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日本だけが逆行して大丈夫?
 米国ブラックフライデー商戦の速報を平山幸江さんがレポートしていたが、『オンラインがシェアで店舗を逆転しオンライン主導で前倒しが進んだ』と総括される。メイシーズなど一部ストアが感謝祭(木曜)の夕刻から開店してもアマゾンなど大手オンラインストアはブラックフライデーセールを一週間前倒しており、前倒しと長期化が進んでいるそうだ。
 そう言えばお隣の韓国でも10月1日から二週間、政府主導でブラックフライデーセールを仕掛け、主要百貨店平均で前年から24%、オンラインは同28.9%増加し、外国人観光客数も8.5%増とMERS以来、初めて増加したと報道されている。加えて、米国のブラックフライデー期間では米国ECに流れる‘越境EC’に対抗すべく、小規模EC業者から大手百貨店まで大幅な値引きに走り、『送料・関税・消費税を払っても国内で買ったほうが安い』とキャンペーンしている。
 韓国はウォン高・円安が続いて中国人観光客が日本に流れ、外国人観光客が激減してインバウンド売上も急落している。それは香港やシンガポールも同様で、シンガポールも「グレートシンガポールセール」を仕掛けて外国人観光客の呼び戻しに必死になっている。その一方、円安効果も加わって外国人観光客が急増している我が国は業界利益を優先して期末セールの後倒しを押し進めているが、果たして日本だけが逆行して大丈夫なのだろうか。
 急増が続くと期待されたインバウンド売上も、中国政府の内需回帰政策や我が国の免税品目拡大効果の一周(10月1日)も重なり、9月、10月、11月と月を追う毎に減速している。日本に顧客を奪われたシンガポールや香港、韓国とて無策のままでいるはずもなく、行政主導で巻き返しを図って来るのは間違いない。‘Japan’人気に胡座をかいて業界利益優先の期末セール後倒しを続ける我が国ギョーカイが手痛いしっぺ返しを食らうのは時間の問題なのではないか。
 2015/11/30 10:08  この記事のURL  /  コメント(0)

アップルのビジネスバッグ?
 毎日の仕事内容や出張のスケジュールによって幾つものビジネスバッグ(腕時計もだが)を使い分けているが、長年‘帯に短し襷に長し’で買い足すうちに両手両足の指に余るほどになっても、いざとなると何れも必要を満たさず不満が残る。
 VANITY BRAND(所謂ラグジュアリー系)はデザイン優先で機能性を欠くし、機能性を売り物にするブランドは洗練やVANITY(虚栄心を満たす)を欠く。機能性を売るブランドにしても、意外に重かったり大画面スマホを収容出来なかったりスキミング防止などのハイテク機能を欠いたり、???と思う事が多い。VANITY BRANDの方は買ってワンシーズンぐらいは持ち歩くが、使い勝手の悪さからやがて戦列から脱落してしまう。一端そうなったら第一線復帰は難しく、季節の変わり目に一通り出してはみるものの、滅多に復帰する事は無い。
 そんな中で結構、使えているのが、通勤用が「ダンヒル」、出張用が「マンダリナダック」だ。おじさまイメージの強かった「ダンヒル」もビジネスバッグのデザインは結構シャープになったし、内部の収納など機能性もまずまずだが、オーバーナイトタイプは上質カーフゆえやや重く、出張にはナイロン・ポリエステル製の「マンダリナダック」を選ぶ事になる。重宝する「マンダリナダック」だが日本での流通体制が安定せず、欧州からの越境通販に頼る現状は残念だ。
 アパレルの世界も『デザインよりユーティリティ(着こなし/着心地/使い勝手)』に大きくシフトする中、ビジネスバッグも『デザインは機能が決める』に徹してカッコ良くて使い勝手も良い商品開発を望みたい。VANITY BRAND化が著しいアップルには是非ともミニマルモダンな機能デザインでビジネスバッグに進出して欲しい。
 2015/11/27 09:17  この記事のURL  /  コメント(0)

