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忠臣蔵とコンサルタント
 「コンサルタントやデザイナー、プランナーのソフト力をタダだと思っている人が多すぎる」とはシナジープランニングの坂口昌章さんのお言葉である。
普段、産地の人々や衣料品・雑貨の製造業者と交流していると、本当に坂口さんのお言葉を身にしみて実感する。

多くの会社が昨日で仕事納めになった。一部は今日仕事納めだろう。
12月になると季節の風物詩として「忠臣蔵」のドラマや映画がテレビで放映される。討ち入りがあった12月14日周辺と、あとは年末に集中する。
忠臣蔵のあらすじは、言うまでもなくご存じだと思う。
播州赤穂の浅野内匠守が、吉良上野介に礼儀作法の指南を依頼したところ、吉良上野介に罵倒され、吉良に切りつけたところを取り押さえられて、切腹の処罰を受けた。
その後、浅野内匠守の家臣たちは浪人となって、翌年の12月14日に吉良上野介自宅に押し入り敵討をした。赤穂浪士たちはその後切腹の処罰となった。

大まかにいえばこういうあらすじである。

吉良上野介がもっと親切にしていればよかったのではないか?という人が多く、吉良は意地悪な悪玉、浅野はいじめられた善玉と認識されている。
しかし、現実は違う。
吉良家は、源氏の名家で、足利家の分家である。
室町時代は、足利氏が断絶すれば吉良家、吉良家が断絶すれば今川家が将軍となると言われていた。
江戸時代の吉良家は、豪族ではなく石高は低いが、礼儀作法指南の家柄として残っており、現代で言えば、作法コンサルタントとして生計を立てていた。
作法指南をした見返りとして、金銭や高額品を報酬として受け取っていたわけである。

浅野内匠は、吉良上野介にこの報酬を渡さなかったため、吉良が浅野を罵倒することになった。
当然と言えば当然である。
現代に置き換えて言えば、某社社長がコンサルタントに案件を持ち込み、プランニングを受けたのに、報酬を踏み倒したのと同様である。社長からすれば「タダちゃうの?」という言葉が飛び出ることだろうが、コンサルタントは怒るだろう。罵倒するだろうし、もしかすれば社長を告訴するかもしれない。

その社長は逮捕され、会社は倒産。倒産した会社の社員が結束して、そのコンサルタントの自宅に押し入り、暴行ないし虐殺した。これが忠臣蔵である。

最初に戻ると、
日本人が忠臣蔵を好むのは「コンサルタントやプランナーのソフト力をタダだ」と江戸時代中期から思ってきたからではないだろうか。
もちろん世の中に性質の悪い詐欺まがいのコンサルタントやプランナーもいるだろうが、やはりソフト力はタダではない。
日本人のメンタリティーは江戸時代中期から変わっていないのかもしれない。
 2010/12/29 09:28  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)

スーパーの元日営業縮小へ?
 セール時期の早期化、12月商戦の盛り下がりの原因の一つにスーパーの元日営業がある。まったくダイエーの故・中内功氏も不必要なことをしてくれたものだと思う。

他方、スーパーは儲かっているのかというと、そうでもない。
元日営業しようが休もうが1月の月間売上高はあまり変わっていない。それよりも元日から営業しているスーパーがあるため、消費者は年末に買いだめすることがなくなった。日本の正月の風習を破壊してしまったと言っても過言ではない。

こうした中で、スーパーが元日営業を見直すという記事が掲載されたのでご紹介したい。

スーパー「元旦営業」縮小 正月用品しか売れない

http://www.j-cast.com/2010/12/26084130.html

である。あまり目新しいことが書かれてはいないが、

元日に売れるのは、福袋か酒、刺身、寿司という正月用品しかないという。
さらに「通常の休日と比べても、売り上げは少ない」という。
これならなんで元日営業する必要があるのだろうか。
まったく意味がわからないし、無駄な努力といえる。

元日営業のきっかけは、96年のダイエーが始まりだそうだが、
倒産直前でよほど焦っていたとしか思えない。

中国には「旧正月」という長期休業期間がある。
だいたい2月1日から2月14日周辺まで、工場や企業は10日〜14日間休業する。
これだけ世界の工場、世界の消費地と目されている中国だが、旧正月の風習は変わる気配がない。
営業時間を長くすることが効率化だったりグローバル化ではないと思う。日本も年末年始は長期間休むという体制を復活させても構わないのではないだろうか。

 2010/12/28 07:43  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)

産地は安穏としている場合ではない
 原料高騰とチャイナリスクの顕在化で、10月末から国内産地への受注が急増していることは何度も書いてきた。
一方、チャイナプラスワンを模索してバングラディシュ、ベトナム、カンボジア、タイ、インドネシア、インドなどへの進出が注目を集めている。しかし、バングラディシュでも賃金アップを訴えたストライキが頻発しているうえに、製品の品質はあまり高くないと状況下で、噂では、ユニクロでさえ、バングラディシュの生産量が当初計画ほどではないと言われている。
中国以外のアジア諸国での生産が軌道に乗るまでは、あと数年はかかりそうだ。もっと言えば軌道に乗らない可能性もなきにしもあらずだと思う。

