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笛吹けど消費者踊らず
 アパレルで大ヒットアイテムがない。
今秋注目のローゲージニットアウターもそこそこのヒットなのかもしれないが、多少の過剰供給と過剰仕入れで、店頭在庫が滞留するほどである。
到底大ヒットとは呼べない。

メンズではショップコートなる物が盛んに雑誌で提唱されているが着用者を見たことがない。
一体どこで流行しているのだろうか?
ロング丈のカバーオールジャケットという形なので、活用が難しい。
それをアウターにして着られるうちは良いが、寒くなるとその上から防寒を着ると酷くバランスが悪い。これならGジャンのほうがずっとマシである。丈が短いのでインナーとしても着ることができる。

多くの国民がみんなこぞって手に入れたくなるようなアイテムは、iphoneくらいではないのだろうか。
iphone4sはすでに400万台を販売したという。
企業が社員に支給するという複数買いもあるだろうが、たいていは個人で1台であろう。
そう考えるとすでに100万人以上の個人が購入したと類推できる。

芸能界ではAKBと韓流が人気だと「言われている」が、実際のファン数はそれほど多くないだろう。いずれもCDや掲載誌が好調に動いていると言われているが、実際は少数のファンが一人で多数の商品を購入しているだけである。
総選挙投票権が付いていたから、一人でCDを何十枚も買うような状態がデフォルトであろう。

こうして見ると、ファッションで大ブームを巻き起こすようなアイテムは当分出現しないのではないだろうか。
それに、今年のトレンドと去年のトレンドはほとんど変わっていないし、少し前のトレンドの服を着用していてもそれほどおかしくない。

スキニーパンツが好きな人は相変わらずスキニーを着用しているし、ゆったりとしたワークパンツが好きな人は変わらず着用している。トレンドが提唱されてもそれに飛びつく人間は年々減っているように思う。


業界とメディアが煽ってブームを作るという手法はそろそろ終わりかもしれない。

 2011/10/31 10:17  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)

「進化」の安売りに辟易
 「進化」という言葉にどうにも違和感を感じる。
細かい言葉尻を捕まえて云々するなというご意見もあるとは思う。
一人の人間が一生のうちで「進化」することはあり得ない。
「変化」「成長」することはある。
「進化」は何世代もかかって行われるものであるし、多数の進化論が提唱されているにも関わらず、いまだに進化の決定的要因は生物学上でも見つかっていない。

ただ「変化」「成長」という手あかにまみれた言葉よりもキャッチコピーとして有効そうだから漬かっているというところが実状だろう。

さて、昨日、有楽町ルミネの内覧会が行われたようだ。
取材に伺っていないので中身を云々することはできない。
今朝のめざましテレビでも内覧会の様子が放映された。
そのキャッチに違和感を覚えたのである。
「進化する銀座・有楽町エリア」というタイトルである。

これまで年配層向けや富裕層向けの商業施設や小売店が多かった銀座・有楽町に今回のルミネも含めて若者向けの店が増えたことを指しているらしい。
しかし、この場合は明らかに「進化」ではなく「変化」と言うべきだろう。
正しくは「変わる銀座・有楽町エリア」「変質する銀座・有楽町エリア」ということになる。
果たして、年配層や富裕層向けのエリアが「若者向け」「低価格向け」に変わることは「進化」だろうか?狙うべきターゲット層が変わったことによる「変化」「変質」ではないのだろうか?
また、もしかしたら富裕層の人口が減っているので、若者向けや低価格向けに変わらざるを得ないのかもしれない。

さらに、日本人の消費意欲が減退している代わりに、銀座地区にはアジアからの観光客が大挙して押しかけている。ターゲット消費者が日本人から「アジアからの観光客」に変わったのかもしれない。

要するに従来の顧客層が進化したのではなく、変わったのだと思う。
これを指して「進化」というのは、実状を的確に伝えていない。


最近の「進化」の安売りもそろそろ限界ではないのか。
 2011/10/28 10:00  この記事のURL  /  コメント(2)  / トラックバック(0)

今から中国進出では遅すぎないか?
 中国への進出だが、実地体験もないので向うのムードはわからない。
ただ、世界の人口統計では中国は2020年から戸籍上の人口減少が始まる。
中国には無戸籍の人がたくさん存在するので、実際に減るのかどうかは極めて不透明だが、それでも人口は2020年以降は大きく増えることは無い。
また、本当についでだが、韓国は2017年から人口減少が始まる。

人口が減少し始めた国で好景気を維持できた国はこれまで存在していない。不景気に転落しないまでも、成長率は鈍化する。

こう見ると中国の絶好調景気は2020年までしか続かず、その後は不景気に転落するか、成長率は鈍化する公算が高い。
そうすると今年も残すところあとわずかなので、実質は9年間しかない。

