前へ | Main | 次へ
渋谷はロストシティになるの?
 月例の「販売データ交換会」を木金に控えてランチついでに渋谷を一周したが、昼時とは言えB5〜2Fの谷底トランジットエリアこそ人の流れがあったものの、109からセンター街、井の頭通り、公園通りと歩いても人通りは疎らで大半が外国人観光客だった。いったい、渋谷に来ていた日本の若者は何処に行ったのだろう。
 109はテナントを入れ替えても勢いを盛り返せずルミネエストにお株を奪われ、渋谷西武のB館など昼間っから薄暗く人影も疎らで、買い物しているのは少数の外国人ばかり。リニューアルして「MODI」になったばかりのマルイも人が入っているのは飲食だけで、2F〜7Fは化粧直ししただけで昔の姿と変わりないように見える(売上仕入れ契約が定期借家契約になっただけ)。ゾーニングもストーリーのない売場貸しで、地方のファッションビルのようだ。
 渋谷って何時からこんなつまんない街になったんだっけ。何だか東北沢商店街みたいなカビ臭ささえ漂って来る。
 70年代に盛り上がった東北沢が道路計画で商業投資がストップしたまま寂れてしまったように、遥か先に完成する谷底の駅ビルや東横デパート(20年から27年にかけて完成予定)、パルコの建て替え(今8月7日で営業終了して19年9月の開業を予定)、西武百貨店の建て替え(20年以降)を待っているうちに他の街に人が流れて渋谷は寂れてしまう。谷底からそれぞれの方向に坂を登って行く拡散型の都市構造こそ渋谷の魅力で、トラフィックが谷底の地底に潜り垂直に伸びる高層ビル群に人の流れを集約しては街の広がりが損なわれ魅力を失ってしまう。
 百軒店から円山町、そして神泉へと流れる妖し懐かし昭和の街並が消えて久しく、かつては若者で賑わった無国籍通りやファイヤー通りからも人通りが消えて行くのはヒジョーに寂しい。このままでは渋谷はオリンピック前にロストシティになってしまう。いったい誰が渋谷をこんなにしてしまったのだろう。

◆小島健輔(KFM)のオフィシャルサイトはこちら
 2016/04/22 09:17  この記事のURL  /  コメント(1)

商業施設の遊園地化は行き詰まる
 毎年4月のSPAC研究会で行っている『近年開業商業施設の直近評価』アンケートの結果がまとまったが、それは戦慄するほど悲惨なものだった。13年以降開業の主要39施設のうち過半の20施設が散々な失敗で、当落線上の施設まで含めても成功と言える施設は10〜12に留まるから、出店の打率は二割五分から三割というところだ。これでは店を出すほど採算が悪化してしまう。『どうして売れない店を増やすの?』と問いかけたくもなる。
 評価最下位にアリオの市原と上尾が並ぶのはともかく(来年の不振リストにセブンパークアリオ柏が並ぶのもほぼ確実だが)、イオンモールの施設が幾つも不振リストに並ぶのは数年前には在り得なかった事だし、昨年までは‘空振り無し’と言われて来た三井不動産の施設まで不振リストに挙げられるに及び、店舗販売とりわけ郊外SCの落日を痛感させられる。
 イオンモールの評価が落ちたのは問題の多い仕込み物件を無理に開発するケースに加え、販売効率の低い親会社核店舗が大きな面積を占めてテナントのバラエティが限られるためで、そんな負担のないららぽーととの競合案件が増えるに連れ弱点が目立って来た。その三井不動産とてエンターテイメント性を強めた直近の立川立飛やエキスポシティでは衣料テナントの苦戦が伝えられるし、エンターテイメントとライフスタイルで先行したイオンモール幕張新都心はアリオの2施設に次ぐワースト3に挙げられテナントの撤退が相次いでいる。
 店舗系やEC系からSNS系まで様々な流通プラットフォームがオムニチャネルな顧客利便を競う中、商業施設は難解な編集業態や何処が違うのという派生業態を並べたりエンターテイメントやライフスタイルを訴求しているが、果たしてそれは顧客が求めているものなのだろうか。実所得が目減り生活に追われる大部分の消費者にとって必要なのは、より労働負担が少なく利便性の高いシンプルな提供方法であって、時間を浪費する宝探しやエンターテイメントの夢物語ではないと思う。
 このまま商業施設が時間と購買労働を浪費する‘遊園地’と化して消費者から乖離して行けば、オムニチャネル時代に取り残されて巨大な‘遺跡’となるのも時間の問題かも知れない。

