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ZOZOに恐るべき伏兵?
 LINEは6月15日、ブランドやセレクトショップから百貨店やECモールまで100余社を揃える「LINEショッピング」をアプリ内にローンチした。検索機能だけで決済機能もフルフィルも一切持たないアフィリエイトサイトで、商品を決めてクリックするとリンク先のサイトに送客されるというシンプル(=低コスト)なものだ。
 これが何で‘恐るべき伏兵’かと言うと、ZOZOなどECモールでは顧客データはモール側が独占するのに対し、「LINEショッピング」では送客された顧客が注文すれば顧客データがダイレクトに得られるからだ。ZOZOや「amazonFBA」では顧客情報は得られないし、「amazon出品サービス」でも顧客の配送情報は提供されても決済情報などは提供されないが、ダイレクトに送客される「LINEショッピング」では新規顧客の獲得が期待出来る。ローンチに先立つ半年間のテストランのコンバージョン率は平均22.8%と高水準で、中には38%に達した大手アパレルもあったとされるから、国内6800万人のLINEユーザーへの期待も高まろうというものだ。
 実際、コーチやナイキ、Gapやフォーエバー21、ユナイテッドアローズといったブランドやストアはもちろん、伊勢丹や大丸松坂屋など百貨店から楽天市場やヤフーショッピング、セブンネットなどECプラットフォーマーまで挙って参加しているから、LINEユーザー獲得への期待の大きさが伺える一方、LINE側も徹底したオープン・プラットフォーム戦略を仕掛けていることが解る。
 LINEユーザーにとってのメリットは買上額の最大20%もらえるLINEポイントで(クッキ ーの有効設定要)、1ポイント1円としてLINE Payで使え、LINEコインなどに交換出来る。オープニングキャンペーンでは著名ブランド/ストアの多くが10〜15%をポイント還元しており、ショップジャパンは20%も還元している。さすがにECプラットフォーマーの還元率は楽天市場もヤフーショッピングも1%と低いが、大丸松坂屋は10%、伊勢丹は15%と意外に高い。キャンペーン期間中の高還元率には販促費的上乗せも在るようで、6月25日までのキャンペーン期間が終われば1〜5%程度に落ち着くのだろう。
 出店者は初期費用や基本料金は不要で『LINEショッピングを通じた掲載商品の売上金額に一定割合を乗じた金額』とされるが、実際の負担は『LINE社へのポイント還元分販促費+アフィリエイト代理店への報酬(販促費×課金料率)』で出店者によって7〜13%と巾があるようだが、これもキャンペーンが終わればポイント還元分の圧縮とともに落ち着くのだろう。
 「LINEショッピング」は1)新規顧客とりわけ若年層の獲得、2)手軽な成果報酬課金率、で既存のフルフィル型ECモールを脅かすとともに、3)楽天市場やヤフーショッピングなどECプラットフォーマーにも門戸を開くオープン・プラットフォーム戦略が注目される。リンク先にZOZOやamazonが並んでも何ら不思議はないのではないか。

◆小島健輔(KFM)のオフィシャルサイトはこちら
 2017/06/23 09:08  この記事のURL  /  コメント(0)

