« 2011年02月 | Main | 2011年04月 »
煽情的すぎる見出しはいかがなものか
 昨日、J−CASTニュースに以下のようなタイトルの記事が掲載された。

「止まらない中国人の帰国ラッシュ 繊維業界は操業停止の大ピンチ」

http://www.j-cast.com/2011/03/30091740.html?p=1

本文を読んでみると、繊維業界とりわけニット分野での中国人研修生の比率が高いことと、それらの研修生が政府の勧告によって帰国してしまい、工場がストップしている様子が伝えられている。
しかし、後半は自動車業界だったり、温泉従業員だったりが採り上げられており、繊維業界のことは「前振り」にすぎないという印象もぬぐえない。なぜ見出しでことさら「繊維業界」を強調する必要があるのかわからない。
この記事に適切な見出しを付けるなら「中国人の帰国ラッシュ 各業界で操業停止」となるだろう。
最初は「製造業」という見出しはどうだろう?と考えたが、温泉の従業員は製造業ではない。ならば「各業界」とするしかない。
J−CASTニュースにはこの手の煽情的記事が多いので、注意が必要だ。

一方、3月31日付の繊維ニュースでも同様の内容を報道しているが、こちらはJ−CASTニュースよりもずいぶんと冷静だが、それだけに深刻さがうかがえる。以下に引用したい。

「中国技能実習生帰国 大使館が帰国支援も」

 中国からの技能実習生が震災や原発問題で帰国している。縫製工場などは突然の帰国に生産への影響を懸念する。どれだけの実習生が帰国したのかの数字も把握できていない段階だが、現状は“再入国”を期待するしかないようだ。


とのことである。


先日、OEM業を営む友人によると、取り引きのある福山の工場が「もう中国人を雇えない」と嘆いていたという。理由は地震や放射能ではなく、賃金の上昇によるものらしい。要するに人件費の高騰で困っているということである。それが先週の話だというから、福山界隈に来る中国人は地震や放射能をあまり問題と感じていないようだ。
その友人は「なぜ中国人でなくてはいけないのか?」と疑問に感じたそうで「ベトナムやカンボジア、バングラディシュ、インドなどからの研修生を増やす方向で考えてはいけないのだろうか?」と逆に、自分が質問された。

あいにく自分もこの手の知識が少ないので、首を傾げるしかないのだが、たしかに中国以外のアジア諸国からの研修生を受け入れても良さそうなものである。何か制限されるような法律や条例、条約、取り決めなどがあるのだろうか?

もしご存じの方がいらっしゃるのなら、ぜひご教授いただきたい。
 2011/03/31 09:13  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)

震災でわかった国内製造業の凄さ
 今回の東日本大震災によっていろいろな物が変わりそうである。
またいろいろな「嘘」も白日の下に晒されそうである。

地震直前まで「日本の製造業はもう駄目だ」という論調が国内外を支配していたように思う。例えば自動車産業も半導体、電器産業も。とくに携帯電話やコンピューター、液晶テレビなどは韓国のサムスンに日本メーカーが圧倒されたとみんなが信じていた。
個々の自動車メーカー、家電メーカーではサムスンや復活したGMに圧倒されているかもしれないが、こと、部品に関しては圧倒的に日本製が世界のシェアを牛耳っていたことが、皮肉にもこの震災によってわかった。

少し長文だが記事を引用させていただく。

「震災でわかった日米の競争力格差」
http://www.newsweekjapan.jp/stories/business/2011/03/post-2023.php?page=1

津波と原発事故が複合した日本の震災の深刻さが明らかになる中、90年代にアメリカが日本に経済的に勝利したという考えもまた、実際には神話に過ぎなかったことが明らかになりつつある。

 ボルボは今週、日本製のナビゲーションとエアコンの在庫が10日分しか残っておらず、工場が操業停止になる可能性があることを明らかにした。ゼネラル・モーターズ(GM)は先週、シボレーコロラドやGMCキャニオンを組み立てているルイジアナ州シェリーブポートの従業員数923人の工場を、日本製の部品が不足しているために閉鎖すると発表した。

 アーカンソー州マリオンでは、ピックアップトラックのタンドラなどトヨタ車の後部車軸を作っている日野自動車の製造工場が、日本から輸入されるギアなどの部品が急激に減っていることで操業停止の危機に瀕している。

 他の産業でも事情は同じだ。半導体を製造する設備の大半が日本だけで作られているか、または主として日本で作られている。半導体の回路を焼き付けるステッパーは、3分の2がニコンかキャノン製だ。携帯端末やラップトップパソコンに使われる樹脂「BTレジン」の約90%、世界のコンピューターチップに使われるシリコンウェハーの60%は、日本から輸入されている。

