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伊東市の全面協力で、くずし懐石「紺碧の海」が六本木にオープン


ミシュラン星付きホテル2軒とレストランを運営する創業117年の龍名館が2015年8月20日、「くずし会席」を提供する和食店「紺碧の海(こんぺきのうみ)」 を六本木にオープンした。
メイン食材に据える鮮魚は、静岡県伊東市が全面協力し、伊東漁港で水揚げされたばかりの地魚を毎日直送。地元漁師と契約し、直接仕入れるため、鮮度の高い魚をリーズナブルに楽しめる。目玉はそれらの伊豆の地魚料理を中心とした約15品の「一皿会席」。



会席コースで供される前菜、造り、焼き物、煮物、揚げ物、蒸し物といったコースの各料理を一口サイズにして、一皿に盛り付けてある。この他、サバのすり身や野菜を混ぜて揚げたユニークなネーミングの「ちんちん揚げ(790円)」やイカが入った珍しいメンチカツ「いかメンチ(650円)」など、都内では珍しい料理も並ぶ。また、地元の「漁師めし」をアレンジしたソウダガツオのたたきを醤油漬けにして、ご飯の上に豪快にのせた「海鮮たたき丼(930円)」や味噌だけで味付けした「漁師風あら汁(740円)」などもおすすめだ。



女性には、伊東市産のミカンを使ったジュースをたっぷりと入れたカクテル「みかんサワー(560円)」やオレンジなど季節ごとの旬の柑橘を使ったゼリー、また名産品のイチジクのジャムを添えた自家製パンナコッタなど嬉しいメニューも供される。
伊豆の魚料理に合わせた静岡の地酒も用意。女性の利き酒師が静岡の地酒6種(370〜650円/90ml)を選定し、「女性が泣いて喜ぶほど美味い酒を」という想いを込めて造られた「おんな泣かせ 純米大吟醸」は入手困難な静岡の銘酒だ。それら6種を含む、魚に合う全16種類の日本酒を取りそろえている。
伊東市は日本有数の定置網漁業地帯の一つとされ、水揚げされる魚は年間を通じ約100種に及ぶとされている。伊東市と「いとう漁業協同組合」では、豊富な魚種が水揚げされる特性を活かし、地魚の消費拡大や販路開拓、魚食の普及に努めることを目的に「伊豆・いとう地魚王国」という事業を立ち上げ、地魚のPRを推進している。そしてこの店は、その事業の第一号店として開業し、食材提供の面で連携し、オリジナルの商品開発など事業の幅も広げていくそうだ。



店名の由来は、阿久悠の詩「蜜柑と魚と」の中で、伊豆の海を表現した言葉から採ったそうで、店内はカウンター5席を含む計33席。営業時間は16〜23時。
「第6次産業化を目指す」という漁協幹部の言葉に、我がファッション業界も川上から川下までの協業で、コトまで仕掛けられる第6次産業育成の視点で取り組んでいかねばと思いを新たにした。
 2015/08/24 22:04  この記事のURL  / 

組織と人間、フレンチタッチ。全く別の映画の話。
今回はアート&カルチャーの映画から2本を紹介する。


(c) 2015 RED VELVET FILMS LTD. ALL RIGHTS RESERVED

1本目はロシアが誇る世界有数のバレエ団を巡るドキュメンタリー映画『ボリショイ・バビロン 華麗なるバレエの舞台裏
ドキュメンタリーだから、マリーヤ・アレクサンドロワ、アナスタシア・メーシコワ、マリーヤ・アラシュ、セルゲイ・フィーリン、ウラジーミル・ウーリン、ボリス・アキーモフ、そしてメドベージェフ首相など出演者自体がそうそうたるメンバーだが、やはり世界に衝撃をもたらしたあの事件の真相が軸となっている。



