明日から東コレですが、衆院選とファッション業界の行く末は?

総務省のホームページより

明日から「アマゾンファッションウイーク東京」がスタートする。連日、ヒカリエと表参道ヒルズを中心に朝から晩まで駆け抜ける日々が続く。生憎の雨模様のようで少し気も重いが、若手のデビューショーもあり、また合同展や個展も来週にかけて続々と開かれるので、老体に鞭打って回ることにしよう。

さてそんな中、衆議院選挙も真っ盛りだ。東京コレクション終了後の日曜日、10月22日が投票日となる。たとえ疲れていたとしても選挙には行かねばと、こちらも固く決意を持っていこう。
「やれ3極だ。いや実際は2極だ」と様々な意見が飛び交うが、果たしてファッション業界にとって有用な政策は何なのだろう。トリクルダウンを謳って早何年? 一向にその気配も無く、アベノミクスにかなり懐疑的にならざるを得ない。金融政策頼みばかりで、円安に誘導されても、個人消費が回復しなければ、市場の価格指向は減らないから、アジアからの製品輸入が主な入超産業の我が業界は、輸入価格の上昇と小売価格の下押し圧力の狭間で、苦しむところとなっている。もちろん輸出にとって円安は歓迎すべきことだが、ファッション業界では、まだ緒についたばかりだから、その恩恵は少ない。個人消費を回復させるには、将来不安の解消や国民の懐を温める政策が必須と言える。広く薄く取る消費税増税の是非も問われる。

憲法改正もファッションと決して無縁ではない。多くの国々で戦乱が続くが、そこにファッションを楽しむ余裕はあるだろうか。一日一日を生き延びるので精一杯の彼らに、そんな余裕はない。平和であってこそ成り立つのがファッション産業。この国は悲惨な戦争体験から立ち上がってきた唯一の被爆国。武器や失敗した原発技術を輸出する事が、世界を平和にすることになるのだろうか。北朝鮮問題をネタに本当は別の意図を狙っていないだろうかと今一度、立ち止まって日本国憲法の平和に対する理念が世界に果たしてきた役割を考えてみても良いと思う。

最後にひと言。「しっかりと」「愚直に」「丁寧に」など個人の主観によって如何ようにも解釈できる曖昧な言葉で語られるのは困る。「しっかり丁寧にやりました」「いやいや全然足りていませんよ」という何の結論も得られない無駄な議論になってしまう。政治家には「コレコレをやります」「これには賛成もしくは反対です」と明快な政策を述べてもらいたいとつくづくテレビ討論を見ていて思った次第だ。では皆さん、次の日曜日には選挙に行きましょう。

 2017/10/15 13:20  この記事のURL  / 


世界で伍して戦うには、ニュートラルな姿勢が必要


随分以前から知っているような気分にさせる不思議な人がいる。有松鳴海絞り「SUZUSAN(スズサン)」の村瀬弘行さんだ。デュッセルドルフに住む美術学校出身の彼は、いつもひょうひょうとしていて自然体。人をリラックスさせる不思議な力を持っている。ある意味ニュートラルなのだろう。だから、いつの間にかスズサンを有松から出た世界ブランドに育ててしまった。
最初の出会いはパリのインテリア・ライフスタイル大型見本市「メゾン・エ・オブジェ」だったと思う。絞りの照明器具とストールで多くの来場者の関心を集めていた。その後「トラノイ」に出展すると瞬く間にファッション流通にも販売先を広げ、現在はニットウェアも始めている。
村瀬さんは、絞り職人の家に生まれ、一時はアートを志して、英国に留学。その後、学費に苦労する中、無償で学べるドイツへ渡り、デュッセルドルフの美術アカデミーで学んだ。当初は家業の絞りにあまり関心も無かったそうだが、職人が減っていく現状を見て、この技術を伝承していくには、世界のラグジュアリーブランドに伍して売っていかねばと2008年にデュッセルドルフでブランドを立ち上げた。
そんなスズサンが初めて日本でのショールームを開くという。2018年春夏シーズンのテーマは「Garden」。昨年ローンチしたホーム&リビングコレクションでは、ペルーのベビーアルパカを手織りした素材を使いクッション、スローケットを様々な絞り技法で染め上げた。
またデュッセルドルフでは、70年代以降ドイツの新しい音楽を模索し牽引してきた背景があり、「Neu!(ノイ!)」「Hauschka(ハウシュカ)」などのミュージシャンを生み出してきたが、彼の周りで活動するミュージシャンの協力を得て、彼らの音楽を流しながらコレクションを紹介するそうだ。
会期は10月16〜21日、会場はベルサール渋谷ファーストの裏手にある(プレイス)・バイ・メソッド(東京都渋谷区東1-3-1 #14)。
 2017/10/07 12:21  この記事のURL  / 


