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東京のファッションウイークは1ヶ月前倒しを!!

左からTAAKK sulvam doublet

アマゾンファッションウイーク東京になって2回目のシーズンが終わった。最終日の東京新人ファッションアワード・ウィナーズデーなど、大いに盛り上がった気がする。
しかし、メンズで披露したブランドの多くは既にオーダーを締め切った後だ。「これまで関ってくれた多くの人たちに感謝の気持ちを込めて」とか「顧客へのアピールやサービス」とか、いろいろと理由は付けられているが、17-18年秋冬物を見せるのは、ビジネス的にはどうにも中途半端というしかない。
世界的に見ると、メンズウイークとウィメンズのプレコレが重なり、メンズとウィメンズを統合したショーを行う動き、小売によるデリバリー時期早期化のプレッシャーに伴うプレコレへの比重の増大、それに寄り添う形での生産サイクルの前倒しの流れ、そして言わずもがなの「シーナウ・バイナウ(SNBN)」。誰に向けたショーなのか、ファッションウイークなのかを巡って迷走が始まっていることは間違いない。昨年9月のSNBNのショーが販売不発に終わったとしてB向けに戻すと発表したトムフォードの報道もあった。まさに試行錯誤の時期なのだ。
従来通りのバイヤーに向けてであるとすれば、もしかしたらメンズ・ウィメンズ統合で一気に見せる流れも起こり得るし、顧客や消費者に向けてであれば、1月と7月の立ち上がり期にそのシーズンのショーを宣伝と実売のための販促を兼ねて行っても良い。プレスからするとBなのかCなのかで、その対応を変えれば良い話で、昨今のブロガー、インフルエンサーのCへの影響力を借りるならSNBNが最も有効な手段だ。でもそれはSPAや直営店政策を採る大手にしかできないことでもある。在庫を持たない卸中心のブランドは、やはりB対策でのプレゼンスがまずは必要だ。
そんな混沌とした状況下で、パリの翌々週に開かれる東京は、いつまで経っても世界の生産流通サイクルに参加できないでいる。3月中旬と10月中旬にウイークを行い、オーダーの刈り取りを3月末から4月初めまで行っていると、既に3月初旬に締めてしまっている世界のブランドには追い付けないし、ましてやプレコレに比重が移っている中で更に後れを取りかねない。であれば、パリより先に見せて、予算を確保してもらうという活路もアリではなかろうか。
もちろん現実的には、国内の専門店のオーダーに引っ張られて3月末の締めだったり、或いはサンプルアップが間に合わないという問題も抱えている。しかし日本の川上から川下までが、世界標準に合わせていくことで、日本ブランドの世界展開が加速できるはずだ。既に川上・素材段階では、随分前から世界標準のスケジュールで動き始めており、川中の海外進出を本格化させるためのリード役として、2月ニューヨーク前のファッションウイークの開催をそろそろ模索していっても良いのではなかろうかと思う次第である。
そのためには、国内小売りサイドも早めの発注を心掛けてもらわなくては困る。「実態はそんなに甘いもんじゃない。消費の先行き不透明感が強すぎて、そんなに早くは決められない」との声も聞こえてきそうだが、日本のブランドを海外へと押し出していくためには、業界一丸となった助けが必要だ。少々乱暴な言い方になるかもしれないが、ほとんど中小零細が占める川中の卸型ブランドの為に、大手セレクトショップや大手生地問屋などの社会的役割、いや責任を少しは肝に銘じてほしいと思う。
 2017/03/26 19:55  この記事のURL  / 


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名前:久保 雅裕
Masahiro KUBO

アナログフィルター『ジュルナル・クボッチ』編集長

ファッションジャーナリスト・ファッションビジネスコンサルタント。繊研新聞社に22年間在籍。『senken h』を立ち上げ、アッシュ編集室長・パリ支局長を務めるとともに、子供服団体の事務局長、IFF・プラグインなど展示会事業も担当し、2012年に退社。

大手セレクトショップのマーケティングディレクターを経て、2013年からウェブメディア『Journal Cubocci』を運営。共同通信やFashionsnap.comなどにも執筆・寄稿している。杉野服飾大学特任准教授の傍ら、コンサルティングや講演活動を行っている。また別会社で、パリに出展するブランドのサポートや日本ブランドの合同ポップアップストアなども実施し、日本のクリエーター支援をライフワークとして活動している。
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