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広がるショールームストア
 高島屋は品揃えが限られる地方店や郊外店にショールームストアを設け、サンプル商品を展示したりタブレットで接客して店頭と取引先のECサイトを繋ぎ、品揃えを拡大して店頭を活性化する。立川、柏の直営2店と高崎、岐阜、岡山、米子の子会社4店、計6店舗で着手し、売上は各店舗に計上する。並行して高級ブランドを揃えた外商専用サイトを立ち上げ、550人の外商員ではカバーし切れない30万口座の外商顧客への販売機会を拡大する。
 IKEAも地方都市をカバーすべくサンプルやカタログ、タブレット端末を置いたショールーム型小型店舗を展開し、注文して後日に受け取る「ピックアップポイント」方式で売上を伸ばすとしている。10月23日に開店する熊本店が第1号店で、福岡新宮店のサテライト店と位置付け、売場面積は従来店の10分の1以下だという。
 どちらもEC軸で店舗の品揃えを拡充し、店舗に在庫を抱える事無く売上を伸ばすというオムニチャネルなショールームストアと位置付けられる。在庫を積み上げる店舗を増やせば不動産費と販売人件費に加えて在庫の偏在が経営を圧迫するが、EC軸で在庫を抱えないショールームストアを展開すれば、不動産費と販売人件費をミニマムに抑えて売上を稼げる。商品は受注後にECの出荷センターからショールームストアやピックアップポイント、あるいは顧客に直送するから、在庫の偏在もロスも発生しない。
 売上対比の運営経費率も在庫効率も在庫を抱える従来店舗より飛躍的に改善されECに近付くから、ショールームストアの御利益を実感すれば加速度的に広がって行くと思われる。ショールームストアはもちろん、部分的にショールーム陳列を取り入れてEC軸で店舗に補給する省在庫型ストアも改善効果が大きい。11月11日に開催する『VMDストアプランゼミ』では出前と元番地、店内ストック、DCの在庫の持ち方、ショールーム陳列の手法と売場のレイアウトなど、ビジュアルに解説したい。
 2015/10/30 09:25  この記事のURL  /  コメント(0)

注目ブランド・業態とブランドツリー
 本日開催するSPAC月例会『立地別有望ブランド・業態/コンセプト総研究』のレポートが完成したが、メンバーが注目するブランド・業態がマーケットとビジネスモデルの何処に位置するのか、並行して作成した『2015AWブランドツリー』上でマーキングしてみた。
 挙げられた内訳はアパレル軸154業態、インナー&ルームウェア軸7業態、服飾雑貨/シューズ軸28業態、スポーツ軸15業態、生活雑貨/趣味雑貨軸40業態、HBC軸10業態、飲食/サービス他11業態、EC軸9業態、計276業態。企業グループ別ではマッシュグループが12業態40票と昨年に続いて断トツの首位で、サザビーが9業態20票、トゥモローランドが8業態17票でベスト3を占めた。以下ファーストリテイリングが6業態16票、ユナイテッドアローズ、アダストリア、パルグループが14票で並び、ジュン、ウィゴー、ベイクルーズまでがベスト10。昨年同様、外資企業は上位に入らなかった。
 注目ブランド第一位は「ジェラートピケ」、二位は「トゥモローランド」「ユニクロ」「ゾゾタウン」が並び、以下「ロンハーマン」「ウィゴー」「無印良品」「ミラオーウェン」「グローバルワーク」「ユナイテッドアローズ」までがベスト10。「グローバルワーク」「ジェラートピケ」が急上昇(再評価)、「フライングタイガー」「ASOKO」「KOE」は評価急落で番外落ちした。
 挙げられた276業態を位置付けた『15AWブランドツリー』はレディスが2059ブランド、メンズが1113ブランドを収録。レディスは24ゾーン/340タイプ、メンズは19ゾーン/204タイプに分類している。注目ブランド・業態が集中したゾーンはレディス/メンズとも「セレクトスパイスSPA」「SC展開ストア」の一部、「スポーツ&アウトドア」で、「グローバルSPA」は急減、「シングルライナー」はレディスの一部に留まった。
 総じて注目ブランド・業態は過去の実績を向いた‘後ピン’で国内ローカルでの評価に留まり、グローバル市場で注目される「ファクトリーパーツ」(メンズ)や「ハイクオリティパーツ」(レディス)への関心が限られたのは残念だ。『2015AWブランドツリー』と注目ブランド・業態の詳細、テナントミックスやブランドミックスへの対応は11月18日に開催する『ブランドマーケティング&テナントミックスゼミ』で解説したい。
 2015/10/29 09:05  この記事のURL  /  コメント(0)

