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シェフたちの苦悩からクリエーションが生まれる

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蟻を食材に使うことで知られるデンマーク・コペンハーゲンの斬新な評判を持つ有名レストラン「noma(ノーマ)」が2015年1月に5週間だけ東京にやってきた。『ANTS ON A SHRIMP ノーマ東京 世界一のレストランが日本にやって来た』と題する本作は、その際のスタッフの苦悩と苦闘を追いかけたドキュメンタリー映画だ。
ノーマは、英国の「世界のベストレストラン50」で2010年から7回連続でベスト5入りし、うち4回1位に輝くという偉業を成し遂げており、この「ノーマ・アット・マンダリンオリエンタル東京」の企画は世界的にも注目を浴びた。7万円近い高額なメニューにも関わらず2000席に対して6万2000人がウェイティングリストに名を連ねたという。
それだけにスタッフのプレッシャーは半端なものでなく、また連日続く長時間にわたる試行錯誤で、具合が悪くなる者も出てくる始末だ。それもその筈、ノーマを率いるカリスマシェフのレネ・レゼピは、コペンハーゲンと同じメニューを許さず、日本の食材で作る新たなクリエーションをスタッフたちに課したからだ。また英語が通じないことも、スタッフに大きな負荷をかけることとなる。



長野に自生するキノコを求め、沖縄の地で日本人も知らないような果物を獲得。北は青森まで食材探しの旅に出るスタッフ達。スッポンも料理に加えるなど挑戦的なメニューとなった。
スタッフが考案したメニューにダメ出しするレネ。失敗をくり返しては、また更に突き詰めていく。あるスタッフの言葉が印象的だった。「99%の失敗を生かす」。そう失敗は成功の母なのである。そして「本店のコピペは出さない」ととことんクリエーションを突き詰めていく姿が、ファッションにおけるクリエーションと重なってくる。



さて、果たして我々ファッション業界でもここまでの突き詰め方をしているだろうか。この映画を見て自問自答してみよう。
もう一つ業界的な話題としては、スタイリストで「ARTS& SCIENCE(アーツ・アンド・サイエンス)」のオーナー、ソニア・パークさんが食器のキュレーションを担当した。
12月10日よりヒューマントラストシネマ有楽町、恵比寿ガーデンシネマほか全国順次公開予定。

 2016/12/04 21:10  この記事のURL  / 


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名前:久保 雅裕
Masahiro KUBO

アナログフィルター『ジュルナル・クボッチ』編集長

ファッションジャーナリスト・ファッションビジネスコンサルタント。繊研新聞社に22年間在籍。『senken h』を立ち上げ、アッシュ編集室長・パリ支局長を務めるとともに、子供服団体の事務局長、IFF・プラグインなど展示会事業も担当し、2012年に退社。

大手セレクトショップのマーケティングディレクターを経て、2013年からウェブメディア『Journal Cubocci』を運営。共同通信やFashionsnap.comなどにも執筆・寄稿している。杉野服飾大学特任准教授の傍ら、コンサルティングや講演活動を行っている。また別会社で、パリに出展するブランドのサポートや日本ブランドの合同ポップアップストアなども実施し、日本のクリエーター支援をライフワークとして活動している。
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