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ココ・シャネルの伝記 『スリーピング・ウィズ・ジ・エネミー』
ココ・シャネルの伝記をKindleで読んでいます。

『スリーピング・ウィズ・ジ・エネミー』.
―”敵と寝た女”―。

ゴシップ誌の見出しのようなタイトルですが、孤児院から人生をはじめ、自力で富と名声を手に入れた世界的ファッションデザイナーが、第二次世界大戦中は敵国ドイツのスパイをしていたという、米国人ジャーナリストが書いたノンフィクションです。

"Sleeping with the Enemy: Coco Chanel's Secret War”


大戦中の1940年から44年、フランスはドイツの占領下に置かれていました。かねてからの係争地だったアルザス・ロレーヌ地方はドイツへ割譲され、それ以外の地域には一応フランス政府の主権が認められましたが、パリを含む北部と西部はドイツ、グルノーブルとニースを含むエリアはイタリアによって占領され、軍政が敷かれました。

親ドイツ政権は首都をフランス中部の町ヴィシーに定めたため、その名にちなんでヴィシー政府とよばれました。

ドイツ占領下のフランス地図

私の知人のフランス人もドイツ人も、ヴィシー時代の話は多くを語りたがりません。「あれはナチがやったこと」という“共通の整理”があるのですが、その言葉の裏に、双方に深い傷が残っていることが感じ取れます。

"Sleeping with the Enemy: Coco Chanel's Secret War”より

多くのフランス人は、積極的・または消極的にヴィシー政府の統治を受け入れた。一部の人々は積極的なコラボラシオン(対独協力)の姿勢をとり、それ以外の多くの人々はヴィシー政府下の平穏を受け入れて沈黙を続けた。その一方で、少数ながらレジスタンス運動を始める動きもあったが、本格的なレジスタンス運動が見られるのは戦況がドイツにとって不利になり始めてからである。

(中略)ドイツ軍将校の愛人となったココ・シャネルなど親ドイツ的な文化人も増加し、ヴィシー政府の統治やドイツの占領政策を支えることになった。
(wikipedia)
"Sleeping with the Enemy: Coco Chanel's Secret War”より

ココ・シャネルは単なる愛人ではなく、コードネームを持った列記としたナチのスパイだった、というのが、本書のテーマ。証拠として示されている報告書には、ドイツ軍情報部のエージェントとして、シャネルの名前、エージェント番号、「ウエストミンスター」というコードネームが記録されています。

"Sleeping with the Enemy: Coco Chanel's Secret War”より

ただ、本書を読み進めても、彼女が実際に、何か(あるは誰か)をスパイしたという"決定的証拠"は示されてきません。

84歳の老ジャーナリストが謎を追い詰めてゆく過程はスリリングで面白いのですが、スペルミスが散見されるなど、全体的に雑な作りの伝記になってしまっています。


むしろ、本書の魅力は豊富な写真やイラストにありそうです。

ココ・シャネル 1924年 "Sleeping with the Enemy: Coco Chanel's Secret War”より

ナチの軍服はシャネルがデザインしたという”都市伝説”さえある"Sleeping with the Enemy: Coco Chanel's Secret War”より


特に、当時のシャネルのスタイルとナチの軍服との親和性には、目を止めざるを得ません。

上流階級の規範やマナーが下流に広がることが伝統的なファッションの流れだとすれば、これらは、裏路地から這い上がってくる者のためのスタイルです。

エレガンスな装いの内に秘められた、たぎるような復讐心。 

時代を超えて信奉者が現れ、夥しい数の"劣化コピー"が生まれつづけている点も似ています。


もし翼を持たずに生まれてきたのなら,翼を生やすためにどんなことでもしなさい。(ココ・シャネル)



文藝春秋より、『誰も知らなかったココ・シャネル』というタイトルで邦訳が出ています。


 2012/12/20 19:38  この記事のURL  / 
プロフィール
栗田 亮(Makoto Kurita)
(株)テンカイジャパン代表
『Cool Japan! カッコイイ*かわいい*たのしい*おいしい*日本を世界に発信』をテーマに、トラベル、ファッション、ショップ、ブランド等の情報を英語で積極的に発信中。 クールジャパンの翻訳、通訳、海外マーケティングには定評がある。 英語WEBメディア「Tenkai-japan.com」企画・運営 海外向け電子書籍出版、翻訳、通訳、外国語運営サポート、訪日外国人プロモーション、海外マーケティング、JAPANブランドの海外展開支援
●潟Aーチ&コーチ代表取締役社長
●バンタンデザイン研究所 『eマーケティング』 『クリエイティブ・イングリッシュ』講師
●訳書『ユニクロ症候群』(小島健輔著)
連絡先:03-3662-4976
 (株)アパレルウェブ内テンカイジャパン(栗田)

・アーチ&コーチ「日本発の"Earthな"ライフスタイルストア」
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