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アメカジも終わってる?!
 先週末の繊研新聞のコラムでマックハウスの白土社長が『「ジーンズカジュアル業界」なんてずっと昔に終わっていた』と語った事がギョーカイでちょっとした話題になっているが、『今更言うのか』というという時代ズレはともかく、『今後はジーンズカジュアルから実需衣料中心のビジネスモデルに転換します。ジーニングやアメカジ一辺倒のMDからの脱却を図り「ビジカジ」など新たな提案で売上拡大を図ります』という達観した方針には好感が持てた。
 白土氏の発言で注目すべきは『ジーニングやアメカジ』とアメカジもジーニングと同列に終わったものと看做している事で、ジーニングと同列はともかく一歩遅れて終わりつつある事は間違いない。米国のアメカジ御三家(アバクロ/アメリカンイーグル/エアロポステール)はすっかり勢いを失い、エアロポステールは昨年5月にチャプター11を申請して154店を仕舞い、残った店で細々と営業を継続している有り体で、ジーニングのバックルはもちろんギャップも苦戦が続いている。我が国でも昔ながらのジーニングやアメカジのチェーンはローカルに埋没した感があり、「Free&Easy」の昨年三月号での休刊はひとつの時代の終わりを実感させた。
 昔ながらのジーニングやアメカジが消えて行く一方で急拡大して新たなジャンルを確立したのが「ナチュラルモードカジュアル」で、オンシーンの「コンテンポラリーモード」(いわゆる「ドメコン」?)と双璧を築くに至っている。どちらもここ二〜三年の新業態や新ブランドの大半を占める奔流となっており、前者は郊外SC、後者は駅ビル/ファッションビルや百貨店に広がっている。
 そんな変化を毎シーズン、克明に捉えて体系的に表現しているのが当社のブランドツリーで、このほど完成した「17SS版ブランドツリー」はウィメンズ/メンズ/キッズの3884ブランドを計49ゾーン/639タイプに分類して網羅している。これと各客層のスタイリング傾向をリンクするのがもうすぐ完成する「客層マップ」の17SS版で、2〜5月のブランド別販売成績も合わせて検証し、7月上旬を目処に「18年春夏MDデイレクション」を完成させる。

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 2017/05/31 09:26  この記事のURL  /  コメント(0)

「夢見る時」が過ぎて
 先週金曜5月26日の日経MJは『読み違えたターゲット』と見出して昨年開業の「ニュウマン」と「東急プラザ銀座」の苦戦を取り上げていたが、ターゲットの読み違えももちろん幻影と現実のギャップも大きかったように思われる。
 両施設に限らず近年は実績ある大手デベによる郊外大型SCでも大空振りが頻発しており、とりわけエンターテイメントを集客の目玉にして時間消費を打ち上げた施設の苦戦が目立つ。ECが拡大する中、リアルの商業施設としてはECにはないエンターテイメントや‘コト’な体験消費で差別化しようという意図があったのだろうが、それが却って来店客のリアルな利便を損なって売上が伴わないというスレ違いが生じている。
 都心の注目施設も郊外の大型SCも電車や車でわざわざ出向いて行かなければならない‘ハンディ’を否めず、時間もお金も使って出かける甲斐のあるリアルな御利益を欠いては安定した売上は望めない。EC以上にリアルな消費利便が揃わなければ、わざわざ出かける甲斐がないのに、エンターテイメントだ‘コト’な体験消費だ、ファッションだラグジュアリーだと打ち上げられては、当座の物見遊山が一巡すれば客が引いてしまうのは必然だ。
 イリュージョン(幻影)は束の間の幻であって日々の利便に応えるソリューション(現実的解決)には繋がりにくい。都心から郊外やローカル、大商圏施設から日常の近隣施設まで業績の明暗を見ていると、大商圏から近隣へ、夢見るイリュージョンから生活直結のソリューションへ、消費は確実に変質している。伸びているのは食物販や手軽なフードサービス、HBC関連ばかりで、家計消費支出を見てもエンゲル係数とビューティ係数が伸びる一方、ファッション係数は凋落の一途を辿っている。少子高齢化と財政の悪化で文明が衰退して行く今日、もはや‘夢見る時’ではないのだろう。
 ギョーカイは未だイリュージョンを売りたいのかも知れないが、生活者の現実はもはやそれを受け入れる情況にない。ならばギョーカイの経営もイリュージョンからソリューションへと急転回せざるを得ない。次々と表面化する経営陣の交代はそれを痛感させる。顧客のリアルな利便に応える地道なソリューションこそ業績改善への最短コースなのだとギョーカイもようやく気付いたのだろうか。

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 2017/05/30 09:26  この記事のURL  /  コメント(0)

