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繊維は成長産業ではない
 東洋紡の繊維比率が下がり続けている。
少し前に聞いたときは3割を切ったということだったが、最近では2割を切って18%程度となっている。
もちろん、それ以外の異業種比率は高まっているわけなのだが、往年のワイシャツ向け素材やカジュアル向け素材(主にチノパン)を取材していた身としてはかなり寂しく感じる。

形態安定加工に「ミラクルケア」という独自のネーミングでシェアを高めていった当時が嘘のようである。
そういえば、ふと思い出したのだが、18年前に買ったチノパンにも「ミラクルケア」のタグが付いていた。あれは東洋紡の生地だった。

2000年ごろにはリーバイス向けのチノ素材で「フライングドラゴン8500」を復活させていた。そのフライングドラゴンもリーバイスは廃番となり、今はライトオンのPB「バックナンバー」用に使用されている。

企業を成長させるためには「繊維ではなく、異業種」という経営判断である。
繊維業界の片隅の底辺に身を置く人間としては「賢明」な判断だと思う。

「繊維は成長産業ではない」ことを改めて痛感させられる。
 2012/04/27 10:28  この記事のURL  /  コメント(1)  / トラックバック(0)

テレビ需要は上向かない
 紡績や合繊メーカーが国内家電メーカーと組んで薄型テレビ用の部品を供給していることはあまり知られていないのではないかと思う。
いや、もちろん知ってる方もおられるとは思う。

しかし、残念ながら薄型テレビ需要が上向くことは今後ないと思う。

一つはエコポイントでの需要先食いが終わってしまった。
一つは地デジ対応への買い替えが終わってしまった。
統計によると9割の世帯に普及しているという。

一つは、画質を上げようが3Dにしようが無駄であり、「テレビを見る」という行為に割く時間が激減している。

この3つの理由を思いつく。
とくに致命的なのは3つめで、テレビ局が製作する番組自体の内容が劣化しており、くだらない番組を見るためにさらなる高画質テレビを買いたいと思うような物好きはいないだろう。

2台目・3台目需要があるだろうとは思う。
しかしその場合は大画面である必要はなく、同じ薄型でも20インチ程度の小型で安い物で十分である。それに2台目・3台目を欲しがるほどテレビ番組に思い入れのある国民がどれほど居るのだろうか?

以前、どこかに出ていた統計ではテレビは老人しか見ていないという。

50代以下は圧倒的にテレビを見なくなっている。

にも関わらず家電メーカーは2年ほど前まで「まだまだテレビはイケる」と思っていたのだから、おめでたいにもほどがある。
キチンとしたリサーチや消費者動向を高額の料金でシンクタンクから購入しているだろうに、なぜそんな初歩的なことがわからなかったのか不思議でならない。

テレビという家電の衰退を見るにつけ、永続的に万全なアイテムはないのだということを痛感させられる。

 2012/04/26 10:46  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)

生地製造工場ばかりが残ってもねえ
 メイドインジャパン製品を見直そう。
一言でまとめるとこんな動きが見られる。

中国やアジアの製造業を太らせるよりも国内製造業を活発化させる方がよほど意義があると考えており、基本的には賛成である。
しかし、言うは易し行うは難しである。

衣料品業界の「メイドインジャパン」基準の多くはテキスタイル段階で止まっている。
業界内部、一部の消費者までには「日本製生地」という物は注目が高い。
日本製生地の実状は置いておいて、それなりの注目は集め始めている。

しかし、生地は作れても縫製はどうするの?
国内縫製工場は年々減っており、技術力・モチベーションが低下している。
いくら「メイドインジャパン製品が欲しい」と言われたところで国内で縫製ができなければどうしようもない。

縫製工場だけではない。
染色工場、整理加工場、撚糸工場いずれも風前のともしびである。
織布工場、編みたて工場ばかりが残っていても早晩「日本製生地」さえ作れなくなる。

業界全部を含めた取り組みをしないことには、メイドインジャパン製品の衣料品なんてニホンオオカミみたいな「幻の逸品」になってしまう。
 2012/04/25 10:03  この記事のURL  /  コメント(2)  / トラックバック(0)

アニメ・漫画も停滞気味?
 最近ほとんどテレビを見なくなった。
特命戦隊ゴーバスターズと仮面ライダーフォーゼしかテレビ番組を見ていない。
4月からもうひとつ見る番組が増えた「聖闘士星矢Ω」である。

先日、こんな内容のツイートを見かけた。
文言は多少違うかもしれない。
「ガンダムが放送されてて、ヤマトの映画があって、ルパン三世が始まって、聖闘士星矢も始まる。本当に今年は2012年か?」

