« 前へ | Main | 次へ »
ボルドーの真髄はグランヴァンではない


ボルドー新世代代表×日本のワイン界のキーパーソンが語る「ボルドーワインの近未来像」と題したパネルディスカッションが、2016年9月12日に渋谷で開かれた。パネラーにはボルドーから研究、生産、販売の3分野の若手、シャトー・ラフォン=ロシェのアナイス・マイエ氏とヴィノーブル・シオザール輸出営業担当ダビッド・シオザール氏、コンサルタントのアクセル・マルシャル氏が、日本からは若手生産者の中央醸造酒・栽培醸造責任者の三澤彩奈氏と日本人初のMW(マスター・オブ・ワイン)山仁酒店・代表取締役の大橋健一氏が登壇。モデレーターにワインジャーナリストの山本昭彦氏を迎え、4つのテーマを軸に試飲を交えながら討論が進められた。



特に注目されたのが、ビオやエコロジー、サスティナブルに対するボルドーの取り組みだ。その中でも印象に残った発言が「ボルドーの真髄はグランヴァンではない」。すなわち、中小企業協同化の活動が活発で、その表れがボルドーワイン委員会の様々な啓蒙活動やボルドー大学の卓越した研究成果、そして、つい最近オープンしたワインミュージアム「ラ・シデ・デュ・ヴァン」と言える。
水や電力などのエネルギー消費削減のための集団的取り組みを進めており、その中から生まれたアイディアで「電力消費削減のため、ラフォン・ロシェでは、昨年工事を行い、醗酵室に自然光を取りいれるようになった」「除草剤を使わないことが、加速化して広まっている」とした。大橋氏からは、「ボルドーのシャトーオーナーに投資家が多いので、いつ成果が出るのか分からないことへの投資の決断は難しい。それにもかかわらず、ビオロジックやビオディナミ、統合的な栽培、減農薬農法など環境に関する何らかの認証を受けているぶどう畑が45%とフランスの全国平均を上回っていることを評価しなければならない」とした。また三澤氏は「ボルドーは、エコロジーとテクノロジーを組み合わせている。減農薬やビオロジックなど、一人でやっていくのは難しいが産地全体で取り組む強さがある」と評した。マイエ氏も「これまでは自分のワイナリーだけで行うことが多かったが、環境面については協力が必要。それ以外の面でも集団的取組みが必要であろう」とした。
いずれにしても、中小企業の協同化によって世界に向けた発信力とサスティナビリティーを持ち合わせているボルドー。我が国のファッション業界も中小企業の集まりだ。学ぶべき点はあるのかもしれない。

後編は「単なるボルドーの宣伝ではなかったラ・シテ・デュ・ヴァン」に続く


 2016/09/20 16:30  この記事のURL  / 


« 前へ | Main | 次へ »
名前:久保 雅裕
Masahiro KUBO

アナログフィルター『ジュルナル・クボッチ』編集長

ファッションジャーナリスト・ファッションビジネスコンサルタント。繊研新聞社に22年間在籍。『senken h』を立ち上げ、アッシュ編集室長・パリ支局長を務めるとともに、子供服団体の事務局長、IFF・プラグインなど展示会事業も担当し、2012年に退社。

大手セレクトショップのマーケティングディレクターを経て、2013年からウェブメディア『Journal Cubocci』を運営。共同通信やFashionsnap.comなどにも執筆・寄稿している。杉野服飾大学特任准教授の傍ら、コンサルティングや講演活動を行っている。また別会社で、パリに出展するブランドのサポートや日本ブランドの合同ポップアップストアなども実施し、日本のクリエーター支援をライフワークとして活動している。
最新記事
月別アーカイブ
カテゴリアーカイブ