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さよなら三陽バーバリー
 三陽商会が英国バーバリー社と45年間に渡って結んでいたライセンス契約が本日で終了する。
「バーバリー」は三陽商会の売上の2割強、派生ブランドの「ブルーレーベル」「ブラックレーベル」を加えればほぼ半分を占めていたから経営への打撃は想像に難くないが、約350店のバーバリー店舗のうち約260店を後継ブランドの「マッキントッシュロンドン」に切り替える事が出来、派生ブランドの「ブルーレーベル」「ブラックレーベル」も‘バーバリー’という冠は付かなくなるものの新たな契約に切り替えて約150店舗で継続出来るから、恐れていたほど極端な業績の悪化とはならないようだ。「三陽バーバリー」は国内はもちろんアジアの富裕層にも根強い人気があり、販売の終了を知って駆け込む顧客が予想以上に多かった事も直近の業績を下支えしている。
 カネボウは97年のディオールの契約打ち切りを契機に業績が急落して07年6月の会社解散決議に至るという悲劇となったが、ほぼ同時期(98年末)に独アディダスのライセンス契約を打ち切られたデサントは自社ブランドを拡充して業績を立て直した。契約打ち切り当時、ディオールは500億円、アディダスは400億円近くを売り上げ、契約打ち切り通告も寝耳に水だったが、バーバリーの契約打ち切りは09年に20年契約を15年に短縮された時点で予想されていたから、三陽商会にとっては十分とは言えないまでも対策を準備する時間があった。
 三陽商会の底力は世界に誇れる‘ジャパンメイド’な品質であり、「バーバリー」に固執する必要が在ったのかとも思うが、後継ブランドとなる「マッキントッシュロンドン」や自社開発ブランドを軸に新たな発展を遂げてもらいたい。
 2015/06/30 10:02  この記事のURL  /  コメント(0)

小売SPA化の功罪
 ワールドは先に発表した500店舗の撤退に加え、本社社員の四分の一にあたる500人の希望退職を募る事になったが、90年代後半からの急成長で国内最大のアパレルメーカーとなった‘功’もリーマン以降の収益性悪化という‘罪’も「小売SPA化」という戦略に帰するのではなかろうか。
 ワールドは92年1月に「スパークス構想」を打ち出して以来『店頭起点の小売SPA化』を基本戦略に掲げて来たが、投資が店舗に偏ってメーカーの生命線たる商品開発組織が弱体化したという指摘は免れない。「小売SPA化」に走る前のワールドは国内外産地に入って糸から開発する業界に比類無い開発組織を誇っていたが、「小売SPA化」の中で開発組織の解体や削減が進み、駅ビルやSCに展開するワールドのブランドの大半は小売業のようなODM商品となって行った。それが商品の魅力を損なって売上の低迷をもたらし、ジリジリと収益性を低下させて行った事は疑う余地もない。
 「小売SPA化」は商品開発のみならずディストリビューションでもワールドを変えて行ったと推察される。メーカー直営店体制ではエリア担当営業が地域のマーケティングと店舗運営、各店舗の品揃えと在庫運用を包括して担当し、店舗の陳列を指導し品揃えを目で見て在庫を運用していたが、「小売SPA化」ではリテイルチェーン同様に本部のマーチャンダイザーが枠組んでディストリビューターがPOSデータに基づいて在庫運用する、売場が見えない分業体制になってしまう。それはそれで効率的な一面はあるが、担当営業が巡回して各店のテイストやアイテムのバランス、陳列との連携を図って在庫運用するのはもちろん、販売員のヒューマンなマネジメントまで気を配って店舗とディストリビューションを一体に運営するメーカー直営店体制に較べれば、ブランド価値の訴求力も消化歩留まりも及ばなかったのではないか。
 サンエーインターナショナル(現TSI)などワールドと同様な「小売SPA化」に走ったアパレル大手が同様に収益性を悪化させ店舗やブランドのリストラに追い込まれている今日、「小売SPA化」の功罪を総括する意味は大きいと思われる。
 2015/06/29 09:13  この記事のURL  /  コメント(0)

