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明日はSPACコンベンション
 6月から準備を進めて来たSPACサマーコンベンションが明日に迫りました。運営コストと値引きロスが肥大して‘お値打ち感’を損なったSPAを尻目に次々と各分野のFDOR(FactoryDirect OmniChannel Retailer)が台頭する中、『SPAの壁を超えて』をテーマに内外の動向からファクトリーダイレクトとオムニチャネルの必然を提じます。
 当日は欧米ファッション企業の直近業績検証に基づいて『壁に当たったグローバルSPA』『ブランド流通の日米格差が招く最終革命』など私の政策提言の後、株式会社Knot代表取締役社長 遠藤弘満様、株式会社ライフスタイルデザイン代表取締役社長CEO 森雄一郎様、株式会社スピングルカンパニー 代表取締役社長 内田貴久様によるパネルでスタートアップの仕掛けやFDORビジネスのキーポイントを伺う予定です。
 SPACでしか得られない視点からの論証と画期的戦略提言、注目ベンチャー経営者のリアルな起業体験談など、乞うご期待です!メンバーは何を措いても時間を割いて参加する価値がありますよ。メンバー外の方も事務局までオブザーバー参加の方法をお問い合わせ下さい。

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 2016/08/24 09:27  この記事のURL  /  コメント(0)

時代のデザイナーと大衆的PB
 セブン&アイHDがグループのPB「セットプルミエ」でゴルチェに続いてケンゾーと取り組むそうだ。百貨店のそごう・西武と量販店のイトーヨーカドーで共通展開するという無理もともかく、若い消費者には馴染みのない往年の著名デザイナーを相次いでPBに起用するというマーケティング感覚には違和感を抱く人も少なくないだろう。
 ケンゾーは70年代、ゴルチェは80年代を象徴する殿堂級デザイナーである事に異論は無いが、どんなに優れたデザイナーにも旬がある。根強いフアンとともに半世紀も人気を保ち続ける教祖的デザイナーも何人かは存在するが、特定の時代の寵児となったデザイナーの多くは時代のイメージから脱却出来ず大衆性を失って行くものだ。根強いフアンは居るとしても、ケンゾーやゴルチェに今日、時代を超えた大衆性があるとは思えない。大手流通業の大衆的PBに位置づけるには無理が在るのではないか。
 発表された高田賢三コラボのカプセルコレクションをネット上で見る限り、何処かにフォークロリックなユーティリティが通底する‘柄と色彩の魔術師’というケンゾーのクリエイションは健在で今様にモダンでもあるが、華やかすぎてターゲットとされる今日の30〜40代の生活感からは乖離している。70年代のブティックファッション時代を経験した団塊世代ならともかく、リアルな現実を生きる今日の30〜40代は煌びやかな和装に近い違和感さえ感じるのではないか。ファッションの価値は時代の生活者との相対的なものであり、如何に優れたクリエーターも時代の大衆性を持ち続ける事は難しい。
 戦後のファッション史を振り返っても、50年代のクチュール再生と60年代の大衆ブランド化、70年代のカジュアルデザイナー台頭と80年代の大衆ブランド化、90年代のストリートファッション台頭と00年代の大衆SPA化、10年代のユーティリティファッション台頭と・・・・・と新潮流台頭のディケードの後に大衆化のディケードが来るという20年サイクルが繰り返されて来た。SNSが拡散する近年の大衆化サイクルはもっと加速しているが、今日の大衆的PBを担うべきは90年代のストリートクリエーターか10年代のユーティリティクリエイターだと思う。

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 2016/08/23 09:58  この記事のURL  /  コメント(0)

使い勝手で合繊シフト
 コーディネーターから上がって来た秋立ち上げのスタイリング報告を見て少なからず驚いた。従来は綿やウール混で立ち上がるアウターやボトムの大半がポリやナイロン、ポリ混やナイロン混、アクリル混ばかりだったからだ。
 レディスではモードトレンド中心にドメコン系やフェミニン系など合繊の氾濫は当たり前で秋口にはレーヨン混も広がるものだが、ヤングのストリート系やワークアイテムまでポリやナイロン、アクリルが広がっている。変化が大きかったのがメンズで、ナイロンやポリのアウターやパンツが急増したのに加え、これまで綿やウールだったアイテムのほとんどがポリ混やナイロン混になり、デニムやツイルのカジュアルパンツでも大半がストレッチ入りになっている。
 中でも目立つのがナイロン・シャンブレーのGジャンやステンカラーコート、ポリ・ヘリンボンやポリレーヨン・クロスのジャケット、ポリ・ウェザーやポリナイロン・タフタのパーカやシャカパンだが、スポーツトレンドから来たとも限らない。スポーツやアウトドアの要素はあるもののベースはストリートだったりワークだったりで、「軽い」「洗える」「皺にならない」という使い勝手の良さが問われた結果のようだ。合繊使いでなくてもアウターでは防水撥水加工、パンツではストレッチがフツーになっている。
 スポーツウェアやビジカジから始まった機能素材・機能加工がストリートカジュアルやセレクトショップのオリジナルにまで広がり、「軽い」「洗える」「皺にならない」が必須になる中、素材のジョーシキも加速度的な変容を見せている。ならばテロと通り魔のご時世、防刃素材・防刃加工が日常服に及ぶのも時間の問題かも知れない。


