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セフォラ再上陸の噂
 ネットのどこかで、あの「Sephora」が日本に再上陸を検討しているという噂を目にした。1970年、パリに発して97年にLVMH傘下に入り、99年11月には日本にも進出して7店舗を布陣したものの01年末には全店を閉鎖して撤退したという、セルフVMD型ブランド複合コスメストアの先駆けとなったあの「Sephora」だ。
 日本進出当時は薬事法の緩和見通しが外れ、シャネルなどグループ外の有力ブランドはもちろんディオールなどグループ傘下のブランドも百貨店外の展開に躊躇して品揃えが充実せず、欧米でのフレグランスやメイクアップに偏った品揃えがスキンケアにシフトしつつあった日本の化粧品市場とも食い違い、業績が上向かず短期での撤退となったが、果たして今日ではどうだろうか。
 当時に比べれば薬事法は緩和され、ECがなし崩し的に広がってテリトリーの規制も有名無実と化し、外資ブランドの販売政策も柔軟になって「イセタンミラー」や「コスメーム」など外資ブランドも揃えたコスメストアが駅ビルやSCに展開する今日、品揃えを制約するものはなくなったが、化粧品市場のニーズは一段とスキンケアやナチュラルコスメに移行して‘アンチエイジング’が競われ、「Sephora」の得意分野は細るばかりだ。
 「イセタンミラー」や「コスメーム」にしても外資ブランドだけで売上を確保するのは難しく、阪急系のエフ・ジー・ジェイが展開する「フルーツギャザリング」はナチュラル/オーガニックコスメ主体の品揃え、山田薬品が展開する「MCS」(マルノウチ・コスメティツクス・セレクション)やくわこやが展開する「パルファン」など‘専門店系’は旧制度品ブランドとナチュラルコスメなどを複合した接客販売で客単価を稼いでいる。
 「Sephora」の品揃えはフレグランスとメイクアップを軸とした華やかなカラーVMDに粧われたものだったが、フランス化粧品市場のもう一方の覇者はスキンケアに徹して接客販売で高客単価を稼ぐ「MARIONNAUD」だった(香港資本の傘下となって久しい今日では安売り志向になったと聞く)。今の日本で言うなら「MCS」や「パルファン」に近いのかも知れない。
 ECが広がって外資ブランドのテリトリー制が崩れ、アンチエイジングが競われナチュラル/オーガニックコスメが広がる今日の日本で「Sephora」は自分の椅子を確保できるのだろうか。

※ウィメンズ/メンズ/キッズの3884ブランドを計49ゾーン/639タイプに分類して網羅した「17SS版ブランドツリー」に、新たに「コスメブランド/ストアツリー」(12ゾーン/68タイプの415ブランドを網羅)を加えました。

◆小島健輔(KFM)のオフィシャルサイトはこちら
 2017/07/21 09:27  この記事のURL  /  コメント(0)

