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着る人によって変わるシーズンレスの服 13 BONAPARTE

初来日したダビッド・サルファティ

パリのメンズ合同展「MAN(マン)」に出展する「13 BONAPARTE(トレーズ・ボナパルト)」は、春夏・秋冬のシーズンを追いかけるファッション産業のコマーシャルスタンスから距離を置き、定番を進化させるコレクションを目指している。「着る人の解釈によって同じ服が別のものになる」というデザイナー、David Sarfati(ダビット・サルファティ)は、NYのFIT(ニューヨーク州立ファッション工科大学)で「ファッションビジネスとマーケティング」をテーマに修士号を取得し、パッケージデザインの道へ。一風変わった経歴のダビッドに話を聞いた。



ファッションに目覚めたのは?
両親がパリ市内と郊外で、スポーツ系の洋服屋(ブティック)を営んでいました。夏休みには店を手伝っていましたから、小さい頃から自然と自分のブランドを持ちたいと思っていました。ただ少し違った事もしてみたいとFIT卒業後、コスメのパッケージデザインの仕事でブランディングなども学んできました。
帰国後、方向性も手法も明確に決めていました。それは、お客ときちんとコンタクトを取り、自分の世界観を伝えたいという事で、2011年にブランドを作り、12年にはマレ地区に店を構えました。15年6月からはマンに出展して卸も広げています。日本の「エディフィス」が店を訪れて、ラインナップの多くを買い付けてくれたのが印象に残っています。

日本の消費者については、どんな印象を持っていますか?
日本人は服の自由さと可能性を大事にしていると思います。洋服を着て、アイデンティティーを構築し、着る人によって違ってくる。そんな服の持つ飛翔感を理解しているのだと感じます。私自身と心の在り方がシンクロしているように感じていて、シンプルさやナチュラルさ、本物に対する審美眼や物に対する尊敬の気持ち、厳格さを伴った行為など共感する部分が多いのです。例えば美容師のオーダーの受けとめや仕事の緻密さのように。
私の商品の生地やフォルムに対する理解がある意味、ツーカーのように感じるのです。
ある日、店に若い日本人観光客の男性が入ってきて、英語で「服が僕に語りかけてくる」と語ったのです。2時間ほど話をし、翌日、友人を連れて再来店しました。彼は、誠実さを持って服と対峙していたのだと感じました。そんな日本人と共通する居心地の良さとホスピタリティーを実現していきたいと考えています。



対極にあるファストファッション(FF)のもたらす構造変化について、どのように考えますか?
FFは確かに面白いものを安価に手が届かなかった人々、あらゆる階層に平等に届けるという点や古いものは捨てて変化と楽しさを提供し、通りが華やぐという役割を果たしています。
一方で私のコレクションは、継続性に重きを置いており、着る人のアイデンティティーも変わらず、毎シーズンのコレクションも大きくは変えていません。それはFFが「変化」なのに対し、私のコレクションは「進化」なのだと思っています。

10年後、どのようにありたいと思いますか?
自分の世界を色々な国に広げていくこととアクセサリーなども展開したいです。インターナショナルに店を展開し、個々の店で顧客とインスピレーションを交換していきたいです。花開いていくようにブランドの成長が、自身の成長になると考えています。
あとは世界各地を旅したいですね。

<問い合わせ>ユニット&ゲスト


 2016/05/23 23:49  この記事のURL  / 


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名前:久保 雅裕
Masahiro KUBO

アナログフィルター『ジュルナル・クボッチ』編集長

ファッションジャーナリスト・ファッションビジネスコンサルタント。繊研新聞社に22年間在籍。『senken h』を立ち上げ、アッシュ編集室長・パリ支局長を務めるとともに、子供服団体の事務局長、IFF・プラグインなど展示会事業も担当し、2012年に退社。

大手セレクトショップのマーケティングディレクターを経て、2013年からウェブメディア『Journal Cubocci』を運営。共同通信やFashionsnap.comなどにも執筆・寄稿している。杉野服飾大学特任准教授の傍ら、コンサルティングや講演活動を行っている。また別会社で、パリに出展するブランドのサポートや日本ブランドの合同ポップアップストアなども実施し、日本のクリエーター支援をライフワークとして活動している。
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