PARIS フォーラム・デ・アール今昔物語


94年からパリ詣でを繰り返しているが、まだ「コレット」も「メルシー」も「ブロークンアーム」も無かった時代、ここフォーラム・デ・アールのショッピングセンターにあったエスパス・クレアトゥール(クリエーターズスペース)には4〜5軒の新進クリエーターばかりを集めたセレクトショップが集積していた。このSCはメトロのシャトレ=レアール駅とRER郊外線の駅上にあり、地下2層とグランドフロアの3層で成り立っていたが、このエスパスは、地下の一部、全体の15%くらいを占めていた気がする。出張の合間を縫ってリサーチ時々ショッピング的にチェックして回った記憶がある。あの「ズリーベット」なんかも入っていて、エスニック、ストリート、モード、ドレスまで幅広いデザイナーを集めたショップばかり。デザイナーが代わり番こで店番をし、自主ショップとしてやっている店もあった。その後2000年代半ばくらいに次々と閉店し、大型のSPAテナントに変わっていった。
そして昨年のリニューアルオープンで多くのテナントはさほど変わらない顔ぶれだが、1階の南側路面に大型のセレクトショップ、「レクセプション」がオープンした。この9月のファッションウイークには、ラフォーレ原宿のポップアップも実施していたが、このネタはアパレルウェブ本体の記事をご覧いただきたい。
こうしたクリエーターを入れるテナントがもっと欲しいところだ。



さて、SCにも山型、三角形の発想が不可欠だと私は思う。山の頂部分をあのエスパスが担っていたから、陳腐化を免れていたと。それが無くなり、郊外のSCと変わらない金太郎飴のようなリーシングになった途端、陳腐化が始まり、やがて台形とみなされ、魅力半減となる。これは国内地方SCにも言える事だ。何も尖ったブランドやモードを入れるべきなどとは言わない。大手では扱わないブランドを品揃えした地元の専門店でも、或いは地場産業の新業態でも良い。他のSCにはない独自の魅力を山型のトンガリとして2割くらい導入する事で、チャレンジしている姿が伝わる筈だ。そんな事を考えさせられながら、レアール界隈を歩いていた。

 2017/09/30 07:06  この記事のURL  / 


スタイリッシュなピンクボトルで社会貢献「ソラン・デ・カブラス」


この夏、スペイン北西部、巡礼の最終地点として知られるサンチアゴ・デ・コンポステーラを訪ねた。気温30度を超える真夏日、徒歩や自転車で辿り着いた巡礼者たちが大聖堂前で記念写真に納まっていたが、欠かせないのが水分補給だ。近くのスーペルメルカード(スーパーマーケット)で地元の食材などを物色していると見つけたのが馴染みのあるブルーボトルのミネラルウォーター(コーヒーではない)「ソラン・デ・カブラス(SOLAN DE CABRAS)」。しかも日本では見たことのない1.5リットルペットボトルだ。あのまま大きくしたものでスタイリッシュなところは変わらない。
さて、このソラン・デ・カブラスを輸入販売するスリーボンド貿易は、乳がんの早期発見・早期診断・早期治療の大切さを伝える「ピンクリボン運動」を支援するピンク色の限定ボトルを2017年10月1日から全国の小売店およびオンラインショップにて数量限定で販売する。