三社が競ったZARA特集
 ZARA(INDITEX社)が日本のプレスを本社に招いて自ら秘密のベールを公開したプレゼンテーションから一ヶ月。主要ファッション誌に加えてWWDジャパン、繊研新聞、日本経済新聞が招かれたと聞いているが、先週月曜から金曜にかけてその三社の特集記事が出揃った。骨子は先週火曜のブログにまとめたが、新たに報道された内容と三社の記事の相違について触れておきたい。
 新たに報道された内容は以下の二点。
1)デザインセンターのウイメンズ/メンズ/子供と分かれた各フロアは、中央に各国を担当するカントリーマネージャー、その左右をデザインチームと生産・調達チームが挟む配置で、各国の市場特性と販売動向をタイムリーに捉えたカントリーマネージャーがデザインチームの提案する企画サンプルに要望を加えスクリーニングして、通った企画を生産・調達チームが手配する。
2)各シーズンの先行企画は3〜4割程度、6〜7割は引き付けた期中企画で、それぞれ別のデザインチームと生産・調達チームが担当する二陣体制。 
 WWDジャパンと繊研新聞で食い違うのが一型当り生産ロットで、前者は『一型数千枚程度』、後者は『1デザイン1色1万5000〜2万点が平均的』と報じ、日経MJはロットに触れていない。繊研新聞は『昨年度、インデイテックスが販売した商品は5万品番の11億7700万点。ZARAはそのうち2万品番』と報じているから、単純計算では全社ベースの一型当り販売点数は23,540点になる。
 ZARAの店頭MDやECサイトを見る限りデザインものの大半は1色/2〜5サイズ、ベーシックトップスは2〜4色/2〜4サイズ、ベーシックボトムは2〜3色/4〜6サイズだから、デザインものはZARA全2213店の6割が発注するとして一型8,000〜11,000点、ベーシックトップスやベーシックボトムは8割が発注するとして一型4〜6万点、と商品性格によって異なると推察される。ZARAの年間2万品番の平均販売ロットがINDITEX全社平均と同じ23,540点となるにはデザインものが66%強/ベーシックものが34%弱の型数比率になる計算だが、店頭で見る限りデザインものの比率は8割はあるから、ZARAの平均販売ロットは1万8000点前後と推計したい。
 2213店舗で1万8000点なら単純計算で1店あたり8点強に過ぎないから徹底した一蒔き売り切りだ。近年の南アジアシフトで無理にロットを増やして残品の山を作ったアパレルチェーンなどZARAの‘爪の垢’を煎じて飲むべきだろう。難しいことは言わない。ZARA並みに色数を絞って、デザインものは4週、ベーシックものは8週で売り切れる量しか調達しないと割り切れば残品の山は見なくて済むのではないか。

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 2017/05/29 09:22  この記事のURL  /  コメント(0)

MDとDBのコペルニクス的転回
 本日は午後から『消化歩留まり最大化へのMD&DB総研究』と題して月例のSPAC研究会を開催します。過剰供給やECへの分散でリーマンショック当時を下回るほど落ち込んだ消化歩留まりを如何にして改善するか、MD〜DB〜VMDを一貫するロジックと組織活力を最大化するガバナンスでコペルニクス的転回を提じます。
 MD面では‘売り減らしから売り足しへ’VMIやFMI、調達ロットのミニマム化とお値打ちな原価率の設定(分水嶺は31〜34%です!)、「心太型」や「ひと蒔き型」の切り替え展開を現実の数値データに基づいて提示します。
 DB面では本部DB主導のCMIから店舗の達成意欲を最大化する店舗/エリア主導のSMIへの転換、厳密な販売期間設定に基づく強制消化プログラム、SKU別消化管理・店間移動・売価変更プログラムによる驚異的なロス圧縮など、メンバーアンケートに裏付けられた‘目から鱗’の改善策を次々と提示します。
 数値とロジックの連打に戸惑われるかも知れませんが、実務の‘カイゼン’は仮説と現実が一致するリアルなソリューションであってイリュージョンとは次元が違うのです。ファッション流通が破綻に瀕する中、もはや‘夢見る季節’でもないでしょう。消化不振に苦しむ現場をどうしたら救えるのか、真摯な追求にご期待下さい。

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 2017/05/25 09:52  この記事のURL  /  コメント(0)

使い捨てか使い回しか
 「ZARAの秘密」というか理解に苦しむ‘不思議’がRFタグの使い回しだ。全面導入が進むファーストリテイリングなど直近は「使い捨て」が主流なのに、なぜかINDITEXは「使い回し」でEAS(万引き防止システム)チップのカバー内に収納している。
 IT関連はドッグイヤーに日進月歩だから、数年前は百円以上(受信能力や書換回数など機能で異なる)もしたRFタグも大日本印刷が『2020年までに5円以下、2025年に1円にする』と打ち上げる段階に至り、億単位で使うユニクロでは10円を切っているはずだ。RFタグの書き換えは可能だが技術的に複雑になって単価も高く、INDITEXが使用するものは「300円」と推察されている。それでも「使い回し」を選択した理由は素人には推測しかねていたが、TENTACの中野さんから‘なるほど’という見識を伺った。
 それによれば、『2010年頃まではRFタグはまだ高価だったが、書き換えが技術的に手間取る上、近年は急速にコストが下がって使い捨てに移行していった。使い回しと使い捨ての違いは導入決定時期の相違によるものではないか』との事。他にもRFIDとバーコードの運用の違いについても貴重な示唆を頂いた。
 『バーコードは「単品管理(SKU)」であって「絶対単品」の認識ができず、二重読み取りや読み取り漏れが避けられず精度が疑わしいが、RFIDは「絶対単品」(同一SKUの個々)を認識してトレーサビリティが高く、多重に読み取ってサーバーで「絶対単品」を識別処理する仕組みだから重複も漏れもなく精度が高い。精度も作業効率も効能もバーコードとは桁違いで、タグ価格の急速な低下もあってバーコードからRFIDへの転換は急速に進むのではないか。但し、RFタグの書き込みはバーコードのように簡単でなくエンジニアのサポートが必要で書き込み機器も高価だから、生産工場など取り付け場所へタイムリーに供給するタグメーカーの書き込み拠点が不可欠だ。』との事。
 中野さんはワールドで百貨店営業からニット製品の生産、大型店の運営を歴任してアパ産協でRFIDの普及に尽力された方だから、現場のリアリティもコスト意識も確かでお話も面白い。百貨店後方の実態など、改めてお勉強させて頂こう。

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 2017/05/24 09:56  この記事のURL  /  コメント(0)

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プロフィール
小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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