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人がやらない事を〜ロンハーマン・三根さん、ビームス・南馬越さん

(C)Yuko AMANO(PRESS PARIS)
 <写真左・南馬越一義さん、右・三根弘毅さん>

新感覚合同展「第2回ソレイユトーキョー」が2月16〜19日に東京・南青山で開かれ、25ブランドが参加した。
筆者は、その中でサザビーリーグ・リトルリーグカンパニープレジデントの三根弘毅さん、ビームス執行役員・ビームス創造研究所担当の南馬越一義さん(マゴさん)と、それぞれ1時間程のトークショーを行ったのだが、2人とも異口同音に述べたのが、「これからの夢は?」との質問に「人がやらない事をやりたい」という答えだ。
三根さんは、「待ち時間が少なくて、患者に優しい、看護師さんが美人(ここは笑いを取るためと思われるが)の病院を作りたい」と。そしてマゴさんは、「まだ具体的な事は分からないが、自身がバイヤーだった時代に男の子のようなレディスの店が無く、その視点で圧倒的に優位な成功体験を作れたが、もう一度そういう思いをしたいと考えると、やはり誰もやった事の無いことをやらないとダメだと思っている」と述べた。
人がやらない事、それが競争優位を作り出し、所謂「ブルーオーシャン」へと導くのだろう。



一方で2人の話で真逆な点も面白い対比となった。それはITに対する考え方だ。マゴさんは、ITが小さなクリエーターやスモールビジネスに大きな可能性とソリューションを提供するであろう事。そして、それを積極的に活用していく事で新たな価値創造に繋がる希望を示したのに対して、三根さんは、ロンハーマンがECをやらず、徹底的に人的、アナログ的な顧客満足度を店頭起点に高めていく事で、ストアロイヤリティーを作り出していくとする立場を取った。
これは何も2人の立場が対立するという事ではない。マゴさんも店頭の重要性を否定している訳でもなく、インスタグラマーなどインフルエンサーの影響力が最近必ずしも効果が得られない時があるという。一概に全面肯定できない状況になってきたという事で、「潮目が変わってきた」と見ている。一方、三根さんはロンハーマンの付加価値、例えば「数百万もするアートが売られていること」をSNSにより拡散される効果でITの恩恵を受けている点も賢く活用しているという意も述べていた。
全面肯定でもなく、また全面否定でもない、柔らかく、しなやかに時代の潮流に寄り添いながら、温故知新もあり、格致日新もあるのが2人の特徴なのだと、旧知の仲ではあったが、改めて実感したひと時だった。




三根さんは今回のトークショーを最後に人前で話すのを一時お休みするとの事で、貴重な時間を得られ本当にラッキーだったと思う。
またマゴさんは、次回からソレイユトーキョーのアドバイザーとして、ブランドへのご意見をお願いすることになった。良き友に恵まれたことを改めて感謝したい。

 2016/02/20 16:09  この記事のURL  / 

コムデギャルソンとコラボしたアーティスト、オレリー・マティゴが来日


2014年から「コムデギャルソン(COMME des GARCONS)」とウォレットなどでコラボしているフランスのクロシェ(かぎ針編み)アーティスト、オレリー・マティゴ(Aurelie Mathigot) が、このほど来日する。
クロシェでハンバーガーのセットやピアノの形をしたピアノカバーを作るなどユーモア溢れる作品も多いが、絵や写真に刺繍を施し、さらに写真撮影し仕上げる手法での作品も数多く生み出し、コムデギャルソンのモチーフに採用されている。彼女のトロンプルイユ(だまし絵)的な創作が各方面から評価され、世界各地での個展でオレリーワールドが展開されている。またパリのメルシーやポンピドーセンターでの定期的な個展やワークショップ、プランタン百貨店のクリスマスウインドー・ディスプレーも手掛けた。日本では「青参道アートフェア」に出展したこともある。



今回の来日では、2月23〜25日の子供服合同展「プレイタイム東京」でのインスタレーションや玉川高島屋ショッピングセンターに2月12日にオープンしたばかりの子供服セレクトショップ「ベイビーベイビー(babybaby)」でのワークショップを予定している。
プレイタイムでは、3つのトレンドスペースのうちの1つを担当し、「フローズンワールド」をテーマに、テキスタイルをかぶせた木の幹や氷のドロップのような刺繍で構成される霧氷の風景が表現される。見る人をポエティックな雰囲気に浸らせてくれることだろう。

