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ジーユーはハイブリッドSPAに化ける
 2月3日に開催する「SPACニューイヤーコンベンション」へ向けて大手SPAの昨年度の主要商業施設における販売効率と既存店伸び率を調べた中、「ジーユー」の販売効率が「ユニクロ」を凌駕した事が注目されたが、売上の季節分布や月指数も「ユニクロ」とはまったく異なり、かつての‘ユニクロのお手軽版’という枠を超えての変貌が実感された。
 「ユニクロ」の売上は11月〜1月の冬期に36.7%(16年8月期/前期は39.0%ともっと高かった)が集中して春期の販売効率が冬期の半分に留まるという極端な米国型だが、「ジーユー」の売上は年間を通じて山谷が比較的小さく季節の偏りが見られない。ベーシックSPAたる「ユニクロ」の‘お手軽版’というかつての性格は微塵もなくなり、対極たるファストSPA「ZARA」の軌跡に近付いているように見える。
 「ユニクロ」のような売上の山谷が大きい‘大ロット売り減らし型’MD展開に比べれば、「ジーユー」のような山谷の小さいMD展開は値引きロスが少なくなるはずで、「ZARA」のように色数を絞ってロットを抑え‘ひと播き型’に徹すれば「ユニクロ」の半分ぐらいに圧縮する事も可能だ。売上の山谷が小さいという事は無理にピーク売上を追っていないという事でもあるから、色数を抑えてロットを絞る‘心太型MD’の一方で「ガウチョ」や「スカンツ」のようなピークを伸ばすパワーアイテムを仕掛けていけば、販売効率でも収益性でも「ユニクロ」を凌駕する稼ぎ頭に化ける可能性が極めて高い。
 「ジーユー」が目指しているのは「ユニクロ」的なベーシックSPAと「ZARA」的なファストSPAの両面の利点を並立させる第三のビジネスモデルたる‘ハイブリッドSPA’に相違なく、同時にAIとECを駆使して在庫効率と運営効率を最大化するオムニチャネルSPAを構想していると推察される。
 16年8月期の「ジーユー」売上は32.7%増の1878億円と国内「ユニクロ」(2.5%増の7998億円)の四分の一にも満たないが伸び代も出店余地も大きく、営業利益率も11.8%と国内「ユニクロ」(▼2.2Pの12.8%)の水準に迫る。「ユニクロ」より手頃な価格とトレンド鮮度を武器に国内やグレーターチャイナ圏を席巻し、「ユニクロ」が苦戦する欧米圏でも壁を突破すると期待される。

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 2017/01/31 09:24  この記事のURL  /  コメント(0)

次はどこが撤退するの?
 「オールドネイビー」「チャールズ&キース」「アメリカンアパレル」に続いて次は何処が撤退するのかと商業施設デベが戦々恐々に見守る外資SPAだが、当社が2月3日に開催する「SPACニューイヤーコンベンション」での戦略提案に向けて集計した外資SPAの販売効率は撤退続出必定と言わざるを得ない惨憺たるものだった。
 このブログでも『ファッションはローカルなもの』と幾度も指摘して来たが、販売効率を見る限り、「ユニクロ」「ジーユー」の国内勢圧勝、「GAP」「H&M」の外資勢惨敗という構図が露呈している。駅ビルやターミナルの高効率施設を除く数字が手に入る限られた郊外大型SCの直近一年間平均だが、「ユニクロ」が月坪24万円に迫り「ジーユー」は26万円を超えるのに対して「GAP」や「H&M」など外資勢は行ってもその半分程度で、SCによっては10万円を切るケースも少なくない。外資で唯一、好調なのが「ZARA」で、既存店が伸びて郊外でも17万円を超える店舗が目立つ。
 外資SPAの販売効率が低位に留まるのは嗜好やサイズスペック、MD展開のギャップに加え、出店物件選択の精度の低さも指摘される。好条件の提示に目が眩んで商圏や施設のポテンシャルを見誤り、低効率物件に手を出してしまうケースが少なくないからだ。デベとしてはテナント集めの目玉にしたいから法外な好条件を提示するのだろうが、それが出店判断を誤らせ日本事業総体の効率を悪化させている。
 外資勢は一般テナントが知れば激怒するほどの優遇条件で出店しているから、低販売効率でも直ちに退店する事にはならないが、あまりに低効率だと在庫が回らず値引きロスが肥大して日本事業総体の収益性が底割れし、本国が収益重視の経営政策に転ずれば‘撤退’という判断になりかねない。「GAP」はもちろん「H&M」や「フォーエバー21」も一部の不振店舗は整理せざるを得ない情況にあると推察される。他にも低販売効率で前年も割り続けている外資SPAが幾つか見られるが、撤退は時間の問題だろう。

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 2017/01/30 10:29  この記事のURL  /  コメント(1)