アマゾンはファッションに本気だ!
 ホールフーズマーケットの買収という先週末(16日)の衝撃も醒めやらぬ20日、アマゾンはファッションECの壁を突き破る画期的なサービスを発表した。プライム会員向けの「amazon prime wardrobe」がそれで、返品自由・返送料も無料・多点買いディスカウント付き・購入分だけ決済という‘試着販売’サービスだ。
 ウィメンズ/メンズ/キッズのウエア・シューズ・アクセサリーなど「prime wardrobe」と付記された商品から最少3〜最大15アイテムを選択すると、「prime wardrobe box」にまとめて送られて来る。それを試着して気に入らなかったアイテムをUPSのプリペイド送り状付き返送用ボックスに入れて7日以内に発送すれば済む。送られた商品の3〜4アイテムを購入すると10%、5アイテム以上を購入すると20%割引される。似たようなサービスは「Stitch Fix」や「TrunkClub」などファッションアイテムのデリバリーサービスでも行われているそうだが、膨大な品揃えのアマゾンがプライム会員向けサービスの一貫としてローンチするインパクトは極めて大きい。
 アマゾンはファッションカテゴリーの拡大に注力しており、米国では16年に215億ドル、17年は278億ドルに伸びてメイシーズ(247億ドル)を抜くとさえ予測されている(コーエン&カンパニー)。拡大の障壁となるのが『試着出来ない事』で『返品の煩わしさ』も加わるが、「amazon prime wardrobe」はその障壁を一気に取り払う事になる。
このサービスではスタッフを介在してのフィッティング・アドバイス&お直し採寸、返品商品のコンディション確保は望めないから、次の段階では私が提唱する「TBPP」的なオムニチャネル拠点展開が加えられるのではないか。

◆小島健輔(KFM)のオフィシャルサイトはこちら
 2017/06/22 09:09  この記事のURL  /  コメント(0)

「好きなブランド」「よく買うブランド」「よく買う店」
 繊研新聞が毎年5月に行っている「ファッション専門学校生の意識調査」の結果が公表されていたが、「好きなブランド」はともかく「よく買うブランド」では実際の販売成績とのズレもあり、ファッション専門学校生と一般顧客、とりわけ大人層とのギャップも見えて面白かった。
 「好きなブランド」は「ZARA」が前回の1.5倍を得票して二年連続の首位、デザイナー交代で人気復活の「グッチ」が2位と前回の7位から躍進、前回2位の「コムデギャルソン」が3位に落ち・・・・・「よく買うブランド」でも「ZARA」が二年連続の首位、前回3位の「ジーユー」が2位、前回5位の「古着」が3位に上がった一方、2年前まで8年連続首位だった「ユニクロ」は4位に、3位以内だった「H&M」は5位に落ちた・・・・・とまとめていた。
 当社がまとめた今春(2〜4月)の「全国主要100商業施設ブランド販売動向」の既存店前年比と照合すると、グローバルSPAでは「ZARA」が115.3と断トツ首位、ラグジュアリーでは「グッチ」が115.7とトップだったが「シャネル」も僅差で続いていた。ジャパンクリエイターでは「ヨウジヤマモト」が120.3とトップで「イッセイミヤケ」も堅調だったが、「コムデギャルソン」は前年を割っていた。他でもセレクトショップでは「リヴドロワ」が124.0、コンテンポラリーでは「PLST」が121.1、国内プレタでは「フォクシー」が118.7と突出していたが、ファッション専門学校生の視野に入らないブランド、若者より高齢層に人気のブランドも多いと推察される。
 「よく買う店」では得票を半減したルミネが辛くも三年連続の首位、パルコも3位を確保したが、ECモールの「ZOZOTOWN」が圏外から一気にベスト2に上がり、フリマアプリの「メルカリ」も6位に入った事が注目される一方、去年は5位だった「伊勢丹」が7位に落ちて「109」と並んだ事も印象的だった。

※「全国有力100SC/百貨店のブランド販売動向」17年春商戦版はWWDジャパン7月3日号に掲載されます。

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 2017/06/21 09:50  この記事のURL  /  コメント(0)

