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店頭VMDのチェックポイント
 毎月20日前後はSPAC研究会の準備に加えてクライアントの店頭VMD指導が重なり、開店前早朝の陳列編集作業から夜間の「販売データ交換会」までぶっ通しになって結構疲れる。開店前の店頭VMD指導も都内ならまだしも埼玉や千葉の郊外だと早起きして通勤電車を乗り継いで行かねばならず、連日になると老体に堪える。それはともかく、店頭に行ってまずチェックするのが以下の7点だ。
1)シーズン進行と品揃えや陳列訴求がズレてないか。
2)シーン/テイスト別の編成が崩れてないか。
3)旬のルック/アイテムが打ち出されているか。
4)素材とカラーは集約して打ち出されているか。
5)靴/バッグ/スカーフなどの小物合わせがマッチしているか。
6)‘腐った魚’(前サイクルを象徴する柄物など)が残っていないか。
7)出前と元番地、ストックの在庫配置は適正か。
 とりわけ11月は12月戦を控えての梅春商品の展開が要で、長らく店頭に在って鮮度の落ちた濃色・暖色の冬物を集約したり引き上げて店頭のフェイスを空け、スノーカラーやパステルカラーの獣毛混や起毛のアイテム(特にニットとコート)を大きく広げて陳列する。これだけで周囲の店を季節感と鮮度でリード出来る。
 これらをチェックし編成を修正して店頭のメイン出前テーブルだけは完璧に組み直し、時間があれば他の出前も組み直し、カラーグルーピングやカラー配列順まで手を入れるが、翌20日体制のルック/アイテム、素材/カラーの出前配置と元番地のグルーピングを指示するので手一杯になってしまう。
 そんな営業的売場構築の一方で先行店の売れ筋情報や競合店の好不調、2〜4ヶ月先の仕込み状況に目を光らせ、来シーズンの素材展も一巡して時代の光と空気、ユーティリティの先を読む。それが在ってこそ今の売場が組めるのだと思う。
 2015/11/19 09:07  この記事のURL  /  コメント(0)

LV型とエルメス型
 「EXPOCITY」に揃った外資ブランド/SPAから著名セレクトショップとその派生業態、近年流行のライフスタイル業態や低価格コモディティ業態を一周しても、どれもインパクトを感じなくなった。それぞれに感覚的あるいはテクニカルな魅力はあるのだけれど、新設施設やリモデル施設で見慣れて珍しくもなくなったせいか今ひとつ鮮度を感じないし、何より『何か買って行こう』という衝動が起きないのだ。
 そんな中で『カッコいい店だな』と目を惹かれたり『買って行こうかな』という誘惑にかられたりするのは意外に単品特化のブランドやストアだったりする。「EXPOCITY」で目に付いたのもそんなストアばかりだった。振り返って見れば、日頃愛顧しているのは何かの単品に特化しているブランドやストアが多い。コーディネイトとかライフスタイルとかで寄せ集めたストアは見た目は面白いが、本気で買おうとすると何処かで行き詰まる事が多いし、滅多にリピーターにはならない。
 よく買うブランドを挙げれば、「INCOTEX」「PT」「Cruciani」「鎌倉シャツ」など、やはり単品特化ブランドが多い。そう思えば、「モンクレール」だって未だ売上の8割はダウンジャケットだそうだし、「マッキントッシュ」だって「バーバリー」だって元はコート特化のブランドだった。プレタに進出して毎シーズン、コレクションを発表している著名皮革ブランドだって、売上の大半、利益に至ってはほぼ全部、バッグや靴など皮革部門が稼いでいると聞く。
 某大手アパレルの会長さんと会う度に意気投合するのが『コーディネイトは儲からない。儲かるのは単品商売だ。』というくだり。長年、様々なSPAやブランドを研究して効率的なサプライチェーンを求めて来たが、素材とファクトリーを顧客ニーズに繋げるコンセプトや提供方法を追求すれば単品MDすなわち‘シングルライナー’に行き着いてしまう。それには素材軸と定番軸のふたつのアプローチがある。前者が「LV型」、後者が「エルメス型」である事は言うまでもあるまい。



 2015/11/18 09:34  この記事のURL  /  コメント(0)

EXPOCITYの内覧会に行きます
 毎月、下旬に近づくと月例の『販売データ交換会』にクライアントの早朝店頭指導が加わって忙しくなるのに、今週は水曜に『ブランドマーケティング&テナントミックスゼミ』を開催するのに加えて今朝は早朝から新幹線に乗って三井不動産の「EXPOCITY」のプレス内覧会に出掛けねばならず、おまけにその入校が朝から予定が一杯の明日中と急かされており、老体にはもう真っ青という過密スケジュールなのです。到底間に合わないので、撮影用のカメラに加えて普段はプレゼン以外は持ち歩かないMacBook(幸い920gと軽量で薄い)をバッグに忍ばせ、帰りの新幹線中でiPhotoで写真を整理し原稿を書こうという魂胆なのですが、疲れて中途半端になってしまうのかも。
 万博記念公園の中国自動車道を挟んだ南側に11月19日に開業する「EXPOCITY」はその立地を活かしてエンターテイメントを充実させた複合商業施設で、物販テナント、とりわけファッション関連は『アバクロからロンハーマンまでグローバルブランド』『関西初の高感度ショップ、有力セレクトショップ』『ファッションスポーツから本格的アウトドアまでスポーツ関連』『関西最大のベビー・キッズ・ジュニアゾーン』と謳うものの東京圏では展開済みのストアが大半で‘初物’はごく限られ、オムニチャネルなショールームストアなど‘目玉’も見当たらない。その数少ない‘初物’、展開済みでも‘新タイプ’を中心にインパクトあるストアをフォーカスし、店舗環境とMD展開、VMDの見せ所を撮って来ようと思う。
 2015/11/16 10:10  この記事のURL  /  コメント(0)

