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リーシングによる価値創造 渋谷MODI


2015年11月19日、東京・渋谷のマルイシティが全面リニューアルして、渋谷MODI(モディ) に生まれ変わった。17日に行われたプレビューに出向いて、館内を拝見したが、そこには従来の丸井ではないヒカリエやルミネのような都心型商業施設が出現したように感じた。結果としては、「衣・食・住」に 加え、「遊ぶ」「憩う」「学ぶ」「創る」といった多様なコンテンツを集積した「知的商業空間」をストアコンセプトにしたそうだ。
丸井本体でなく、子会社のエイムクリエイツがPMを含めた運営主体となっており、賃貸条件も違えば、丸井のオリジナルブランドも無く、平場も存在しない。
そういう意味では、東急百貨店が運営主体にも拘らず、SCや駅ビルなどに出店するテナントを集めたヒカリエや大丸の心斎橋北館のような位置づけと言えよう。
1990年代後半から2000年代に掛けて、セレクトショップを中心にルミネやターミナル立地の駅ビル・ファッションビルの隆盛が続き、一方でイオンモールやららぽーとをはじめとする準郊外から郊外のSCで、それらセレクトショップや店持ちアパレルのボリューム業態の開発が進められてきた。OEM、ODMによるMDの同質化が00年代後半から進み、08年のリーマンショック、消費増税、ファストファッションの上陸などのあおりを受けて、「服が売れない時代」を迎えている。コト消費やライフスタイルといった使い古された感のある言葉に頼りながら、消費喚起を呼び戻そうと必死になっているのが現状だ。
「HMV & BOOKS TOKYO」や新機軸となる「HIS」のフラッグシップショップの登場などは、その領域の強化といえる。
リーシングで旬なテナントを導入しつつ、それらとのコラボレーションで新たな価値創造を創り出すスタイルか、それとも自社コンテンツやオリジナル商品を突き詰めて開発し、顧客満足を高める三越伊勢丹・仕入構造改革のような流れなのか。いずれにしても新たな潮流として、しっかりと注視していきたい点であることは間違いないと思う。
※テナントの写真などの関連記事はこちら
 2015/11/24 18:30  この記事のURL  / 

登場人物のコスチュームにも注目 映画『リザとキツネと恋する死者たち』

(c)33BLOCKS ALL RIGHTS RESERVED.

日本人と外国人が観るのでは大違いの「勘違いジャポネスク・エンターテインメント・ムービー」の誕生だ。しかもハンガリー映画で国内大ヒットだったらしい。来年にはハンガリーからの観光客がどっと増えるかもしれない。
さて本作『リザとキツネと恋する死者たち』は、世界三大ファンタスティック映画祭のうちの2つ、第35回ポルト国際映画祭でグランプリ、第33回ブリュッセル国際ファンタスティック映画祭で審査員&観客賞を受賞している。原題は『Liza, The Fox-Fairy』。




1970年代のブダペストで、日本大使未亡人の看護人として住み込みで働くリザ。心のよりどころは、日本の恋愛小説とリザにしか見えない幽霊の日本人歌手、トミー谷。彼の軽妙な歌声とダンスに合わせて、リザもステップを踏む。そんな彼が孤独な毎日を忘れさせてくれていたが、30歳の誕生日、恋愛小説にあるような甘い恋に出会うべく、リザは意を決し、未亡人に2時間だけ外出許可をもらう。だが、その間に未亡人が何者かに殺害されてしまう。悲しみにくれるリザの周辺で、次々と起こる奇怪な殺人事件。彼女が恋した人は皆「死者」となり、そこにはキツネの影が。そんな中、下宿人を装って刑事ゾルタンがリザと同居を始め、捜査するが、リザに殺人の気配はみじんもない。いったい誰が真犯人なのか。



なんと言ってもトミー谷が軽快に歌い踊るヘンテコな昭和歌謡が笑える。日本人が作った訳ではなく、全編オリジナル曲という事にも驚きを禁じ得ない。会場では、リザの話す稚拙な発音の日本語が失笑を買っていた。そう。日本人から見ると2倍楽しめる作りになっていると言っても過言ではない。このオカルト・ファンタスティック・コメディーで、一瞬俗世を忘れてみるのも悪くない。