「バーバリー」ロストダメージ
 15年春夏物で三陽商会の「バーバリー・ロンドン」「バーバリー・ブラックレーベル」「バーバリー・ブルーレーベル」が終了し、秋冬から旧「バーバリー・ロンドン」の350売場のうち263売場が「マッキントッシュ・ロンドン」に切り替わり、旧「バーバリー・ブラックレーベル」「バーバリー・ブルーレーベル」の150売場のほとんどが「ブラックレーベル・クレストブリッジ」(81店)、「ブルーレーベル・クレストブリッジ」(74店)に切り替わってスタートしたが、三陽商会の全力投球にも拘らず、旧「バーバリー」の販売実績にはほど遠い実情が聞こえて来る。
 断片的に入って来る数字では「マッキントッシュ・ロンドン」(紳士)の売上は旧「バーバリー」対比で6掛け、「ブラックレーベル・クレストブリッジ」は旧「バーバリー・ブラックレーベル」対比で5掛けなど厳しく、コートシーズンに入って一段と開いて来たという声も聞く。旧「バーバリー」の販売実績はあまりに大きく、そのロストダメージは百貨店紳士服部門の売上前年比を平均して4〜5ポイントも引き下げているそうだ。婦人についてはさらに断片的な数字なので控えるが、「マッキントッシュ・ロンドン」は紳士以上に厳しいという一方、「ブルーレーベル」は健闘しているという声も聞く。
 三陽商会を擁護する訳ではないが、旧「バーバリー・ロンドン」の前年は廃止を知った顧客の駆け込み需要が20〜30%も乗っていたから前年と比較するのは酷で、前々年と比較するなら結構健闘していると評価すべきだろう。「マッキントッシュ・ロンドン」「ブラックレーベル・クレストブリッジ」「ブルーレーベル・クレストブリッジ」のブランドプロモーションはこれから本格化するという段階で、まだ旧「バーバリー」ほど知名度が確立しているとは言えず、立ち上げたばかりでMD的にもまだ顧客を捉え切れていない段階だから、一喜一憂するより来シーズン以降の売上の積み増しに期待すべきであろう。
 2015/10/28 09:17  この記事のURL  /  コメント(0)

‘時代が違う’デザイナーコラボ
 セブン&アイHDが著名デザイナーのジャン・ポール・ゴルチェとコラボした衣料PB「ジャン・ポール・ゴルチェ・フォー・セット・プルミエ」をそごう・西武とイトーヨーカドー計67店舗で売り出して注目を集めているが、この手のデザイナーコラボはH&Mやユニクロなど低価格SPAの常套手段で今時、珍しくもない。なのに注目を集める理由は、コンサバなイメージがつきまとうセブン&アイHDと80年代アバンギャルドを代表するジャン・ポール・ゴルチェという組み合わせの違和感だと思う。
 「ジャン・ポール・ゴルチェ・フォー・セット・プルミエ」の背景にあるのが‘時代を映す新ベーシック’をコンセプトとして今秋から立ち上げた日常服PBの「セット・プルミエ」で、「ジャン・ポール・ゴルチェ・フォー・セット・プルミエ」は別ラインと位置づけているものの「セット・プルミエ」の立ち上げキャンペーン・コラボという役割に見える。その‘時代を映す新ベーシックの日常服’というコンセプトと、80年代にアバンギャルドなデザイン性で熱狂的な人気を博したジャン・ポール・ゴルチェの組み合わせは、話題性こそあるものの違和感を否めない。
 デザイナーの‘クリエイション’にマーケットが喝采を送った80年代は遠い昔で、今や消費者が自らのライフスタイルやユーティリティ(着こなしセンス)でピンからキリまで自在に組み合わすのがフツーになり、モンタナやミュグレーなど80年代のクリエイティブなデザイナーは皆90年代で行き詰まってゴルチェも2014年で既製服から撤退している。
 日本は世界でも最たるユーティリティ主導市場であり、今なぜゴルチェなのか理解に苦しむ。昔からの根強いフアンも居て行列ができる店舗もあったそうだが、‘時代が違う’という違和感はどこまでも付きまとう。セブン&アイHDのマーケティング感覚を疑わせる‘事件’としてギョーカイの記憶に残るのではないか。
 2015/10/27 09:33  この記事のURL  /  コメント(0)

『中国人‘爆買い’の陰り』続報
 一ヶ月ほど前の当ブログで『銀座の某百貨店では9月の免税売上比率が8月の8掛けになっている』という断片的な情報をお伝えしたが、銀座の両百貨店の9月締め、10月中旬までの数字が揃ってみると、9月の失速がやはり事実であったと裏付けられた。
 銀座A店の免税売上比率は8月が25%⇒9月が20%⇒10月が22%、銀座B店でも同じく8月が30%⇒9月が23%⇒10月が25%と推移しており、10月は国慶節などの連休効果で上向いたものの、9月1日から実施された中国政府による入国時の課税厳格化が二割近いマイナス効果を及ぼしているのは間違いない。百貨店協会が集計している主要71店舗の免税売上も8月の171.6億円(前年比359.6%)から9月は138.6億円(前年比280.0%)と同様に減速しているから、銀座の両店に限らない全国的な‘異変’だったようだ。中国経済の失速や矢継ぎ早の内外価格差是正措置、欧州やアジアのライバル都市の誘客合戦もあり、これまでの勢いが続くと期待するのは無理が在るようだ。
 観光産業や化粧品などはともかく、衣料品や高級ブランドについては中国の内外価格差圧縮とともに徐々に勢いが冷めて行くと覚悟した方が良い。‘爆買い’は一時のカンフル剤でしかなく、それを差し引いた消費の実勢は水面下のままだという現実を直視するべきだ。
 2015/10/26 09:19  この記事のURL  /  コメント(0)

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プロフィール
小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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