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中国とつきあう法
古い文庫本(「日本人を考える」)に、「中国とつきあう法」という対談が載っていました。
貝塚茂樹と司馬遼太郎の対談です。

ご存知のように、貝塚 茂樹(1904年-1987年)は日本の東洋史学者で、『論語 訳註』などで知られています。甲骨文字に代表される出土資料に着目した研究方法を提唱し、中国の近現代史でも研究を推進しました。
中国を知り尽くした日本人のひとりだと言えます。

中国人の厳しさは、麻雀をやるとわかります。麻雀は賭けだから、中国人は相当インチキをやりますね。
そこで、相手がインチキをやればそれ以上のインチキをこちらがやって、その場で仕返しをしてもいいんです。相手が悪いことをすれば、こっちも悪いことをして返せばいい。それでオアイコです。

こちらが日本人なら、相手がインチキをしても、こっちがインチキをするのは差し控えるでしょう。そしてあとであいつがインチキをやると悪口をいう。中国人は違う。

自分の意見を主張して、それから中国に対して何かを実行すること。(中国人は)それによって評価をするんですよ。この人はどれくらい実行する人か、ちゃんと見てます。

とにかく、中国とつきあうには、主張をするにしても、一度や二度主張したくらいではいけない。
向こうは同じことを何十ぺんもくりかえしてきますよ。

なかなか自己批判しない。北京に交渉に行ったらむこうは同じことをくりかえしますよ。だからこっちも同じことをくり返すことです。一度や二度で主張をやめたら、本当にそう思っていないのではないか、と中国人に思われてしまう。だから、最後までおなじことを言うべきです。十回でも、二十回でも、三十回でも。

中国人は、繰り返しが、平気な民族である。
そうでなかったら、「論語」みたいなものを数千年も繰り返して読んでいるわけがない、というのがこの対談のオチになります。

中国研究に生涯を傾注しながら、どこか突き放したように中国を(そして日本を)、語る碩学のコトバです。
昭和46年2月とありますから、もう40年近く前の対談ですが、現在に通じる重みを感じます。

 2010/09/22 10:58  この記事のURL  / 
中国資本による温泉買収
最近、日本の宿泊施設を買収する中国資本の話をよく耳にします。

英語によるクールジャパンガイド「テンカイジャパンドットコム」で温泉を紹介しているライターさんのところにも、
「九州にあるリゾート施設を買収したいのだが」という問い合わせが入ったこともあります。
再生ファンドの傘下にある施設なのですが、やはり買い手は中国人資本のようです。

日経新聞(2010.07.26)は

訪日する中国人観光客の取り込みを狙い、日本で観光事業に乗り出す中国企業が増加してきた。
日本企業との提携や日本の宿泊施設の買収が相次いでいるほか、中国語ができる人材を紹介する企業も登場。日本政府が7月から中国人観光客へのビザ(査証)発給を緩和したことで中国人観光客はさらに増えるとみられ、関連ビジネスのすそ野は今後、一段と広がる可能性が高い。


として、

・中国ホテルチェーン3位の格林豪泰酒店管理集団(上海市)は、日本の短期賃貸マンションやホテル運営の ウィークリーマンション東京(東京・港)との業務提携を決めた。第1弾として両社の会員を相互に紹介し集客向上を目指す。

・中国でビジネスホテルを245店展開する格林豪泰酒店は130万人の会員を抱える。
まずは訪日を希望する会員向けに中国語のウェブサイトを構築。「マイステイズ」「フレックステイ」などのブランドでウィークリーマンション東京が管理する5500室超のなかから、空き室の検索や予約をオンラインでできるようにする。

・中国国営の貿易関連企業CMIC(北京市)の日本法人は4月、中国人投資家と共同で、 民事再生法適用を申請した熱海市の老舗温泉旅館「花の館 染井」を約2億円で買収した。

・香港で投資事業などを手掛ける中国企業の日本法人「華成ジャパン」(長崎市)は、佐賀県嬉野市の温泉ホテル「ハミルトン宇礼志野」を買収。

・山梨県などでも中国資本による旅館やホテルの買収が相次いでいる。


などの事例を伝えています。

実際、静岡、佐賀、山梨県で温泉旅館やホテルが中国企業に買収されるケースが増えていて、中国資本傘下の宿泊施設は20軒を超えているという話も聞きます。

さらに、「水」そのものを商品化して、中国などに輸出しようとする動きもあるようです。

こうした動きは、いずれも、中国人が今の景気をバブルだと警戒していることの現れなのだと思います。

いつバブルが弾けて資産を失うかもしれない。
一方、日本の不動産は長期低迷中なので、これ以上値下がりする危険は少ない。

リスク分散の観点からも、日本の温泉は、算盤勘定の合う投資先になっているのだと思います。








 2010/09/21 07:36  この記事のURL  / 
四国遍路とアニメ「聖地巡礼」
四国遍路にハマっているフランス人が意外に多いことを当ブログでご紹介しました。ジャパンエキスポのお遍路さん

四国遍路を九回体験したという大野正義氏の著書「これがほんまの四国遍路」を読むと、この人気の背景には、ひとつの「発明」があることがわかります。

四国遍路が「巡礼の王様」の地位を占めるようになり、そしてその地位が現代においても不動に物になった理由、それは、ほかでもない「札所の固定化」でした。

札所とは、お遍路が巡礼するお寺のことです。
四国八十八ヵ所巡りの由来は、弘法大師が815年に四国を歩いて修行したときに、八十八の霊場を開いたという伝説に基づいているのですが、そのそも八十八という数字は、「多数」という意味を表す曖昧なもので、実際、現在残っている記録を見ても、弘法大師が巡拝した霊場の数は八十八ヵ所にとどまっていないそうです。

