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本命と穴馬
 コーディネーターから秋物のスタイリング傾向報告イラストが上がって来たが、やはり‘本命’はチェックアイテム軸のブリット〜モッズ、微起毛〜起毛アイテム軸のヴィンテージフォークロアで、レトロ・グラニーなこなしからモダン・マスキュリンなこなしまでスタイリングにはかなりの巾がある。その他、ロックやバイカー、バロックやゴシックにフェティッシュやボンデージ、ミリタリーやカントリー、ルーミーやアスレジャーをミックスする様々なスタイルが立ち上がっており、結構に楽しそうだ。そんな中、エエッ!っと目を惹いた‘穴馬’が二つの極端なオーバーサイズ・スタイルだった。
 ひとつはモードカジュアル系トレンド編集のセレクトショップ「ローズバッド」で見かけた「バロックミックス・タッキーストリート」、ひとつは郊外SCのナチュラル系ライフスタイルストア「ニコアンド」で見かけた「ヴィンテージリメイク・インディゴカントリー」だった。
 前者のキーはポリ・タフタのサイドライン入り極太ワイドパンツで、シャイニーサテンのこれまたビッグな刺繍入りMA-1を羽織り、チュールレースのバロックフェミニンなフリルカラーブラウスをインして甘辛ミックスしている。後者のキーは綿デニムのリメイク風バイカラー切り替えオーバーサイズGジャンで同素材同意匠の裾フリンジパンツとセットアップし、パッチワークバンダナ柄綿ブロードのオーバーサイズワンピースをレイヤードしている。メンズでもモードミックス系トレンド編集のセレクトショップ「221リステア」でビッグシルエットのスポーツミックスなブリットストリートルックが打ち出されていたから、去年あたりからストリート系クリエイターでちらほら出ていたビッグルックが広がり始めているのかも知れない。本命はともかく、面白い穴馬になりそうだ。



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 2017/08/31 09:39  この記事のURL  /  コメント(0)

西武は船橋も小田原も閉める!
 そごう・西武は来18年2月末で西武の船橋店と小田原店を閉めると発表した。そごう・西武は16年2月末に西武春日部店、同9月末にそごう柏店と西武旭川店、17年2月末に西武の筑波店、旭川店、八尾店を閉め、10月にはそごう神戸店と西武高槻店をH2Oリテイリングに譲渡する。
 06年にミレニアムリテイリングがセブン&アイHD傘下となって以降(09年8月にそごう・西武となった)、そごうは12年に八王子店、13年には呉店を閉店、西武百貨店は10年末に有楽町、13年1月に沼津店を閉店しているから、16年以降の閉店や譲渡を加えれば14店舗を失い、残るは西武の池袋、渋谷、所沢、東戸塚、岡崎、大津、秋田、福井の8店舗、そごうは横浜、大宮、千葉、川口、広島、徳島、西神の7店舗、計15店舗と半減する事になる。
 今更、自主MDか商業デベ化かと問うても詮無いし、セントラルバイイングとオムニチャネル化によるプラットフォーム革新など夢物語を語っても虚しいが、これほどの無為無策を重ねるなら何故、買収したのかと責めたくもなる。セントラルバイイングのチェーンストアシステムを確立したセブン&アイHDなら支店経営で行き詰まった百貨店を抜本から再建できると当事者も業界も期待したはずだが、結果はあまりに期待外れだった。
 米国大手百貨店とてアマゾンに追い詰められて手を出す余裕などないし、国内の大手流通業やファンドとて個々の店舗の買収は検討しても、丸ごと引き受けて再生する力量はもはや何処にも期待できない。革命的な経営者を得て奇跡の再生を果たさない限り、これまで辿って来たようにボロボロと不採算店を閉め、最後はそれぞれの旗艦店しか残らない事になりかねない。
 70年代から80年代にかけてキラ星のような今日のスーパーブランドを次々と導入して華やかなファッション文明を築いた西武百貨店の復活はもうないのだろうか。出来る事なら奇跡が起こって欲しいものだ。

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 2017/08/30 09:12  この記事のURL  /  コメント(0)

