« 前へ | Main | 次へ »
ダークなブランド集め、存在感増すVOID & O ショールーム @ PARIS


パリ・マレ地区にセレクトショップ「O Paris(オー・パリ)」を運営しているシマムラ・パリ&コーは昨年9月から、ショールーム「VOID(ボイド)」と組んで、新しいショールーム「ボイド・アンド・オー・パリ」を立ち上げ、メンズ、レディスのファッションウイークに北マレ地区で開催してきた。
ボイドショールームは、デンマーク人のESBEN LESCHLY BLEGVAD(エスベン・レシュリー・ブレグバッド)さんがパリでメンズ、レディスそれぞれの時期にデンマークブランドを集めて運営してきたのだが、それらのブランドをオー・パリが買い付けする関係で、その先に「何か一緒にできないか」と共同でショールームを立ち上げた訳だ。
通常のショールームでは、売上げに対する手数料が発生するが、本展の場合はハンガーラック当たりの参加料のみで、営業サポートを希望するブランドにはオプションで提供している。

この6月末のメンズの時期にも6月27日〜7月1日に開催し、初日の夜には「SOSNOVSKA」「BY H. NEW YORK」「ARMY OF ME」「LUCA BIANCHINI」「PETRUCHA」「XENOPHORA」などによる合同ショーとパーティーが開かれた。



2012年にスタートした「GALL(ガル)」はローマのブランドで、同展には2回目の参加だ。イタリア製の綿素材にアルミニウムを貼り付け、ポリウレタンコーティングを施すことにより、クラッシュしても元に戻る「紙」のような生地が特徴だ。「日常生活を守るための鎧」をイメージしたブルゾンは283ユーロ(FOB)。袖がジップで取り外しできるフード付きコートが383ユーロ。



スウェーデン・ストックホルムから参加した「MURKY(マーキー)」は、2年前にスタートした新進ブランドだ。スカンジナビアのリサイクルシルバーを使用し、酸化させることによって独特のくすんだメタル感を醸し出す。擦れたり、磨きが掛かることによって元のシルバーに近づいてくるという逆・経年変化が楽しめる。ブレスレットが765ユーロ、2つのリングを繋いだ指輪が180ユーロ、連続したリングが380ユーロ。




今回もデンマークのみならず北欧を含めた欧州全域からの22ブランドの出展があり、ダークな世界観の展示会として定着しつつある。
次回、レディスのファッションウイーク中は10月3〜7日を予定している。

 2015/07/20 16:39  この記事のURL  / 

パリ6月、ウクライナからのモードの風を感じて
6月末のパリ。サントノーレ通りでも華やかな西側ではなく、パレロワイヤルよりもずっとフォーラム・デアル側に寄った東側の場所で、ふと目に留まったのが比較的派手めのクリエーターばかりを集めたギャラリーだった。店舗なのかショールームなのかを尋ねると、なんとウクライナのデザイナーショールームだと言う。そう、あの国内情勢が厳しいウクライナのデザイナー達も、2016年プレスプリングのシーズンに、しっかりとパリでショールーム(6月25日〜7月1日)を行なっていたのだ。
しかも、既にエディション(トゥモローランド)、伊勢丹、ドゥーズィエムクラス(ベイクルーズグループのラクラス)、リステアに販売していると言う。もちろん首都のキエフは政情も安定していて経済活動も日常化している。しかし、売る先は国内には少ないのだろう。やはり世界を相手に営業活動をしていかねばならないのが欧州小国の宿命だ。
ショールームの名前は「MORE DASH」。所属しているデザイナーは沢山居るそうだが、今回は4人のデザイナーのコレクションを披露していた。

Anna K(アンナ・ケー)」は弱冠19歳の若さで活躍している。12年、16歳の時からブランドを始め、その後メルセデスベンツ・キエフ・ファッションデイズ(ウイークでなくデイズというところにウクライナの発展途上性が伺える)で見い出された事によって、国際的な舞台へと羽ばたくようになった。切り花を立体的に縫い付けたワンピースは500ユーロ(小売価格)。



ANTON BELINSKIY(アントン・ベリンスキー)」もキエフ・ファッションデイズに参加し、数シーズンに渡ってニューバランスとコラボするなどの活躍振りだ。パネル使いの得意なストリートスタイルのレディスウエアを制作している。常にメッセージを発信しており、様々な文章でキャッチーなカジュアルスタイルを演出するワンピースは350ユーロ。



KSENIA SCHNAIDER(クセニア・シュナイダー)」は11年にクセニア・マルチチェンコとアントン・シュナイダーの2人によってスタートしたブランドだ。ここ数シーズンは、伝統的なウクライナ刺繍をグリッチアライクさせたデジタルプリントが特徴で、ワンピースやカジュアルアイテム、シューズまでカラフルなプリントで構成されている。ボリューム感のあるシャツワンピは510ユーロ。



OMELYA(オメラ)」は、13年から海外販売に着手。キーワードを前面に出したストリート感溢れるコレクションだ。15年春夏シーズンの「RELAX」ワードとモノトーンの世界から一変し、カラフルなヒョウ柄プリントにリアルなダチョウの毛を裾にたっぷりと付けたワンピース(750ユーロ)を披露。しかし「PARTY OR DIE」の挑発的なメッセージワードは健在だ。



披露されているコレクションを見ると、明るいアバンギャルドさとパンクロックの魂を感じられるものが多かったように思う。それは戦時下にあっても、ファッションを楽しみたいという気持ちと、現状打破への激しい猛りが綯い交ぜとなったような表現にも見える。
彼らにとって、ファッションは常に希望の光であってほしいと願い、ショールームを後にした。
 2015/07/18 16:18  この記事のURL  / 

