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商売というより交流を〜ビアリッツから来たフレンチ・エスパの二人組 ART OF SOULE

左がジュリアン、右がマチュー


フランス南部・バスク地方は、スペイン国境と接していることもあり、エスパドリーユの産地でもある。素朴なジュートとカラフルなアッパーは、ラテン系カンパーニュの楽しさを伝えてくれる。19世紀から続く代表的な産地でもあるMauleon-Licharre(モレオン・リシャール)に現存する老舗工場で生産しているフレンチ・エスパのブランド「ART OF SOULE(アート・オブ・スール)」のデザイナー、Mathieu Labat(マチュー・ラバ)とJulien Maisonnave(ジュリアン・メゾナブ)の2人が4月12〜19日に伊勢丹新宿店で開かれたイベント「Bonjour France(ボンジュールフランス)」の為に来日した。


スポーツ関連の会社に勤めていたマチューと銀行員だったジュリアンは、モレオンの老舗エスパ工場の一家と出会い、そのエスパドリーユのアッパーに「ツールド・フランス」のロゴを貼り付けたものを試作。乗りでサッカーの「パリ・サンジェルマン」や「ローランギャロス」「セックスピストルズ」などの版権を取得して、販売を始めたそうだ。
どこで売るかというと、それは朝市(マルシェ)。バスク地方を中心に、野菜や魚と並んで、カラフルなエスパドリーユを販売していった。

そろそろきちんとしたブランドにしないかと言われ、2010年にパリのフーズネクスト展に出展し、大きなオーダーを得た。地元のバスク地方やパリのギャラリーラファイエット百貨店にも卸し、イタリアの代理店も決まったことから、翌年にはピッティ・ウオモにも出展。ここで日本の代理店となるフライオンの渡辺好行社長と会うことになる。

14年には地元のリゾート地・ビアリッツに旗艦店を開設し、現地で開かれるミュージック・フェスにも協賛するなど草の根の活動も行なっている。


ビアリッツの旗艦店

メインラインは価格を抑え、全てフランス生産にこだわっている。一方、日本限定で発売している「トリコロールレーベル」は、イタリア、スペイン、日本などフランス以外の生地もアッパーに使用し、よりモード感を強めた。
これまでの特徴であった斬新な色使いや独創的なプリントを主としたコンセプトのメインラインに対して、より上質で清涼感のある素材を積極的に採用し、オックスフォードや色鮮やかなギンガムチェックなどのシャツ生地、洗いの掛かったキャンバス生地などアパレル製品やカバンなどでも使用される素材を柔軟に採用して作られている。

また伊勢丹では、刺繍をカスタムオーダーできるイベントも実施したが、今後は手描きのカスタムメイドなども採り入れていきたいとしている。



これからは60〜70年代のシトロエンのカミオン(トラック)にエスパドリーユを積んで、マルシェに復活出店するなど、自分たちのDNAを残しながら、「商売というより交流」を図っていきたいとビジョンを語った。

50〜60年代には5000人もの職人が居たモレオンも、今は4〜5工房、60人まで縮小してしまった。そんな伝統産業を守る活動を一歩一歩進めて行きたいという心意気が伝わってきた。

 2016/05/01 10:00  この記事のURL  / 


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名前:久保 雅裕
Masahiro KUBO

アナログフィルター『ジュルナル・クボッチ』編集長

ファッションジャーナリスト・ファッションビジネスコンサルタント。繊研新聞社に22年間在籍。『senken h』を立ち上げ、アッシュ編集室長・パリ支局長を務めるとともに、子供服団体の事務局長、IFF・プラグインなど展示会事業も担当し、2012年に退社。

大手セレクトショップのマーケティングディレクターを経て、2013年からウェブメディア『Journal Cubocci』を運営。共同通信やFashionsnap.comなどにも執筆・寄稿している。杉野服飾大学特任准教授の傍ら、コンサルティングや講演活動を行っている。また別会社で、パリに出展するブランドのサポートや日本ブランドの合同ポップアップストアなども実施し、日本のクリエーター支援をライフワークとして活動している。
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