そして注目したいのが、登場人物のコスチューム。リザのレトロでありながら襟と袖口を白で切り替えたシャツブラウスのライトグレー、トミー谷のレザーのパイピングを施したノーカラージャケット&パンツのミントグリーン、警察官のミリタリー系制服の薄いベージュの意外性。どれをとっても旧共産圏の陰鬱な街並みに映えてしまうのではないかと思われる新鮮な色使いにインスピレーションを掻き立てられる。リザが愛するハンバーガーチェーンの建物や内装に見られるミッドセンチュリーモダンの傾向や登場する男たちの襟の大きな開襟シャツに東西冷戦を超えた流行の片鱗が見て取れるのも面白い。
12月19日より新宿シネマカリテ他にて全国順次公開予定。


 2015/11/16 10:50  この記事のURL  / 

自らの責任で運命を受け入れるということ 映画『ハッピーエンドの選び方』『あの頃エッフェル塔の下で』

(C)2014 PIE FILMS/2-TEAM PRODUCTIONS/PALLAS FILM/TWENTY TWENTY VISION (c)JEAN-CLAUDE LOTHER - WHY NOT PRODUCTIONS

今回紹介する2本の映画にある共通項、それは「自らの責任で運命を受け入れるということ」の意味を問うた作品だ。



イスラエル映画の『ハッピーエンドの選び方』は、まさに人生のハッピーエンドの話なのだ。自らの人生を終わらせることを自ら選択する尊厳死。米国の一部の州など、まだ認められる地域は多くはない。
エルサレムの老人ホームに暮らすヨヘスケルは、ユニークなアイデアでみんなの生活を少しだけ楽にするような発明を趣味にしている。ある日、望まぬ延命治療に苦しむ親友から、発明で安らかに死なせてほしいと頼まれる。しかし妻のレバーナは猛反対。だが、お人よしのヨヘスケルは親友を助けたい一心で、自らスイッチを押して苦しまずに最期を迎える装置を発明する。同じホームの仲間たちの助けも借りて計画を準備し、ついに実行。完全犯罪の態だったはずなのだが、秘密だったその発明の評判は瞬く間にイスラエル中に広がり、依頼が殺到してしまう。そんな中、愛するレバーナに認知症の兆候が表れ始める。



老人ホームの仲間たちが愉快なため、そのストーリーの切なさが軽減されるが、自分の身に置き換えて考える時、そのハッピーエンドの選択肢を選ぶことができるのか。ヨヘスケル夫妻の絆の深さと残された時間へのかけがえのない想いが錯綜して、胸に響いてくることだろう。
11月28日よりシネスイッチ銀座ほか全国順次ロードショー。



もう1本は『そして僕は恋をする』から20年を経たフランスの名匠、アルノー・デプレシャン監督の最新作『あの頃エッフェル塔の下で』。

外交官で人類学者のポールは、長かった外国暮らしを終えて、フランスへ帰国するが、空港で彼と同じパスポートを持つ「もう一人のポール」がいるという奇妙なトラブルに巻き込まれる。スパイ疑惑をかけられたその男との出会いを想い出したことをきっかけに、心にしまい込んでいた過去の記憶が次々と甦る。この映画は3つの場面から構成される。1つ目は、ポールの少年時代。母は心を病んで入院し、父はトラブルから逃げるように、朝も夜も働いてばかりの日々。やがて母が亡くなり、父に激しく反抗した彼は、自由な精神を持つ大叔母のもとへ。彼女の温かな愛情と弟、妹との絆のストーリーだ。2つ目は、ユダヤ人の親友の誘いで、高校の研修旅行にソ連を選ぶ。その裏には、親友の在ソ連ユダヤ人のイスラエル密航移住を支援する計画があった。自らパスポートを差し出すポールは、盗難に遭ったことにして再発行してもらう作戦。ポールのパスポートをもらった青年は、感激のあまりポールを抱きしめる。そして3つ目は、本作の主題となる青春期の忘れられない恋の話。高校卒業後、憧れのパリに出て、大学で人類学を学ぶポールは、故郷のリール(ルーベ)に帰郷した際、2年前からずっと片想いを続けているエステルに思い切って声を掛ける。女王のように自由気ままに振る舞うエステルに対し、ポールは人並み外れた読書量とパリでの新しい経験を話し、ついにエステルの心を掴む。恋に落ちた二人は、パリとルーベの離れた地で互いを想いながら、何通もの手紙を書き綴る。帰郷したポールと再会するたびに、別れが耐え難くなるエステル。そして様々な真実が30年の時を経て明らかになる。気がつけば30年。その間にやればできることも有ったのではないか。これも「自らの責任で運命を受け入れるということ」なのかもしれない。
12月19日よりBunkamuraル・シネマほか全国順次公開予定。

