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何時までもあると思うな大量受注
 中国の生産スペースがタイトになり、生地も縫製も国内産地への回帰が鮮明になりつつある。

例えば、11月18日付けの繊研新聞には、第一織物の吉岡隆治社長のインタビューが掲載されており、記事中で吉岡社長は

「いい悪いではなく、今、北陸産地はダウンジャケットの表地の大量受注に飛びついている」

と語っておられる。

実際に各所で聞いてみると、北陸の合繊産地だけではなく、綿の播州産地も受注は活況だというし、福山の厚地縫製工場も11月に入ってから受注が急増しており、断る案件もあるという。
死にかけていた国内産地が活況になるのは喜ばしいことだが、この活況がいつまで続くのだろうか?自分はそう長くは続かないと考えている。
中国から弾き飛ばされた大手アパレル各社は、早晩、ベトナムやバングラディシュ、カンボジア、タイ、インドネシア、インドあたりに生産ラインを整えるだろう。今回の活況は永続するものではなく、今年限りのボーナスだと考えるべきだと思う。

記事中で吉川社長は

「北陸産地は完全にユニクロとニトリの掌に乗った。これには疑問を抱いてしまう。昔は合繊メーカーの掌に乗っていたが、彼らには少なくとも5〜10年の生産計画があった。今、ユニクロとニトリに引かれたらと思うと。どんなに縮小しても均衡ある縮小でなければ生き残れない」


と述べておられる。
正論だろう。今はユニクロとニトリ向けの合繊素材が活況を呈していても、彼らは、よりコストが安くて品質がそこそこの生地産地を見つけた途端に、取り引きをゼロにする。徐々に受注を移すということはしない。ゼロか100か。
今は100だが、来年はゼロになる可能性がある。

そこを分からずに目先の活況に酔いしれている産地企業があるなら、その企業は数年後に消えているだろう。
 2010/11/30 09:13  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)

アパレル業界へ進む若い人たちへ
 先日、某生地商社の展示会で、専門学校の生徒のコレクション作品が展示されていた。
おそらく、学生たちはすぐにでもリアルな商売に結び付く意図でデザイン・製作を行ったつもりなのであろうが、お世辞にも「リアル」とは言い難い物に仕上がっており、生地商社スタッフも「リアルではないですよね」と認めていた。

専門学校生の就職が厳しいことは再三書いてきたが、状況は改善するどころかますます厳しくなるばかりだ。(これを毒吐きで片付けている学校は間違いなく取り残されるだろう)
原因の一つに、大手や中堅アパレルが企画職(デザイン・パターン・企画など)を内製化しなくなり、外注に切り替えたためである。
そうすると、専門学校生はアパレルでの企画職を探すよりも、OEM・ODMメーカーや商社の製品事業部で企画職を探すほうが近道であり効率的である。いっそのことベトナム、カンボジア、バングラディシュあたりの工場関係に就職先を探すのが一番賢明なのではないかとも思う。

しかし、現実的に専門学校生がOEM・ODMメーカーや商社の製品事業部に就職を希望するかというとそうではない。やはり名の通ったブランドを持つアパレルに就職を希望することが多い。要するに需給バランスが崩れているのである。

一方、アパレル側は企画職は必要としていないが、営業職や販売職はそこそこ求人を出す。しかし、営業職・販売職であれば一般大学卒業生との競合になる。「作ること」を重点的に教えるファッション専門学校卒業生でなくても良いというのが実情だ。
なら、ファッション専門学校も「作るため」の授業を減らして、営業・販売向けの授業を増やせば良いという人もいるが、個人的には賛同しにくい。
ビジネスの需給バランスからみるとそうするべきなのだと思うが、なんとなく釈然としない。


また「作るため」の授業内容もプレタポルテやオートクチュール向けが主流になっており、SPA的なリアルな洋服作りの技術をあまり教えていない傾向が伝統的に続いている。しかし、リアル一辺倒にするのが良いのかといわれるとそこも釈然としない。


ただ、一番リアルで現実的な選択肢は「営業・販売職で良い」と割り切るのなら、通常の四年生大学に進学してから就職するのが最もリスクが少ないと言える。ただ、業界そのものが疲弊しており、浅い底も見えているから、この業界に進むこと自体があまりお薦めではないのだが。
 2010/11/29 09:22  この記事のURL  /  コメント(1)  / トラックバック(0)

「リスク負う」コメントに違和感バリバリ
 11月18日付の繊研新聞の記事について。
ワールドの寺井秀藏社長のインタビューなのだが、「リスク負わなければ誰も作ってくれない」とある。決算会見の席上でのコメントだったようで、繊維ニュースにも同じ内容の記事が掲載されていた。

記事から引用すると

仕入れに関して(発注枠や人件費、設備費などを負担する)リスクを負わなければ、もう誰も作ってくれない」とある。

おっしゃっている内容はその通りなのだが、製造リスクを今までことごとく避けてきたのはワールド自身ではなかったのか。現場指示はどうだったのかわからないが、その行いを最終承認していたのは寺井社長本人だった。何をいまさらと思う。

もちろん製造リスクを避けてきたのはワールドだけではなく、オンワード樫山も三陽商会もパルグループも大手アパレルほぼすべてである。
しかし、このコメントには違和感しか感じない。

