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素人目にもカッコよい店
 11月の始めに関西の新しいイオンモール(鉄砲町と四条畷)をリサーチした時、モールで目を惹いたお店があった。まったくの素人目でオオッ!と感じるままに選んだのが以下の三店舗だが、VMDの何たるかが推察できるというものだ。
 最初は「じぶんまくら」というオーダーメイドまくら専門店で、色相順に並んだまくらのカラーディスプレイが目印になっている。色相のみならずトーンのリズムも心地よく設計されており、やすらぎ感を誘う。レイアウトもほぼ各店統一されており、何屋さんか一発で解る。愛知県一宮市の(株)田中ふとんサービスが運営しているが、実は「スリーピングファクトリー」も「B-DESIGN」もみな同社が展開しており、グラフィックのレヴェルも高い。
 次は「コーナーズ」というスニーカー専門店で、ストリート感あるスニーカーブランドに絞って‘カッコよさ’を訴求している。運営しているのは「スポーツオーソリティ」を経営しているイオングループの(株)メガスポーツで、最近のイオンはVMD的にも進化が著しい。
 最後は「GEOGRAPHY」だが、ほとんどセレクトショップかと見紛うVMDセンスはジーンズカジュアル店の文法を超えている。奈良県香芝市の(株)ジェオグラフィーが関西中心に9店舗を展開しており、ヴィンテージカジュアルからストリートスポーツまでリミックスするMDセンスもイケている。
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 こうして見ると、カッコよいかどうかは素人が見ても玄人が見ても大差なく、何をどう売ってるのかはっきりと打ち出している店ほど目を惹くようだ。売れ筋を追ってMD編成が振れまくる店はどうVMDを工夫してもダサいバラックにしか見えない訳ですよ!!



 2016/11/30 09:09  この記事のURL  /  コメント(0)

アウェイで勝てない百貨店
 「ルクアイーレ」に残った三つの伊勢丹コーナーが来年一月末で営業を終了し、大阪駅の伊勢丹はさらに小さくなる。地下二階の「イセタンフードホール」、地下一階の「イセタンシューズ&バッグス」は営業を終了、「イセタンアクセサリーズ」は4Fの「イセタンクローゼット」に統合され、「イセタンコスメティクス」など1〜4Fに散在する売場は今後も残る。
 鳴り物入りで11年5月に開業した「JR大阪三越伊勢丹」は阪急うめだ本店など地元百貨店に阻まれて思い通りのブランドが揃わず、大阪人にとっては買い難い編集売場も災いしてか業績が低迷し、14年7月に10階と地下二層を除いて閉店。15年4月2日に百貨店・専門店複合商業施設「ルクアイーレ」として再開業した中に8つの売場が継承されたが、その存続も難しいという事なのだろうか。 
 「JR大阪三越伊勢丹」が短期間で行き詰まった主要因は‘個店帳合’というブランド流通慣行に在り、三越伊勢丹に限らず、如何にホーム商圏で隆盛を誇る百貨店でも他百貨店が一番店のアウェイ商圏では有力ブランドが揃わず、手も足も出ないというのが現実なのだ。
 百貨店流通におけるブランド商材の大半は消化仕入れで個店毎の取引となるのに加え、買取商品でも別注品や品番買い切りでない限り個店毎の取引となって店舗間の移動が制約され、アウェイの店には揃わないのだ。ゆえに商圏毎に一番店が有力ブランドを総取りする結果となり、二番店三番店はそのおこぼれで品揃えする事を強いられる。
 大手百貨店と言えども専門店チェーンでは当たり前のセントラルバイイングと多店舗ディストリビューションの体制がなく、ロット買取して機動的な店間移動や売価変更で消化を図る事が出来ないため、販売効率の低い郊外店や地方店の維持が難しい。ゆえに消費の水位が下がったり競合が厳しくなると売上が落ち込み、いとも簡単に閉店に追いやられてしまう。一見は多店舗を運営していても実態はまったくの支店経営であり、西武百貨店や高島屋を除けばチェーンとしての組織調達力は皆無と言って良い。
 大手百貨店がこんな体たらくではアウェイの都市店舗はもちろん郊外店や地方店の閉店が止まらず、地方や郊外ではブランド買物難民のネット依存が高まり、百貨店流通が加速度的に縮小してブランドビジネスも共倒れに追い込まれる。数年を経ずして『ブランドはネットで買うもの』という購買慣習が定着し、都心の百貨店さえ物見遊山のショールームと化すのかも知れない。
 そんな閉塞情況を突き破るのは別格の御利益のあるブランドモールサイトか、SPA化の行き過ぎを反省して原点回帰したセレクトチェーンか、はたまたグローバルなセントラルバイイング体制を確立した外資デパートチェーンなのだろうか。

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 2016/11/29 09:15  この記事のURL  /  コメント(1)