販売員とは何か!
 「ファッション販売員協会」が設立されるそうだ。販売職の社会的地位向上と女性の社会進出を支援する事を目的に、ブランドビジネスや大手アパレル、百貨店や人材派遣業の有志企業が発起人となり、一般社団法人として来年四月の設立を目指している。
 主旨にはもちろん賛同するが、駅ビルデベなどが手掛けている「ロールプレイイングコンテスト」みたいな啓蒙イベントで終わっては販売員の地位向上には繋がらない。なぜなら多くの場合、「販売員」の実態はかなりの部分が‘店頭物流作業員’だからだ。実際、販売員の一日を追って分単位に業務を検証してみると、駅ビルやSCのファッション店では、ほぼ過半は品出し、品戻し、陳列整理、品探しとピッキング、在庫管理などの‘物流作業’で、‘接客業務’は一割前後に留まる。
 量販的な大型店ではストア自体が物流倉庫みたいなものだから‘物流作業’が大半を占めるのは想像がつくが、百貨店でも在庫探しに後方へ行った販売員がなかなか帰って来ない時など‘物流作業’負担を実感させられる。在庫探しに売場を離れている間は接客不能で、販売技能を発揮しようもない。在庫管理とピッキングも熟練したプロがやれば速くて正確なのは言うまでもなく、これも‘専門技能’として正しく評価されるべきだ。
 販売員が接客販売の専門職として店舗運営を分担し、その成果が正しく評価されるには、‘物流作業’から解放されるべきだが、経営者の意識はその次元には遠い。キャリアや職能によって‘販売職’と‘在庫管理職’に分業し、それぞれ評価するのか、あるいは在庫管理や物流作業は専門サービス業者にアウトソーシングするのか、業務プロセスを検証して再構築する事が出発点となる。
 ‘販売職’とて接客だけが技能ではない。売場と後方ストック、DCや近隣店舗の在庫を掌握して顧客の要望に即応する‘在庫管理技能’と‘デジタル機器操作技能’も不可欠だ。前者には天候や販売動向と在庫状況を掌握して販売し易いよう陳列分類や打ち出しを組み直す‘営業VMD技能’、後者には会社の端末だけでなく顧客のスマホやタブレットの操作をサポート出来る‘モバイル端末操作技能’も含まれる。
 ‘接客技能’とて‘おべんちゃら’や‘おもてなし’が求められている訳ではない。顧客の要望、今求められる接客プロセスと時間的制約を一瞬にして掴み、顧客の求めるペースと手順で対応するのが第一歩だ。衣料品では顧客の体型とファッションタイプ、求めているアイテムや着用シーンを逸早く掴み、顧客の気力体力(テンション)を見て接客プロセスを進める。‘フィッティング’は素材の物性や洗濯対応に加え、スタイリングのユーテイリティや着用シーンによるフィットの匙加減(サイズ感や丈感)が問われる。デザイン的なトレンドだけでなくユーティリティ(着こなし着崩し)のトレンドを掌握していないと顧客の期待と擦れ違ってしまう。‘お直し’では素材の物性やパターン、縫い代の余地を見て適切なアドバイスが必要で、採寸結果を顧客のお直し歴(データベース化してますか?)と照合してミスを防がねばならない。‘精算’‘包装’のクロージングは‘速くて安心’が第一義で、包装やレジ処理に手こずるようでは問題外だが、マニュアル化や個々人の技術的習練に加えてICタグやモバイル端末処理など精算システムの革新も問われよう。
 『職制職能をどう位置付けるか』『技能と成果をどう報酬に反映するか』『キャリアステップをどう設計するか』『報酬を継続的に上昇させて行くには会社の仕組みをどう変えて行くべきか』を問う事なく「販売職の地位向上」を訴えても夢幻で終わるしかない。「ファッション販売員協会」が従来の啓蒙活動に終わらず、経営層まで巻き込んで抜本的な業務改革を進めて行く事を願う。
 2015/11/26 09:17  この記事のURL  /  コメント(0)

