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個人の限界
 レザークラフトの職人さんという人たちと数年前から交流がある。
主にレザーでバッグを作っておられるわけだが、だいたいオーダーで1点物を作るという感じである。

いろいろなグループなり派閥なりがあるようだが、筆者の付き合いのあるグループは全般的に個人活動志向が強く、企業との取り組みが下手な人が多い。

ただ、個人活動志向と言っても、レザーのバッグを自分ひとりきりで作るわけだから、大きさや形にもよるが、月産せいぜい数個というところだろう。最大でも10個くらいだろう。
こうなると、1個5万円で製造を請け負ったとしても、6個作って売上高は30万円しかない。
そのうち半分は家賃やら光熱費やら材料代やらで経費に消えてしまうから、純粋な利益は15万円ほどしかない。

売上高を増やすためには1個当たりの単価を上げるか、製造個数を増やすかしかない。

しかし、超有名な人ならいざしらず無名の職人で1個あたり10万円とか20万円の値段をつけるのは無謀だろう。受注は激減する。
製造個数を増やすためには工場に製造を依頼しなくてはならない。自分ひとりで製造するのは10個が限界である。

さて、ここを乗り切れない人が多い。

あと、もう一つ気になるのが、職人は必ずしもデザイナーではないということだ。
デザイン面が弱いと感じる。
いくらハンドメイドだろうが、良い革素材を使っていようが、デザインがダサければそんなバッグは5000円でだって要らないわけである。
そう考えると、デザイナーとの取り組みも必要になる。


その業界を志す若い人が少なくないと耳にする。
しかし、以上のようなことをキチンと踏まえてから、志してもらいたいと思う。

 2013/06/28 10:14  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)

イベントのみで産地振興はできない
 イベントで「ムラ興し」「街興し」とは使い古された手法である。
国内の繊維産地も古くから「産地合同展」という業界内イベントで「街興し」を図ってきたが、実際には興るどころか廃れる一方である。

最近だと、流通業者が「産地振興」を冠にして野外ファッションショーを定期的に開催したりしている。
もちろん、イベントによる経済効果は否定しない。れっきとしてある。
しかし、それは一過性に過ぎないことも指摘されなければならない。

イベントが終わればだいたいの場合、その効果は終わる。

少し以前に「デニム」にフィーチャーしたファッションショーがあったが、その後デニムは脚光を浴びただろうか。今春のブルージーンズの売れ行きはここ数年でも最低レベルだろう。
次に「尾州の毛織」「北陸の合繊」ときたが、尾州の毛織が活況を呈しているとは聞いたことがないし、北陸の合繊は苦戦したままである。

北陸の合繊を保護したいなら必要なのはイベントよりも、ユニクロに代わる大口の受注であろう。

イベントは「点」であり、産地振興に必要なのは、「点」よりも継続的な受注である。
クドイようだが、イベントは不要ではなく、ないよりもあった方が良いのだが、それだけで「振興」できると考えているならおかしな話である。

イベント業者がイベントを仕掛けて「振興しよう」と考えるのは構わない。それがイベント業者の仕事だからだ。ただ、流通業者が「産地振興」を錦の御旗のように掲げてイベントを開催し、それだけで「はい。お終い」というのは姿勢として疑問である。

自らが販売力のある流通業者なら、ユニクロに代わるとまではいかなくても、それなりの継続的受注を産地に与えるべきではないのか。それこそが流通業者による「産地振興」ではないのかと考えている。
 2013/06/27 10:08  この記事のURL  /  コメント(1)  / トラックバック(0)

それって自己満足ですよね
 セーター肩かけブームが定着すればストール人気は凋落するのではないかとの危惧が個人的にはあるが、産地企業はまだまだストール開発に力を入れている。

大丈夫だろうかと心配になるが、産地企業にとっては一番作りやすい製品がストールなのだから仕方がないのだろう。

ストールは複雑なパターンは要らず、色柄と生地の風合いだけで勝負できる要素が多いから、生地工場が自社製品化するにはうってつけである。
けれども、細かなディティールは重要である。
例えば長さである。120センチにするのか、150センチにするのか、180センチにするのか。
また端っこにはフリンジを付けるのか付けないのか。
フリンジを付けるならその長さは7センチなのか10センチなのか?