さて、国内産地は一息つけたのだが、一部の革新的意識を持った製造業者以外の、旧態依然とした製造業者の危うさは変わらないと思う。
彼らは、降ってわいた特需に安穏としてしまう。もう現に安穏とし始めている。
残念ながらこの特需はいつまで続くかわからない。
再来年には受注がゼロになる可能性が非常に高い。

そうなればほとんどの産地製造業者が死に絶えるだろう。
特需を予期せぬボーナスだと思い、急ピッチで意識改革する必要がある。

しかし、他方では、特需に安穏と胡坐をかくような時代背景が見えていない産地製造業者は死に絶えても良いのではないかとも思う。
 2010/12/27 09:59  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)

前年踏襲型企画はそろそろ限界
 ライトオンとジーンズメイトの12月度売上速報が発表された。
両社ともに大苦戦である。すでに業界全体が来年1月を待たずしてセールに突入しているが、常の月に比べて入店客数は増えているものの、売れているようには見えない。

ライトオンの12月度既存店売上高は前年比15・6%減
既存店客数は同13・5%減
既存店客単価は同2・4%減

ジーンズメイトの12月度既存店売上高は前年比23・5%減
既存店客数は同19・3%減
既存店客単価は同5・3%減


とのことである。

私見を言えば、店頭に目新しい商品がないことが、
この両社を含む業界全体の苦戦の原因ではないだろうか。
とくにメンズは、アイテムのバリエーションがもともと少ないこともあるが、今秋冬は目新しい商品がほとんどなかったように思える。
レディースでも一部の雑貨類とウエアを覗いては、ほとんど昨年の焼き直しである。消費者は昨年買った物を引っ張りだせば事足りる。

原因は、QR対応による安全パイへの過度な偏りもあるだろうし、不景気でトレンドの変化が遅いこともあるだろう。
しかし、いずれにせよ目新しい物を投入しないと売れ行きは好転しない。

例えば今季総崩れのダウンジャケットだが、ダウンジャケットが防寒アイテムのトップになってからもう3年以上が経過している。
黒、紺、茶、ベージュなどのベーシックカラーは行き渡っているし、赤、黄色、オレンジ、ブルー、パープルなどのビビッドカラーも入手している消費者はかなり多い。
言ってみれば、みんな黒1枚とビビッドカラー1枚の合計2枚のダウンジャケットはすでに持っているのである。
昨年はそこで「洗えるダウン」が登場したのだが、はっきり言ってしまえば通常のナイロンやポリエステル素材のダウンジャケット類は、洗濯機で水洗いできるのである。

ダウンジャケットを仕掛けるなら、今季はさらに「変わった」アイテムが必要だったと言える。
どれだけ腹を括って斬新なアイテムを投入できるかが重要だったのだが、一部商品を除いてはそれほど目新しい物はなかった。
前年踏襲型の企画の組み立て方では、そろそろ業界全体が立ち行かなくなっているのではないだろうか。
 2010/12/24 09:40  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)

若手がパタンナーになりにくい現状
 専門学校生や20歳代の若い方で「パタンナーになりたいです」とおっしゃる方がときどきいらっしゃる。しかし、正直申し上げて若い方がパタンナーになるのはなかなかに狭き門である。

理由として、大手、中堅アパレルが自社内にパタンナーを抱えなくなったことがある。たいがいがOEM/ODM事務所や、中国の生産工場にパターンを丸投げである。
パタンナーになりたい若い方は、OEM/ODM事務所か、海外の生産工場に就職するのが一番の近道であると思う。

しかし、反面、30代後半以上のフリーパタンナーという方々も少なからずいらっしゃる。その方々は1人で、数社以上の企業からパターンの依頼を受けておられかなりお忙しそうだ。
この方々は、かつて若い頃に大手アパレルや有名ブランドに在籍され、パターンの腕を磨かれた。もちろん、個々の努力もあったから今があると思うが、学校卒業後すぐに大手や有名ブランドに就職のチャンスがあったことが大きいと思う。
この方々がもし、現在20歳そこそこなら就職できただろうか?おそらく半数以上の方々が就職できなかったと思う。

「パターンは重要」との認識は業界全体にある。しかし、若手が育成されない状況では、早晩にパタンナーの高齢化という問題にブチ当たることになる。
今のままでは20年後に国内には「40歳代で経験豊富なパタンナー」という職種はほぼ絶滅してしまうことになるだろう。

そういう意味では、若手が育成されない業界にあまり未来はないように思える。
 2010/12/22 10:08  この記事のURL  /  コメント(1)  / トラックバック(0)

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プロフィール
南 充浩(みなみ みつひろ)
ファッションメディアプランナー。
「繊維ニュース」記者としてジーンズ業界を、紡績、産地、アパレルメーカー、小売店と川上から川下までを担当。
同時にレディースアパレル、子供服、生地商も兼務した。退職後、量販店アパレル広報、雑誌編集を経験し、雑貨総合展示会の運営に携わる。その後、ファッション専門学校広報を経て独立。
現在、記者・ライターのほか、広報代行業、広報アドバイザーを請け負う。

掲載実績
繊維流通研究会ウエブ記事、WWD

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