2013年1月、芸術監督のフィーリンが覆面の男に襲われ、硫酸を浴びせられた。犯人は恋人が主役に抜擢されなかったことを恨んだドミトリチェンコ。しかし、フィーリンの独断的なキャスティングに不満を持つ団員も多く、ドミトリチェンコに対して好意的な観方をする者も居る。こうしてバレエ団内のぎくしゃくした関係が軋み音を立てて広がっていく。メドベージェフも登場し、新劇場総裁に選ばれたのがウーリン。かつてフィーリンと対立したことも有る因縁の相手だったウーリンとの新たな火種が持ち込まれる。



誰もがより良くしたいと自身に言い聞かせながら、自然にそう思うのだろうが、対立は人の善意を乗り越えて歯止めのない闘争へと突き進む。組織を動かすのは人間、そして人間には、善意と欲望と理想が綯い交ぜとなった行動が付き纏う。組織マネジメントに、人心掌握とリレーションシップは欠かせない。9月19日よりBunkamuraル・シネマほか全国順次公開予定。


(c) 2014 CG CINEMA-FRANCE 2 CINEMA-BLUE FILM PROD-YUNDAL FILMS

もう1本は、ダフトパンクも登場するガラージDJの青春映画『EDEN/エデン』。



90年代フランスのエレクトロ・ミュージックが台頭する時期。大学生のポールは、親友とデュオを作り、DJ活動を始める。NYのパラダイス・ガラージから派生したジャンルを問わずミックスするスタイルのガラージで、彼らの「Cheers(チアーズ)」は瞬く間に人気となる。そんな成功に酔いしれるうち、金銭感覚が麻痺。ドラッグに溺れ、経済状況は悪化、恋人との関係も壊れ、やがてポールが生み出す音楽は、最先端のクラブシーンと少しずつ乖離していく。



学生時代の彼らの横で、台頭してくるダフトパンク(もちろん役者だが)も登場するから面白い。この時期のフランチ・ハウスの模様が眺められるという楽しさと、音楽、ファッション、ドラッグ、酒とは切っても切り離せない若者風俗のスケッチが脳内を心地良く刺激してくれるだろう。第1部「パラダイス・ガラージ」と第2部「ロスト・イン・ミュージック」に分かれており、それぞれ隆盛編、衰退編といった感がある。



監督は女優としても活躍していたミア・ハンセン=ラヴだが、共同脚本は兄で、現在は小説家のスヴェン・ハンセン=ラヴが担当。このスヴェンがポールのモデルで、本当にチアーズという名のDJデュオを組んでいた。タイトルのエデンは、レイヴが流行った時期に刊行された雑誌の名称だが、様々な経験値を得て成長したポールの続編「エデンの園に辿り着いたか」も勝手に期待したい。9月5日より新宿シネマカリテほかロードショー予定。




 2015/08/22 14:14  この記事のURL  / 

コンセプトは「おさわり」展

日本ブランドの海外進出サポートなどを行う(有)カシュ・カシュは、今年10月、日本における新しいタイプの合同展示会「SOLEIL TOKYO(ソレイユトーキョー)」を立ち上げる。
ブランドの負担を軽減し、多くのバイヤーとの出会いを作るために、ブランドのコアな部分、エッセンスのみを1スパンのラックや平台で見せ、それぞれの個展へと誘うライトな出会いの場にする。したがって基本的にブランド側の担当者は居らず、サンプルのみを展示し、ゆったりと見ることができる。
出展者は、レディスウエア・アクセサリーを中心にメンズウエア、バッグ、ランジェリー、シューズ、オーガニックコスメなど17ブランド。
日程は2015年10月20〜23日10〜19時(※初日のみ13時スタート)で、会場はstopover tokyo(港区南青山3-8-14)。
出展ブランドは以下の通り。
灰汁/aku(アク)、10for1(テンフォーワン)、T.MICHIKO(ティー・ミチコ)、TAGE(タージュ)、
TAKU(タク)、TELLSIT(テルズイット)、VIM+BOP(ヴィム・プラス・バップ)以上レディスウエア
MN LAST(エムエヌ・ラスト)・メンズウエア、傳tutaee(ツタエ)・ユニセックスウエア、
gf&hearties(グッドフェローズ&ハーティーズ)・バッグ、新ブランド名称未定・ランジェリー、
CARRE BLANC costume(カレ・ブラン・コスチューム)、niconeru(ニコネル)、
pierreet pierre(ピエール・ピエール)、TO LABO(トゥ・ラボ)以上アクセサリー、
ombrede peridopal(オンブル・ドゥ・ペリドパール)・レディスシューズ、
CODINA(コディナ)・オーガニックコスメ