というものである。

上に挙がったアニメはすべて20年以上前に作られたアニメのリメイクまたは続編である。

ガンダムは何年かおきに新作が断続的に作られ続けてきた。
宇宙戦艦ヤマトは久しぶりの復活である。第1作目のリメイクとなるようだ。
ルパン三世の連続テレビアニメも25年ぶりくらいになる。
聖闘士星矢も25年ぶりの続編である。

最近、広く話題にのぼるアニメは過去のヒット作のリメイクか続編が多い。
これはアニメだけに限らず漫画でも特撮でも同じ傾向に感じる。

先に上げた「戦隊」は30年以上連続して放映され続けているし、
「仮面ライダー」は2000年から12年間連続放映である。
この2つ以外の特撮作品はほとんどなく、何年かおきに「ウルトラマン」が断続的に新作を製作されるくらいである。

漫画もしかりだ。
「聖闘士星矢」の続編・番外編、「キン肉マン」の続編・番外編、「魁!男塾」の続編、「北斗の拳」の続編・番外編などなど。
往年のヒット作の続編か番外編ばかりである。


こうして見ると、世界でも高い人気を誇ると言われる日本のアニメ・漫画・特撮も停滞しつつあるのではないかと感じる。
作画や原画、撮影スタッフなどの現場スタッフに外国人が多くなったことはそれほど危機ではない。
しかし、ストーリー作りや企画作りが停滞したならこれは危機である。
いわゆる「ソフト」を生み出す力が無くなっているからである。

見る側にも問題はあるのだろうが、作り手側も「安定」や「実績」を求め過ぎているように思えてならない。
製作側に「チャレンジ」の精神が感じられない。
過去に実績のあった作品の続編や番外編を放送すれば、ある程度の「確実な視聴者数」が読める。視聴率と言ってもいいだろうし、映画の興行収入、グッズの販売収入と言ってもいいだろう。

世界でも数多くのファンがいると言われるアニメ・漫画・特撮がこんな体たらくで良いのか。
こんな停滞したソフト力で「クールジャパン」を発信できるのか。
甚だ心もとない。


 2012/04/24 09:54  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)

ファッション衣料の実用衣料化
 気候に売上高が左右されてはいけない。
量販店とか実用衣料店舗でない限りはこんなふうに指導を受ける。

気候要因は読めないわけだから、こういうふうに考えるしかない。

しかし、いくらブランド店や専門店と言っても気候には大きく左右されてしまう。これも仕方がない。

先日、小ロット対応のアパレル展示会で面白い会話が耳に飛び込んできた。

「今年の冬は目立つデザインの防寒アウターが欲しいな。定番っぽいのは要らんわ」。
こう専門店の店主らしき男性が話している。

その理由として、「結局、4月上旬まで寒かったから防寒アウターは全部売れたけど、12月まではさっぱり売れなかった。結果オーライではあるが、こんなリスキーな商売を続けることはできない。どうせ毎年12月までは暑くて防寒アウターが動かないのだから、先物買いをするトレンド層だけに響く特徴的なアウターだけで良い」ということだった。

なるほど一理ある。

防寒アウターは、12月まで動かない。
12月はプロパー販売月ではなく、プレセール月である。
となると、防寒アウターの大部分は何らかのセールでしか動かないことになる。
プロパーで買うのはトレンドに敏感なほんの一握りということだろう。

他のシーズンアイテムも同じような傾向である。
自分の消費行動もそうである。

夏物、初秋物、春物と、ほとんどのアイテムが気温に大きく左右される。

冬が長ければ春物が動くのは遅いし、厚くならなければ夏物は動かない。
涼しくならなければ初秋物は動かない。
シーズン先取りをしすぎてもあまり効果がない店舗が多い。

結局は一部の消費者を除いては、衣料品全体を「実用衣料」と見なしているということではないだろうか。
 2012/04/23 10:33  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)

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プロフィール
南 充浩(みなみ みつひろ)
ファッションメディアプランナー。
「繊維ニュース」記者としてジーンズ業界を、紡績、産地、アパレルメーカー、小売店と川上から川下までを担当。
同時にレディースアパレル、子供服、生地商も兼務した。退職後、量販店アパレル広報、雑誌編集を経験し、雑貨総合展示会の運営に携わる。その後、ファッション専門学校広報を経て独立。
現在、記者・ライターのほか、広報代行業、広報アドバイザーを請け負う。

掲載実績
繊維流通研究会ウエブ記事、WWD

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