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高野口産地を巡回しました。
 先日、高野口産地13社の近況を聴かせてもらいに巡回させていただいた。
そのうちの1社で、数年以上前にテレビ取材を受けた際の録画を見せてもらった。NHKの夕方のニュース近畿版と、民放の地域紹介の紀行番組だった。
両方とも、自社で積極的に働きかけて放送されたものではなく、商談会の主催者だったり、放送局側の選択によって取材が実現したようだった。

まだHPやブログなども発達していない時期だったため、自社での告知が難しかったとはいえ「もったいない」と感じた。
取材された当時の状況や担当者とのやり取りがわからないので一概には言えないのだが、
この企業が取材後もNHKや民放に告知を続けていれば、知名度は大きく高まった可能性があったのではないだろうか。
一度放送されただけでは、なかなか視聴者の記憶に残らない。何度も何度も繰り返し見せる必要がある。

とくに一度取材されたのであれば、担当のディレクターやプロデューサーとも面識ができるわけだから、その後も事あるごとにお知らせし続ければ良かったと思う。
毎回採用されるとは限らないが、それでもその後何回かは報道された可能性が高い。

というようなことを提案すると
「自分たちでは、自分たちの活動のどのあたりにニュース価値があるのか判別できない」という返答をいただく。
ああ、なるほど。

得てして人間だれしも自分のことは見えない。それは企業も同じなのだろう。
こんなことを書いている本人自身が一番見えていない。
広報やプレス担当者のいる企業やブランドならそういうことは少ないが、それでも完全ではない。意外に重要なことを発表しそびれることもある。

だから産地企業には、そういうことを相談できる窓口が必要なのだろう。
そういうことをやりたいと考える人物、企業がいるのか、またそのための資金を産地企業が捻出できるのか。など問題点はかなりある。

そんなことを考えた。
 2010/08/31 08:12  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)

メイドインジャパンデニムは盛り上がるか?
 産地分業体制が崩壊しつつある状況下で皮肉にも「メイドインジャパン」が話題に上り始めている。立て直すならこれが最後のチャンスのように思うのだが、それには繊維産業全体での協力が必要なので、望みは薄いのではないかと感じている今日このごろ。。。


今秋物からライトオンのPB「バックナンバー」でメイドインジャパンジーンズを開始した。価格は7900円。遅ればせながらようやく実物を見ることができた。
価格の割にはなかなか出来栄えがよく、バリューがあると思う。
これに先んじて、もう何シーズンか前からユニクロも一部大型店とインターネットでメイドインジャパンジーンズを打ち出している。5900円が主体で一部商品が7900円だ。

値ごろ感で言えば
ユニクロ>ライトオン
であるが、ユーズド加工の出来栄えから言えば
ユニクロ<ライトオン
だと感じている。

ジーンズ好きの中には「ユーズド加工は邪道。ワンウオッシュから穿きこんで自分なりに育てていくのがジーンズの楽しみ方」とおっしゃる方々もおられる。これは正論であるしまったく否定する気もないが、店頭でのカラーバリエーションという観点からはユーズド加工の商品も必要だと思う。個人的にもユーズド加工されたクタっとしたデニムが嫌いではない。


最近、インターネット販売(おもに楽天)を開始した潟tックの「フィアレスジーンズ」も純国産を謳い文句とした値ごろ感ジーンズである。
http://www.rakuten.ne.jp/gold/fearless/index.html

価格は4900円から、となっており、児島縫製ということではかなり値ごろ感があるといえる。

ジーンズというアイテムに限って言えば、今秋以降は値ごろ感のあるメイドインジャパンジーンズが各社から登場するのではないかと予測している。また、児島に限らず福山、井原の産地でも縫製工場には空きスペースが多いうえに、NB各社の直営工場も稼働率が高くないためOEM生産を請け負う体制がすぐに整えられる。このことから考えても、国内生産を行うのは容易であろう。