セクシーはオフトレンド!
 セクシーランジェリーの女王の座に君臨してきたあの「Victoria’s Secret」の人気が米国で急落しているという。昨年後半から陰りが見えていたが、17年上半期(2〜7月)の既存店売上は89%と二桁減に陥った。その理由は米国女性の志向変化を象徴するもので、同時にファッション業界と消費者の擦れ違いも象徴している。
 第一にあげられるのがセクシーさを強調するキャンペーンやデザインが疎まれた事。米国女性もナチュラルでヘルシーなライフスタイルを志向する傾向が強まっており、セクシーなファッションやランジェリーは好まれなくなっている。ヘルシーなボディラインのためには小さな下着が好ましくない事が広く知られるようになった事も影響しているかもしれない。
 第二に‘ブラレット’などアスレジャー対応にも遅れ、「ルルレモン」や「アスリータ」などヨギーブランドやスポーツブランドのアンダーウェアに顧客が流れた事。‘ブラレット’はワイヤーもパットも入っていない締め付け感のないソフトブラで、‘三角ブラ’とか‘スポーツブラ’など楽チンで機能的な付け心地が好まれて急拡大している。これもヘルシーナチュラルなアンチ・セクシー志向の一環と言えよう。
 第三にはアマゾンの低価格ランジェリーに圧迫されてマークダウンが増え価格信頼感を損なった事、第四にはカタログ通販時代からのフルフィルと開発プロセスを引きずってEC対応が遅れた事が指摘される。カタログ通販出身のJクルーやランズエンドも同様に苦闘しているから、カタログ通販の体制もスピードもECとは相容れないものなのだろう。
 ‘セクシー’がオフトレンドになったのは我が国とて同様で、マルキュー系の凋落は止まるところを知らないし、アゲハ系ブランドも沈み込んだままだ。同じキュートモード系でもシルエットがフェミニンなブランドは好調だが、シルエットがセクシーなマルキュー系のブランドは不調が目立つ。ランジェリーショップの売上傾向を見ても、ナチュラル系やフェミニン系は堅調だが、セクシー度が強いほど低迷の度も強い。
 ‘セクシー’のオフトレンド化は日米に共通するから、もしかして世界の先進国?に共通する傾向なのかもしれない。我が国では生産年齢人口も周産期人口も急減しているし、出生率の低下にも歯止めがかからない。異性と付き合わない人も一生、結婚しない人も恐ろしいほど増えている。‘セクシー’がオフトレンドというのも、そんな人類文明の社会的人口調整メカニズムに関係しているとしたら怖いよね。ワンレン・ボディコン・Tバック華やかなりし80年代は遠い昔の‘神話’と成り果てた。

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 2017/08/29 09:05  この記事のURL  /  コメント(0)

リセ・アパルトマンに注目
 補正下着のサロンを全国に720余展開するダイアナが補正下着の「プロポーションギャラリー」にカフェとヘアサロン、アパレルの「シュープリームララ」まで加えた複合店「リセ・アパルトマン」をオフィスの近所にオープンしたと聞いて、さっそく取材して来た。
 表参道のアップルストアの角を入ってフライングタイガーの角を左折してすぐ右折し、まい泉を過ぎて1分ほど歩いた左手に8月19日に開店したもので、周囲には洒落たカフェやブーランジェリー、コスメ関連のブティックなどが次々に開店している。
 カフェと並んで正面に位置する「シュープリームララ」は3店目の直営店で初の路面店。そこから奥につながる「プロポーションギャラリー」には細密にボディラインを計測できる3Dスキャナーを設置し、150サイズも用意した補正下着から選定して試着。ボディラインの変化を仔細に検証して最適な商品をお勧めするシステムだと伺った。その補正下着も意外に薄く柔らかなストレッチ素材で、昔の‘ガードル’とは較べるべくもないしなやかさに認識を改めさせられた。若向な「リセグラマラス」ラインなど高級ランジェリーを思わせるレース使いと艶な色彩で、良い意味で固定観念を裏切られる。ちなみに補正下着は男性用もあり、女性だけでなく男性にも対応するサロンもあるそうだ。
 「プロポーションギャラリー」では補正下着だけでなく化粧品や健康食品も合わせて一人一人の顧客に時間をかけてコンサルティングするそうで、一通り揃えると結構な金額になってしまうのはエイジングケアの高級化粧品やエステサロンとも共通する。既存サロンの顧客は高齢化しており、表参道の「リセ・アパルトマン」では若い世代への浸透を狙っている。
 7月26日の当ブログ「ファッションシステムの呪い」に添付したグラフで一目瞭然なように女性にとっての主力支出分野はファッションからビューティーに急速に移行しており、今年はビューティー支出がファッション支出を逆転する事になりそうだ。米国でも化粧品と美容サービスを複合するスパ業態が急増しており、先行するノードストロムはフルサービスの「スパ ノードストロム」10店舗からマニキュア/ペディキュアなどに限定した「スタイルバー」まで21店舗を展開し、メイシーズは15年に買収した高級化粧品とスパのブルーマーキュリーズを四月末で20店舗に導入している。
 日本でもSCや駅ビルで化粧品店や美容サロン、スパの導入が拡大しており、婦人服に替わる新たな主力カテゴリーとなりつつあるが、化粧品/美容サービスにランジェリーやアパレルを複合するサロン業態の登場が待たれる。「リセ・アパルトマン」はそんな明日を予見させる注目店だと思う。