「乳がん患者やその家族、そしてすべての女性に健康的でポジティブに過ごしてほしい」という思いで、2014年から本国スペインでこのピンクリボン運動への支援をスタートした。日本でも本国の思いを受け継ぎ、昨年からピンクリボン運動の支援を本格的にスタート。 ボトルの形状とデザインはそのままで、アイコニックな青い色のボトルを特別にピンク色に変え、メタリック箔のネックラベル部分にはシルバーのラインを施し、温かみや優しさが感じられるとともに、引き続きスタイリッシュなイメージのボトルに仕上がっている。330ml入りペットボトルで120円(税別)。
売上の一部を公益財団法人日本対がん協会の「乳がんをなくす ほほえみ基金」に寄付し、ピンクリボン運動に役立ててもらう。また、ピンクリボン関連の様々なイベントでも、このピンクボトルを配布予定だ。
ソラン・デ・カブラスは、スペインのベテタ(クエンカ)にある源泉から採水された純粋で口当たりがやわらかなナチュラル・ミネラル・ウォーターだ。地表に降った雨水が、遥か400年の時を経て、限りなくピュアな水となってソラン・デ・カブラスの泉に湧きあがる。2000年以上前のローマ時代からこの水の治癒力を求め、多くの王族が訪れたと伝えられている由緒正しい名水のひとつだ。またレアル・マドリードの公式ウォーターとしても知られている。


 2017/09/24 11:38  この記事のURL  / 


愛と誕生と死の意味を求める映画『エタニティ 永遠の花たちへ』

(c)Nord-Ouest

映画『エタニティ 永遠の花たちへ』(原題:Eternite) は、子孫へと続く系譜が何を意味し、どんな想いを綴っていくのかという問い掛けに答えを出そうとした作品だ。



『アメリ』で一躍有名になったオドレイ・トトゥ演じるヴァランティーヌは、19世紀末フランスのブルジョワ家庭に育ち、一度は断った縁談の相手の誠実な求婚に応え、子供に恵まれ家庭を築いていく。しかし戦争や病で失う命もある。かくして、3世代に渡る系譜の有り様がクラシック音楽と美しい映像、ナレーションとほんの僅かな台詞によってのみ構成される。そう、セリフは殆どといって良いほど無いのだ。淀みのない女性のナレーションが、静かに語り掛けるだけだ。まるで細やかな叙事詩を映像美と共に辿っているかのような感覚。なんと精緻な感情表現。唇、頬の筋肉、肩の震え。役者にとってのミニマルな表現手法しか許さないトラン・アン・ユン監督の凄みが伝わってくる。



人は決して死から免れない。だから、あらゆる哲学、小説、そして神話や寓話も、このテーマを追い続けているものが多い。誰かの死に接しては、自身の死と死後のことを考えさせられ、生の意味を探ろうとする。若いうちは、それがあまりにも身近でないが故に、深く洞察する事もなく、或いは潜在的に避けるように心の奥底に仕舞い込んでしまう。だが、いつの間にか人は老い、死を意識し始める。死してすべてが終わると寂寥感にかられるより、その命が連綿と繋がっていく未来に想いを馳せることで、幾ばくか救われるものがあるのかもしれぬ。それを確実にするための手段が性愛だったのだと気付くはずだ。9月30日よりシネスイッチ銀座ほか全国ロードショー。



またアッシュペーフランスは、結婚や誕生により受け継がれるエタニティ(永遠)を描いたこの映画の世界観に共感し、記念日に寄り添えるエタニティとの出会いが生まれることを願って、「H.P.FRANCE BIJOUX」でフェアを開催している。展開店舗は、同店銀座(GINZA SIX)、表参道(表参道ヒルズ)、大阪、丸の内、新宿、、梅田、名古屋、福岡の各店。期間中エタニティリングを成約するとペア鑑賞券がプレゼントされる。



LOQUET LONDONより新作エタニティーリングも登場


 2017/09/23 16:00  この記事のURL  / 

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名前:久保 雅裕
Masahiro KUBO

アナログフィルター『ジュルナル・クボッチ』編集長

ファッションジャーナリスト・ファッションビジネスコンサルタント。繊研新聞社に22年間在籍。『senken h』を立ち上げ、アッシュ編集室長・パリ支局長を務めるとともに、子供服団体の事務局長、IFF・プラグインなど展示会事業も担当し、2012年に退社。

大手セレクトショップのマーケティングディレクターを経て、2013年からウェブメディア『Journal Cubocci』を運営。共同通信やFashionsnap.comなどにも執筆・寄稿している。杉野服飾大学特任准教授の傍ら、コンサルティングや講演活動を行っている。また別会社で、パリに出展するブランドのサポートや日本ブランドの合同ポップアップストアなども実施し、日本のクリエーター支援をライフワークとして活動している。
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