こういうもろもろのディティールの良し悪しで売れ行きも変わる。
当然価格も重要だ。

1万数千円するようなストールは使い道としては当然、ファッション用途だろう。
1万数千円のストールをタオル代わりには使わないだろう。

残念ながら産地企業の中には、ディティールと価格設定の重要性をあまり理解しておられないところがある。

某社のオリジナルストールは国産綿を使用しており、当然価格が高い。
1万数千円以上する。
けれども全長が短い。首の細い女性ならグルグルと2重に巻いて結べるかもしれないが、それでも結び目は短くなってあまりカッコヨクない。
首の太い男性なら、グルっと1重巻きでお終いである。

どうもこの会社によると、ウォーキングの際にタオル代わりに使ってもらいたいという。

けれどもタオル代わりに使うには価格が高すぎる。
タオル代わりの用途を想定するなら価格はせいぜい7000〜8000円だろう。
それでも高いくらいである。タオルメーカーのタオルなら3000円も出せばかなりの品質の物が手に入る。

この辺りはどうにもミスマッチだと思う。
タオル代わりという実用用途なら高額な国産綿を使用する必要があるのだろうか?

他方、男性の首でも2重・3重に巻けるほど長いストールを製造している企業も多い。
某社は生地にはあまり手をかけずに草木染めを施すことで8000円くらいに押さえている。
違う某社は超高品質の生地を使用し、それを丁寧に説明することで2万円くらいの価格で売りこなしつつある。

両社はいずれもファッション用途を目的に開発しており、通常の産地企業の取り組みとは一線を画している。

産地企業に多いのが、ディティール無視と用途にそぐわぬ過剰品質による無用な高額化である。

色柄と生地の風合いが良く、高級原料を使用しているから「高くても売れるだろう」とか「ディテールなど細かいことを気にしなくても売れるだろう」というのは単なる自己満足の世界である。

そこの部分を脱却しないと産地企業の自社製品開発は永遠に成功しない。

 2013/06/26 09:56  この記事のURL  /  コメント(1)  / トラックバック(0)

まだまだ安くなるよ
 先日、ぶらぶらとプレセール真っ最中の店頭ウォッチングをしていたら

「プレセール 最大70%オフ」と書かれたお店を発見した。

最大70%オフということは、30%オフ〜70%オフの商品までそろっているという意味だが、それでもプレセールですでに70%オフ商品がいくつかあるというのは驚きだ。

本セールに突入したらどれだけの値引き率になるのだろうか?
無料配布商品も出てしまうのか?

やや景況感が出てきたと言われることが多いが、衣料品はまだまだデフレが進んでいる。
衣料品は嗜好品という要素が強く、さらに今時「着る物が無くて困っている」人はそれほど存在しない。各個人がそれぞれ莫大なタンス在庫を抱えている。
別に昨年の服を着ていてもなんら問題はない。

高額衣料品がもてはやされる時代はもう来ないかもしれないと思ったりする。
 2013/06/25 10:13  この記事のURL  /  コメント(1)  / トラックバック(0)

ダラダラの夏セール
 いよいよ28日から夏セールが始まる。
しかし、すでに6月の頭から各ショップではプレセールが始まっており、28日に始まると言われても今更ジローという感じを強く受ける。

インターネット通販でもユナイテッドアローズの自社サイトは早々と30%オフのプレセールを堂々と行っているわけであり、消費者は「6月頭から今年はセールが始まった」という認識だろう。

先日、13日にグランドオープンしたあべのハルカス近鉄本店だが、オープンセールからそのまま夏セールに移行する。

6月頭からプレセールを開始しているショップは、実質的に夏のセールが90日間も続くことになる。

そんな中、7月12日からルミネが、7月17日から三越伊勢丹がやっとセールを始める。
まあ、彼らの掲げる大義である「産地支援」なんて単なる嘘も方便にすぎないから評価する必要性は微塵も感じないが、今夏のセールは昨年にも増して間延びした印象がある。

消費者は6月頭から8月末まで夏セールと捉えるだろう。

そんなわけでますますダラけた感のある今年の夏セールである。
 2013/06/24 11:02  この記事のURL  /  コメント(1)  / トラックバック(0)

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プロフィール
南 充浩(みなみ みつひろ)
ファッションメディアプランナー。
「繊維ニュース」記者としてジーンズ業界を、紡績、産地、アパレルメーカー、小売店と川上から川下までを担当。
同時にレディースアパレル、子供服、生地商も兼務した。退職後、量販店アパレル広報、雑誌編集を経験し、雑貨総合展示会の運営に携わる。その後、ファッション専門学校広報を経て独立。
現在、記者・ライターのほか、広報代行業、広報アドバイザーを請け負う。

掲載実績
繊維流通研究会ウエブ記事、WWD

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