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ブランド買物難民の救済を急げ!
 伊勢丹松戸店が来年の3月21日で営業を終了するが、百貨店の閉店で一番困るのは買い物客だ。そごう・西武や三越伊勢丹が次々と地方店や郊外店を閉め、地方百貨店の閉店も続いているから、地方や郊外でブランド商品を購入していた顧客は購入の場所を奪われ難民化している。
 旭川のように丸井今井の閉店で西武に顧客が流れ、その西武の閉店で丸井今井跡のフィール旭川に顧客が流れる様は、水が干上がる川床で残り水を求めて魚が必死に彷徨うがごとくで正しく「ブランド買物難民」だ。地方都市ではライバルが閉店して残る百貨店には‘漁夫の利’があるとは言え、萎縮していく限られたマーケットで採算を採っていくのは限界があろう。地方都市では「ブランド買物難民」が無視できない問題となっているが、難民は増えるだけで減る事はない。
 何故かと言えば、衣料消費が低迷し不良在庫が積み上がる中、ブランド側は販売効率が高く採算性の良い好立地店舗や在庫効率の良いECに販路を絞らざるを得ず、地方や郊外では百貨店自体はまだ維持できていても抜けていくブランドが跡を絶たないからだ。とりわけ、日本仕様への別注ロットや最低取引ロットに達しないと代理店契約が維持できない欧米のファクトリーブランドなど、販路の縮小でブランド自体が国内市場から消えるケースも増えている。
 こうなると「ブランド買物難民」はグローバルに彷徨うしかなくなり、越境ECや海外ショッピングに流れるから、国内市場はさらに萎縮していく。そんな事にならないためにも「ブランド買物難民」の救済が急がれるのではないか。
 海外からのインバウンド消費が盛り上がっているが、これも一種の「買物難民」だ。自国内で供給が無いか限られるか価格が高いから日本に来てまで買物するわけで、グローバルな「買物難民」と言えよう。ならばローカルな「買物難民」に応えるインバウンドビジネスにも似たようなチャンスがあるはずだ。東京駅の大丸がローカル・インバウンド客を捉えて好調に売上を伸ばしている事を見落としてはなるまい。
 アパレル不況の本質はギョーカイ側の一方的な思い込みと顧客ニーズや流通との擦れ違いが招いた需給ギャップであり、一方で大量の「ブランド買物難民」が取り残されている。百貨店にも商業施設にもアパレルビジネスにも、まだまだやれる事があるはずだ。10月13日に開催する『ファッションビジネス再生戦略ゼミ』ではブランドのポジションやMD政策、流通・販売に潜む様々な需給ギャップを明らかにし、具体的な改善策を提示したい。

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 2017/09/29 11:59  この記事のURL  /  コメント(0)

店舗販売の先行きは暗い?
 本日は午後から毎年9月恒例の「出店戦略総点検」をテーマにSPAC月例会を開催するが、メンバー企業の回答や業界の情況は出店環境の一変を痛感させる。
 まずは退店率が二年連続して100%を超えた事。出店数より退店数の方が多く、アパレルメンバーなど前年の200%超からは収まったとは言え150%近い。国内の株式上場アパレルチェーン14社でも二年連続して退店の方が上回っており、テナント出店型7社に限れば15年が186.1%、16年も134.4%と退店ラッシュだった。ECとのカニバリで退店ラッシュが加速する米国大手アパレルチェーン9社の17年上半期の退店率など、な!なんと461.5%というとんでもない情況だ。
 大半の国内チェーンは来期、出店も退店も抑制して費用を抑制する方向だが、一部チェーンは千載一遇のチャンスとばかり退店跡への積極出店を継続する。国内アパレルチェーンはこの二年間に店舗スクラップを進めたとは言え、減ったのは00年以降増店数の9%ほどに過ぎず退店ラッシュはまだ道半ばで、再拡大に転ずるには早過ぎる。
 商業施設の新設や増床が限られ退店ラッシュが吹き荒れる昨今、「空き区画」への出店が急増して13年以降は15年を除いて出店数の過半を占めており、今回のメンバー回答ではついに6割を超えた。もはや出店の主流は他店が撤退した「空き区画」になっているのだ。「空き区画」出店は定借期間が若干、短くなる傾向があるが、売上の最低保証水準がワンランク低い、投資の軽い居抜き出店もあるなど有利な点も多い(家賃/不動産費率は大差ない)。
 さて来期以降の出店戦略は駅ビル/ファッションビルを除き、縮小や撤退を考える企業が拡大を考える企業を上回ったが、ECとりわけ自社サイトについては拡大する企業がほとんどで、店舗販売の先行きが心細くなった。百貨店やSCデベの方々はこの実情を正視して欲しいものだ。続きはSPAC会場で・・・・・

