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「小澤征爾さんと、音楽について話をする」を読みました
指揮者の小澤征爾に、小説家の村上春樹がインタビューして、書き起こした本。

音楽についての貴重なエピソード満載ですが、プロの仕事の内幕のようなものも垣間見るとができて面白いです。



小澤征爾氏はスコアを読むのが好きで、若くてお金がないころから日々熱心に読んでいたそうです。

「そうねえ、ほかにやることもなかったから。うちにピアノがなかったから、ずっと楽屋に残って、そこのピアノで音を出して勉強していた。」

「スコアってどういうものかよくわからないですが」という村上の問いに、

「楽譜には五線しかないんですよ。そしてそこに記された音符自体には何のむずかしさもない。ただのカタカナ、ひらがなみたいなもんです。ところがそれが重なってくると、話はどんどん難しくなる。」

複雑な文章を理解するためには、それなりの知識が必要になってくるのと同じように、
「その『知識』の部分が、音楽の場合はもう、やけに大きくなってくるわけです。文章よりも、記される記号が簡単な分、音楽って、わからないときは真剣にわからない」

そして、スコアを読んでいるときはわかったと思っても、
「オーケストラで音を出してみると、もうありゃっということだらけです」となる。

指揮者の仕事というのは、スコアを読み込んで自分の頭のなかに音楽を再構築し、それをオーケストラを使って表現すること。

だから、つねにスコアを読み込んでいないと、第一線には立ち続けらないのだ、ということを初めて知りました。

では、その勉強はいつやるか。

「朝ですね。早朝。
集中しないといけないし、一滴でもアルコールが入るとできないから」


自分も、一番良く集中できるから、いつも早朝に仕事をしている。長編小説を書いているときは必ず四時には起き、まだまわりが暗いうちに没頭できる体制を作ってしまう、という村上に対し、

「で、何時間くらいやります?」

「五時間くらい」

「僕はもう五時間はもたないな。四時に起きても、八時くらいになると、朝食がくいたくなってくるから(笑)」



まだ暗い仕事場で、ひとりスコアを読み込む小澤征爾。

それは、ベートーヴェンやマーラーたちと、神聖な対話をしている時間なのかもしれません。

プロの一線で、何十年も生き延びてきた人というのは、あたりまえのように努力している。

こういう本を読むと、セコイ事をするのはできるだけ控えよう、という気持ちになってきますね。


小澤征爾が書いたあとがきも、マエストロの人柄が感じ取れて、なんとも良い味わいです。おすすめ。
 2013/03/31 10:23  この記事のURL  / 
ジャパンエキスポのスタッフたちと再会
昨日、来日中のジャパンエキスポのスタッフ達と再会しました。

CEOのジェフ以下、主要メンバーは変わっていませんでしたが、学生サークルのようだったSEFA EVENT社も、今は、JTS PARTICIPATIONSというホールディングカンパニーの下に、


広報・広告宣伝を担当する"GOMA COMMUNICATION"、ジャパンエキスポ運営を担当する、"SEFA EVENT"、アメリカでのイベントを担当する"SEFA ENTERTAINMANT"などの複数の子会社を持つ、"JTS GROUP"という大きな企業に成長しています。



彼らにとっての、現在の重要テーマは「日本との連携強化」だそうです。

もともとフランス人の学生が、仲間同士で楽しむイベントとしてはじまったジャパンエキスポは、言ってみれば、日本人抜きで成長した日本カルチャーイベントだと言えます。



「日仏の架け橋になる」とか「日本文化をヨーロッパに紹介」などといった、ありがちなキレイ事をいわないところが彼らの持ち味でしたが、さすがに10万人規模のイベントになってからも、日本向け窓口はシボ紗江さん一人しかおらず、連絡が絶望的に取りにくかったことは、いまや伝説になっています。

ようやく日本人スタッフも増えて来ました。彼らが、お客さんではなく、"主体的"にイベントの企画・運営に参画できるようになれば、とても良いことだと思います。



今年のジャパンエキスポの来場者数目標は4日間で24万人だとのこと。

これだけの「お化けイベント」を成功させたジェフやトマたち幹部は、そろそろ成功者として”文化を語る”立場にも回ってもよさそうなのに、いまだに黒子としてストイックに走り回っていいます。



今年は、

7月のパリ郊外のジャパン・エキスポ以外に、

3月初旬、フランス、マルセイユ

8月末、アメリカ、サンタクララ

10月末、フランス、パリ市内

11月初旬、ベルギー、ブリュッセル

で、インベントを開催予定。



彼らの野心は果てしない。

まだまだやりそうだなと感じました。
 2013/03/23 10:42  この記事のURL  / 
ミュシャ展
森アーツセンターギャラリーで開催されているミュシャ展を見て来ました。

御存知の通り、ミュシャはアールヌーヴォーを代表するで、日本でもたいへん人気があります。

ミュシャがパッケージをデザインしたビスケット箱や香水瓶なども展示されていましたが、

「いま見てもカワイイ〜」

という若い女性客の声を何度も聞きました。


流れるような長い髪、曼荼羅のような円環、草花モチーフはミュシャスタイルと呼ばれています。

一作品にたくさん描かれている円環も、近づいていよく見ると、どれも微妙にタッチが異なり、ひとつひとつ丁寧に手書きしていることがわかります。

スタンプ状の器具を作って省力化すれば、などと凡人は考えてしまいがちですが、その点、巨匠の愚直さが感じ取れて嬉しかったです。


ミュシャの日本での人気の高さの理由に、細かい輪郭線で描く作風から、浮世絵との親和性が挙げられます。

私は、以前プラハで、ミュシャがデザインしたステンドグラスを見たことがあります。
聖ヴィタ大聖堂というゴシック様式の大聖堂なのですが、教養が不足しているせいか、浮世絵よりも、アニメ風に見えて仕方がありませんでした。


なんだかガンダムが出てきそうに見えませんか?

