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ラグジュアリー待望論に疑問
 最近、百貨店売上高の下げ止まりや、ユニクロの売上高の失速から「ラグジュアリー回帰論」を耳にすることが増えた印象があるが、個人的には疑問を覚えている。
2005年ごろをピークとして女子高生までがルイ・ヴィトンやシャネル、グッチ、プラダを持つという現象が見られたが、現在、そういう消費行動は少数派にとどまったままではないだろうか。

今の消費者が「ラグジュアリー」を求め始めたとしても、以前のように「やみくもに高い物を欲しがる」や「高ければ高いほどステイタス性がある」という心理ではないと感じている。
高い物でも「ワケあって」高くなければ受け入れられないのではないか。

以下のブログは、自動車のトレンドについて言及したもので、
今の時代にいかにして高級車を販売するかについて書かれている。

http://wiredvision.jp/news/200911/2009111722.html

自動車と洋服は違うが、「ワケあって」高いという部分がなく、単に高いだけのブランドは売り上げが伸びないだろう。
ユニクロ失速論も聞こえるが、先日の新宿高島屋店内のオープンでも客入りはかなり賑わったと言われている。まだまだお値ごろ品への要望は多い。

昨日からゴールデンウイークに突入したが、高速道路が1000円になれば高速道路が込む。
消費者の生活防衛意識は、今後もしばらくは高いままだろう。

今の消費者行動には「夢がない」とか「感性低下」という批判も聞こえるが、女子高生までが身分不相応なバッグを持って喜んでいた時代よりは、よほど健全な心理状態だと思える。
 2010/04/30 06:23  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)

ネット販売は採算に乗るまで3年かかる
 携帯通販会社、夢展望の岡隆宏社長とは、過去何度か取材させていただき、取材以外でも何度かお会いさせていただいた。ここ半年でダイヤモンド誌に見開きのインタビューが掲載され、小島健輔さんの主催するセミナーにも講師として登場するなどあっという間にメジャーな経営者の仲間入りをされてしまった。

http://www.dreamvs.jp/pc/

岡社長のすごいところは「割り切り方」にあると思う。
「うちは低価格、中品質。携帯の画面で見て選ぶなら画像も小さい。そこまで素材にこだわる必要はない。低価格に抑えるためにもオーバークオリティは必要ない」。

異業種出身ならではの発想も多く「アパレル経験者がうちに転職するとサイクルがまったく違うので、当初はかなり戸惑う」とのこと。
また商品は、すべてモデルに着せてコーディネートして撮影する。
「実店舗と異なり、サイトの中は無限にスペースがある。どれだけディスプレイしても満杯になることがない」

岡社長の言葉の中で最も興味深かったのが
「ネットビジネスは採算ベースに乗るのが早いと勘違いしている人が大勢いるが、トントンになるまで少なくとも3年は必要」というものだ。

実店舗のみの卸売り問屋などで良く耳にする論調に
「ネットで売ったら販売管理費が下がって、すぐに月々何十万円か売り上げが取れるのではないだろうか?」というものがある。
岡社長はこうした論調は間違いだと断言し、「軽い気持ちでネット販売に関して相談に来る人間には『止めた方が良い』とアドバイスする」という。

今、ネット販売を立ち上げようと考えているメーカー、小売店の方々はこの言葉をよくかみしめてもらいたい。
 2010/04/28 07:07  この記事のURL  /  コメント(3)  / トラックバック(0)

日本製=メイドバイ中国人
 某デザイナーさんの展示会にて。国内の縫製工場にオーダーしたら「縫い子さんたちがご高齢なので、健康状態に問題がなければ期日に間に合います」と言われたそうである。
ごく一部の工場を除いて、国内の縫製工場は老齢の日本人か、若い中国人研修生がミシンを踏んでいる。

中国人研修生が日本の縫製工場を支えているという実体は、数年以上前から存在していたがあまり大々的に報道される機会がなかった印象がある。
メイドインジャパンの製品と言いながら、実態はメイドバイ中国人だったといえる。

先日、ごくごく小さい福山の縫製工場を覗いた。ミシンを踏んでいる人間は10人前後だったが、そのうち7〜8人は中国人研修生で、残りは社長の親族だった。
児島のメーカー直営の縫製工場でももう10年近く前から中国人研修生を導入している。

しかし今年7月に中国人研修生制度が改変されることから、繊研新聞で大きく採りあげられた。このまま中国人研修制度がなくなれば国内の縫製工場の多くは廃業せざるをえないだろうと言われている。

縫製工場の主体は中国だが、人件費・原材料費の上昇、旧正月明けに戻ってこない工員数の多さなどから、徐々にベトナム、カンボジア、バングラディシュ、パキスタン、インドネシア、タイなどに移りつつある。

