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ある産地にて
 ある産地で、新柄に対する要望がコロコロと変わることがあった。
「前回の展示会では、複雑な抽象柄を出したが、酷評された。今度は売りやすいチェック柄を企画してほしい」と言われた。
もちろん、自分が作るわけではなく、デザイナーが作るので彼に要望しているのである。

しかし、その3ヶ月後には
「先月の展示会ではこの新柄が好評だった。次回もこの傾向で」と言って、絵画をそのまま取り込んで、織りと編みで表現したような柄を見せていただいた。
「じゃあ、この前のチェック柄はどうなるの?」というのが素朴な疑問だ。

産地の方は、展示会で聞いた取引先の声に真摯に耳を傾けた結果だろうが、
あまりにもごく一部の声に右往左往しすぎではないか。
おそらく、展示会で意見を言った取引先や来場者は10人に満たないと思われる。
ひどい場合は2,3人であることも想像できる。

産地もそうだが、来場者も冷静にトレンド分析しているわけでもなければ、マーケティングリサーチをしているわけでもない。おそらくは「そのときの気分」で発言している。
その数人の「気分」にいちいち対応していては、産地の素材傾向自体にまとまりがなくなり、わけのわからない展示会になる。

複雑な色柄でも織りあげることができるのが特色であれば、それを見せつつ、定番売れ筋のチェック柄も用意しておけば良い話ではないのか。
さらにいうなら、定番のチェック柄を新しい色合いで提案するという作業で、マンネリ化は脱出できる。
定番は定番として新色を加えてある程度残し、提案部分やアピール商材は自社の技術を見せるためと割り切ってハンガーに掛ける。
それをスタッフがキチンと説明できれば、何も問題はない。

ごく少数の意見でも的を得ているものがあることは否定しないが、
「声の大きい」特定少数の意見に振り回されすぎるのもいかがなものか?
産地側の意識改革も必要であると思われる。
 2009/11/30 09:04  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)

ユニクロに長蛇の列
 先週土曜日にユニクロが創業60周年セールを開催したが、
朝6時の開店に長蛇の列ができた。
新聞各紙によると、銀座店2000人、新宿西口店1200人、池袋店1000人、梅田店650人が開店前から並んだという。
行列嫌いの人間としては「行かなくて良かった」というのが率直な感想だが、3連休の最終日の夕方、地元のロードサイドのユニクロを覗いてみた。
それでもレジは20分待ちの大盛況。

ロードサイドなので、お客の年齢層は高い。
「不況だ、不況だ」と言われながら、おそらく1人のお客が平均1万円くらいはまとめ買いしていたのではないだろうか。
もちろん、家族分まとめてという購入者もいたであろうが、そうでないお客もそれなりにいた。

多くの方々が指摘していらっしゃるが、消費者の購買意欲はあり、それなりの金額も所有している。
その矛先がユニクロに向かっているだけなのだということを改めて実感した。

素材、縫製の良さと「割安感」のイメージが広く認知されているということだろう。
もっとも例の奇抜な色合わせ(ダウンジャケットの腕の2本ラインだけがやけにビビッド、リバーシブルフリースの裏はとんでもなくビビッドなど)は健在だが、ロードサイドの高年齢層を見ていると、それこそが彼らのファッション感覚を刺激するのかもしれないとも感じた。
50代前後の消費者には、微妙にダサいユニクロのカラーコーディネートが「スポーティーなファッション」と映っているように思える。

蓼食う虫も好き好きというが、なかなかスパイスの効いた蓼である。
 2009/11/27 09:43  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)

ギフト問屋のメッセージが民事再生法申請へ
 帝国データバンクによるとギフト問屋大手のメッセージが24日、民事再生法を申請した。
11月4日に資金ショートが報じられたが、ついに乗り切れなかった。

食品、雑貨、繊維製品となんでも扱うギフト業界だが、
問屋各社、ギフトショップとも苦境に立たされている。
前回もブログで書いたように、ギフト業界が潤っていたのは、
中元歳暮と冠婚葬祭の風習が盛んだったからである。
ギフトショップは決まり切った詰め合わせ物を販売するだけで生計が立った。

