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チェーンストアの黄昏
 大手アパレルの大量退店に続き、長年低迷していた大手量販店(所謂GMS)もユニー、イトーヨーカ堂が相次いで不採算店の大量閉店を発表した。08年から10年にかけて不採算店を整理したイオンリテールは今回はまだ発表していないが大量の不採算店を抱えているのは同様で、いずれ閉店計画を公表する事になるのだろう。
 総合量販店業態は90年代で顧客の支持を失って壁に当たったが、グループの商業施設デベロッパー事業や総合金融事業、イトーヨーカ堂はCVS事業の収益に支えられて抜本的リストラが遅れ、採算性を失った店舗が温存されて来たのが実情だ。それが少子高齢化にアベノミクス以降のコストインフレが加わって量販店事業の採算性が一段と悪化する一方、3.11復興にオリンピックも加わって高騰する建設費とオムニチャネル化でデベロッパー事業の収益性も壁に当たり、不採算の量販店事業を支える余裕がなくなったのだ。
 そもそも総合量販店は70〜80年代の大店法時代に近隣商圏の生活ニーズに箱型多層店舗で応えたもので、元より足下占拠率の高いSSM部門と広域商圏を要する衣住部門とのギャップが大きく、90年以降の大店法緩和と市場開放でSCが大型広域化しカテゴリーキラーが台頭するに連れ箱型店舗の衣住部門の効率がジリジリと悪化し、00年の大店立地法施行と定期借家契約導入以降、SCの大型広域化と専門店モール化が加速して衣住部門が決定的に行き詰まった。
 それにアベノミクス以降のコストインフレとECの急拡大が加わって、多数の店舗に在庫を積み上げて販売するチェーンストアの経営効率が急激に悪化し、在庫引き当て効率も営業経費率も投資収益率もECより格段に劣る店舗事業の収益を改善する目処が立たなくなったのだ。将来が閉ざされた店舗事業の赤字を補填し続けるより、格段に収益も成長も見込めるEC軸のオムニチャネル事業に資金を回した方が賢明と判断するのは当然で、むしろ遅きに失した感を否めない。
 どうせ閉めるならローカルの不採算店舗だけでなく、専門店モールのバラエティを阻害している大型SC核店舗の衣住フロアを明け渡してくれればデベも専門店テナントも大いに潤うのだが・・・・・
 2015/09/18 16:20  この記事のURL  /  コメント(0)

ネットスーパーの現実
 アマゾンジャパンが15日からネットスーパーに参入し、生鮮を除く5000品目をスーパー価格で宅配を始めた。年会費3900円のアマゾンプライム会員向けのサービスで、段ボール一箱、最大12kgまで290円で届けるそうだ。
 ネットスーパーはイオンや西友、イトーヨーカ堂などが手掛けているが、いずれも店舗在庫からピッキングして近所に宅配するご用聞き型で、今回のアマゾンは拠点DC(神奈川)から全国に出荷する通販型だ。ご用聞き型は即日配送で生鮮食品までカバー出来る反面、宅配エリアが近隣に限定され店舗在庫という物理的な限界もある。通販型は在庫のDC集中による引き当て効率の高さの反面、即日配送エリアは足下に限られ生鮮食品の扱いも難しい。この両方の利点を実現するのが地域店舗へ配送するエリアDCでピッキングして宅配したり店舗で受け渡す方式で、ウォルマートのドライブスルースーパー「ウォルマート・ピックアップ・グロッサリー」も実験段階では店舗ピッキングだが多店化段階ではエリアDCピッキング方式に移行するものと見られる。
 エリアDCピッキング方式を実現するにはCVSのような消費地DCの配置とルート配送体制が不可欠で、問屋物流依存が色濃く残るGMSがどこまで対応出来るか疑問が残る。グローサリーは通販型が有利にしても、日々の生鮮を軸としたネットスーパーが消費慣習として定着する段階では既に実績のある生協や地産地消な物流体制が整ったローカルスーパー、大手CVSが主役になるのではなかろうか
 2015/09/17 09:13  この記事のURL  /  コメント(0)

在庫は人質
 高島屋とオンワードのタブレット販売の提携に続いてそごう・西武が高級ブランドのECサイト「e.CASTEL」を11月から立ち上げるなど百貨店のオムニチャネル攻勢が相次いで報じられているが、百貨店のEC売上は1%前後に留まって期待ほど伸びていないのが実情だ。その足枷となっているのが店頭同様の‘消化仕入れ’で、ECの場合は在庫を人質に取れるか否かが分かれ目になる。
 百貨店のECサイトで発注しても出荷メールが来るのは数日後で届くのに4〜6日かかるが、これは受注してからメーカーに発注してメーカーのDCから百貨店ECのDCに在庫を移動してから顧客に発送しているためで、あらかじめ在庫を確保して受注に即応するZOZOやamazonとは利便性の格差が大きい。ZOZOも在庫を買い取っている訳ではないが自社のDCに在庫を確保しており、謂わば在庫を人質に取って即出荷している。オムニチャネル戦略が進んだアパレルでは在庫を自社DCに抱えてECモールに渡さず、受注と代金回収だけ委嘱して出荷は自社で行うケースも出て来ており、在庫を人質に取るECモールのビジネスモデルも一部で崩れ始めている。
 百貨店のECサイトは店頭の消化仕入れ体質を引き摺って在庫の人質確保が出来ておらず、それが顧客の利便性を損なって拡大の足枷となっている。それを解決するには自社のDCに取引先の在庫を確保するしかないが、経営陣がその物流投資(専門企業に委託しても好い)の重要性を理解していないのが実情だろう。オムニチャネル戦略を声高に叫んでも、ショールーミングを恐れてブランドのタブレット販売を拒絶し、物流投資に躊躇して在庫を人質に取れないままでは売上の拡大は望めない。百貨店経営陣のオムニチャネル戦略、とりわけ在庫の確保と受注引き当て効率の戦略的重要性の理解が急がれる。
 2015/09/15 09:40  この記事のURL  /  コメント(0)

