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サスティナブルやCSRとファッションブランド


前回もパタゴニアのリサイクルポリエステルの話を採り上げたが、今回もそんなお話。
様々なブランドが、エコやリサイクル、フェアトレードといったサスティナブルな取り組みを広げている。また商品そのものの作り方や流通だけでなく、チャリティーといった形でCSR(企業の社会的責任)を果たそうとする試みも大切なことだ。最近取材に回っていて、こうした取り組みの広がりを如実に感じる。それは、作る側も買う側も、そのことを意識せざるを得ないほど、人類が立ち行かなくなっていることの証左でもある。



ブラジルのブランド「OSKLEN(オスクレン)」は、アマゾン川に生息する魚、ピラルクの皮を使ったアイテムを作っている。ピラルクは大型の淡水魚でアマゾン川流域の原住民が食用としているのだが、その皮が大量に捨てられ、また皮そのものが硬く、処分に困り環境汚染にもなるという厄介なものだったそうだ。それに手を加えて材料としての革へと変化させ、バッグや靴に応用した。鱗の雰囲気はスネークレザーのようにも見え、独特な凹凸感とワイルド感が面白い。当然ワシントン条約対象物のため、手続きは面倒だが、その手間を掛けても原住民の生活の糧と環境保全になる側面から取り組んでいるという。このピラルクの取り組みを素敵なビジュアルとともに見せる企画展「A21 【Practice #1】」が駐日ブラジル大使館で4月23日まで開かれている。


 
「MONTBLANC(モンブラン)」は、東日本大震災で残った「奇跡の一本松」で作った万年筆で陸前高田市に寄付を行なう活動も実施したが、2004年から続けているユニセフへの支援もユニークな活動だ。万年筆メーカーならではのこだわりで、識字率向上のための活動に寄付を行っている。世界では約5900万人の子供たち学校に通えず、成人の字が読めない人の数は約7.8億人とも言われている。子供たちが最初に学ぶ文字を6ヶ国語でデザイン。日本語は「あ」となる。ロゼッタストーンをモチーフに仕上げ、特にスケルトンのモデルは爽やかなブルーにインクの量が一目で分かる仕様になっている。このマイスターシュテックは未だに回転式スポイトなのだから、手巻きの時計のようなものだ。愛着が湧くのも無理はない。この辺りに老舗のこだわりを感じる。筆記具以外の腕時計、文具なども含めた2017年4月〜2018年3月までの売上げから少なくとも1500万USドルをユニセフに寄付するそうだ。 
さて、こうした取り組みが随所で見られるようになったことは喜ばしいことだが、これら点と点を結び付け、大きな潮流にしていくとともに、国家レベルでのしょうもないエゴを叩く取り組みも強めていかねば真の解決には至らない。そのことも肝に命じて頑張ろう。


 2017/04/15 16:13  この記事のURL  / 


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名前:久保 雅裕
Masahiro KUBO

アナログフィルター『ジュルナル・クボッチ』編集長

ファッションジャーナリスト・ファッションビジネスコンサルタント。繊研新聞社に22年間在籍。『senken h』を立ち上げ、アッシュ編集室長・パリ支局長を務めるとともに、子供服団体の事務局長、IFF・プラグインなど展示会事業も担当し、2012年に退社。

大手セレクトショップのマーケティングディレクターを経て、2013年からウェブメディア『Journal Cubocci』を運営。共同通信やFashionsnap.comなどにも執筆・寄稿している。杉野服飾大学特任准教授の傍ら、コンサルティングや講演活動を行っている。また別会社で、パリに出展するブランドのサポートや日本ブランドの合同ポップアップストアなども実施し、日本のクリエーター支援をライフワークとして活動している。
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