◆小島健輔(KFM)のオフィシャルサイトはこちら
 2016/04/21 09:03  この記事のURL  /  コメント(0)

‘爆買い’の光と影
 3月末に銀座東急プラザの「ロッテ免税店」が開店したのを契機に「販売革新」に依頼され、先行して開業した三越銀座店の「JAPAN DutyFree GINZA」(JDF)と比較したりインバウンド消費の今後を予測したりのレポートを執筆したが、中国の経済政策と国外消費の今後、訪韓中国人の急増で急成長した後、一転して急減に苦しむ韓国免税店業界の実情を知れば、『やっぱ‘棚ぼた’なんだ』と達観せざるを得なくなる。
 まずは銀座に出揃ったロッテとJDFの比較だが、どちらも出国時に受け取る事を条件に消費税も関税も酒税もタバコ税も免除する「空港型免税店」である事は変わりない。35年もやっているロッテと始めたばかりのJDFでは旅行代理店とのネットワークや物流のスキルに差がある事は否めないが、品揃えや狙う客層、店舗環境や運営もまったく異なる。ばっくり言えば、ロッテは中国人目線で中流の団体旅行客を狙う大衆型、JDFは日本人目線で富裕層の個人旅行客を狙う高級型と位置付けられる。実際に店内を一周すれば、この違いは容易に納得してもらえるだろう。
 ロッテが逸早く日本に進出した背景は韓国免税店市場の失速と主力店の閉店だと知れば、我が国の過熱する免税店ビジネスが如何に危ういものか想像がつく。韓国内7店海外4店(関西空港店を含む)で6430億円を売り上げて免税店世界第3位に位置し、韓国ロッテグループの実質持ち株会社たるロッテホテルの営業利益の大半を占めると言われるロッテ免税店。14年度は2190億円も売り上げた小公本店(ソウル市内明洞)に次ぐワールドタワー店(15年売上590億円)の運営特許権更新が出来ず15年末で期限が切れた(現在は最大6ヶ月の延長営業中)事に加え、10年以降、毎年20%前後の成長を続けて来た韓国免税店市場が為替の変化などで主力の中国人が日本に流れ縮小に転じた事が日本進出の背景とされる。
 日本でも‘爆買い’のピークは過ぎ、訪日中国人も団体客から個人客へと移って買い物より観光へと興味がシフトし、中国政府も4月8日から越境ECへの課税方式を一新するなど海外消費の国内回帰を図っており、‘爆買い’が遠からず細る事は間違いない。韓国の轍を踏まぬよう冷静に対応すべきだ。





◆小島健輔(KFM)のオフィシャルサイトはこちら
 2016/04/20 09:20  この記事のURL  /  コメント(0)

ID決済が課金の網を破る!
 「セミオーダージャケット」に関するユニクロの通達文書がテナントのオムニチャネル販売に対する商業施設デベの課金問題に波紋を投げ掛けているが、デベにとってもっと怖いのがスマホによるID決済の拡大だ。
 店頭で欠品している場合などタブレット接客でECに誘導すればデベのレジを通して課金するルールが一部で定まりつつあるようだが、顧客が自分のスマホからECに行く場合は課金のしようがない。ZOZOでは15年10〜12月期のスマホ売上シェアが66%に達したが、GMOメイクショップの調査ではスマホのコンバージョン率はPCの6掛け以下に留まる。その要因は画面の小ささに加えてアカウント情報入力操作への抵抗で、『商品検索はスマホで行っても発注・決済はPCで』という声も少なくない。
 そのギャップを解消すると期待されるのが既登録アカウントによるログイン&決済で、amazonログイン&ペイメントをオプション提供しているフューチャーショップ2では昨年12月の導入サイトの受注件数がPCの9%増に対してスマホは64%だったと発表している。クレジットカード登録型のアマゾンに続いて楽天やドコモも同種サービスの拡大に乗り出し、アップルやFacebookも参入すると言われている(アリペイやWeChatなどのウォレット型が先行し、新たに参入したLINEPayはクレジットカード登録とウォレットチャージが選べる両対応型)。
 クレジットカード登録型にせよウォレットチャージ型にせよ、ほとんどワンプロセスで済むID決済が広がればスマホによる発注・決済への抵抗感がなくなってモバイルショッピングが加速し、店頭でのECに商業施設デベは課金の網をかけられなくなる。米国の商業施設デベが始めからテナントのオムニチャネル販売を容認して課金を放棄して来た背景も、そんなIT革新を見越しての諦観だったのではないか。