また全国のセレクトショップ・専門店にとって役に立つよう、連日、著名な業界人を呼んでトークショーも開催する。手前味噌だが、私がナビゲーターを務める予定だ。
トークショーの概要は下記の通り。
定員30名・受講料1000円・1ドリンク付(※開演1時間前より整理券を配布)
10月20日(火)16〜17時「伊勢丹バイイングの決め手はコレ」
中北晋史・三越伊勢丹仕入構造改革担当部長・元リスタイルバイヤー
10月22日(木)16〜17時「ファンを惹きつけるための企画から店頭までの販促政策や
国内デザイナー支援など、あらゆる施策にはビームス流フィロソフィーがある」
金田英治・ビームス執行役員経営企画室長
10月23日(金)16〜17時「トゥモローランドのイメージ戦略とその裏側」
上野晃・トゥモローランド販売促進部長
※テーマ・講師は予告なく変更する場合があり。変更はFacebookページにて。

 2015/08/18 18:05  この記事のURL  / 

まだまだリサーチし甲斐のあるベルリン


先月のベルリン取材の中で、いくつか面白いトピックスがあったので、紹介していきたい。
まずは、Bikini Belrin(ビキニベルリン)という市内ZOO(ツォー)駅前のショッピングセンター(SC)にある新進クリエーターのセレクトショップとその中や別スペースで開催されているポップアップストアの話。このセレクトショップ「LNFA」は、デザインコンシャスをコンセプトに様々なブランドを集めて販売している。この中で「TOKYO MEETS BERLINERS(トーキョー・ミーツ・ベルリナーズ)」というコーナーがあり、レディスウエアの「CiL(シル)」「ワンピースとタイツ」、アクセサリーの「AQUVII(アクビ)」など小さな日本のブランドを紹介している。



そしてこのSCの中のLNFAのほぼ反対側にある空きスペースで「Go-Bikini Berlin(ゴー・ビキニベルリン)」と題したポップアップストアが開かれ、7月5〜17日にはファッションを中心とした展示即売が行われた。こちらでは「プレミアムベルリン」にも出展した「KEISUKE YONEDA(ケイスケヨネダ)」が販売されていた。この取り組みを主宰するのが東京・原宿のセレクトショップ「CONNECTER TOKYO(コネクタートーキョー)」とコラボする「Tokyo Showroom(トーキョーショールーム)」だ。今年の1月からスタートし、ベルリンの他の地域での開催も含め、順次拡大していくそうだ。





もう一つは、パリの「MAN(マン)」に出展しているベルリン在住フランス人のブランド「BROWNIE and BLONDIE(ブロウニー・アンド・ブロンディー)」がミッテ地区に直営店を開いた。スポーツ素材をオーセンティックなデザインに落とし込んで、日常着として提案している。ブックやマップ、マグカップなど観光客の多い土地柄に合わせてセレクト商品も多数入れており、暫時ポップアップなども行なっていくという。





そして、イーストサイドギャラリーから橋を越えた、ちょっと場末な雰囲気のSchlesiches Tor駅の近くで見つけた2軒並んでいるビンテージセレクトショップ。キッチュな70年代テーストを漂わせながら、なんと日本製のビンテージドレスも販売している。ミッテ地区以外でもリサーチし甲斐のあるベルリンなのだ。
 2015/08/18 17:36  この記事のURL  / 