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 2016/08/22 09:23  この記事のURL  /  コメント(0)

百貨店はもう死んでいる?
 このほど日経MJが公表した2015年度の百貨店アンケート調査に拠れば、百貨店が存続するための施策の第一位が「接客の質の向上」で回答79社中8割強が挙げ、第二位が「カード顧客の囲い込み」、第3位が「外商部門の強化」、第四位が「文化催事やイベントの充実」だったそうだ。これをまともに受け取れば第一線の当事者感覚を疑うしかなく、『おまえはもう死んでいる』と言いたくなる。
 まともな第一線感覚で言えば、第一が自主販売体制の確立、第二が買取やSPA調達に拠る平場の再構築、第三がローカルSNS活用のオムニチャネル拠点化、第四がエクスクルーシヴなセントラルバイイングによる自主オムニチャネル販売体制の確立であろう。この順番は難易度の低い順で、戦略的重要度は逆になる。日経MJのアンケート調査結果は、そんな本質的課題の解決を先延ばしたまま棚ぼたのインバウンド特需に舞い上がった我が国百貨店経営陣のレヴェルを象徴するものと言えよう。
 オムニチャネルを先んじて謳った米国メイシーズがアマゾンの攻勢の前に膝を屈し、消化仕入れと個店帳合を脱せないゆえオムニチャネル化はまったく進まずEC比率さえ1%に乗るかどうかという我が国百貨店の惨状を見ても、『百貨店はもう死んでいる』と言わざるを得ない。大手百貨店さえ壁を越えられない現実を見る限り、ブランド商品の選択肢が狭まって行く地方や郊外の消費者のためにも、もはやこの解決は第三者に委ねるしかないと思う。
 第三者とは業界と行政が共立する公的ブランド流通機構(半導体業界を想起して欲しい)か外資デパートチェーンか、はたまたZOZOかamazonなのだろうか。

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 2016/08/19 10:04  この記事のURL  /  コメント(0)

なめんじゃね〜よ! 
 H&Mグループのストリート系SPA「MONKI」が8月16日で竹下通りのキュートキューブ原宿とイオンモール幕張新都心の二店舗を閉店した。13年6月に開店した上陸第一号の心斎橋店も昨年5月末に閉めているから(同時に「Weekday」も閉店)、これで事実上、日本市場から撤退した事になる。
 15年1月末には「TOPSHOP」が全5店舗を閉店して撤退しており、ギャップ社の「OLD NAVY」も17年1月末を目処に全53店を閉めて日本市場から撤退する。09年に鳴り物入りで上陸した「Abercrombie&Fitch」も未だプロパー2店/アウトレット3店に留まり、13年に進出した「Hollister.Co」も6店に留まる。14年4月に上陸した「Stradivarius」も11店まで増えたが顧客を掴んだとは言い難い。
 日本に171店を展開する「Gap&GapKids」にしてもセールを乱発して先行きが見えないし、51店を展開する「Banana Repubric」にしても商品企画が凡庸で価格に見合う価値は見出せない。出店を続けて65店に達した「H&M」とて販売効率の低下と既存店売上の減少が続いている。「ZARA」こそ着実に顧客を掴んで既存店売上を伸ばしているが、外資アパレルチェーンの多くは既存店売上が低迷しており、出店政策や価格政策の混乱も否めず、本国の経営判断次第でいつ何時、撤退となるか予断を許さない情況だ。
 そんな外資アパレルチェーンに一等地を別格条件で提供して来た商業施設デベロッパーが大きなリスクを抱えている事を「OLD NAVY」撤退劇が露呈したが、そんな問題が無くても外資アパレルチェーンが日本国内でこれ以上、シェアを伸ばし続ける事は難しいと考える。
 このブログで幾度も『ファッションはローカルなもの』と警鐘を鳴らして来たが、文化的基盤や社会構成、ライフスタイルが異なれば、ファッションとりわけユーティリティ(着こなし着崩し)は大きく異なる。それは国どころか地域や街、ストリートでさえ異なる。7月13日のこのブログ『テロワールとミクロクリマ』をご一読頂きたい。
 きもの文化が未だ何処かに通底する我が国ではクリエイションよりユーティリティの比重が大きく、同じブランドやストアでも地域やストリートによって打ち出すスタイリングはデリケートに異なる。外資アパレルチェーンでもローカル対応に目覚めたところは東京と大阪、銀座と原宿などでユーティリティの異なるスタイリングを打ち出しているが、元々の企画がユーティリティ主導の日本市場にマッチするとは限らず限界がある。ましてやユーティリティが競われるストリートファッションで大味な外資アパレルチェーンがシェアを伸ばせるとは到底思えない。
 一時は世間を騒がせても、マーケットに定着してシェアを伸ばせるチェーンは10に1つあるかどうかではないか。『日本市場をなめんじゃね〜よ!』と言いたい。

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 2016/08/18 10:00  この記事のURL  /  コメント(0)

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プロフィール
小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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