 日本の混乱が長引けば、アップルやヒューレット・パッカード(HP)は深刻な問題に直面しかねない。今まで誰も気にしたことがないような製品、例えば小型マイクやメッキ素材、高性能機械、電子ディスプレイ、それにゴルフクラブやボーイングの新型旅客機ドリームライナーの羽に使われる炭素繊維など、すべて日本だけで作られているか、または主に日本で作られている。

 最近の報道では、世界のサプライチェーン(部品調達網)の複雑さや、各企業が生産ラインを止めないためにどれだけ競い合っているかが盛んに紹介されている。しかしこの点に関する日本とアメリカの違いについては、誰も論じていない。

 考えてみれば分かることだ。北米以外にある世界中の自動車工場で、アメリカ製の部品が不足して操業停止の危機に直面するところなどいくつあるというのか? もしシリコンバレーで地震が起きたとして、アップルはどれだけの危機に瀕するだろうか?

 もしそうした事態になったらアップルは被害を受けるかもしれない。特にスティーブ・ジョブズがけがをしてしまったら、事態は深刻だ。しかしアメリカが被災しても、今回の日本の震災が世界の部品調達網に与えている影響には遠く及ばない。

 理由は簡単だ。インテルのチップなどいくつかの例外を除けば(ボーイングでさえ国内ではドリームライナーの30%しか製造していない)、アメリカはもう世界市場に向けてそれ程多くの製品を出荷していないからだ。


とのことである。
そしてこの記事は「アメリカが被災しても誰も困らない」とまで言い切り、最後は「今、国際的な部品調達網に日本が与える影響の大きさをアメリカのそれと比較すれば、グローバル競争の本当の勝者はアメリカではなく、日本だったことは明らかだ」という言葉で結んでいる。


この記事を読んで、われわれ日本人も自国の製造業を過小評価しすぎていたのではないかと思った。また、それこそ繊維製造業と同じで、日本の機械製造業も国内外に向けたPR不足・告知不足だったのではないかと考えた。


機械と繊維を同一に比べることは無理があるにしても、例えば各繊維産地でも欧米の錚々たるブランドと継続的に取り引きをおこなっている生地メーカーがいくつもある。
自分が関わらせていただいている高野口産地だけでも複数社ある。
しかし、彼らの生地が2011秋冬の「プラダ」に採用されたことを誰かが知っているだろうか?
多分ほとんどの方々は知らないだろう。
欧米ブランドは守秘義務がキツイので大々的に告知することには無理があるとしても、産地企業も伝える努力はすべきである。


今回の震災で世界的なシェアを握っていた日本の機械製造業が以前のように復旧するかどうかはわからない。もしかしたら復旧できずにシェアを下げるかもしれない。それでも自分はこれらの人々が復興することを信じたい。
 2011/03/30 08:28  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)

お年寄りに特化したダイシン百貨店
 先日、日経ビジネスオンラインにお年寄りにターゲットを絞って快進撃を続けているダイシン百貨店の記事が掲載された。上下2回に分かれているのだが、地震が起きたため、残念ながらまだ後半は掲載されていない。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20110302/218694/

これはなかなか興味深い記事である。

バブル期から崩壊後まで拡大路線を走っていたダイシンは、2000年ごろに経営危機を迎える。

そこで

周辺には量販店が多い。そんな店に規模では敵わないのだから、価格競争を放棄した。そして、「半径500メートル、シエア100%主義」というスローガンを掲げ、徹底した地域密着型経営に転換する。

店舗も本店だけを残してすべて閉鎖した。
近隣のお年寄りが好む品ぞろえに特化したため、本文中では「昭和40年代の百貨店」を再現したような店づくりとなっていると説明されている。

関西在住の自分にはこのダイシンにまったく親近感が湧かないのだが、見事な戦略といえる。高齢化社会が叫ばれていても百貨店業界でそれに対応した店舗は見たことがない。少なくとも東名阪の都心には皆無だろう。
ファッショナブルではないだろうが、これも一つの生き残り戦略である。

大丸梅田店に3月16日にユニクロがオープンした。13階フロアは母子のフロアであると思う。
ポケモンセンターがありトミカショップがあり、ユニクロがあってABCクッキングスタジオがある。お母さんはユニクロとABCクッキングスタジオに、子どもさんはポケモンセンターとトミカショップにと、それぞれが楽しめる構成となっている。
これも母子をターゲットとした見事なフロア作りであると思う。
難点は13階まで上るのが面倒な点である。

最先端の高額レディースファッションに特化する百貨店があっても良いと思うが、各社すべてがそこに集中するのはマズイ。ダイシンと並列すれば大丸は不満だろうが、違う部分に特化したところは英断であると考えている。
どの百貨店が、最後まで高額レディースファッション路線にしがみつくのだろうか。もはやチキンレースの様相を呈してきたのではないだろうか。
 2011/03/29 09:27  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)