ところで、ライトオンは今春にニューシャイニーデニムとして「トルコ産デニム生地」を謳い文句としていたので、今回のメイドインジャパンは突然だと感じられる。ユニクロは何シーズンも前から「メイドインジャパン」商品を展開しており、ブランド作りでは一歩先んじている。
ライトオンがあと何シーズンか続けたら定着できると思うが、次のシーズンで打ち出しを変えれば「あのメイドインジャパンは何だったの?」という結果になりかねない。


いずれにしてもメイドインジャパンが盛り上がるのは良いことだが、安易な物作りが繰り返された末に言葉遊びに陥り、一過性のブームに終わらないことを願うのみだ。過度の拡大再生産と安っぽい販促で急速にしぼんだブームは過去にいくらもあったのだから。
 2010/08/30 08:26  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)

産地合同展の問題点
 大小問わずに合同展示会が厳しい。ついでに言えば、従来通りの半年先のコレクション形式のファッションショーも厳しい。存続意義が問われつつある。
その中で繊維産地合同展示会も「実質的な商売ができていない」「挨拶だけの場になりつつある」として、方向性や開催方法などの見直しを余儀なくされている。

その原因については、いろいろあるのだろうが、個人的に一つ挙げれば「新製品(新素材)を見せない」ことにあるのではないだろうか。
これが、産地に縁もゆかりもない企業が主催するIFFやギフトショーのような合同展示会ならいざ知らず、産地組合が主催で行う産地合同展でもまかり通っているのだから「何かが違う」と言わざるをえない。

もちろん、新素材を見せたがらない各社の気持ちもわかる。まず一つには来場者にパクられる可能性がある。真偽のほどは定かではないが、大型合同展示会に出展した新商品が来場者によってコピーされ、開発社よりも早く店頭に並べられることがある、という笑い話が広く流布されている。
新素材も来場者によってコピーされたり、見た目だけ良く似た素材を使って製品化されたりする可能性が十分にある。

次に、産地組合主催の合同展示会とはいえ、隣近所は同業他社でありライバル企業である。当然、ライバル企業に「新素材を見られてはマズイ」と考えるのも無理からぬことである。

しかし10年前ならいざ知らず、現在、繊維産地自体が存続の危機に立たされており「新素材ブロック」をしている場合ではない。いくら、開催場所を変えても、有名タレントをゲストに呼んでも、ディスプレイを変えても、展示会名称を横文字に変えても出展している各社が平凡な定番素材しか並べていないのであれば、デザイナーもアパレル企業の企画担当者も商社も流通企業も足を運ぶ価値を見いだせないだろう。


同じ産地でも企業間格差がある。そこそこの規模を維持している企業もあれば、家族経営で苦しい企業もある。余裕のある企業からすればリスクを冒してまで新素材を展示する必要性には迫られていないから当然、新素材展示には消極的になる。
逆に言えば「出展企業が新素材を展示したがらない」という産地合同展があれば、その産地は比較的潤っているとも言える。実際に潤っているかどうかは別として、少なくとも危機感は薄い。

産地合同展を盛り上げるためには、リスクもあるが新素材を積極的に見せる必要があると考える。それができないのであれば、各社が個別に「素材展示会」を開催すれば良いのであり、産地合同展を開催する限りは産地全体での一致体制が望まれるだろう。
 2010/08/27 08:24  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)

格安ジーンズの現状
 先日、8月12日に繊研新聞3面に「低価格ジーンズ継続」という記事が掲載された。
1000円以下の格安ジーンズを販売した8社の現状をまとめてあり、各社の販売実績から年間約600万本、市場シェアの約8%を占めると類推されている。
そして市場に定着する気配があると結ばれている。

個人的な主観でいえば、格安ジーンズは市場に定着すると思う。
なぜなら「ジーンズごときに1000円以上払いたくない」と思う消費者層は必ず一定数存在するからである。
ただ、昨年夏のように一般マスコミが「低価格ジーンズがすごい!」というような煽動的な記事が鎮静化したこともあり、大きなブームにはならないと思う。
今以上に品質が向上すればシェアは拡大するだろうが、今と品質が変わらなければ横ばいから下降に変わるのではないないだろうか。