アメカジがヤバい!
 3シーズン続いた加工デニムも昨年秋口には失速し、ジーンズカジュアル復活も短期に終わった感が在るが、トレンドが3年振り(ベーシックからデザインへという本質では6年振り)に一転する17年秋冬では「アメカジ」マーケット総体の失速が危ぶまれる。‘ノームコア’が終わってデザインと装飾、ボディフィットが復活するのに加え、キレイ目シフトで製品洗いなど汚め加工が疎まれると予測されるからだ。
 元より「アメカジ」はベーシックアイテムの製品加工と着崩しで成り立っているローカルカジュアルだから、‘ノームコア’なゆるい着崩しが後退し加工アイテムが失速すれば魅力が剥げ落ちてしまう。他分野で新鮮なデザイン/装飾アイテム、ボディフィットなアイテムが広がれば「アメカジ」市場の縮小は免れないだろう。
 ファストファッションブーム以降、ローカルカジュアルたる「アメカジ」は世界的に勢いを失い、米国では「アバクロ」が失墜、「エアロポステル」が破綻して「アメリカンイーグル」だけが何とか復調するのみで、ジーンズカジュアルも失速するという病み上がり状態だったから、トレンドの一転で「アメカジ」は泣き面に蜂の逆風に晒される事になる。我が国でもジーンズカジュアル復活が短期で終わって昨秋口から失速し、「ギャップ」や「アメリカンイーグル」などアメカジ系外資チェーンの売上も翳る中、トレンドの一転が追い討ちをかける。
 「アメカジ」生き残りの鍵は脱ジーンズ&製品加工、IVY&Modsシフト、アウトドア&ドームウエア強化なのではないか。当社の「17年秋冬MDディレクション」を一覧すればビジュアルに実感出来ると思う。

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 2017/01/27 09:09  この記事のURL  /  コメント(0)

一点10円の価値しか無いの?
 輪湖もなみさんが自身のブログ「stylerecipe」でZOZOTOWNの買取サービスにチャレンジした顛末(まずは発送までの前編)を報告しておられたが、送り状から梱包用のガムテープや‘身分証明要’などの注意書きまで揃った配送キットなど、よく考えられた懇切丁寧なシステム(すべて無料)を評価する一方、『買取できないブランドがかなりある』と指摘していた。
 配送キットに入っていた『お送りいただく前にご確認ください』という文書では『定価3,000円以上のアイテム』とする一方、『買取できないブランド』を列記している。列記されたブランドは一部に過ぎないようで、「かんたんブランド査定」という検索機能を使って手持ちブランドが買取対象か否かを知る事が出来る。
 さて『買い取れません』と列記されたブランドだが、「UNIQLO」「GU」「GAP」「無印良品」「Forever21」「H&M」などポピュラープライスの量販ブランドは致し方ないものの、低価格とは言い難い百貨店ブランドまで並んでいるのは意外に感じられた。何せ買い取れないブランドは『一点、10円と査定される可能性がございます』とお断りが明記されており、実際に買い取れないブランドを送ってしまった顧客が『一点、10円』と査定された報告が幾つもネット上に上がっている。
 そんな報告の中には『一点、10円』が納得できずに「ブランディア」や「ブランドゥール」「フクウロ」「ココロード」などで再査定を試みた報告も見られるが、『0円』や『5円』という散々な結果だったから、ZOZOの買取サービスの査定が低い訳ではなく、送料無料の懇切丁寧キットというコストを考えれば良心的な査定と言うべきだろう。それでも『一点、10円』と査定されてしまうのは二次流通価値がその程度でしかないという事なのだ。それと比較すれば、定価の10〜20%というバッタ屋さんの残品買取価格(一応は新品ですから)は‘法外’な好条件なのかも知れない。
 『買い取れません』と列記されたブランドを見て行くと「低価格」「大量流通」に加えて「ODM」「OEM」が露骨なブランドが並んでいるから、ZOZOの査定スタッフはちゃんとした目利きが揃っているのだろう(今はきちんと作っているブランドも含まれているから、何シーズンか前の商品を前提としているのかも知れない)。リストに挙げられたブランド、「かんたんブランド査定」で『買い取れません』と出るブランドはこの機会に『ブランド価値とは何か』根底から考え直した方が良いと思う。

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 2017/01/26 09:07  この記事のURL  /  コメント(0)

ゆるい服はゆるい躰を育てる!
 17AWは‘ノームコア’に流れた過去6シーズンから一転してデザインと色柄・装飾に溢れるファッション復活のシーズンになると予測されるが、同時にもうひとつ大きな揺り戻しが来る。それは‘ノームコア’がもたらしたゆるいフィットやビッグシルエットからボディフィットへの回帰だ。16AWでは3シーズン続いた加工ナチュラル面が失速してキレイ目面に転じ装飾の復活も一部に見られたが、17AWではデザインと色柄・装飾の復活に加えてボディフィットも帰って来る。
 『ゆるい服と伸びる素材はゆるい躰を育てる』とmadameH(佐藤治子さん)も輪湖もなみさんも異口同音に警鐘を鳴らしておられるが、もう6シーズンもゆるい着こなしが続いたのだから皆さんのお躰も相当にゆるく育っておられるとお察しする。
 ‘アスレジャー’もいいんだけど、お部屋やエクササイズシーンだけでなく街中までジャージや合繊クロスのゆるい「ジョグパン」「イージーパンツ」で過ごしていると躰がゆるく育ってしまうし、ますますTPOが崩れてギョーカイの首を締める事になる。なんだか「BBクリーム」など化粧品の‘オールインワン’志向とも通じるものがありますね。
 キレイ目志向とボディフィット回帰と言っても80年代的‘ボディコン’が復活する訳ではなく、60〜70年代的なニートフィットが主流となって一部ではモッズ的タイトフィットも台頭するが、一方で90’Sスケーター的ストリート崩しも根強く残る。
 スタイリング・色柄・素材・ディティールはもちろんMD展開や調達手法まで言及する「17年秋冬MDディレクション」の詳細はクライアントへの解説が一巡した後、参加者を限定したシークレットセミナーでお見せしたい。

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 2017/01/25 09:10  この記事のURL  /  コメント(0)

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プロフィール
小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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