人生、もうひと頑張りしようと思わせる映画だった
最近、「運命と死」をテーマにした映画の試写を2本ほど観た。


(C)2014 Best of Me Productions, LLC All Rights Reserved 

アメリカ映画の『かけがえのない人』は、20年振りの恋人との運命的な再会から、10代の時の甘くもほろ苦い恋の回顧シーンへと誘う。若い二人が恋に破れ、また再会から運命の糸を感じ、やがて大切なものは何かを理解し合う二人。だが、彼ら二人には、さらに過酷な運命が待ち受ける。観終わった後、観客は、それが運命だったのだと気付く。



ストーリーは公式サイトに譲るとして、運命とか必然とか、時に人はそんな言葉に頼りたくなる時がある。結果が吉であっても凶であっても。それは過去となってしまった「過ぎ去った今」については、受け入れる以外に術が無いことを知っているからだ。しかし運命は変えられるというフレーズもよく聞く。未来の運命は変えられるという希望的な幻想を抱くから。もちろん主体的に変えられることも沢山あり、それを否定するつもりも無いが、結果、こう変えられたと満足したとしても、それも運命のなせる技だったと言われ、ぐうの音も出ない。死んで、そばに宿る意味を、貴方はどう受けとめるか。本作は、8月22日から恵比寿ガーデンシネマほか全国順次公開予定。




(C)2015「岸辺の旅」製作委員会/COMME DES CINÉMAS

そしてもう1本は邦画の『岸辺の旅』。 3年前に失踪したはずの夫(浅野忠信)が突然戻ってきて「俺、死んだよ」と。それから夫が世話になったという街へ、妻の深津絵里が共に旅しながら、最期の別れを迎えるというストーリー。一つ目の街では新聞配達を生業とする孤独な初老の男性を、二つ目の街では小さな食堂を営む夫婦を、三つ目の街では山奥の農園で暮らす家族を訪ねる二人。
本作は、第68回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門で監督賞を受賞し、10月1日からテアトル新宿ほか全国ロードショー予定だが、フランスの配給会社Version Original(バージョンオリジナル)により、今秋フランス国内で100〜150館規模での公開が予定されているというから楽しみだ。恐らく現代日本の原風景のような田舎町と自然が、小津好きのフランス人に受けると踏んだのだろうか。



さて本題に戻るが、死んでしまった夫と生きている妻のあり得ない会話だからこそ、聞きたいこと、知りたいことがあるという意味で、この設定はあまりにも興味深い。そして行く先々で死を受け入れられずに生きて生活しているかのような人々とリアルに生きている人々が交錯しながら、矛盾をはらみつつ展開するストーリーには、それぞれの登場人物達の忘れられない思い出がある。



生きている者の心の中にどう宿るのか。先の映画と併せて考えると、いかに愛する人の心に自分を刻み付けたかが、人生の評価なのかもしれないと反省しきり。あっ、まだ死んでないから、もうひと頑張りするか。
 2015/08/09 19:36  この記事のURL  / 

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名前:久保 雅裕
Masahiro KUBO

アナログフィルター『ジュルナル・クボッチ』編集長

ファッションジャーナリスト・ファッションビジネスコンサルタント。繊研新聞社に22年間在籍。『senken h』を立ち上げ、アッシュ編集室長・パリ支局長を務めるとともに、子供服団体の事務局長、IFF・プラグインなど展示会事業も担当し、2012年に退社。

大手セレクトショップのマーケティングディレクターを経て、2013年からウェブメディア『Journal Cubocci』を運営。共同通信やFashionsnap.comなどにも執筆・寄稿している。杉野服飾大学特任准教授の傍ら、コンサルティングや講演活動を行っている。また別会社で、パリに出展するブランドのサポートや日本ブランドの合同ポップアップストアなども実施し、日本のクリエーター支援をライフワークとして活動している。
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