バーゲン後倒しは自滅を招く
 首都圏主要商業施設の夏バーゲン日程が出揃ったが、一段と前後に分散して長期化し、勢いも分散して盛り上がりを欠きそうだ。
 繊研新聞のまとめによると、郊外・近郊SCは6月23日、駅ビル・ファッションビルの多くは7月1日、百貨店のほとんどは6月30日から始める一方、ラフォーレ原宿は7月27日、ルミネは昨年よりさらに十日後倒しの7月28日から始めるそうだ。既にECも含めてプレセールやシークレットセール、ブランドのファミリーセールも始まっているから、後倒しすればするほど‘玉’が枯渇して顧客の期待を裏切る事になるのは必定だ。
 後倒しに固執する商業施設はバーゲン商品の確保をテナントや納入業者に強いるのだろうが、書入れ時に一ヶ月も在庫を寝かせる事を強いられ、他ではバーゲンしている間に無理矢理プロパーで売る商品を手当し、あまつさえ他でバーゲンになる商品を悉く引き揚げてプロパー商品を運び込み、後倒しバーゲンの開始前にはプロパー商品を引き揚げて寝かせていたバーゲン用商品を運び込む、という二重三重の労働を強いられる。『産地とギョーカイのために』が屁理屈に過ぎない事は自明の理であろう。これが「優越的地位の濫用」でなくて何なのだろうか。
 売れ足の速いECに売れ筋が流れて店舗販売が圧される昨今、ECでバーゲンが一巡してから後倒しの店舗バーゲンが始まるとなれば、ますます店舗に適品が回らなくなってしまう。商業施設のバーゲン後倒しはECとの品揃え格差を広げ、自滅の火に油を注ぐだけではないか。

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 2017/06/20 09:14  この記事のURL  /  コメント(0)

生き馬の目を抜くM&Aの応酬
 一息ついた週末の度肝を抜いたのは5分の僅差で発表された二つのM&Aだった。ECの巨人アマゾンがナチュラルフーズで人気の米大手高級食品スーパー、ホールフーズマーケットを137億ドルで買収すると合意したニュース。その5分後に発表されたのが世界最大の小売業者ウォルマート・ストアーズがショールームストアで注目されるアパレルECのボノボスを3億1000万ドルで買収するというニュースだった。片やECから店舗小売業に手を広げるアマゾン、片や店舗小売業から次々とEC事業者を買収するウォルマート、オムニチャネル利便で流通の覇権を争う両雄の闘いも天王山が近づいてきた凄みを感じさせる‘事件’と言うしかない。
 ウォルマートのEC比率はまだ片手に届かない段階だが、昨年にアマゾンの将来のライバルとされる会員制ECマーケット事業のJet.comを33億ドルで買収してCEOのMarc LoreをウォルマートEC事業部のCEOに据え、着々と手を打ってEC売上を急加速させている。EC事業の買収も今年に入って靴のシューバイ、スポーツ衣料のムースジョー、レディスアパレルのモドクロスと続き、次なる一手がボノボスの買収だったが、アマゾンによるホールフーズマーケットの買収という‘王手’の前には霞んで見える。
 国土が広く宅配コストの高い(日本の2倍以上)米国ではフルフィルメントセンター出荷だけでは競争力を欠き、全米を網羅する店舗網による「Ship from store」(店出荷)と「Store pickup」(店受け取り)が顧客利便の要となる。とりわけ鮮度が要求される生鮮食品については必須要件と言わざるを得ない。2月に踏み切った「FREE 2-Days Shipping」(35ドル以上のEC購入は会費なしで2日以内に宅配)、4月から始めた「Pickup Discount」(EC購入品を店舗で受け取れば3〜5%割り引く)でEC売上を急拡大させるウォルマートに対してアマゾンが放った‘王手’が今回のホールフーズマーケット買収だったのではないか。
 オムニチャネル戦略の本質を理解しないままECの拡大に走る我が国の小売事業者、とりわけアパレル事業者の抱えるリスクは極めて大きい。食品分野で競われる店舗網のオムニチャネル拠点化の重要性はアパレルとて同様なのだが・・・・・

※ホールフーズマーケット社は米国、カナダ、英国に460店舗の食品スーパーを展開して157億ドルを売り上げ、5億ドルの利益を計上している(16年9月期)。

◆小島健輔(KFM)のオフィシャルサイトはこちら
 2017/06/19 09:12  この記事のURL  /  コメント(0)

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プロフィール
小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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