業者はけっこう多い。

例えば、生地メーカーがバッグ縫製工場と組んでオリジナルバッグを作ったとする。
この時に、生地メーカーの親父が自分の感覚でデザインしたような商品は問題外である場合が多い。

それなりにキチンとしたデザインは必要であることは言うまでもない。

それなりの商品が出来上がったら、まず、飛びこみ営業でも何でもやってみる。
自社の展示会に場ちがいかもしれないが置いてみる。
せめて業界新聞だけにでもプレスリリースを送付してみる。

こういう活動をやらないと、その試作品は自分が使用してお終いである。
生地メーカーからは「どうやって良いかやり方がわからない」という声を聞く。
しかし、現在の業界ならこの手のことを有料でアドバイスしてくれる人は多数存在する。
その中から信用のおけそうな人を選んでコーチングしてもらえば良い。

とりあず、試作品が趣味の活動に終わらないことを願っている。
 2014/02/24 09:52  この記事のURL  /  コメント(1)  / トラックバック(0)

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プロフィール
南 充浩(みなみ みつひろ)
ファッションメディアプランナー。
「繊維ニュース」記者としてジーンズ業界を、紡績、産地、アパレルメーカー、小売店と川上から川下までを担当。
同時にレディースアパレル、子供服、生地商も兼務した。退職後、量販店アパレル広報、雑誌編集を経験し、雑貨総合展示会の運営に携わる。その後、ファッション専門学校広報を経て独立。
現在、記者・ライターのほか、広報代行業、広報アドバイザーを請け負う。

掲載実績
繊維流通研究会ウエブ記事、WWD

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