◆小島健輔(KFM)のオフィシャルサイトはこちら
 2016/04/19 09:08  この記事のURL  /  コメント(0)

‘商物一体’の理不尽を解消する
 このブログや業界紙誌で幾度も‘商物一体’店舗運営の理不尽を解決するショールームストアを提じて来たにもかかわらず、ギョーカイの反応はいまひとつで拒否反応の方が強かったが、オムニチャネル販売の拡大やIT技術の進化で情況は一変しつつある。そんな事例が今朝の日経MJに取り上げられていた。それは銀座・伊東屋が今日から始めるスマホ・アプリを使った‘商物分離’の店内決済システムだ。
 顧客が「メルシーアプリ」と名付けた専用アプリをスマホで起動し陳列棚のQRコードを読み取ると、素材や色などのラインナップと在庫の有無が表示され、「カートに入れる」のボタンをタップすると店内のバックヤードに在る在庫が確保され、商品をピッキングして店内を持ち歩く必要がなくなる。あらかじめ登録したクレジットカードで支払えばレジに並ぶ事なく精算が済み、2〜10分後にお渡しカウンターで受け取っても良いし自宅に配送してもらっても良い。年内を目処に全店に拡げ、自社他店舗での受け取りや取り寄せも出来るようにするそうだ。
 これはかつて私が「フライングタイガー」の行列を批判して、その解消に提案したシステムそのものだ。文房具や生活雑貨はもちろんドラッグストアや食品スーパーなどでも多数のアイテムを棚積みして販売すれば、顧客は自らピッキングしてレジに並ばねばならないし、店は売れた分だけ棚に補充しなければならない。低単価で販売効率が高ければ顧客のピッキング作業とスタッフの棚入れ作業が交錯し、多数のアイテムを逐一スキャンするレジでの糞詰まりと重なってギョーレツが出来る。これでは多数のレジ要員や品出し要員など運営人件費の負担が大きく、ギョーレツ待ちを嫌気して遠のく顧客も少なからず、ギョーレツ人気ほどには儲からない。
 混雑と運営人件費負担は1)棚に補給する頻度を極小化するかサンプルのみの陳列にする、2)レジでの逐一スキャンと決済を不要にする、の二点で解消できる。これにDCから顧客への直送比率拡大を加えれば、店への物流も店でのピッキング作業も圧縮出来る。すべて顧客直送のショールームストアに徹すれば、これらをほぼゼロに出来るから、物流費や人件費に加えて家賃も大きく圧縮出来る。
 顧客利便と運営効率(経費率と在庫効率)をオムニチャネルなプラットフォームと競えば店舗は大なり小なりショールーム化して行かざるを得ないし、在庫確認や選択・注文といった単純作業はロボットに任せる方が正確だ。米マクドナルドのロボット導入は自動券売機みたいで笑えるが、ポテトを揚げたりなど危険で不衛生なキッチンワークも遠からずロボット化されていくだろう。
 少子高齢化とIT化が進む中、物販でも飲食サービスでも人しか出来ない事と機械でも出来る事の仕分けが、もっと厳密に問われるのは間違いない。顧客に強いる労働の分担も含めて、流通システムは抜本から変革が問われている。
※‘商物分離’の多店舗運営については『チェーンストア経営革新ゼミ』で具体的に詳説したい。

◆小島健輔(KFM)のオフィシャルサイトはこちら
 2016/04/18 11:12  この記事のURL  /  コメント(0)

前へ | Main | 次へ


ブログ内検索
Web 検索
プロフィール
小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

リンク集
更新順ブログ一覧
最新記事

http://apalog.com/kojima/index1_0.rdf
QRコード
アパレル業界の情報満載の「アパレル携帯版」
右のQRコードで読み取ってアクセスしてください。こちらからも自分の携帯URLを送れます。 QRコード
月別アーカイブ