大量退店は大量出店のつけ
 日米ともアパレルチェーンの大量退店や身売り・倒産が加速しているが、大量退店しているという事はかつて大量出店していたという事でもある。
 米国大手アパレルチェーン9社は過去6期間に合計2501店を出店して2691店を退店しているから、同期間の退店率は107.6%と出店より退店の方が多かった。17年1月期は6期間で最悪の169.9%に達しているが、今期は200%を超えてしまうのではないか。
 同様に国内大手アパレルチェーン14社は00〜16年間に合計8314店を出店して5575店を退店しているから、同期間の退店率は67.1%と米国チェーンに較べるとまだましだが、リーマンショック以降の09〜16年間では95.9%と100%に迫る。直近の16年度(〜17年3月期)では117.9%と一段と悪化している。
 国内大手アパレルチェーンの総期末店舗数は00年度の4658店から16年度は7397店舗と6割近く増加したが、2739店増やすのに8314店も出店した訳だから、出店の成功率はたったの33%だった事になる。過去三年間に開発された大型商業施設へのSPACメンバーの出店の失敗率も前年の半分強から八割近くに悪化しており、退店率も二割を超え、2年以上が経過した店舗に限れば三割近い。ECの急拡大で店舗投資の採算が見えなくなる中、ラシアンルーレット(失敗率は6分の一)を遥かに上回る失敗率の出店を繰り返す感覚はギャンブル依存症としか思えない。
 この間、幾度も『売れない店をどうして増やすの?』と警鐘を鳴らして来たが、目先の勢いやライバルとの競争意識から冷静な判断を欠いて過剰な出店を繰り返して来たつけはあまりに大きかった。衣料・服飾雑貨のEC比率が11%に迫り20%、30%という企業も珍しくなくなる中、在庫が偏在してロスが大きく運営コストも嵩む店舗は‘お荷物扱い’され始めており、損益の悪化から米国並みに大量退店や身売り・破綻が広がる事はもはや避け難い。店舗要員の人手不足も近々に解消されてしまうのではないか。
 かつて『売れない店をどうして増やすの?』という私の警鐘にどうして耳を傾けてくれなかったのか。いままた『EC比率が20%を超えるとカニバリが店舗を追い詰める』という警鐘にも耳を傾けてはくれないのだろうか。

※米国大手アパレルチェーン・・・・ギャップ、アバークロンビー&フィッチ、アメリカンイーグル、Jクルー、エクスプレス、エアロポスティル、バックル、ティラード・ブランズ、チコス
※国内大手アパレルチェーン・・・・アダストリア、ユナイテッドアローズ、ハニーズ、コックス、タカキュー、パレモ、シーズメン、国内ユニクロ、ライトオン、マックハウス、ジーンズメイト、青山商事、AOKIファッション事業、はるやまホールディングス


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 2017/07/20 09:08  この記事のURL  /  コメント(0)

GINZA SIXは勝ち組か?
 今朝の日経MJ一面は開業3ヶ月のGINZA SIXを『星、三つ半!』と評していたが、業界から聞こえて来る実勢もそんなもののようだ。
 ラグジュアリーブランドの旗艦店を路面に並べ、クリエイターブランドからファクトリーブランドまで旗艦店級ショップを集積して銀座のブランド消費とインバウンド消費を制圧する‘勝ち組’として君臨したかに見えたGINZA SIXだが、現実はそんな甘いものではないようだ。日経MJの来館者アンケートでも『庶民には高過ぎる』『30〜40代のセンスのよい女性向け』『ファッションを買ったのは十人に一人』など、買う物が無くて地下二階の食品や飲食、6階の蔦屋書店でお茶(スタバ?)を濁して帰る姿が浮き彫りになっていた。
 国内客にとってはあまりに日常生活から乖離した夢物語の世界で定期的な消費の場とはなり得ないし、モノに飽きてコトに流れるインバウンド客とて手軽なドラッグ関連や消耗品が揃わない以上、物見遊山に一巡したら足が遠のきそうだ。インバウンド客は飽きが速く、東京の繁華街から関西やリゾートに急速に移動しているし、買物に一巡したら混み合う繁華街に用はなくなるだろう。
 銀座のライバル施設の売上もGINZA SIXと重なるブランドを除けば影響は極めて限られるから、来館者は多くても売上は予算に遠いと見て良いだろう。ギョーカイでは開業初日売上が○.○億円だったなど初年度目標の600億円には到底、届きそうもない数字が一人歩きしている。インバウンドに押し上げられているとは言え、バブル期まがいのラグジュアリー商業施設が今の我が国で成り立つのかどうか、来年の今頃には答えが出ているだろう。

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 2017/07/19 09:55  この記事のURL  /  コメント(0)