一方、ベイビーベイビーの親子で参加するワークショップは、「オレリー・マティゴさんと一緒にカラフルなキーホルダーを作ろう!」と題し、毛糸でポンポンを作り、ポールチェーンを付けてキーホルダーを仕上げる。2月21日13時と15時を予定し、参加費は1セット3000円(材料費・税込・作ったキーホルダーとポンポンを作る機械のおみやげ付・要事前予約)。
従来、作品制作をメインに活動してきたマティゴだったが、コムデギャルソンとの仕事をきっかけに、新たな地平を切り開き、コラボ企画にも自信が付いてきたという。今後さらに多くのファッションブランドやライフスタイル分野での展開を模索していきたいとしている。
日本におけるオレリー・マティゴの問い合わせは、child@cachecache.jp まで。



 2016/02/15 23:45  この記事のURL  / 

合同展でオーダーが付かない理由は?


近年、若手のデザイナーやブランドの方たちから「どの合同展が良いのでしょう?」という質問をしばしば、と言うか、かなりの頻度で受けることが増えた。
「自身のブランドが出るのに相応しいテーストの展示会がなかなか見つからない」という悩みも聞くが、それ以上に多いのは、「どの展示会に出てもオーダーが付かないし、ビジネスに繋がらない」というものだ。
比較的簡単に導入できる国内仕入れでは差別化が図れないと、大手セレクトショップを中心に仕入れにくい海外の、しかもレアなショールームでの買い付けなどが増えて行ったのが、21世紀に入って以降。そして、どうしてもバッティングするブランドについては別注を掛けて差別化材料としてきた経緯がある。そんな中で、国内メーカーについても別注かOEM、ODMといった形での差別化と仕入れコスト圧縮の両面から、ブランドそのものの仕入れが極端に減ったように思われる。これが合同展不振の原因でもある。もっとも強いブランドについては別だが。
しかし、ここへ来て円安による価格デメリットが顕著になったこともあり、インポートからドメスティックブランドへの回帰も起こっているように見える。
その点からいうと、先の「合同展では付かない」問題が解消に向かうかもしれないと少し期待してしまうのだが、マーケットは「そうは甘くはないのでは」とも思える。それは、ECの発展に伴う実店舗の衰退とCtoCをも巻き込んだインターネット、SNSによる情報と商品の拡散が、従来の「バイヤーとブランドによるB2B」のシステムを脅かしているからだ。
一時期トラノイの主催者だったミカエル・アディダ氏は「バイヤーが主役の時代から消費者が主役の時代へと移ってきた。それはインターネットによって、すぐに消費者が先物を見ることができて、場合によっては発注もできるのだから、バイヤーの選ぶ物と消費者の選ぶ物の乖離が進んで、いずれ主役が獲って替わられる」と取材時に述べていた。
これは、まさにトレードショービジネスの本質的な変容を意味している。
合同展がバイヤーとブランドを繋ぐという本質的価値は維持しつつも、別の視点から新たな価値とソリューションを提供できない限り、発展は見込めないだろう。
かつて古巣の繊研新聞社で、2000年にインターナショナルファッションフェア(IFF)という見本市の立ち上げに携わったことがある。あの時とは業界構造が決定的に変わってきており、新しいコンセプトを打ち立てて行かなければならないと思う。1月から4月へと会期も変わり、業界のあらゆる業種、職種の誰が参集しても意義と価値を感じられるコミュニティーイベントへと大きく変化させていくそうだ。
さて話は戻るが、クリエーター系合同展でも、それなりの費用負担感は否めない。そして個展へ誘導して、やっとオーダーに至る。その費用も馬鹿にならないのが現実だ。その答えとして、昨年10月にライトな出会いの場としてのデザイナー不在の合同展「SOLEIL TOKYO(ソレイユトーキョー)」を立ち上げた。ゆっくりと商品だけ見て、チェックしてもらい、個展へと誘うというコンセプトで、「本人が自分のブランドを褒めるのは難しいけど、他人が良い所を褒める方が分かりやすいでしょ」という側面もある。また小売業やブランドの方たちに「何かヒントを提示したい」と、毎回ゲストを呼んでトークショーを開催している。今回はバイヤー対象にロンハーマンを立ち上げた三根弘毅さん、ブランドを対象にビームスの南馬越一義さんを招く予定だ。2月16日(火)から第2回が始まるが、これも合同展の在り方へ一石を投じたつもりだ。
大規模見本市でも小さな合同展でも、「一期一会」の繋がりから新しい価値が創造され、それを創り出す喜びを共有し、ビジネスと社会の発展を結び付けていく事が大切と考える。