ところが、1678年、大坂に住む眞念という人が、四国遍路指南(しこくへんろみちしるべ)を編纂した際に、札所を八十八ヶ所に限定し、さらに番号をつけ巡礼の順番も固定化してしまったのです。

これは、いわば暴挙とも言える行為で、実際、当時の専門家である高野山の僧侶などからは批判を受けています。
しかし、現在まで生き残ったのはこの眞念方式でした。

この一対一の番号の割り当てこそが、四国遍路の人気を不滅にした、眞念最大の発明でした。


番号を追うことで、弘法大師の修行を追体験しながら、四国を一周することになる。
プロの修行者だけでなく庶民が容易に参加できる四国遍路が誕生した訳です。

この「スタンプラリー」のような分かりやすさこそ、外国からもお遍路さんが集まる秘密なのだと思います。


観光庁は、訪日外国人客の増加を目指して、アニメを起爆剤のひとつにしようとしています。
そのため、日本全国のアニメやマンガをテーマにした施設やモニュメントを紹介した多言語(英語、中国語、韓国語、フランス語)のパンフレット(Japan Anime Tourism Guide)を作成していますが、東京アニメセンターで山積みになっていたりと、それほど活用されているようには見えません。

それは、其々が「点」の情報でしかなく、ひとつひとつをとってみると観光資源として力不足のものも多いからだと思います。

しかし、これらを「線」につなげて、さらに「面」を作ることができれば、意味は変わってくるはずです。

アニメの「聖地巡礼」にも、四国遍路のような「発明」が必要なのだと感じます。
 2010/09/19 16:50  この記事のURL  / 
ゴシック・ロマンスと「ポーの一族」
マンガの世界でゴシック・ロマンスと言えば、やはり萩尾望都の「ポーの一族」が嚆矢だと思います。

妖しい雰囲気漂う村、薔薇。
永遠という残酷な時間を生きていかなければならない美しい吸血鬼の物語です。
古い館、怪奇現象、幽霊、宿命といったゴシック・ロマンスの魅力が堪能できます。

もし好きなマンガを“ひとつだけ”挙げなければいけないとしたら、私はこの作品を選ぶとブログに書いたことがあります。「ポーの一族」とコミックマーケット
(「ポーの一族」萩尾望都)
魅力的なキャラクター、美しい絵、詩的な文、自由なコマ割り。短篇、中篇な結びついて、ひとつの大きな物語を構成しています。
時間軸を錯綜しているように見えて、年表も作れるほど綿密な構成がされています。
(実際「ポーの一族」の年表を載せたサイトがいつくもあります。)

ロリータ的魅力で男たちを手玉とるエドガーの妹メリーベル

ドレスやマントなど、時代考証に照らしたファッションもしっかりと描き込まれているので、ゴシックアンドロリータとの親和性も高い作品です。
 2010/09/18 15:47  この記事のURL  / 
村上隆氏の「炯眼」
サザビーズで村上隆氏の等身大フィギュア作品「Miss Ko2」が50万ドル(約5,800万円)で落札され話題となったのは、2003年のことでした。落札したのは80歳近いアメリカ人。リタイアした会社オーナーは、当時の日本現代美術作品の最高金額を支払いました。

村上隆氏は、「女性の美意識に革命をもたらしたからだ」と公式発言したと同時に、「単に金持ちが作品の性的な要素に惹かれて落札しただけなのでは」とも話したそうです。
(Miss ko2 (c)1997 Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved.)

欧米での、村上隆氏の枕詞は、Anime Inspired Artist (アニメの影響を受けた芸術家)。
西洋アートシーンの第一線から脱落し影響力を失わないよう常に戦っています。

生来のアニメ好きが高じて、高校卒業後にアニメーターを志したが挫折。
同じく以前から興味のあった日本画を習い、2浪の後に東京芸術大学に入学した。
東京芸術大学大学院美術研究科の博士論文は、「美術における『意味の無意味の意味』をめぐって」。
(ウィキペディア)

こうした村上隆氏の経歴を見ると、「オタク」や「カワイイ」への共感は付け焼刃ではないことがわかります。ただ、成功や金儲けのために利用しているのではく、その「可能性」を信じているように感じます。
誰よりも早く「オタク」や「カワイイ」の国際性を見抜いた炯眼は、賞賛に値します。
Picture Japan: Murakami, New Sun King

ウォール・ストリート・ジャーナル紙は村上隆氏を「新太陽王」と評していました。
 2010/09/17 08:50  この記事のURL  / 
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プロフィール
栗田 亮(Makoto Kurita)
(株)テンカイジャパン代表
『Cool Japan! カッコイイ*かわいい*たのしい*おいしい*日本を世界に発信』をテーマに、トラベル、ファッション、ショップ、ブランド等の情報を英語で積極的に発信中。 クールジャパンの翻訳、通訳、海外マーケティングには定評がある。 英語WEBメディア「Tenkai-japan.com」企画・運営 海外向け電子書籍出版、翻訳、通訳、外国語運営サポート、訪日外国人プロモーション、海外マーケティング、JAPANブランドの海外展開支援
●潟Aーチ&コーチ代表取締役社長
●バンタンデザイン研究所 『eマーケティング』 『クリエイティブ・イングリッシュ』講師
●訳書『ユニクロ症候群』(小島健輔著)
連絡先:03-3662-4976
 (株)アパレルウェブ内テンカイジャパン(栗田)

・アーチ&コーチ「日本発の"Earthな"ライフスタイルストア」
http://www.arch-coach.com
・ Tenkai-japan.com「日本のトレンドを英語で発信」
http://www.tenkai-japan.com
・PROFILE
http://www.apalog.com/kurita/archive/172
・会社概要/ABOUT US
http://www.tenkai-japan.com/about-us

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