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外資チェーンは‘治外法権’か
 安倍首相の訪米で日米関係は集団的安全保障という‘ルビコン河’を渡った感があるが、日米地位協定など安政の日米修好通商条約以来、欧米とりわけ米国との不平等関係は今日も尚、継続している。政治の話はともかく、我ら流通業界でも‘治外法権’まがいの外資のルール破りが目に余る。
 タイムセールを乱発して‘有利誤認’を誘う二重価格商法が疑われるクロスカンパニーも問題だが、ほとんど毎週のように何らかのセールを乱発し果ては籤引きで値引きする‘ギャンブルセール’までやるギャップは‘定価’などあってないがごとくで二重価格商法が常習化している。アウトレットモールでもギャップやバナナリパブリックはほとんどがアウトレット用に企画した専用商品だが店頭では明確な表示は見られないし、コーチもアウトレット専用商品の比率が高い。消費者が解った上で利用しているのなら良いが、正規のアウトレット商品と勘違いして割安だと錯覚しているなら‘有利誤認’が強く疑われる。
 米国では日本のように消費者保護のため‘有利誤認’を違法としていないのかも知れないが(専門家の方は是非、教えて下さい)、ここは日本なのだから公然とルール破りされては‘治外法権’状態と言わざるを得ない。アマゾン課税問題では国税庁さえ白旗を上げたほど日米関係は不平等だから、消費者庁も外資とりわけ米国資本に対しては及び腰なのだと推察されるが、このままで良いのだろうか。
 外資チェーンの‘治外法権’を容認しては国内チェーンに対しても示しがつかず、消費者の‘有利誤認’を招く価格の混乱が一段と蔓延してしまう。行政と司直の果断が急がれる。
 2015/04/30 10:21  この記事のURL  /  コメント(0)

セゾン文明の復興
 仕事が一段落した週末、久しぶりに西武渋谷店のモヴィーダ館を訪れたが、Loft館との繋がりに違和感があった「オープニングセレモニー」だった頃とは一変してB1〜5Fが「無印良品」、6〜7Fが「Loft&」になり(13年11月29日から)、往時の華やかなりし‘セゾン文明’の残照に不思議な心地よさを感じた。近所のパルコもJフロントリテイリングの子会社になって以来、資金が豊富になって往年の活力を取り戻し、公園通りが活気を取り戻したのは良い事だ。
 70〜80年代に一世を風靡したセゾングループがバブル崩壊以降の経営悪化で01年に解体した後、グループ各社はそれぞれに存続を志向したが、中核の西武百貨店はそごうと一体に06年6月、セブン&アイHDの子会社になり、西友は住友商事を経て05年末にウォルマートの連結子会社になり、パルコも森トラストグループを経てJフロントリテイリング傘下となった。ファミリーマートは伊藤忠商事が主要株主となったが、06年には良品計画と株式を持ち合っている。WAVEはタワーレコード傘下となった後、二転三転して消滅したが、グループ解体後も踏ん張って健闘している企業も少なくない。
 セゾングループは解体されグループ各社の資本関係は消滅したが、総師の堤清二、パルコの増田通二、西友の高丘季昭、西武・そごう中興の和田繁明など、多彩な人脈の系譜は今なお命脈を保っている。西武百貨店が導入した欧米の著名ブランド、エルメスやサンローランなどは今日のラグジュアリーブランドの中核をなしているし、美術館や劇場など数々のメセナ事業が果たした役割は今日もなお評価が高い。そんな‘セゾン文明’がこのまま消えてよいものだろうか。
 良品計画やパルコが勢いを取り戻した今日、中核会社の西武・そごうがセブン&アイHD傘下で‘セゾン文明’と掛け離れた路を歩んでいるのは往時を知る世代には悲しくさえ思える。世が世なら伊勢丹以上に華やかなラグジュアリー消費とアートカルチャーをリードしてもよいはずで、‘セゾン文明’の復興を願う業界人も少なくないと推察される。そんな気運が高まれば、この業界ももっと面白くなるのではと期待してしまう。
 2015/04/27 12:15  この記事のURL  /  コメント(0)

