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ビームス・設楽社長の温かい選択について


今月からUSENが提供するスマホアプリ「SMART USEN」の中で『ジュルナルクボッチのファッショントークサロン』という番組をスタートさせた。なかなか肉声を聞くことのできない業界著名人の方々の素顔や生い立ちなど、その人のキャラクターを浮き彫りにするようなトーク番組を目指している。アシスタントには、とても気持ちよくサポートしてくれるプロのキャスター、石田紗英子さんに入っていただいているので、武骨な男二人の会話も柔らかく和やかになり有り難い。
さて、あちこちで評判になっているようだが(真相は不明だが・・・)、第1回のゲストには、ビームスの設楽洋社長にお越しいただいた。話上手なので、48分もの長きにわたり、休憩無しのノンストップで録音され、ほぼ私のエンディングのつまらない解説のみカットで、まるまるお聞きいただける。是非、設楽さんの人柄が出ている肉声をお聞きいただきたい。
さて、その中で出た話を一つ。設楽さんの初孫が生まれた日に、その足でグーグルとの打ち合わせがあり、そこで出た話がAIの話だったそうだ。その時、思ったことを設楽さんは、こう語っている。



「極論すると正しい選択をするには、AIが社長になった方が良いくらいの時代になっちゃうかもしれない。あらゆるものが予測できて。ただ、正しい選択と、温かい選択は違うと思ったんですね。それで自分がやっていることは、きっと温かい選択をして、アートとか、カルチャーとか。文明は飯の種になるけど、文化は飯の種にならないんですよ。そうして正しい選択が、会社が儲かることとなると、今やっていることの不採算な文化だとかいうのは止めちゃった方が儲かると。でも、それだけじゃつまらない。無駄なものの中に、なんか価値があるんじゃないかっていうこのバランスを、次の時代どうやってやっていくか」と述べた上で、社内用語として通じる「温かい選択」の話として、社員から上がってくるプロジェクトを次々とやらせていくことに例えていた。
ファッションこそ、この無駄に見えるが人間の感性や感動に訴える「温かい選択」が必要なのだと実感を持って伝わってくる話だった。
同番組のインフォメーションの中で、手前味噌ではあるが、来週から始まる合同展「ソレイユトーキョー」を紹介させてもらった。小さなブランドが少額の投資で参加でき、ブランド側の担当者が全く居ない空間なので、来場者側もゆったりと自分のペースで見て回れるコンフォタブルな状況を作り出したいと思った。本気でモノに向き合って、消費者に感動を届けられるかどうかを見極める時間を提供できるのではとの発想からのスタートだった。気が付けば5回目となり、一定の成果は出せたのだと思う。またパリへの合同出展にもトライし始めたところだ。しかし、まだまだ道半ば。次へのステップに向けて新たな取り組みにチャレンジしていきたいと決意を新たにしている。そう、業界の誰もが時として「温かい選択=可能性を少しでも感じたらチャレンジしてみる」をできるように。

 2017/08/21 15:52  この記事のURL  / 


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名前:久保 雅裕
Masahiro KUBO

アナログフィルター『ジュルナル・クボッチ』編集長

ファッションジャーナリスト・ファッションビジネスコンサルタント。繊研新聞社に22年間在籍。『senken h』を立ち上げ、アッシュ編集室長・パリ支局長を務めるとともに、子供服団体の事務局長、IFF・プラグインなど展示会事業も担当し、2012年に退社。

大手セレクトショップのマーケティングディレクターを経て、2013年からウェブメディア『Journal Cubocci』を運営。共同通信やFashionsnap.comなどにも執筆・寄稿している。杉野服飾大学特任准教授の傍ら、コンサルティングや講演活動を行っている。また別会社で、パリに出展するブランドのサポートや日本ブランドの合同ポップアップストアなども実施し、日本のクリエーター支援をライフワークとして活動している。
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