だからいまでも、ミュシャとアニメの親和性については、まじめに取り上げられて良いテーマではないかと、勝手に思っています。

ミュシャ風セーラームーン

個人的には、ミュシャが描く手が好きです。









シンプルな線で描かれた手はどれも表情豊かで、すまし顔の登場人物たちの心の内を表現しているように思えるからです。
 2013/03/18 13:01  この記事のURL  / 
「ハラル」市場を知る必読書
消費市場としての魅力を高めてきたASEAN諸国。とくにシンガポール、マレーシア、インドネシアに多いイスラム教徒を理解する上で、最近、「ハラル」に注目が集まっています。

「ハラル」とは、イスラム教の戒律で合法な物事を言います。イスラム教では、豚やアルコールなど不浄とされるものを口にすることが禁じられているし、牛肉や鶏肉も戒律のルールに従ってと殺処理されたものでなければなりません。レストランなどで口にする食べものには、「ハラル」であるという証明が必要となります。

こうした宗教上の戒律について、私達現代の日本人には理解しにくいものがあります。
そのため、イスラム教を解説する本が多く出版されていますが、入門書としておすすめなのが
イスラーム文化−その根柢にあるもの』 (岩波文庫) 井筒 俊彦(著)
です。

この本は、東洋思想研究の権威である井筒俊彦氏が、イスラム教について語った講演をまとめたものです。
長年の研究に裏付けされた内容なので、簡単に理解できるというほどやさしくはありませんが、日頃断片的に見聞きするイスラム教についての情報が、なぜそうなっているのか、点と点をつなげて、ぼんやりとした輪郭を描いてくれるようなありがたさがあります。

イスラム教の聖典であるコーランは、
「食物や飲み物、衣服、装身具、薬の飲み方、香料の使い方、挨拶の仕方、女性と同席し会話するときの男性の礼儀、老人に対する思いやりの表し方、孤児の世話の仕方、召使いの取り扱い、はては食事の後のつま楊枝の使い方、トイレットの作法まである。」

「個人が勝手に独立に法的判断を下すことはいけない。すべて昔の権威者が解釈してくれたとおりに、それに従って判断すべきである。」

こうしたはるか昔に定められた戒律を守りながら、現代社会とどうやって折り合いをつけてゆくか。イスラムの共同体を抜け、西欧の近代法に則って生きてゆくしか無いのか。これは、今を生きるイスラム教徒にとっては大問題です。
本書では、こうした現代イスラムの抱える大きな問題の一つも提示されています。

だからこそ「ハラル」は、イスラム教徒にとっておろそかにできない手続きなのです。

Halal: Chasing The $500 Billion Industry

「ハラル」が求める「合法にして、清潔、清浄、健康的で環境保全である善い食べ物」の摂取は、日本の食文化にも通じるものがあります。
ASEANのイスラム教国が親日的であること考えあわせれば、日本の食文化が受け入れられる可能性は大いにあると言えます。さらに、彼らを通じて、世界の「ハラル」市場へ展開するシナリオが生まれるかもしれません。

日本人の立場から、イスラム教をどのよう見て、接するべきか。今後、「ハラル」の知識は、日本人にとっても、不可欠なものになってゆくと思います。
 2013/03/15 10:00  この記事のURL  / 
プロフィール
栗田 亮(Makoto Kurita)
(株)テンカイジャパン代表
『Cool Japan! カッコイイ*かわいい*たのしい*おいしい*日本を世界に発信』をテーマに、トラベル、ファッション、ショップ、ブランド等の情報を英語で積極的に発信中。 クールジャパンの翻訳、通訳、海外マーケティングには定評がある。 英語WEBメディア「Tenkai-japan.com」企画・運営 海外向け電子書籍出版、翻訳、通訳、外国語運営サポート、訪日外国人プロモーション、海外マーケティング、JAPANブランドの海外展開支援
●潟Aーチ&コーチ代表取締役社長
●バンタンデザイン研究所 『eマーケティング』 『クリエイティブ・イングリッシュ』講師
●訳書『ユニクロ症候群』(小島健輔著)
連絡先:03-3662-4976
 (株)アパレルウェブ内テンカイジャパン(栗田)

・アーチ&コーチ「日本発の"Earthな"ライフスタイルストア」
http://www.arch-coach.com
・ Tenkai-japan.com「日本のトレンドを英語で発信」
http://www.tenkai-japan.com
・PROFILE
http://www.apalog.com/kurita/archive/172
・会社概要/ABOUT US
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