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 2017/08/28 09:57  この記事のURL  /  コメント(0)

アパレル売場だけが減っていく
 日経MJの誌上座談会でTSIホールディングス社長の斎藤氏とストライプインターナショナル社長の石川氏が『EC三割、リアル店舗7割が落ち所』と異口同音に発言していたが、多くのアパレル関係者に共通する認識だと思う。既に米国では19%に達し日本でも今年は12%を超えると推計され、日米ともアパレル店舗の閉店ラッシュが加速しているから、ホントに七掛けで落ち止まるのかと疑心暗鬼になる。
 リーマンショック以降、09年から16年のSC総GLA(賃貸面積)増加率は米国では3.4%だったが、我が国SCの総GLAは21.2%も拡大している。この間に米国のテナント販売効率が28.4%、インフレ補正後でも14.7%上昇した一方、我が国では4.5%減少しているから、米国を上回る売場面積増であった事は間違いない。16年こそ減少に転じたが、15年まではその多くを担っていたのがアパレルテナントだった。
 米国でもアマゾン旋風が吹き荒れた16年はさすがにテナント販売効率も1.4%の低下に転じたが、アパレルテナントの販売効率が14年以降、低下する中も服飾雑貨やフードサービスの販売効率が上昇してテナント総体の販売効率を押し上げて来た。ちなみに、16年のレディスアパレル月坪効率は813ドルと07年から13.2%、ファミリーアパレル(カップル含む)も1021ドルと10.1%低下したが、服飾雑貨は1847ドルと9.4%、趣味用品は1762ドルと17.9%、フードサービスは1835ドルと14.7%、スマホの普及などが押し上げた家電は6209ドルと167.4%も伸びている。
 我が国でも販売効率が低下するアパレルテナントを圧縮して服飾雑貨や家電、化粧品や美容サービス、食物販やフードサービスを拡大する商業施設が急増しているが、それは米国も同様だ。好調業種に入れ替えれば、商業施設そのものが衰退したり消滅するケースは喧伝されるほど広がりはしない。実際、アパレル店からデパートまで一万店近い閉店が予測されているが、その総てが現実になっても全米SC総賃貸面積の2.1%に過ぎず、好調業種に入れ替わるだけだ。要はアパレル売場だけが減って行くのだ
 そのアパレル店舗だが、ECが一段と広がって返品フリーのロコンドや「amazon prime wardrobe」、私が提唱するTBPPなどお試しの壁が取り払われて行けば、主たる店舗をECが補完する段階から主たるECを店舗が補完する段階へ移行して店舗はショールーム兼受取・お試し拠点に変質してしまう。元よりリアル店舗は家賃負担も運営人件費も嵩み在庫効率もECに遠く及ばないから、七掛けで歯止めが掛かるとは限らない。EC比率が30%を超えてしまえばANAPのように50%、60%と歯止めが掛からなくなる確率が高い。そうなると米国で現実化しているように店舗とECを合わせた売上も減少していくから、閉店ラッシュは一段と加速して行く事になる。アパレルの店舗販売は七掛けでは踏み止まれないと覚悟すべきかも知れない

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 2017/08/24 10:13  この記事のURL  /  コメント(0)

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プロフィール
小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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