名古屋マーケットは異色!
 テレビ愛知の「サンデージャーナル」というニュース番組にスタジオゲストとして出演する機会があって名古屋市場の特色を改めて検証したところ、結構面白いデータが次々と出てきた。『勢力図が変わる!?ナゴヤの“百貨店”新時代へ』と銘打った番組は11月27日(日)15時〜16時に放映されたので、中京地区の方はご覧になったかもしれない。
 名古屋地区は来春に開業する「タカシマヤ ゲートタワーモール」や12月9日に開業する「イオンモール長久手」など商業施設の開発企画に関わって来たので商圏特性には通じているつもりだったが、調べてみると「なるほど」を超えた「びっくり」な特徴も次々に出てきた。以下は、その一例だ。
1)名古屋人は始末屋で百貨店でも値切る
 何処でも値切る大阪人には負けるだろうが、実際は『一応は言ってみる』という程度のようで、欲しい品があるとネットはもちろん外商ルートからファミリーセールまで安値を探す最近の東京人の方がせこいのかも知れない。東京地区百貨店と名古屋地区百貨店の売上月指数からバーゲン依存度の差を推計してみたが、秋冬期で0.8ポイント、春夏期では0.4ポイントと確かに名古屋地区の方が高かったが、その差は誤差の範囲だ。
2)名古屋では奥様は使う人ご主人は稼ぐ人
 女性の社会進出が進んで共稼ぎが当たり前の東京地区に比べ、名古屋地区は未だ『ご主人が稼いで奥様は家庭を守る?』といった専業主婦比率が高いが、それが百貨店の婦人服売上に対する紳士服売上の比率に現れている。
 婦人服売上対比紳士服売上比率は東京区部が44.7%と半分近いのに対し、十大都市は35.0%、全国平均は32.7%とローカルほど低い傾向が見られるが、名古屋地区は28.9%と十大都市より6.1ポイント、東京区部より15.8ポイントも低い。女性の社会進出が進むほど婦人服の需要は高まるとされて来たが、このデータから見る限り現実はまったく逆で、専業主婦比率が高いほど需要が大きいと見るべきかも知れない。名古屋は大都会にも拘らず専業主婦比率が高いのか女性の家計支出権力が強いのかだが、『名古屋男の所得水準は十大都市で抜けて高く共稼ぎの必要度が低いのです!』と説明される現実はあまりにシリアスだ。
3)名古屋女性はいつまでも若々しく装う
 婦人ボトムのスカート比率はヤング〜OL層が半分前後と最も高く、キャリア、ミセスと年齢が上がるにつれてパンツ比率が高まっていくが(11月21日の「OLのスカート比率はなぜ高い」)、名古屋地区だけはこのトレンドがあてはまらない。年齢を重ねても若々しくフェミニンに装い、娘と服を共有するミセスも多いからだ。街行く女性を眺めていると確かにそんな印象を受けるが、実は統計的にも実証される。
 総務庁「家計調査」(15年度)における婦人ボトム支出に占めるスカート比率は全国平均で24.5%、東京区部では28.6%だが、名古屋市では31.9%と跳ね上がる。名古屋市のスカート比率はOL層の多い東京区部より3.3ポイント、全国平均より7.4ポイントも高いのだ。女性美アピール志向が強いほどスカート比率が高く、機能性要求が高まるほどパンツ比率が高まると考えられるから、名古屋女性は他都市のように生活に追われて機能性に流れず、年齢を重ねても女性的魅力を大切にしている(その余裕がある)と見るべきだろう。
 名古屋マーケットに突っ込んで行くと、マーケティングの常識がいかに怪しいか痛感させられる。ましてやファッション屋のマーケティング感覚など‘幻想’か‘思い込み’でしかないのだろう。

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 2016/11/28 10:18  この記事のURL  /  コメント(0)

ファッション屋の建築センス
 アパレル氷河期と言われる中も次々と新しいアパレル関連店舗が作られるが、正直言って何れも建築的には‘バラック’の域を出ていない。その根本はMD編成が流動的で販売方式も確立されていない事に尽きるが、ファッション屋さんの建築センスも相当に疑わしいと思う。
 DCブームからバブル期にかけての80年代には‘ポストモダン’を謳った象徴主義的なコンクリート打ちっ放しの本社ビルが次々と建てられたが、その多くは売却されたり取り壊されたりして‘歴史遺産’として残ってはいない。近年の百貨店リニューアルにしても装飾で誤摩化した構造美を欠く賞味期限の短いものばかりで、コルビジュ的には『ゴミじゃん!』と言われそうだ。総じてギョーカイ人の建築センスはトレンドを追った浮ついたものばかりで、‘歴史遺産’として後世に残るとは思えない。
 そんな中、仕事で訪れた某社の本社とビジネスセンターは「バウハウス」を現代に再現したかのようなシンプルな機能美が目を惹いた。およそファッションギョーカイとは縁遠いと思われている企業だが、どこだか解るかな!


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 2016/11/25 09:13  この記事のURL  /  コメント(0)

ZARAのマネジメントポリシー
 11月23日にリニューアルオープンした「ZARA」新宿店のプレス内覧会の印象。まずはファサードとレジカウンター後方の巨大デジタルサイネージがハイパーモダンなんだけど、70’Sぽい売場の商品と重なってレトロフューチャーな幻想に囚われます。3層計2300平米の空間は装飾を一切省いてミニマルモダンに徹しており、季節柄もあって黒とグレーが大半を占める売場の色合いが反射して寒々しいほどクールでした。
 MDも大半が黒をベースにアウターは一色か二色、単品もせいぜい三色までのミニマルな展開を継続。削ぎ落とした無駄の無いMDを売り切り御免で回転させていく在庫運用思想がVMDにも徹底されていて、今月のSPAC研究会用に調べた異様にフラットな売上月指数グラフを思い浮かべました。
 直流からEC対応の交流への転換については答えてもらえませんでしたが、期末を除いて店間移動は例外的で、個店ごとに消化を競うのが「ZARA」のやり方だと伺いました。別ルートで調べたところ、欧州のローカルDCはEC専用で店舗への商品補給は行っていないとか。実務システムの肝は表に出さない会社なので真偽のほどは確かめようが在りませんが、各店舗が独立したプロフィットセンターとして競うようマネジメントするポリシーが通底しており、店間移動やオムニチャネルな在庫融通に対しては消極的なのだと受け取れました(あくまで推察です)。
 それにしてもINDITEX広報のお嬢さん達はきびきびとして可愛い。お話ししているうちに国籍不明になっちゃいますね。





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 2016/11/24 09:10  この記事のURL  /  コメント(0)

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小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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