 2015/11/11 12:40  この記事のURL  / 

中島美嘉さんが登場 ヴィーナスフォート プロジェクションマッピング点灯式


東京・台場のヴィーナスフォートは、例年開催しているイルミネーションを11月7日から、新たに天井に映し出す新しい天空型3DプロジェクションマッピングショーVenusFort Christmas Projection Mapping 2015「Venus Starium」に一新した。



その点灯式を11月6日に実施し、今年デビュー15周年を迎える歌手・中島美嘉さんをゲストとして呼び、新曲『花束』と代表曲『雪の華』を美しい星空と海の世界が融合したダイナミックかつ幻想的なプロジェクションマッピングの下で披露。その後トークショーも行った。



このプロジェクションマッピングの総合演出は、東京駅のプロジェクションマッピングやナイトアクアリウムを手掛けたNAKED Inc代表の松村亮太郎さんで、万華鏡のような結晶が立体感たっぷりに降り注ぐダイナミックな映像だ。「ウェルカムゾーン」のサウス・ノース・ブロードアヴェニューの3つの通りには、星空と海の中が融合した世界が繰り広げられ、「ヴィーナス・スター・ゾーン」の噴水広場では、星座盤から生まれる物語が展開。金星を模した特殊ミラーボールオブジェで装飾された星々が輝く。また「アラウンド・イン・ザ・シー・ゾーン」のオリーブ広場では、壁が立体的に動き、穴が開き始め、その奥の海に深海生物やクジラなどが姿を現す。このスペシャルショーは、12時より毎時00分と30分から約8分間繰り広げられる。



トークショーで中島さんは、玉置浩二さんが作った『花束』について、「私の音域を良く分かっていただいてたのか、とても歌いやすかった。私の暗い歌の中から、結婚式に歌ってもらえる歌ができて良かった」と会場を笑わせた。冬のファッションについて聞かれると「もともとタイトなものが好きで、コートなどもキュッとしているのが好き。普段はタイトなパンツスーツなどです」。メイクを自身でする事については、「歌う時、凄く緊張するので、待つ間、メイクを自分でやってる方が、緊張がほぐれて良い」とセンシティブな一面をのぞかせた。



11日には新宿ロフトで、15周年を記念して結成したバンド「mika ranmaru」のロックンロールライブを予定しており、「また違った面を見てほしい」と抱負を述べた。
このプロジェクションマッピングは来年3月13日までの予定。

 2015/11/09 12:54  この記事のURL  / 

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名前:久保 雅裕
Masahiro KUBO

アナログフィルター『ジュルナル・クボッチ』編集長

ファッションジャーナリスト・ファッションビジネスコンサルタント。繊研新聞社に22年間在籍。『senken h』を立ち上げ、アッシュ編集室長・パリ支局長を務めるとともに、子供服団体の事務局長、IFF・プラグインなど展示会事業も担当し、2012年に退社。

大手セレクトショップのマーケティングディレクターを経て、2013年からウェブメディア『Journal Cubocci』を運営。共同通信やFashionsnap.comなどにも執筆・寄稿している。杉野服飾大学特任准教授の傍ら、コンサルティングや講演活動を行っている。また別会社で、パリに出展するブランドのサポートや日本ブランドの合同ポップアップストアなども実施し、日本のクリエーター支援をライフワークとして活動している。
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