人件費の安い国を追求し続け、その国々が経済発展をすれば、また安い国を探す。これを繰り返していくと世界中の国々がある程度まで経済発展してしまった何十年後か、何百年後にはどの国に縫製工場が集まっているのだろう?
アジアも中東もアフリカも南米も人件費が高くなったその後は?
 2010/04/27 08:52  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)

サービス業と製造業は密接にリンクする
 2か月ほど前、ビル・エモット氏の「変わる世界、立ち遅れる日本」(PHP新書)を読み終えた。よくある「日本批判・外国礼賛かな?」と思って読んだのだが、そうではなかった。
ちなみに不勉強な自分は、氏の著書を読むのは初めてである。

中でも一番印象に残ったのが、日本は「サービス業を強化しなさい」というところだった。
通常、サービス業というと飲食店の接客係だとか、洋服の販売員を思い浮かべることが多いと思う。少なくとも自分はそうだった。

ビル氏によると、サービス業とは通信、経理、法務、広報、マーケティング、IT、電力、物流など多岐に渡るという。もちろん営業や営業代行もサービス業に含まれる。
リーマン・ショック以降「日本は製造業に偏り過ぎた」との批判があり、これを受けて「サービス業を強化すべき」との論調があった。
自分などは「繊維製品を作るのを止めて、消費者向け販売店を多く作れということか?」と疑問を覚えずにはいられなかった。

本来、上のサービス業は「製造業」にも深くかかわっており、これらがなければ製造することすらできない。電力がなければ自動車も衣類も機械も製造できない。
これらサービス業を強化し、売り上げを伸ばし効率化することで、さらに製造業も強くなるという理論にはなるほどとうなずける。

ひどく大雑把にいえば、いまだに日本は「どれだけの量をどれだけ早く作れるか」に重点を置く企業が多いと感じられる。もちろん営業には力を入れているが、それ以外のサービスにはあまり力を入れていない。

サービス業と製造業は密接につながっており、どちらかを偏重するのは、片手落ちということになる。
 2010/04/26 08:46  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)

4月度もジーンズチェーン店は大苦戦
 ライトオンとジーンズメイトの4月度売上速報が発表された。両社とも大苦戦といえる。
ライトオンの既存店売上高は前年比21・4%減
既存店客数は同17・0%減
既存店客単価は同5・4%減

ジーンズメイトの既存店売上高は前年比18・4%減
既存店客数は同4・9%減
既存店客単価は同14・2%減

だった。
ライトオンは客数が激減しており、ジーンズメイトは客数は下げ止まりつつあるようだが、客単価が激減している。

今回は4月の低気温によって春物の動きが鈍ったようだが、これはたしかに大きな要因かもしれない。
先日、4月15日にジョンブル大阪店の移転レセプションに参加したが、この日も真冬並みに気温だった。同席したパルの大谷時正専務は「この気温で半袖Tシャツにショートパンツのコーディネイト見たら寒々しいわな。春物、初夏物買う気にならへんのも不思議ではない」と話されていた。


それはさておき。
マックハウスも含めて、「ジーンズNBの吸引力が低下している」という声も聞こえる。
そこを背景としてようやくジーンズチェーン店もPB化に着手し始めている。
ここが個人的には気になる部分である。
「リーバイス」「リー」「エドウイン」というNBの吸引力に陰りが見えたからといって各社の「にわかPB」が人気を得るとはどうしても考えにくい。

NBに代わるPBは同業他社に腐るほど存在する。
それらを押しのけて、たとえばチェーン店の急造PBをわざわざ購入する消費者がどれだけ存在するだろう?自分ならポイントかユニクロ、GAPあたりのセール品を買う。
もう少しブランド名にこだわる方ならビームスやUA、アーバンリサーチなどのPBを購入されるのではないだろうか。

もちろんPB化は必要だが、一朝一夕に成し遂げることは難しい。
ポイントが旗艦店「ポイント」を仕入れ店からSPA化し、さらに店名を「レイジブルー」に変えて軌道に乗せるまで少なくとも数年以上かかっている。
ライトオン、マックハウス、ジーンズメイトの各社が数年間腰を据えてPBの育成に力をそそげるかどうかである。
PB化を成功させるためいはそれくらいの覚悟が必要だろう。
 2010/04/23 08:50  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)

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プロフィール
南 充浩(みなみ みつひろ)
ファッションメディアプランナー。
「繊維ニュース」記者としてジーンズ業界を、紡績、産地、アパレルメーカー、小売店と川上から川下までを担当。
同時にレディースアパレル、子供服、生地商も兼務した。退職後、量販店アパレル広報、雑誌編集を経験し、雑貨総合展示会の運営に携わる。その後、ファッション専門学校広報を経て独立。
現在、記者・ライターのほか、広報代行業、広報アドバイザーを請け負う。

掲載実績
繊維流通研究会ウエブ記事、WWD

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