もちろん、記事の書き方もあると思う。決算会見には出席していないので、なんとも言えないのだが、もしかしたら席上「今まで当社もリスクを避け続けてきましたがそれが間違いでした」という一声があったのかもしれない。それが記事に書かれていないだけで。
もし、その一声があったのなら、違和感は感じない。
違和感の正体は、自社が散々やりつくしたことへの反省の弁がなく、唐突に「これからは製造リスクを張る時代」という記事の内容についてである。

97年に繊維ニュースに入社してすぐにワールドも担当させていただいた。
当時のワールドはコルディアをはじめとする卸売りブランドの売上高が、全社売上の5割近くを占めていたと記憶する。それが毎年毎年売上高が減少していき(会社方針として減少させていた側面もある)、つい最近では1割程度になったと聞く。

製造リスクのある卸売り業態を回避し、「製造リスクがないと思っていた、脳内解釈していた」SPA事業に注力した結果だと思う。
SPAで製造リスクを冒さないためには、POSデータによるQR対応と、徹底した他社または自社ブランドの後追い企画をするしかない。要するにどこかで売れている商品をそのままコピーすることがメインの手法とならざるを得ない。そのコピーをいかに早く納品するか。それだけである。

その結果、申し訳ないが2000年ごろまでトレンドを牽引するブランドだった「ozoc」はユニクロの劣化コピーみたいな価格対応の後追いブランドになってしまったし、ほかにも2000年代前半までトレンドだった「アンタイトル」も「インディヴィ」も「タケオキクチ」も「ボイコット」も生彩を欠くブランドとなってしまったように思う。

寺井社長の会見には何度も出席させていただき、その簡潔でポイントを突いた説明のおかげで、記事が書きやすかった。だからなおさら、今回の記事コメントには「今更?」という違和感しか残らない。
 2010/11/26 08:50  この記事のURL  /  コメント(1)  / トラックバック(0)

10月度百貨店売上高0・6%増
 日本百貨店協会の発表によると10月度全国百貨店売上は前年比0・6%増と、32か月ぶりに前年割れを食い止めた。
10月下旬の冷え込みで防寒物などの重衣料が40か月ぶりに前年を上回ったことが要因の一つとして挙げられている。


10月商況を見ると、ほとんどの流通小売が10月下旬の冷え込みに助けられている。百貨店も例外ではない。それだけに11月以降も堅調さが持続するとは考えにくい。また前年割れが続くと見ている。
昨日まとめた10月21日〜11月20日を区切りとする11月度売上高でライトオンが前年並みに近づいたのは防寒衣料の功績が大きい。また10月1日〜10月30日を区切りとするマックハウスの10月度売上高が前年並みだったのも防寒物のウエイトが高いと思われる。
それだけに、防寒物需要がありながら前年実績を大きく割り込んだジーンズメイトを心配せずにはおられない。


ひとまず前年割れを食い止めた百貨店だが、11月以降の売上高はまた苦戦に転じるのではないかと考えている。
 2010/11/25 09:14  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)

11月度売上速報 ジーンズメイトの苦戦が目立つ
 11月度売り上げ速報が発表された。

ライトオンの既存店売上高は前年比2・4%減
既存店客数は同4・7%減
既存店客単価は同2・3%増

とほぼ前年並みにだった。
同社の発表によると10月後半は活発に動いたものの、その後伸び悩んだという。

ジーンズメイトの既存店売上高は前年比17・2%減
既存店客数は同14・4%減
既存店客単価は同4・0%減

に終わった。
同社の発表によると防寒物のアウターが不振だったという。
今月頭からのダウンジャケットフェアは不振だったのだろうか?

ファッションセンターしまむらの既存店売上高は前年比3・2%増
同グループのアベイルの既存店売上高は前年比3・8%増

と微増し好調だった。

なお、これら企業は10月21日〜11月20日の期間の売り上げであり、しまむらは既存店客数と既存店客単価を発表していない。

この3社を比較するとジーンズメイトだけが大きく売上高を落としている。ライトオンは微減、しまむらグループは微増である。とくにライトオンは、10月度売り上げ速報では、気温が冷え込んだ10月後半分をカウントできていなかったため約15%減だったが、今月はその後半分をカウントできて微減にまで回復している。
ジーンズメイトもライトオンと同じ条件だったにも関わらず、売り上げは回復できなかった。とくに10月後半の冷え込みがありながら防寒アウターが苦戦したと言うのは、なにか根本的な問題があるのではないだろうか?

 2010/11/24 09:06  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)

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プロフィール
南 充浩(みなみ みつひろ)
ファッションメディアプランナー。
「繊維ニュース」記者としてジーンズ業界を、紡績、産地、アパレルメーカー、小売店と川上から川下までを担当。
同時にレディースアパレル、子供服、生地商も兼務した。退職後、量販店アパレル広報、雑誌編集を経験し、雑貨総合展示会の運営に携わる。その後、ファッション専門学校広報を経て独立。
現在、記者・ライターのほか、広報代行業、広報アドバイザーを請け負う。

掲載実績
繊維流通研究会ウエブ記事、WWD

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