ファッションビルや駅ビルの売り場価値
ファッションビルや駅ビルと言った売り場業態の価値、魅力はどうだろうか。もともとこの業態の最大の魅力は、利便性である。会社帰りに、通学途中に、街へ出たついでに、便利で簡単に利用できるという魅力が価値である。しかし、利便性だけで集客できるわけはない。以前の駅ビルといえば、薄暗く安い商品でおばちゃん向けの売り場と言った印象すらあった。私は、今日のファッションビルや駅ビルの成功に渋谷109の果たした役割がすごく大きかったと思う。109を研究した事で、ファッションビルや駅ビルはそれまでの利便性に頼った、しかし付加価値のない売り場業態から百貨店などとは異なった、若い世代に特化したブランドを導入した新たな業態に変身する事ができたのではないだろうか。

もう一つ、ファッションビルや駅ビルが栄える理由があると思う。それは顧客の世代交代である。1999年に109ブームが起こってからすでに14年目を迎えている。すなわち、99年に高校生だった人はすでに30代になっている。09ブームの洗礼を受けた高校生たちは、その後社会人となり、ファッションビルや駅ビルに大量に流出して行ったと言えるだろう。

しかし、気をつけなければいけない事がある。世代交代はとどまる事を知らず進んで行くので、今、ファッションビルや駅ビルを利用している顧客の何割かは、結婚し、郊外に移り住みSC市場に吸収されて行く事になる。全員がいなくなってしまえば答えの出し方は簡単で、次の世代に向けて新しい売り場作りを行えばよいのだが、アラーフォーという言葉が流行したように30代、40代の独身者や結婚しても子供を作らず都心で生活する人も増加しているので、これからの売り場では、新たな20代をターゲットとしたMDと30代以上をターゲットとしたMDの2つのMDが必要位なる。なぜなら、世代交代が発生し異なった価値観の顧客が増加し今までの顧客とミックスしてしまうためである。このことに気付かず、または気付いたとしても放置しておけば、10年後のファッションビルや駅ビルはまた昔のような、売り場になってしまうだろう。
 2012/05/29 13:43  この記事のURL  / 


ショッピングセンターの売り場価値
前回、アウトレット業態の価値について述べたが、アウトレットに近い価値観にあるのが大型ショッピングセンターだろうか。最近は都心型のファッションビルなどで展開されているブランドの多くがこのSCでも購入できる為に、わざわざ都心へ行く必要もなく、車で出かけて食料品なども買うことができる。ついでに映画を見たり、本屋に寄ったり、食事をしたり、中にはゲームをしたりボーリングができるところもある。まさに、モノとコト、時間の消費が同時にできる楽しい場所となっている。現在、多くのSCにとってのメインターゲットは団塊ジュニア親子である。団塊ジュニアは、BB2(ベビーブーマー2)とも呼ばれるように、人口が多く最適な顧客と言える。しかし、業態としての特性と顧客の変化について考えるべきところにきている。

団塊ジュニアは現在、30代後半で間もなく40代に突入する。言い換えれば、今は子供が5才から10才くらいで幼稚園から小学校くらいである。しかし、5年後には小学校高学年から上は高校生になる。仮に主要顧客のライフステージを現在のようにトドラーとその親とするなら、それは団塊ジュニア親子ではなくプリクラ親子、すなわち、109の洗礼を受けた世代という事になる。ここでも晩婚化や高齢での出産が増加すれば複合化された世代価値が混在する可能性が高い。

さらに、注目すべき世代交代がこのマーケットで発生する。それは、今年から年金を受給する65才は、いよいよ戦後生まれの団塊の世代になるという事である。この団塊の世代は、第一次ベビーブーム世代で人口が多く消費価値も戦中派とは大きく異なっている。この団塊の世代も5年後には60代後半となり、全員が年金世代となる。今までは、定年を迎えていても消費意欲は低くあまり目立った存在ではなかったが、彼らが年金受給する事で本格的な老後の消費が始まる可能性がある。すなわち、SCは、今までは親子をターゲットにすべきだったが、これからは年金をもらっている祖父母と30代後半の父母、さらに、5才から10才の孫をメインターゲットとし、さらに、5年後の世代交代に備えると言った準備を同時に行わなければならない。
 2012/05/25 10:40  この記事のURL  / 


アウトレットの売り場価値
私たちが服を買う時、何を基準に服を買うのだろうか。

当然一つの基準ではなく色々な要素を組み合わせて購入を決めている。そこでその代表的な要素を分類して見たい。まず第一に思い付くのは、売り場の価値である。どんな売り場でも価値は同じという事はない。売り場の価値を売り場業態の価値と考えてもいいだろう。