 2016/02/13 19:14  この記事のURL  / 

仏オーベルジュの旅・後編

前編よりの続き
ビエルゾンのオーベルジュ「Le Chalet de la Foret」のディナーでは、前菜に「帆立のクルスタッド(パリパリ焼き)」(左)、メインに「牛ヒレ肉のステーキ・グリーンペッパーソース」(右)をアポワン(ミディアム)で戴いた。なんか昼と同じようなメニューになってしまったが、こちらは29.95ユーロのデギュスタシオン・コースからのチョイスだ。他には前菜に「12個のエスカルゴ」「鴨のフォアグラ・ポテト添え」、メインには「鹿もも肉のセップ茸添え」「マトウダイのフィレにエビのソース」がラインナップされていた。


シャトーダン城

2日目は、ほんの少しだけ南下した村のオーガニックコスメのラボを訪ね、その後、今夜の宿、シャルトルの少しだけ南の町、VOVES(ボーブ)へと向かうため、高速を北へと走る。途中、ロワール最古の城と言われているシャトーダン城を見学し、日も暮れた頃、ボーブのオーベルジュ「Le Quai Fleuri」(左)へ到着した。ここも別棟のコテージスタイル(右)だ。



ところが着いてみると、なんとレストランが休みとの事。
実はこれも良くある事で、以前ノルマンディーからの帰りに寄ったオーベルジュのレストランが休みで、結局、近くの別のオーベルジュを紹介してもらって移動したこともあった。特に冬場は客も少ないため、レストランを閉めてしまうケースも多いので要注意だ。それにしても、フランス語サイトでの確認が甘かった。 
しかし全くのど田舎ではなかったのが幸いし、村役場の前のビストロ「Restaurant de la Mairie」を紹介された。その名の通り「村役場」という名前で、オーベルジュから15分ほど歩いて訪れた。



前菜にはちょっと珍しい「牛肉のスモークの薄切り」(上)が。これが塩加減も程良く、さっぱりしていてパンによく合う。メインは「カワメンタイのフィレ・長葱ソース」(左)と「鴨のマグレ・グリーンペッパーソース」(右)をチョイス。アラカルトで楽しんだが、コースメニューも3種類ほどあり、20ユーロ位からとリーズナブルだった。



最終日は、パリ方面へ向かう途上のRAMBOUILLET(ランブイエ)で、サミットがちょいちょい行われる城を見学。首相の管轄なので、政府主催の行事が開かれることが多いのだそうだ。ランチはアルザス料理のレストラン「Savoyardes」で戴いた。もちろんアルザスと言えば、ラクレット(左・中)とチーズフォンデュ(右)という事で、フォンデュは「森のチーズフォンデュ」というキノコ入りを選んだ。



こうして、3日間の「ライトな美食の旅」が終わり、(結局、食事はライトではなかったが) レンタカーをシャルルドゴール空港でドロップして機上の人となった。
前編で紹介したロジスのサイトで美味しそうなオーベルジュを見つけ、レンタカーを旅の友に、フランスの美しい村巡りをこれからも楽しんでいきたいと決意を新たにした。
なんという緩い決意だ?
 2016/02/01 20:05  この記事のURL  / 

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名前:久保 雅裕
Masahiro KUBO

アナログフィルター『ジュルナル・クボッチ』編集長

ファッションジャーナリスト・ファッションビジネスコンサルタント。繊研新聞社に22年間在籍。『senken h』を立ち上げ、アッシュ編集室長・パリ支局長を務めるとともに、子供服団体の事務局長、IFF・プラグインなど展示会事業も担当し、2012年に退社。

大手セレクトショップのマーケティングディレクターを経て、2013年からウェブメディア『Journal Cubocci』を運営。共同通信やFashionsnap.comなどにも執筆・寄稿している。杉野服飾大学特任准教授の傍ら、コンサルティングや講演活動を行っている。また別会社で、パリに出展するブランドのサポートや日本ブランドの合同ポップアップストアなども実施し、日本のクリエーター支援をライフワークとして活動している。
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