しかし、中元歳暮がすたれ、冠婚葬祭の形態が変わると
決まり切った詰め合わせ物の需要も減少する一方となっている。
そこで、一部のギフトショップなどは、誕生日プレゼントなどの「パーソナル需要」を取り込もうと雑貨ショップに近い形態に変化し始めている。

けれども冷静に考えてみて、我々が誕生日プレゼントや結婚記念日のプレゼントを購入する際に「そうだ!ギフトショップへ行こう」とはほとんど思わない。
ギフトショップ=中元歳暮用のビールの詰め合わせを買う店、というイメージ付けが出来上がってしまっている。

消費者のイメージを払しょくするには、まだまだ時間が必要だ。
さらにいえば、誕生日プレゼントなどのパーソナル需要はセレクトショップ、雑貨ショップ、百貨店などが得意とするところで、VMDも接客も一日の長がある。(一日どころではない)

ビールやハムの詰め合わせを販売していたギフトショップがこれらに接客、VMDで追いつこうとすると気の遠くなる時間を要するだろう。

とはいえ、この取り組みを止めてしまえばギフト業界は終わる。
ギフト業界は苦しみながらでも少しずつでも前に進まざるをえない。
 2009/11/26 09:48  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)

新生ボブソン展示会にて
 新生ボブソンの大阪展示会にお邪魔した。

繊研新聞などの紙面でも報道されているとおり、
60億円あった売り上げ規模を30億円に、従業員も30人に縮小する。
単品専業メーカーが100億円規模を維持することは、昨今のアパレル業界では非常に難しく、30億円内外が適正規模だろう。
NB数社ともが100億円規模を維持できるような状況は未来永劫訪れない。

失礼ながら「ボブソン」ブランドは、中高年には絶大な知名度があるが、
若い層には知名度がない。
これは齋藤俊一新社長も認めておられるところで
「だからこそチャンスがありそうだ。知名度は高いがイメージが悪いブランドがもっとも再生させにくい」と分析しておられる。

まっさらなブランドとしてプロモーションを開始する「ボブソン」の成り行きを見守りたい。
 2009/11/25 10:30  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)

花畑牧場が経営危機に
 タレントの田中義剛氏が経営する「花畑牧場」が経営の危機にひんしていると数ヶ月前から各紙面で報じられている。
生キャラメルが爆発的に売れて、07年3月期売上高は3億4200万円だったが、わずか2年後の09年3月期は売上高143億1500万円に増えたという。
しかし、この直後から経営状態がおかしくなった。

これも各紙面が報じていたが、今年8月には札幌工場を閉鎖し、300人の従業員をリストラした。また10月には東京の4店舗を閉鎖している。

食料品業界のことなので、直接的にアパレル業界とは関係ないのだが、
ブランド化することの難しさ、安易で急激な拡大志向の危険性がここに凝縮されているのではないだろうか。
花畑牧場の生キャラメルが、メディアの紹介で全国区の人気になったからといって、北海道以外の地域に安易に出店したのはやはりマイナスだったのだ。
同じ北海道の有名店、六花亭がどれほど有名になっても他の地域に出店しないのとは対照的である。

とくに田中氏はタレントであるという特性上、マスコミへの露出が他の名産品に比べて格段に多かった。知名度があっという間に全国区になった。
知名度が全国区になっても、店舗は全国に展開してはいけなかったのだ。
反対にマスコミになかなか登場できない名産品なら大都市圏に店舗展開してもよかったのだろう。

各地方とも名産品づくりに必死だ。
花畑牧場の失敗は、各地方が教訓にすべき事例だろう。
 2009/11/24 08:27  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)

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プロフィール
南 充浩(みなみ みつひろ)
ファッションメディアプランナー。
「繊維ニュース」記者としてジーンズ業界を、紡績、産地、アパレルメーカー、小売店と川上から川下までを担当。
同時にレディースアパレル、子供服、生地商も兼務した。退職後、量販店アパレル広報、雑誌編集を経験し、雑貨総合展示会の運営に携わる。その後、ファッション専門学校広報を経て独立。
現在、記者・ライターのほか、広報代行業、広報アドバイザーを請け負う。

掲載実績
繊維流通研究会ウエブ記事、WWD

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