クリック&コレクトは公的利便
 ECと商業施設の壁を突き崩す突破口として注目される‘クリック&コレクト’(指定場所受け取り)だが、その推進に国交省が本気で乗り出した。宅配大手平均で二割に及ぶ不在による再配達が交通渋滞や運賃上昇を招くとして、再配達削減へ向けた有識者会議を6月に設置し、コンビニなど受取所の共通化を検討している。
 ラストワンマイルの覇権を狙ってセブン&アイ・ホールディングスなどがコンビニ受け取りのグループ独占を画策しているが、各社が独占を競えば受取所が乱立して配達が非効率化するし、締め出される通販企業の不利も大きい。国交省が‘クリック&コレクト’を公的利便として共通化を打ち出した事はオムニチャネル消費を加速させる画期的な出来事と言えよう。
 ‘クリック&コレクト’の受け取り拠点と言えばコンビニばかりが話題になるが、欧州では新聞配達所やキオスクのチェーン、70年代に一世を風靡したカタログショールームストアのチェーンも活用されている。我が国でも生活拠点に近いと言うなら新聞配達所やしまむら(グループ計二千店弱)、ご近所の食品スーパーはもちろん、日本的カタログショールームストアたるシャディのサラダ館とシャディ店(計三千店)など最適なのではないか。
 国交省は主要駅での受け取り拠点も重視しているが、殺風景な受け取りロッカーなどではなく商品の確認や支払い、返品も出来るマンツーマンの受け渡し所が好ましい。となれば国交省管轄下の鉄道会社の子会社たる駅ビルが一番に‘クリック&コレクト’を受け入れる事になるのだろうか。となれば、車ショッピングの要たる郊外SCにも‘クリック&コレクト’が広がるのは時間の問題だろう。何故なら、EC顧客の受け取り利便だけでなく、商業施設にとっても新たな顧客が来店するメリットは大きいからだ。
 未だ偏狭なショールーミング恐怖症を脱せない商業施設デベや百貨店が少なくないが、国交省が踏み出した事で潮流は一変するに違いない。‘クリック&コレクト’は公的利便と定められたのだ。
 2015/06/25 09:07  この記事のURL  /  コメント(0)

潮目が変った?
 先週の木金と開催した月例の「販売データ交換会」で?と違和感を感じるデータが出て来た。それは14日段階の百貨店売上前年比で婦人服・洋品が紳士服・洋品を上回った事だ。都内主要11店中9店舗で婦人服が上回り、地方店でも同様な傾向だった。全国平均で見ても、5月はまだ2.9ポイント紳士が上回っていたのに6月前半では婦人に7ポイント差を付けられている。6月計でも婦人服の前年比が上回るようなら13年12月以来、18ヶ月ぶりの逆転となるが、いったい何が起こっているのだろうか。前年の反動が残るとは言え、5月の全国スーパー衣料品の前年比が106.2と全国百貨店衣料品の103.0を上回ったのも不可思議と言うしかない(消費増税絡みの異常月を除けば13年3月以来)。
 専門店でも消費増税以降、低迷していた紳士服チェーンが前年の反動もあって4月5月と回復し、カジュアルチェーンも回復が目立つが、何より違和感があったのが21ヶ月ぶりの客数増だった。既存店売上(客数/客単価も)を公表している国内主要アパレルチェーン15社の5月平均は105.9と26ヶ月振りの伸びを記録したが(好天と休日2日増を割り引くべきだが)、客単価が104.6と22ヶ月連続のプラスだったのに加え、客数も8社が増加して平均も102.0と21ヶ月ぶりに前年を上回ったのは潮目の変化を意味するのだろうか。4月5月とやや戻していたとは言え、長らく低迷していたハニーズが業績の上方修正を発表した事も違和感がある。
 しばらく格差が開いていたターミナル立地商業施設と郊外商業施設の前年比もSC協会発表値では4月5月と郊外商業施設が逆転しており、前年の反動や天候、休日数のズレなど数字のマジックはあるにしても、消費増税以来の消費の構造に何らかの変化が起きている事は間違いないだろう。それが何なのか、6月の販売数字が出揃う頃には推論出来ると思う。
 2015/06/24 10:09  この記事のURL  /  コメント(0)

DBが売上と収益を左右する
 多店舗運営の組織は商品企画・開発・調達という商品系、在庫運用と消化コントロールというDB(ディストリビューション)系、地域市場対応と店舗運営という営業系からなり、商品の付加価値を創造するのが商品系、付加価値を最終的に実現するのが営業系、両者の間で在庫運用して消化歩留まりを最大化するのがDB系と位置付けられる。三つの業務は連携したもので遂行はともかく数値評価を分け切るのは難しいが、注目される事の少ないDB系が売上と収益を少なからず左右しているのが現実だ。
 インフレ局面で客数が減少し売上が伸び悩む中、在庫の偏在を極小化してECも含めた在庫引き当てを効率化する事が急がれるが、その大任を担うのがDB系だ。そんな問題意識に立って今週木曜に開催するのがSPAC月例会「オムニチャネル時代の最新ロジスティクス総研究」で、メンバー企業の関心も高く既に満員御礼の状況だ。
 今回重視しているのがオムニチャネルな在庫引き当てと個店対応の品揃えコントロール/消化促進で、どのような手法を使った場合、どの程度の効果が得られるか、メンバー回答から数値で答えを出している。「定期的店間移動の頻度」「店間移動の単位は品番別かSKU別か」「マークダウンは定期的分散か期末集中か」「マークダウンの単位は品番別かSKU別か」「キックオフ活用の有無」「定期的再編集運用の頻度」など、手法によってロス率と在庫回転に明確な差が見られた。
 加えて今回は事業特性による小売チェーン型DB体制とアパレル卸営業型DB体制の適否にも言及してみた。アパレルメーカーの‘小売SPA化’の功罪を総括すべき時が来たと思うからだ。
 2015/06/23 11:34  この記事のURL  /  コメント(0)

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プロフィール
小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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