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 2017/09/28 09:09  この記事のURL  /  コメント(0)

共存共栄の幻想
 米国ではECが急拡大する中、アパレルチェーンの閉店ラッシュが続き、さしものSCデベの収益も陰っているが(大手SCデベ5社の営業利益は6.1%減)、我が国ではアパレルチェーンの閉店ラッシュにもかかわらず大手SCデベ(イオンモールと三井不動産商業施設部門)は最高益を更新し続けている事に違和感を感じざるを得ない。
 米国では遠くない将来、SCの三割が消えるという極端な指摘さえあるが、推計される最大限のテナント閉店が現実になっても米国SC総賃貸面積の2.1%に過ぎないし、アパレルチェーンが総崩れになっても好調な服飾雑貨やビューティ関連(化粧品と美容サービス)、フードサービスやホームエレクトロニクス(本来なら最もECに食われるはずの分野なのに!)の店舗に入れ替わるだけでSCデベが追い詰められる事はない。我が国でも米国同様、服飾雑貨店やビューティ関連店、食物販店やフードサービス、家電量販店に替わるだけで、商業施設デベは痛くも痒くもないのが現実なのだろう。
 00年の規制緩和で定期借家契約が導入されて店舗が流動資産化し、大店立地法が施行されて営業時間が延長されて以来、テナントチェーンはイニシャルコストこそ激減したもののランニングコストが肥大し、定借期限切れの追い出しで営業継続が脅かされ、止まらぬオーバーストアとECへの売上流出で販売効率が低下する(衣料品店の場合、過去三年間のECへの流出による売上減少は年率4.7%)という苦境が続くが、商業施設デベの側は事業機会が広がりテナント入れ替えが効率化したという恩恵に浴するばかりだ。SC経営は「テナントとデベの共存共栄」と言われるが、現実はデベ側の一方的な繁栄になっているのではないか。
 アパレル店の撤退が続いても好調業種に入れ替えればデベの経営は安泰だが、ECが今の勢いで伸びて行けば「主たるECを店舗販売が補完する」という分野が増え、さしもの商業施設デベの経営も陰っていく。幾度指摘しても大半の商業施設デベはオムニチャネル利便に本気で対応しないままだが、ECを拒絶していてはジリ貧を免れない。共存共栄どころか共倒れになりかねない現実を直視し、オムニチャネル時代(まさかEC主体時代?)への対応を急ぐべきだ。
 その要点は1)すべてのECに門戸を開いたお試し・受け取り・修理加工サービス拠点[TBPP]の設置、2)テナントのオムニチャネル販売を規制しない課金システムの確立、3)EC品の店出荷や店受け取り、テザリングに対応する荷受施設と館内回送体制の整備、食品スーパーが入居する場合は4)ドライブスルー・ピックアップラインの設置、の4点ではないか。

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 2017/09/27 09:23  この記事のURL  /  コメント(0)