メンズ業界の三遊間ゴロ
 今朝の日経MJは、はるやま商事子会社のテット・オムが胸や腹回りの巾をやや大きくしながらスリムに見えるシルエットを売り物にする新業態「エクステッドラボ」を来春から展開する事を報じていた。同ブランドはジャケットを軸にコーディネイトする単品からスーツまで扱い、窮屈はいやだがスリムに見せたい30〜50代の顧客を開拓したいとしている。
 メンズウェア業界ではスーツが伸び悩む一方でジャケットやセンタープレスパンツを軸としたビジカジが広がって来たが、昨年あたりから世界的なノームコア(見た目はフツーなんだけど着こなし/着心地が新鮮)というデザインよりユーティリティを重視するトレンドが台頭して以来、旧来のビジカジとカジュアルの間に「カジュアルに崩した窮屈さが無い新しいビジカジ」が急速に広がっている。ジャケットでもシャツ仕立ての軽いアンコンジャケットやジャージジャケット、さらにはブルゾンやカーディガン、パンツもセンタープレスじゃないキレイ目コットンパンツやテーパードパンツ、果ては裾リブパンツまで‘ビジカジ’の領域が広がって来た。そんなユーティリティの一変にドレス系の店やブランドもカジュアル系の店やブランドも対応が遅れ、どちらもカバー出来ない‘三遊間ゴロ’が頻発しているのが現状だ。
 メンズ業界ではほぼ三年毎にドレスアップとドレスダウンが繰り返されて来たが、新領域たる‘ノームコアビジカジ’(勝手に名付けちゃいました)はそんなサイクルに左右されない成長市場として注目される。‘ノームコアビジカジ’への対応はカジュアル系の店やブランドが先行して来たが、「エクステッドラボ」は「オリヒカ」に続くドレス系からの新たなチャレンジとして注目される。
 ‘ノームコアビジカジ’に象徴される新たなユーティリティに対応するブランド/業態開発を行うにはマーケット総体のスタイリング志向別顧客マップの検証が不可欠で、当社では毎シーズン、数百冊のファッション雑誌から切り抜いて畳み二畳ほどにもなるデカイ客層マップを作成し、それぞれの客層に対応するブランドの売上好不調から各客層の消長を読んで開発すべきポジションとユーティリティを提案している。15年AW版(レディス/メンズ)ももうすぐ完成するから、11月18日に開催する『ブランドマーケティング&テナントミックスゼミ』でお目にかける事が出来ると思う。
 2015/11/13 09:23  この記事のURL  /  コメント(0)

ただで届くと思うんじゃねぇよ!
 『ただで商品が届くと思うんじゃねぇよ!・・・』とスタートトゥデイの前澤社長がつい本音でツイートして炎上しちゃった事件はまだ記憶に新しいが、正直言えば私も同感だ。そんな宅配業界の疲弊をリアルに伝える良書が横田増生氏の新著『仁義なき宅配』(小学館刊)だ。
 横田増生氏と言えばターゲット企業への潜入取材で実態を暴く社会派ジャーナリストとして注目の人で、『ユニクロ帝国の光と影』(11年3月刊行)ではユニクロが出版元の文芸春秋社を名誉毀損で訴え、2億2千万円の損害賠償と出版差し止め、発行済み書籍の回収などを求めて裁判を起こしたが、14年12月9日に最高裁がユニクロの上告を退け、ユニクロ側の請求を退けた二審、東京高裁の判決が確定している。巨額の損害賠償を請求してジャーナリズムに圧力をかける‘恫喝訴訟’と批判を浴びたが、全面敗訴によって却ってブラックな労働環境があったと認識される結果となった。
 そんな社会派ジャーナリストの横田増生氏はアイオワ大学でジャーナリズムを専攻した後、物流業界紙の記者、編集長を務めた物流通で、新著『仁義なき宅配』では氏のキャリアが遺憾なく発揮されている。新著ではヤマト運輸と佐川急便に潜入取材しているが、中でもリアリティがあったのがヤマトの付加価値戦略の要たる「羽田クロノゲート」に夜勤アルバイトとして一ヶ月間、潜入したレポートだった。
 氏が担当したのはクール宅急便の仕分けラインだが、業務量と効率優先の人員配置のギャップから温度管理が疎かにされている実態を日々の作業体験から子細にレポートしている。加えてセールス・ドライバーに横乗り同行しての取材では配達時間帯指定と不在による再配達がドライバーに長時間の苛重な労働を強いている現実、下請業者の幹線輸送トラックに横乗りしてのレポートではトラック運転手の給与水準の低さとそれゆえの就業者の減少を指摘している。
 そして終章のまとめとして『宅配に‘無料配送’はあり得ない』と締めくくり、『アマゾンを始めとする大手通販業者の過度な値引き要求が宅配の現場を疲弊させ業務の品質を劣化させている』と指摘している。欧米と較べれば極端に低価格で高品質な日本の宅配事業だが、それゆえの疲弊が高品質の継続を危うくしている。高品質の継続には低価格の是正が不可欠であり、『ただで商品が届くと思うんじゃねぇよ!・・・』は宅配現場からの血反吐の声だったのだ。
 2015/11/12 09:22  この記事のURL  /  コメント(0)

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プロフィール
小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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