ただ、生産背景を考えると劇的に品質向上は見込めないように思える。
まず、低価格ジーンズ向けの素材がなくなりつつある。さらに中国工場の人件費高騰や生産ラインが確保しずらい状況も現れている。
各社の中には、中国工場を諦めてカンボジアやバングラディシュなど他国に生産ラインを求める動きがあるが、生産の品質は一朝一夕に向上することは難しいだろう。

これと連動してか店頭の扱いも1000円ジーンズのスペースは縮小されて気味であると感じている。
990円ジーンズを業界に先駆けたジーユーも、型数は縮小されており、おもにワンウオッシュのみが陳列されていた。
加工入りのデニムは1400円台、1900円台となっており、990円はその他のカラーパンツの一部品番だけとなっている。
イオンも880円ジーンズのみに注力しているわけではなく、1900円、2900円、3900円、4900円のラインも現存している。これはヨーカドー、西友など大手GMS各社とも同じである。

こうして見ると、1000円以下ジーンズは、ショップ前の特価品ワゴンセールの位置づけと変わらないと言えるだろう。ワゴンセールの品物がTシャツ500円か、ジーンズ880円なのかという違いにすぎない。

今回の繊研新聞のまとめ記事は、さすがに業界紙らしい冷静な分析だと言えるのではないだろうか。
先日、ブログにいただいたコメントに「一般マスコミが過剰な演出をすることが問題を引き起こしている」というものがあったが、昨年の格安ジーンズ騒動も一般マスコミの責任が大きいのではないだろうか。
 2010/08/26 09:25  この記事のURL  /  コメント(1)  / トラックバック(0)

ライトオンとジーンズメイトの8月売上速報
 先日、ライトオンとジーンズメイトの8月度売上速報が発表された。
ライトオンの8月既存店売上高は前年比9・2%減、
既存店客数は同11・7%減、
既存店客単価は同2・8%増

と客単価が微増した。

ジーンズメイトの8月既存店売上高は前年比10・8%減、
既存店客数は同1・0%減、
既存店客単価は同9・9%減

と客数が微減と健闘した。

両社とも発表ではショートパンツ類が好調だったという。
8月に関しては、ライトオンは客単価が回復したものの客数減が続いており、ジーンズメイトは客数はほぼ前年並みといえるが、客単価が減少している。
数字から見れば、ライトオンは減少した客数を客単価の上昇でカバーしようとし、ジーンズメイトは安売りで客数をつなぎとめているといえる。

不調の続くジーンズ専門店チェーンだが、どこで下げ止まるのだろう。
月次発表を見る限りでは下げ止まる気配がない。

主力であるものの、トレンドアイテムではないデニムパンツの比率を下げ、チノパンやカーゴパンツなどのデニム以外のパンツの比率を増やすべきなのだろうか?
しかし、そうすれば他のカジュアルチェーン店とますます同質化して埋没してしまう可能性が高いのではないだろうか?

先日、ポイントのコレクトポイント心斎橋店で少しだけお話を伺ったのだが、今秋以降もデニムパンツはあまり期待しておらず、8月現在、チノパンやカーゴパンツ、クロップド丈のパンツなどへの人気が継続しているという。
ジーンズを主力とするジーンズカジュアルチェーン店は、まだまだ厳しい状態が続きそうだ。
 2010/08/25 07:02  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)

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プロフィール
南 充浩(みなみ みつひろ)
ファッションメディアプランナー。
「繊維ニュース」記者としてジーンズ業界を、紡績、産地、アパレルメーカー、小売店と川上から川下までを担当。
同時にレディースアパレル、子供服、生地商も兼務した。退職後、量販店アパレル広報、雑誌編集を経験し、雑貨総合展示会の運営に携わる。その後、ファッション専門学校広報を経て独立。
現在、記者・ライターのほか、広報代行業、広報アドバイザーを請け負う。

掲載実績
繊維流通研究会ウエブ記事、WWD

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