« 前へ | Main | 次へ »
ファクトリエがCHIVAS VENTURE日本代表に


スコッチウイスキー「シーバスリーガル」は、若手起業家を支援するグローバル・コンペティション「CHIVAS VENTURE」を開催している。今年は3回目で、世界各国のファイナリスト30名が、総額100万ドルの助成金をめぐり、オンライン一般投票と7月にロサンゼルスで行うファイナルイベントで競っていく。今年の日本代表には、「Factelier(ファクトリエ)」代表、山田敏夫氏が選ばれた。
ファクトリエは、日本の工場直結ファッションブランドで、EC販売を行っている。2010年にスタートしたサンフランシスコの「EVERLANE(エバーレーン)」のビジネスモデルとよく似ている。代表の山田敏夫氏は「日本のアパレル工場は世界から信頼される高い技術を持っているにも関わらず、様々な理由で過剰な原価抑制を強いられ、廃業・倒産が相次ぎ、世界に誇る日本の技術は途絶える寸前です。この危機感から、工場と直接提携して余計な中間マージンを省き、工場には適正な利益を、消費者には最高品質の商品をリーズナブルな価格で提供しています」とその仕組みと立ち上げた理由を述べている。そして自ら全国各地の工場を年間100以上訪ね歩き、その中でもレベルの高い技術と志をもつ45工場と提携し、こだわりの詰まったベーシックだが「語れるもの」を作っている。小売価格は工場側が決めるという工場の自主性を育む発想を持ち、ファクトリエが無くなっても自社で直営やECができるようになるために、在庫を持ちながら運営することも推奨しているという。現在は、自社ECサイトの他、銀座、熊本、横浜、名古屋の4店舗と1月から台湾に海外1号店をオープンし海外進出も開始した。
特筆すべきは、工場と組んで地元で新卒獲得のための就活イベントなども開催していることだ。実際、平均2人の新卒採用が実現できているそうだ。
一般投票は下記のサイトからできる。
https://www.chivas.com/en/the-venture/finalists/people/jp-factelier
中間流通マージンの排除、ECによる実店舗コストの削減、スーツとシャツは受注生産し、定番の在庫は、工場とファクトリエで持つなどの在庫ロスの低減といった仕組みで、新たなビジネスモデルを創造している点は高く評価できる。一方でデザイン性の高いものへの挑戦が難しい。この点を克服できれば、さらに付加価値を上げることができる。そんな取り組みも考えみてはどうだろうかとふと思った次第だ。



新作の今治タオル地をかなり薄くしたリネン見えするシャツは、ソフトな手触りで心地よい感触だ。



5月8日の記者会見では、カクテルコンペティション「THE CHIVAS MASTERS 2016」日本チャンピオンのバーテンダー、水岸直也氏による「Factelier」と日本のクラフトマンシップを表現したスペシャルカクテルが振舞われた。

 2017/05/12 15:08  この記事のURL  / 


« 前へ | Main | 次へ »
名前:久保 雅裕
Masahiro KUBO

アナログフィルター『ジュルナル・クボッチ』編集長

ファッションジャーナリスト・ファッションビジネスコンサルタント。繊研新聞社に22年間在籍。『senken h』を立ち上げ、アッシュ編集室長・パリ支局長を務めるとともに、子供服団体の事務局長、IFF・プラグインなど展示会事業も担当し、2012年に退社。

大手セレクトショップのマーケティングディレクターを経て、2013年からウェブメディア『Journal Cubocci』を運営。共同通信やFashionsnap.comなどにも執筆・寄稿している。杉野服飾大学特任准教授の傍ら、コンサルティングや講演活動を行っている。また別会社で、パリに出展するブランドのサポートや日本ブランドの合同ポップアップストアなども実施し、日本のクリエーター支援をライフワークとして活動している。
最新記事
月別アーカイブ
カテゴリアーカイブ