店頭は「情報格差」解消の場
 ヤフーファイナンスのサイトに『Amazon出身者が語るファッションビジネスの未来 TOKYO BASE高橋×STYLER小関』という対談が載っていたが、『ECで売れるのは売り手と買い手の情報差のない商品』『だから店頭での接客が不可欠なんです』というやり取りが目を惹いた。当たり前といえば当たり前だが、Amazonのメンズファッション・マネージャーからTOKYO BASEに転じてEC比率を30%から35%に引き上げた高橋氏と同じくAmazon出身の小関氏のやり取りだからリアリティがある。
 STYLERの小関氏は「売り手と買い手の情報差」を「情報の非対称性」とも言っていたが、マーケティングで典型的に使われる表現だ。それをわざわざ取り上げたのはファッションビジネスが行き詰まった根源的要因だと思うからだ。
 ファッションギョーカイの人々は自らを一般エンドユーザーより格段に高感度で情報が早いと思い込んで来た嫌いがあるし、そんな「情報の非対称性」が付加価値を生む事をどこかで体感した「成功体験」が染み付いている。ゆえに「クリエイション神話」「ものづくり神話」を次々と繰り出して「非対称性」を高めようと勤しむのだが、それが逆に顧客を遠ざける事もある。「非対称性」は両刃の剣なのだ。「非対称性」を高めるべきか解消して顧客に近づくべきか、迷う事もあるに違いない。
 ネットの世界ではSNSで「非対称性」を広げたり縮めたりというマッチポンプを繰り返して情報を拡散し、ECでは‘ささげ’とAIを駆使して「非対称性」の解消に努め購入の決定を促すが、最終的に情報格差を解消するのは‘現物’と店頭だ。ECの第一線で活躍してきた人物がそう喝破しているのだから店舗販売も捨てたものではない。店舗販売を物流作業の‘蟹工船’に堕落させず、「非対称性」解消の場と位置づけてVMDや接客のレヴェルを高めるべきだという警鐘と受け取りたい。

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 2017/09/26 09:17  この記事のURL  /  コメント(0)

店頭のレジ列はもういらない!
 何時も不思議に思うのがスーパーマーケットの店頭の一等地をレジ列(+サッカー台列)がズラリと占拠している事で、こんなレジ列がなければどんだけ売上が上積み出来るだろうと経営者の不明を訝るばかりだったが、港北にオープンした「GU」のファッションデジタルストアを見て腹に落ちた。
 ご覧になった方は気がつかれたかも知れないが、「GU」の港北ファッションデジタルストアでは店頭にレジ列は見当たらない。店内を一周してもいずれの壁面も陳列ラックが並ぶだけで、これまでの「GU」や「ユニクロ」では店頭の一等地側面を堂々と占拠していたレジ列が売場のレイアウトから外されている。店内表示で案内されレイアウト図でも示されているから買い物客が迷いはしないが、実は店頭に向かって左側面奥の陳列壁後方に、ほとんど集合フィッティングルームみたいに配置されている。「GU」のセルフレジは『便利でサクサク面白い』とすっかり顧客に定着したゆえ、港北のファッションデジタルストアでは通常レジ5台に対してセルフレジ10台と逆転して後方配置が実現したのだろう。
 「ユニクロ」や「GU」の他店舗ではまだ店頭の一等地を堂々とレジ列が占拠しているし、「GU」の銀座旗艦店などセルフレジとサッカー空間が各フロアの一番一等地を臆面もなく占拠している。これでは人手は節約できても、それを上回る売上を捨てている。港北デジタルファッションストアのセルフレジ配置は実験的な試みかも知れないが、「GU」はもちろん「ユニクロ」でも一気に広がりそうだ。
 最終的にはアカウントIDと商品情報を近接通信して精算する「amazon Go」的なシステムが店舗小売業のデフェクトスタンダードになると思うが(社員IDでも顧客IDでも同じだ)、とりあえずは画期的な改善策として広がるに違いない。商品が多岐に渡るスーパーマーケットではカートのタブレットにID確認と商品精算の近接通信システムを組み込む方が早いと直感した。「GU」のファッションデジタルストアはアパレル関係者のみならずスーパーマーケット関係者こそ必見だと思うよ!!




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 2017/09/25 09:44  この記事のURL  /  コメント(0)

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小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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