先日、千葉県木更津 に、新しいアウレットモール、三井アウトレットパーク木更津が、オープンした。アウトレットは、大量に発生したメーカーの不良在庫などを低価格で販売するための売り場業態、言い換えれば不良在庫の処理売り場と考えれば、いくら安いと言ってもそこに多くの人が訪れる事は考えにくい。

しかし、現実はどうだろう。駐車場に車を入れるだけでも大変時間がかかるほどの盛況ぶりである。最近のアウトレットは大型化し清潔で、明るく、売り場の店舗も十分に洗練されており、ブランドとしての価値の高いブランドが数多く展開されている。商品も不良在庫と言った印象はない。VMDもしっかりとしている。ドライブを兼ねて休日を過ごすにはもってこいの業態になっている。アウトレットという売り場業態の価値は決して高くないが、売り場の環境や価格、展開されているブランドの価値が、その業態としてのバリューの低さを補って十分な魅力を持っている。
 2012/05/15 18:34  この記事のURL  / 


百貨店の売り場価値
百貨店は、自らの売り場の価値に加え、導入するブランドの価値、バイヤーが選ぶそれぞれの商品の価値、他の業態にはないトレンド性やライフスタイルの提案、独自の視点で編集された売り場の価値など、様々な価値が備わり、発生する世代交代にも臨機応変できるフロアー構成を行っている極めて優れた業態である。それにもかかわらず、今日、百貨店離れ、ブランド離れなどと言われて売り上げが低迷している理由はなんなのか。ファッションビルや駅ビルの台頭というような言葉でかたずけてしまうわけにはいかない。

なぜなら、ファッションビルや駅ビルのような利便性を軸に特化されたターゲットへのアプローチを行っているわけではないので、基本的にはファッションビルや駅ビルはコンペチターにはならないはずである。そうなると、全てとは言わないが、問題の多くは外部要因ではなく内部要因、すなわち、百貨店が本来の百貨店としての価値を活かしたビジネスから逸脱してしまっている為と考えるべきだろう。

それは、進化しない売り場作り、進化しないサービス、百貨店としての価値の低下、ブランド価値の演出の低下、世代交代への対応の遅れなど、本来最も大切な顧客ニーズさえも汲み取れていないように見える。トレンドでは盛んに原点回帰が叫ばれているが百貨店こそ、今まさに、原点回帰すべき業態であると思う。
 2012/05/09 10:31  この記事のURL  / 


セレクトショップとSPA、業態の際崩し
セレクトショップの業態特性は、ショップのバイヤーが、様々なブランドや個人から商品を仕入れ、独自の売り場編集でその商品を販売するという事だろう。日本では展開を行っていない海外ブランドの商品など、特定の消費者のニーズを満たしているケースもあるが、今日の大型セレクトショップの多くは、ショップオリジナルの商品構成比率が50%以上で、重要な収益源となっている。

このようにショップオリジナルの商品(プライベートブランド商品)を高い比率で開発しているのであるから、これを小売業というのはおかしいかもしれない。むしろ、リテールから始まったSPA(Speciality Store retailer of Private label Apparel)(製造から小売までの垂直型統合業態)と呼ぶにふさわしいと思う。一方、アパレルメーカーにおいても、昔のように、百貨店アパレルとか専門店アパレル、量販店アパレルなどと区分することができにくくなっている。それだけ流通業態が多様化しているのだが、それに加えて、アパレルメーカーでもバイヤーが買い付けた商品と自社ブランド商品を組み合わせたセレクト型ショップ、すなわち、アパレル型SPA&セレクトを展開するケースも増加している。

このように、今や、リテーラーであるとか、アパレルであるというこさえも分類することが難しい業態が増え、また、そのような業態が市場をリードするようになった。
 2012/04/23 10:10  この記事のURL  / 

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プロフィール
栗山 志明 (くりやま しあき)
1977年に(株)キングに入社。
基幹ブランド「ピノーレ」のデザイナー・チーフデザイナー・コーディネーターを経て1987年に独立。1988年に(株)プレールを設立して代表取締役に就任、現在に至る。
ファッション業界の様々な業態のクライアントに、質の高い情報と独自のマーケティング手法に基づくブランド開発、ディレクション、商品企画などの提案を行う。
1988年〜1994年までバンタンデザイン研究所・商品企画講師、1999年〜現在までIFIビジネススクール・マスターコース講座主任を担当。

株式会社プレールのホームページ

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