来春夏MDディレクションが完成!
 「客層スタイリングマップ」の作成から始まって「客層別スタイリング変遷」と「ブランド別販売成績推移」のクロス検証を経て、「有望スタイリングテーマ」の設定から「テーマ別素材構成ボード」の製作、「全体総括」と長〜いステップを踏んでようやく「18年春夏MDディレクション」が完成しました。そのファイナルワークが使用した素材をカラー編集して構成する「素材コラージュ」で、ディレクションブックの表紙を飾ります。
 その最終仕上げシーンが以下のカット。この作業だけは私ひとりが集中して一気に詰めますが、今回もレディス/メンズそれぞれ三時間近くかかりました。来春夏の空気と光を体現すると、白〜黄色を軸に光から影へと左右に展開していくコントラストの強い色環構造になりました。感性の鋭い方は、これだけで来春夏の気分が読めるのではないでしょうか。いつも御協力を頂いておりますテキスタイラー様、商社様、ありがとう御座います。
 「MDディレクション」は有望スタイリングテーマを軸に季節のMD展開を提案するもので、企画実務に即、活用出来るよう着回し/素材構成/カラーパレットをビジュアルに組み立てています。来春夏は春⇒初夏⇒盛夏とスタイリングはもちろん素材もカラーもガラリと切り替わる展開になりそうですよ。ご興味ある方は当社までお問い合わせ下さい。


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 2017/07/18 09:20  この記事のURL  /  コメント(0)

30万円の使い捨てウォッチ!
 ルイ・ヴィトンが満を持して発売したスマートウォッチ「Tambour Horizon」を早速、実見しにお昼休みに徒歩三分ちょいの表参道店に出かけた。 
 デザインは「Tambour」シリーズを踏襲しており、バッテリーやCPUを内蔵する分、直径42mm/厚み12.5mmとやや大振りだが、腕に付けた感触は「Tambour」シリーズと大差ない。外装はつや消し仕上げグレーリングの「グラフィット」、光沢仕上げブラウンリングの「モノグラム」、ブラックPVD仕上げブラックリングの「ブラック」の三種で、税込み本体価格は「グラフィット」と「モノグラム」が29万9160円、「ブラック」が36万3960円と「Tambour」シリーズとしてはお手頃だ。メンズ/ウィメンズ各30種、計60種を揃えるストラップはワンタッチで着脱可能な優れもので(不器用な私でも即、出来ました)、税込み4万1040円〜6万5880円。内蔵の数種類に加えて今後、アプリで増えて行く文字盤デザインを自在に切り替えて楽しめる。
 Android Wear 2.0をOSにAndroid/iPhoneに連動し、電話やメールの着信通知、スケジュール管理、都市ガイドやホテル/レストラン検索で「旅」をサポートするシティガイド機能、空港搭乗口の場所と遅延情報、到着までの所要時間を表示するマイフライト機能を搭載。コンパスや天気情報、タイマーやワールドタイム、防水(30M)、歩数計など一般的な機能も脈拍計を除いて揃っているようだ。
 ルイ・ヴィトンの親切なお姉さんの説明で即、会得出来てしまう使い勝手は一般的なデジタルウォッチより秀逸で、iPhoneより直感的かも知れない。これは優れものだと即買いしかけた物欲にブレーキをかけたのは‘使い捨て’という予期せぬ欠点だった。最大22時間駆動出来るバッテリーは毎日、2〜3時間の充電が必要だが、その寿命が2〜4年で尽きれば交換不能ゆえ‘使い捨て’になってしまうと言うのだ。それを聞いた瞬間は目が点になったが、ルイ・ヴィトンのカスタマーサービスに確かめても同じ回答が返って来たから、どうやら本当らしい(アップルウォッチは9800円でバッテリー交換出来る)。
 30万円もするスマートウォッチを2〜4年で使い捨てるほど泡銭が入って来る身分ではないので、ここは跳び付かず頭を冷やして継続審議とする事にしたい。

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 2017/07/14 09:14  この記事のURL  /  コメント(0)

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プロフィール
小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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