「GAP」初の省在庫型ストア?
 玉川高島屋SCのマロニエコート2Fに先週13日の金曜日に開店した「GAP」は世界初の‘省在庫型’実験店と聞いて早速、検証に行って来た。これまで1〜2F計1000平米で展開して来たメンズ/ウィメンズ/キッズ/ベビーを2Fの440平米で展開するにあたり、売場と在庫を圧縮しても品揃えを充実すべく、商品構成とVMD、補給やECとの連携を図る‘省在庫型’の実験店としたものだ。
 売場の構成を一見して解るのがカラー展開の絞り込みで、同色相濃淡または二色相に絞って二群に分けて陳列している。数年前のスキニーラインが流行った頃はやたらカラー展開したものだが、最近は「ZARA」を筆頭に‘1〜2色+1柄1色’企画が台頭しており、二色相ぐらいに絞った方が断然カッコいい。一部の品番はカットしたがカテゴリーやサイズ展開はカットせず、SKUフェイシング量を絞って在庫を抑えている。
 ストックルームも皆無で欠品が心配されるが、毎日一便、千葉DCから補給する一方、欠品した場合はタブレットでECサイトを紹介して顧客がスマホなどから直接、発注するよう誘導する。売場でタブレットから直接、発注する事はデベとの取り決めで出来ないそうだが、顧客が自分のスマホなどでショールーミングする事までは妨げていない。
 ギャップジャパンの場合、ECを始めたのも13年からで、出荷DCの多拠点化によって翌日配送エリアを拡げるという段階にはまだない。全国の店舗をカバーする千葉DCが全国のEC受注も担い、欠品や遠隔地からの受注には適切な店舗を自動選択して‘シップ・フロム・ストア’で店から発送しているが、顧客の利便性はいまひとつのようだ。実はグローバルでEC比率が15.2%に達し25億ドルも売り上げるギャップ社でも米国内の発送拠点は6ヶ所しかなく(翌日配送エリアを拡大するアマゾンは80ヶ所)、DCから遠いエリアへの発送は北米2745店舗からの‘シップ・フロム・ストア’に依存している。
 米国ギャップ社は元より交流物流だが‘シップ・フロム・ストア’依存ゆえ店舗在庫の圧縮に繋がらず、DCの多拠点化も進んでいない現状では‘省在庫型’と言ってもオムニチャネル・ロジスティクスには遠く、むしろ近隣大型店から補給する‘テザリング’体制の方が現実的と思われる。省在庫ゆえ‘シップ・フロム・ストア’は担わないとする玉川高島屋SCの‘省在庫型’実験店だが、‘テザリング’も取り入れるのか、デベとの連携が進んで‘ショールームストア’へと進化するのか、今後に注目したい。

 2015/11/25 09:14  この記事のURL  /  コメント(0)

‘爆買い’失速の構図
 9月28日の『‘爆買いは続かない’が現実に!』、10月26日の『「中国人‘爆買い’の陰り」続報』と警鐘を鳴らして来たが、10月、11月のインバウンド(免税)売上の急減速を目の当たりにして、もはや『‘爆買い’失速の構図』を語る段階だと思う。
 インバウンド‘爆買い’のメッカたる銀座地区二百貨店(松屋、三越)の単純平均免税売上比率は8月の31%がピークで、9月は25%に急落、10月は23%を割り、11月半ばまでで20%強と明らかに急減速している。もちろん前年対比ではまだ2倍近い伸び率だが、8月までの3〜4倍という勢いとは比較すべくもない。百貨店協会が発表している訪日外国人売上前年比も2〜8月の318.6(3月)〜407.1(6月)という勢いから9月は280.0と急減速し、10月は196.0と二倍を割り込んでいる。
 インバウンド(免税)売上の伸びが急激に鈍化した要因は中国政府が9月1日から実施した入国時の課税厳格化も響いたが、前年の10月1日から免税対象品目が化粧品や薬品、食品などに拡大された効果が一周した事も大きかった。この先も伸び率を引き下げる要因が多く、来春以降はマイナスに転じかねない。
 中国は輸出から消費へ経済成長牽引の主役交代を急いでおり、海外へ流出している消費を国内に回帰させるべく、90年代の我が国のように関税を引き下げ流通規制を緩和して内外価格差の圧縮に努めている。我が国が10年かけたところをなり振り構わず2〜3年でやり切るのは間違いなく、中国人の‘爆買い’は急速に細って行くと見なければならない。
 中国人などによるインバウンド消費を狙っているのは日本だけではない。日本にお株を奪われた香港や韓国はもちろん、政府がバーゲンまで主導するシンガポールも虎視眈々と日本の隙を伺っている。バーゲンを後倒ししているのは東アジアでは我が国だけで、インバウンド客を狙ってバーゲンの前倒し競争になっているのが現実だ。
 彼等は日本国内でもライバルになり始めている。中国資本傘下の免税店となったラオックスはもちろん、来春3月にはロッテ免税店が昨秋の関西空港に続き銀座5丁目ビル(東急不動産)の8〜9Fに4420平米(1340坪)の巨艦店を開設する。その売上目標は2000億ウォン(210億円)と、先行して開設される三越銀座店8Fの免税店(千坪)の140億円を大きく凌駕する。
 ‘爆買い’が減速し奪い合いが過熱する以上、もはやインバウンド売上という‘棚ぼた’に浮かれている状況ではない。インバウンド売上の影で減少が続く‘国内’売上をどう回復させるか、売場改革からオムニチャネル戦略まで抜本的対策が急がれる。
 2015/11/24 09:07  この記事のURL  /  コメント(0)

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プロフィール
小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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