その中国市場に小売店や流通が今から大挙して押しかけるのが果たして正しいのかと疑問を感じている。
これまでに中国に出店していた企業なら、すでに地盤があるのでわからないでもないが、今からゼロの状態で中国に出店することが適切な政策なのだろうか?
2012年年初に中国に出店したとして、地盤を築くまでに最低でも3年はかかる。
消費者にブランドや店名を浸透させる時間だ。もしかしたら5年くらいかかるかもしれない。

3年で消費者に浸透させたとすると、好景気の恩恵にあずかれる期間はわずかに5年。
あまりメリットがないのではと感じてしまう。

中国よりも人口増加傾向が長く続くインドやその他アジア諸国に今から出店して地盤を築く方が良いのではないだろうか。
もちろん一部企業はすでに進出しておられる。

今、中国に注目するのでは遅すぎないか?今ならインドやその他アジア諸国に進出しても中国ほどの激戦地ではないのではないか。

 2011/10/27 09:56  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)

バブル期の若者の方が内向き
 日本の若者が海外を目指さないという間違った俗説がまかり通っている。
これは以前に書いたことがあるかもしれない。

文部科学省の海外留学者数のデータがある。
誰でも見られる無料のHPである。
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/22/12/__icsFiles/afieldfile/2010/12/22/1300642_1.pdf

これには2008年までしかなく、2009〜2011は分からない。
現時点で分かっている2008年の最新データを見てみると、
日本人の海外留学者数は66,833人である。
2007年よりも10%前後減っている。

問題にしたいのは、バブル期の留学者数である。

87年が15,335人
88年が17,926人
89年が22,798人
90年が26,893人

である。

前年よりも10%近く減った2008年ですら、バブル期の3倍以上の海外留学者がいる。
これのどこが「若者は内向き」なのだろうか。
内向きというなら、今の学生よりも圧倒的に人数がおり、景気も良かったバブル期の若者の方がよほど内向きである。

今の若者とは比べ物にならないほどの人数が存在し、バブル景気で家計も潤っていたにも関わらず2008年の3分の1程度しか海外留学していない。

バブル期の若者が最も「内向き」だったのである。

かつてバブル期の若者だった人々が、俺たちは「外向き」という幻想を抱いていたのは、お遊び的な海外旅行に行く人数が多かったからではないか。
あの当時は猫も杓子も海外旅行に出かけていた。
しかし、旅行はしょせん旅行である。
わずか数日の滞在なら言葉も話せる必要がないし、ツアー旅行なら何から何までセットされている。有馬温泉に旅行するのとなんら変わらない。

その程度の「海外経験」で「俺達が若い頃はもっと外向きだった」と言われても笑止千万である。勘違いも甚だしい。

 2011/10/26 10:03  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)

日本で売れないブランドが他国で売れるはずがない
 昨今の安易な中国進出を促進する風潮はいかがなものかと感じる。
中国というとシナジープランニングの坂口昌章さんを思い出すが、その坂口さんは「日本で売れない商品を持って行っても中国では売れない。何千万円、何億円程度の商売なら日本ででもできる。小さい企業は無理して進出する必要もないのではないか。日本で売れていないなら日本で頑張れ」ともおっしゃっており、こちらが正論だと思う。


日本で売れていない商品が他国で売れるはずがない。
日本である程度認められたから他国でも評価される。これは逆もしかりだろう。
日本で人気のないブランドが中国に進出するなら、日本での中途半端な実績は捨てて、中国に渡って中国のブランドとして一からスタートする必要がある。
安易に「日本があかんから中国や」みたいな風潮は、おかしいと言わざるを得ない。

こういう風潮があるから、某商工会議所のように「地元産地の生地を使って、製品作って中国に持っていったら売れる」という妄言が飛び出すのであろう。




また「アジアは一つ」という現実無視の理想論もおかしい。
中韓だけがアジアではない。アセアン諸国もインドも中東諸国もアジアに分類される。そこまでの一体化を見据えての理想論なら首肯するが、東アジアの特定の2カ国を指して「アジア全体」を語るのは愚かしい行為である。
また中国も韓国ももちろん日本もそれぞれ民族性や文化が違う。ある程度の共存は必要だし、交流は密接にならざるを得ないだろうが安易に一体化とか共同体構築など進める必要もない。


民族性や文化特性を越えて容易に一体化できるのではれば、EU諸国はとっくの昔に統合してローマ帝国が復活しているはずである。EU諸国がローマ帝国に再統合できないことが、他国との一体化の難しさを証明している。
日本人の平和ボケと言われても抗弁できないだろう。

 2011/10/25 09:45  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)

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プロフィール
南 充浩(みなみ みつひろ)
ファッションメディアプランナー。
「繊維ニュース」記者としてジーンズ業界を、紡績、産地、アパレルメーカー、小売店と川上から川下までを担当。
同時にレディースアパレル、子供服、生地商も兼務した。退職後、量販店アパレル広報、雑誌編集を経験し、雑貨総合展示会の運営に携わる。その後、ファッション専門学校広報を経て独立。
現在、記者・ライターのほか、広報代行業、広報アドバイザーを請け負う。

掲載実績
繊維流通研究会ウエブ記事、WWD

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