今日は新聞休刊日
 今日はほぼ年間10日ある新聞休刊日で、日経も朝日も繊研もお休みである。休刊日は各社統一ではないが、主力紙は何故か足並みを合わせている。新聞休刊日は新聞社はもちろん各地の新聞配達店スタッフの休日確保が目的とされるが、ネット時代の今日、報道や情報に休日があり得るのだろうか。
 それはともかく、全国には新聞配達店が2万4000店ほどあって年々、減少傾向だそうだ。特定新聞の専売店、他紙も扱う複合店、人口の少ない地区ですべてを扱う合売店がある。主な収入は新聞配達報酬と新聞社からの補助金、チラシ折り込み料金で、新聞社から支払われる手数料と補助金の合計は新聞売上の45.7%に達するが、人件費負担が重く収益は厳しいとされる。全国チェーンはおろかローカルチェーンもなく、各地の零細単独店が支えている業界のようだ(以上はウィキペディア参照)。
 なんでそんな事を言ってるかというと、この新聞配達店がオムニチャネル時代の宅配とクリック&コレクトの拠点に変身して行くと期待されるからだ。コンビニがクリック&コレクトの受け取り拠点として配送荷物が集中すれば物理的にも労務的にもパンクするのは目に見えており、荷物の保管スペースと早朝の新聞配達が終わった後の人員の余裕から新聞販売店が注目される。
 クリック&コレクトが主流の欧州では受け取り拠点が急拡大しており、中でもPPP(ピックパックポイント/配達と代金徴収代行)が普及した東欧では、ハンガリーのラプケル社のように新聞配達店がガソリンスタンドなども巻き込んでクリック&コレクト拠点のチェーンを展開するケースが見られる。ラプケル社は1000社以上のEC業者と提携して同国内ECの6%を占めているそうだ(以上はジェトロの欧州Eコマースレポート参照)。
 元から数百店のチェーンだったラプケル社のような新聞配達店は我が国には存在しないが、大手宅配業者が個々の新聞配達店を組織化していけば遠からずコンビニに替わるクリック&コレクト拠点網が確立されるに違いない。70年代に台頭したカタログショールームストアが多数残る欧州では、その残存拠点がクリック&コレクト拠点に転用されるケースも多いと聞くから、シャディなんかも再評価されるべきかも知れない。
 2015/09/14 10:30  この記事のURL  /  コメント(0)

次はカルティエかブルガリか
 アップルは米国時間の9日、恒例の新製品発表会でエルメスと協業したアップルウォッチ「HERMES COLLECTION」を10月に発売すると発表した。今回はステンレススチールケースだけなので、如何にも「HERMES」な(当然、エルメス社製)レザーベルト仕様のラインナップはシンプルなシングルツアーベルトの$1250(ケースは38mm/42mm)からダブルツアーベルト38mmケースの$1250、スリーピースベルト42mmケースの$1500までとお手頃だ。日本でもアップルストアの表参道店、銀座店、心斎橋店、エルメスの銀座店、大阪店、新宿伊勢丹のアップルウォッチとドーバーストリートマーケットギンザで10月5日から売り出されるそうだが、今のところ日本での価格は公表されていない。ベーシックなアップルウォッチでさえ年という納品待ちが続く中、徹夜で並ぶか余程の特権を行使しないと入手は困難を極めるに違いない。
 14年9月のアップルウォッチ発表時点の当ブログ(14年9月10日)で『AppleWATCHはラグジュアリービジネスだ!』と題し、アップルのラグジュアリー戦略は故スティーブ・ジョブズの遺言に基づくもので著名ラグジュアリーブランドとの高価なコラボ企画が広がって行くと予見したが、今回の「HERMES COLLECTION」がその第一弾という事になる。となれば次のコラボ相手はカルティエかブルガリか、はたまたティファニーかハリー・ウィンストンとなるのだろうか。「HERMES COLLECTION」にしても、次は万ドル単位の金無垢モデルがラインナップに加わるに違いない。今回発表の新型iPhoneにしてもアップルウォッチ譲りのローズゴールドが新色として加わるそうだが、こちらも遠からずラグジュアリーなコラボモデルが登場するのだろう。
 2015/09/10 10:03  この記事のURL  /  コメント(0)

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プロフィール
小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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