来年は新卒生は再び就職難に
 東日本大震災で東北・北関東の多くの企業がダメージを受けた。
その影響から今年4月に入社するはずだった企業から新卒者が内定取り消しを受けている。企業活動自体が危ういときなので非常措置というところだろうか。


某ファッション専門学校に聞くと、今春の就職率は昨年よりも高かったという。
主に販売員としての採用が多かったらしいが、震災の影響で「今後はどうなるかわからない」と懸念を示す。
先の例ではないが、もしかしたら内定取り消しが発生するかもしれない。
また、4月入社はそのまま続行されても、来年の採用は凍結する企業が続出するかもしれない。とくにアパレルはこの15年間、過度な東京一極集中を進めてきた。
平時には効率的なこの中央集権体制だが、その集中部分の機能が停止すると弊害しか引き起こさない。結果論だが、東名阪三極体制くらいが非効率だが、危機管理的には最適だったと言える。

アパレルが集中する東京地区が、計画停電で営業・販売活動がままならない。計画停電は少なくとも来年の今頃まで1年間は続く。アパレルの店頭販売活動も営業時間が著しく制限されることは目に見えている。2010年よりも各社の売上高は確実に減少する。
そうなると、来年4月入の社員の採用枠は激減すると予想される。ファッション専門学校生は再び就職難に見舞われそうだ。


これはアパレルに限らず全業種で共通となる問題なのかもしれない。
すでに時代に適合していなかった新卒一括採用を見直し、新しい制度を導入する良い機会ではないだろうか。

 2011/03/28 08:30  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)

今夏、九州も電力不足に?
 福島原発の破損で、東京都の電力不足は最低でも1年間続くことがほぼ決定的となった。また、代替手段を講じられない場合は数年電力不足が続くと言われている。

さて、驚いたことに今夏、九州でも電力不足が生じる可能性があるという。

http://www.asahi.com/business/update/0324/SEB201103240012.html

記事によると

九州電力は24日、定期検査で運転を停止している玄海原子力発電所(佐賀県玄海町)2、3号機の運転再開を延期すると決めた。東京電力の福島第一原発の事故を踏まえ、運転再開には地元の理解を得にくいと判断した。夏まで続けば、電力需要をまかないきれない可能性があるという。

とのことである。

定期検査が終了したのに、原発を稼働しないこの措置が良いのか悪いのか判断が分かれるところだが、九州も計画停電になればこれはえらいことである。
東京の落ち込みをカバーするために名古屋以西の活性化が必要なのだが、福岡が電力不足に陥れば経済に大きなダメージがある。

ますます名岐地区、京阪神の活性化が重要となってくる。
そのためには東京に過度に集中した機能を名岐と京阪神に速やかに分散化することが不可欠である。
 2011/03/25 09:24  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)

| 次へ
プロフィール
南 充浩(みなみ みつひろ)
ファッションメディアプランナー。
「繊維ニュース」記者としてジーンズ業界を、紡績、産地、アパレルメーカー、小売店と川上から川下までを担当。
同時にレディースアパレル、子供服、生地商も兼務した。退職後、量販店アパレル広報、雑誌編集を経験し、雑貨総合展示会の運営に携わる。その後、ファッション専門学校広報を経て独立。
現在、記者・ライターのほか、広報代行業、広報アドバイザーを請け負う。

掲載実績
繊維流通研究会ウエブ記事、WWD

リンク集
最新コメント

異常なファックス信仰 (2017年11月16日)
Pearl
いい服を作っても売れません (2016年04月01日)

その親心は間違っている (2017年08月07日)
ボーダーさん
ユニクロか百貨店か (2017年08月02日)

こんな噂が (2017年07月31日)
洋服屋
いい服を作っても売れません (2017年07月30日)
RUBY
地元のヤンキー集団か? (2017年05月26日)

丈の長さは変わっていない (2017年05月25日)
TT
閑古鳥が鳴く (2017年05月22日)
最新トラックバック
服の歴史は繰り返す (2012年11月11日)
中流の崩壊 (2010年11月17日)
カイハラ  (2010年09月29日)
おそろしいのです (2010年08月22日)
若者のジーンズ離れ (2010年06月16日)
クロックス更新 (2010年05月30日)
更新順ブログ一覧
最新記事
月別アーカイブ

http://apalog.com/minami/index1_0.rdf
QRコード
アパレル業界の情報満載の「アパログ携帯版」
右のQRコードで読み取ってアクセスしてください。こちらからも自分の携帯URLを送れます。 QRコード

当ブログ内の全ての文章・画像・映像の無断転載・転用を禁止します。