中東とパリをデザイン・アートの力で結ぶ BENSIMON


パリのレディスプレコレ期間中の7月2日、エチエンヌマルセルに程近い「Autour du Monde BENSIMON(オートゥール・デュ・モンド・ベンシモン)」で、Lebanese American University(レバノン・アメリカン大学)ファッションデザイン学部の学生とのコラボレーションによる作品展示とワークショップイベント、「BENSIMON ADDICTED TO LOVE EXPOSITION DE TENNIS “FROM PARIS TO LIBAN”(パリからレバノンへ)」が開かれた。

この催しは、ベンシモンのレバノン代理店を担っているLes Petits Parisians(レ・プチ・パリジャン)のMaya MROUEH(マヤ・ムルーエ)さんが企画し、実現させたものだ。ムルーエさんは、ベイルートとクウェートで子供服セレクトショップを経営していた関係で知り合ったのだが、現在はベイルート店を閉めざるを得ない状況だそうだ。つくづく平和でなければファッションは楽しめないと思い知らされる。

ワークショップでは、来店者が白のテニスモデルのスニーカーに自らグラフィックを描き、フリンジやスタッズなどを付けて、自分だけのカスタマイズ靴を作るというもの。店の外にテーブルと椅子を設え、色とりどりのフェルトペンやレバノンの伝統的なモチーフを型取ったチャームなども用意された。また伝統的な絵柄やテキスタイルパターンなどの見本も揃えられ、猛暑日のパリではあったが、楽しみながら思い思いに制作していた。



17人の学生とのコラボ作品は、象の肌のような皺や穴の開いた布を被せたデザイン、極地や雪の結晶、アフリカンテキスタイル、ゴシック模様、インドの市場に並ぶエキゾチックフルーツといったものからインスパイアされたグラフィックなどカラフルでアーティスティックな柄が並んだ。なかには、お国柄からだろうか、地球上の戦争の悲惨さと、美と贅沢を追求するという相反するテーマで一つの作品に挑んだ学生もおり、蝶をモチーフに自由の尊さを表現したそうだ。またジャクソン・ポロックを思わせるペインティングアートやボヘミアンをテーマにした手刺繍とデジタルプリントの組み合わせ、ストリートのウォールアートを描いたものまで、様々なテーストで来店者を惹きつけていた。

中東が身近な存在として日常のファッションに立ち現れる点から見ても、パリのインターナショナルさが感じられる。
日本においても、こういった地域とのファッションを通じたリレーションが深まることで新たなカルチャーミックスや視座の広がりを望みたい。

 2015/07/14 20:17  この記事のURL  / 

更なる新機能、提携の拡大で事業展開を図る AIファッションアプリのセンシー


人工知能(AI)の実用化が着々と進んでいる。それはコンピューターのレベルが上がれば上がるほど、人間を超えていく可能性を秘めている。オセロゲームや将棋の世界では、もはや計算能力でコンピューターの方が上を行ってしまった感すらある。
さて、こうしたAIを感性分析に使おうという研究は既にあちらこちらで行われており、サービス実用化に向けて動き出している。
そんな中、先日このAIを活用したファッション購買支援アプリの「SENSY(センシー)」を運営するカラフル・ボードから、新たな事業計画が発表された。
1つ目は、タレントの鈴木奈々らが所属するツインプラネットグループのリデルと業務提携し、公式アカウントの拡大を図り、PR分野において協業を実施する。
2つ目は、アパレル向けのサービスを本格展開していくという。内容的にはEC内にセンシーを埋め込みAIによる接客の実施、タブレット端末などを用いた店頭でのAI接客、センシーで得た情報によるMDの最適化支援とマーケティングなどのサービスを提供する。
3つ目はAIテクノロジーの強化のために、従来の千葉大、慶応義塾大との研究に加えてIBM Watson(国内はソフトバンクモバイルが展開) とエコシステムパートナーとなり、自然言語処理の向上に向けての開発を進めていくそうだ。
そして最後はアプリへの3つの新機能の投入で、お気に入りアイテムの在庫が、どの最寄りの店舗にあるかをGPSによって知らせるナビゲート機能、欲しい物が欠品した場合に類似商品を検索する機能、今までは公式アカウントにしかなかった自身のセンスを公開する機能を一般アカウントにも拡大するといった新機能を付加するそうだ。また今年の夏から秋にかけて、AIによる自身のセンスに合ったコーディネートを作れる機能も付加する予定で、この部分は、つい先日のテレビ東京系「WBS(ワールドビジネスサテライト)」でも放映された。
同社のようなベンチャー企業には、こうした事業展開を図るうえで資本増強が必要となってくる。そこで2015 年6 月には、アドウェイズからの追加資金調達を行い、エンジニアの増員、開発の更なるスピードアップを図っていく予定だそうだ。
一つ頭飛び出した同社の今後を注視していきたい。


 2015/07/01 16:00  この記事のURL  / 

« 前へ | Main | 次へ »
名前:久保 雅裕
Masahiro KUBO

アナログフィルター『ジュルナル・クボッチ』編集長

ファッションジャーナリスト・ファッションビジネスコンサルタント。繊研新聞社に22年間在籍。『senken h』を立ち上げ、アッシュ編集室長・パリ支局長を務めるとともに、子供服団体の事務局長、IFF・プラグインなど展示会事業も担当し、2012年に退社。

大手セレクトショップのマーケティングディレクターを経て、2013年からウェブメディア『Journal Cubocci』を運営。共同通信やFashionsnap.comなどにも執筆・寄稿している。杉野服飾大学特任准教授の傍ら、コンサルティングや講演活動を行っている。また別会社で、パリに出展するブランドのサポートや日本ブランドの合同ポップアップストアなども実施し、日本のクリエーター支援をライフワークとして活動している。
最新記事
月別アーカイブ
カテゴリアーカイブ