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ODMへの転換か、ブランド存続か
 先日、老舗カジュアルアパレルの常務と面談させていただいた。
かなり昔から上場を果たされている企業であり、ここ数年は決算内容はよかった。

しかし、昨年秋冬から苦戦が続いているそうで、
主力ブランドはまずまず持ちこたえているが、いくつかある小規模卸売ブランドは壊滅的な商況だそうだ。
社内では「小規模ブランドは全廃して、ODM部隊になったらどうか?」という議論まで飛び出している。それに対しては「一度ブランドをなくしてしまうと、ある程度景気が回復したときに再開することは難しくなる」という反論もあるという。

両方とも正論である。ここまで来るとあとは経営者の最終判断になる。
ODMメーカーに転換するのか、それとも厳しくてもオリジナルブランドを継続させるのか。
いずれにせよ経営者の「覚悟」が必要である。
中途半端な方策が一番ダメである。

それだけにこの企業の経営者判断には注目したい。




 2009/08/31 09:41  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)

スケールデメリット
 つい先日、繊研新聞のコラムに流通コンサルタントの方が
「スケールデメリット」について書かれていた。

要するに現在の経済環境下において、アパレルの企業規模が大きくなりすぎることは
デメリットであると説いておられる。

短いコラムなので詳細な資料などは示すゆとりがなかったのだが、この意見には賛同できる。とくに株式上場にはデメリットが多く見受けられる。

かつてワールドがMBOで株式上場を廃止した。
理由が「単期間での利益確保が命題となり、中長期的なブランド育成ができないこと」であったが、まさにその通りではないか。
以前は、半期に一度の決算発表でよかったが、
現在は4半期に一度の発表である。
3か月ごとに利益を出すということとは、ブランド育成の時間はない。
自然と「すぐに売れて結果の出るブランドを求める」という行動にならざるをえない。
ファストファッション化して前年同月売り上げをクリアするという「ゲーム」に血眼になるのも当然である。


ある程度、落ち着いて物作りやブランド育成に取り組むなら
一定規模の売上高を守り、利益を確保するというやり方が適していると思う。
ただし売上高は50億円内外が最大適正規模だろう。
 2009/08/28 09:45  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)

産地の製品化ビジネスが成功するには
 生産拠点のアジア移転によって、受注の減少した産地工場が
オリジナル製品開発に着手するケースが増えている。
意欲的な取り組みだが、うまくいかないことが多いのも事実である。

京都のある染工場が染色技術を生かしたオリジナル製品開発に取り組んだことがある。
もちろん外部デザイナーと組んで、行政からも支援金が下りた。
おもに総柄プリントのシャツやバッグ類などで、2年くらいは新商品を開発し続けた。

しかし、実際に市場に流通することはなかった。
この染工場は、賃加工専門であり、自社リスクで商品開発をしたことがなかったのである。
その感覚が抜けきらないため、製品サンプルまでは作成するものの、
営業用の在庫をあらかじめ作り置くことを極度に嫌がった。
また営業の新規開拓も及び腰だった。

結果としてサンプルを展示会で発表しても
見せるだけで終わってしまった。

日本各地の産地がオリジナル商品開発に取り組んでいるが、
成功しないのはこの要因である。
産地の中には製品化に成功しておられる企業もあるが、
その企業は、これまでの下請け的な意識転換ができたためだ。
多少の在庫リスクを抱えて、積極的に新規販路を開拓できた企業が
製品化ビジネスに成功する。

産地企業の製品化ビジネスは応援したいが、
その前に見に染み付いた下請け感覚の排除が先決である。

 2009/08/27 10:16  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)

大手セレクトショップはファストファッションとの競合に負ける
 大手セレクトショップといわれるが、実際は「セレクト」っぽいショップである。
株式公開している企業や年間売上高が100億円、200億円以上の企業は、
自社企画製品比率が7割を越えている。実際に「セレクト」して仕入れている商品は
3割以下である。
利益追求のためにはSPA化はやむを得ない。

しかし、そもそもセレクトショップというのは、
品ぞろえの面白さやセレクトしたブランドのラインナップが売り物である。
多店舗化が難しい業態である。
それだけに多店舗化するためにはSPA化せざるを得ない。

ところが拡大再生産が前提のSPA化すると、
今度の敵はファストファッションになる。
消費者にとって同じSPA業態で、色柄デザイン、シルエットがあまり変わらないなら
価格が安いほうが良い。
現在の「大手セレクトショップ」といわれる各社はファストファッションとの戦いに突入する。

数年前から事業部を分社化して始めているセレクトショップグループがある。
そのグループ内の企業の社長(分社化前は事業部長だった)は
「前年売り上げを越えることを命題に活動しているが、もうファストファッション化しなくては
対抗できない」と周囲に漏らしているそうだ。
「セレクト」っぽい店の幹部はファストファッションがやりたくてこの業界に入ってきたのだろうか?

「企画開発や企画担当者を育てている時間と経費がないから、
ストリートスナップをメールで飛ばすだけという商品発注をせざるを得ない」という意見がある。
確かにその主張は一面では正しい。

しかし、それでは企画担当者に各ジャンルの職人を抱え、新素材開発や工場との折衝、新技術の導入に経費と時間をかけているユニクロには永遠に負けっぱなしであろう。

 2009/08/26 07:48  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(0)

クロックス社に倒産危機?
 つい最近になって「クロックス倒産の危機」というニュースを読んで驚いた。

 丈夫さがアダ? クロックス、倒産の危機!
 フォーム状の特殊樹脂を用いたサンダル類が人気の「クロックス」米国本社が、倒産の危機に瀕していることが伝えられた。快適さとカラフルさで人気を集めたが、その丈夫さから新しいものに買い替える人が少なく、これが業績低迷の原因になったと見られている。


とのことだが、アメリカ本社が苦境に陥っている。
その原因は「丈夫すぎて買い替え需要が減った」から。
2008年には赤字になり、債務返済期限が今年9月なのだが、返済は難しいといわれているようだ。

愛用している「クロックス」はたしかに丈夫で、コピー商品と比較してみると品質は格段に良い。
高品質すぎる物作りで経営が厳しくなるというのは、なんともやりきれない気分である。

もう8年ほど前のことだが、「ミキハウス」を展開する三起商行の木村皓一社長が
「うちの子供服は丈夫で10年使っても破れない。だからお下がりとして使いまわされる」と
なかば嘆いておられたが、今回のクロックスに通じるものがある。
しっかりとした素材、縫製だからこそ丈夫で買い替え需要が起きない。

しかし、見方を変えるとこれこそ「究極のエコ」ではないだろうか。
とはいっても「クロックス」社には気休めにもならないのだが・・・・。




 2009/08/25 10:08  この記事のURL  /  コメント(0)  / トラックバック(1)

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プロフィール
南 充浩(みなみ みつひろ)
ファッションメディアプランナー。
「繊維ニュース」記者としてジーンズ業界を、紡績、産地、アパレルメーカー、小売店と川上から川下までを担当。
同時にレディースアパレル、子供服、生地商も兼務した。退職後、量販店アパレル広報、雑誌編集を経験し、雑貨総合展示会の運営に携わる。その後、ファッション専門学校広報を経て独立。
現在、記者・ライターのほか、広報代行業、広報アドバイザーを請け負う。

掲載実績
繊維流通研究会ウエブ記事、WWD

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