ユニクロのスニーカーは期待外れ
 ユニクロは4月27日から8シーズンぶりにスニーカーを売り出す。売り出すスニーカーはスリッポンタイプ(5色)とシューレースタイプ(9色)の2型で価格はどちらも2,990円(税別)、サイズはセンチ刻みの23〜28cm。09年秋〜11年夏まで手掛けたものの軌道に乗らず取り扱いを止めていたが、一昨年来のスニーカーブームに二周遅れながら参加する。
 スニーカーブームも三周目に入ってスニーカー専門店や靴屋はもちろんセレクトショップやカジュアルチェーンまで氾濫気味。そんな中で満を持して再参入するのだから、ユニクロならではの突出した機能性や圧倒的バリューを期待してしまうが、発表されたスニーカーは機能性もデザインも価格もラインナップもどうってことない拍子抜けするものだった。
 店頭にはまだ並んでいないので実物は見ていないが、プレスリリースを見る限り、コットンキャンバス生地の‘VANSクラシック’風フラットタイプで、この手のスクールスニーカーなら何処でも1900円か2900円で氾濫している(ロードサイドやECでは980円や1200円もある)。ユニクロは‘高機能グリップ’‘カップ型インソール’と機能性を謳っているが、この程度で2900円とは期待外れもいいとこだ。ハイテクスニーカーのようなエアクッションとか、OL通勤靴のような外反母趾防止インソールとか、アパレルのように防水透湿とか、靴下のように抗菌吸湿とか期待した向きには失望が大きいと思われる。
 フラットタイプの2型だけで5色/9色、サイズもセンチ刻みの23〜28cm(スニーカーブランドの常識は5ミリ刻みで22cmから)というラインナップも店頭でのインパクトが無く、捲土重来という本気度が感じられない。加えて、ユニセックス仕様というのもひっかかる。メンズ/レディスと木型を分けて本格的なフィットを追求すべきだったのではないか。この価格で売るならソフト/ハード/腰痛防止/外反母趾防止と何タイプかのインソールを選べて込みにして欲しかった。
 ブランドスニーカーではないのだからハイテクなスポーツタイプまでは不要だと思うが、日常の通勤や通学を快適にするビジネスタイプやスクールタイプのラインナップは最低限、揃えるべきだ。‘世界のユニクロ様’となった今日、ユニクロに求められる期待値はどんどん上がっている。今回のスニーカー再参入はそのハードルに届くものとは到底、思えない。
 2015/04/23 11:30  この記事のURL  /  コメント(0)

後方ストックの失われた技
 百貨店のリモデルや新業態の内覧会の時、売場を一周した後で後方を覗かせてもらう事がある。プレス向けの内覧会と言っても半分、パーティーみたいなもので、あんまり真剣にチェックしていると怪訝な顔をされるし、『後方も見せて』と頼むと相手が一瞬、怯むのが見て取れる。それでも後方を見たいのは、店頭の陳列と後方ストックの関連(店内ロジスティクス)がきちんと設計されているかどうかでストアオペレーションの‘質’が決まるからだ。
 『欠品させない』『お待たせしない』販売には不可欠の体制なのだが、表の売場は綺麗に分類・陳列しても後方のストックは乱れ放題で、管轄消防署が見たら始末書じゃ済まない状態のストアが少なくない。ゆえにサイズ探しなどでお客様を長時間お待たせしたり、関係者による盗難が発生したりもする。
 店頭の商品配置と後方ストックの棚入れを一致させて最短時間でピッキング出来るように仕組むのは売場運営の基本中の基本だが、多くの百貨店の後方は酷いものだし(ロジスティクス以前の消防法違反のレヴェル)、鳴り物入りの‘新業態’でも後方を見ると店頭のMDがお化粧で誤摩化したに過ぎない事が露見してしまう。きちんとMDを組めば後方ストックの棚入れも整然と売場と一致するはずで、ならば売場を離れなければならない後方に置かないで、売場内にお客様に‘見えるストック’を置く事も出来るはずだ。私が設計する店舗ではそんな仕掛けを組み込む事もある。
 お客様に見せても良いほど整理された後方ストックなど有り得ないと思われるかもしれないが、「ユニクロ」の売場などストックヤードでお客がピッキングしているみたいなものだし、80年代のイトーヨーカ堂の後方ストックなど几帳面に整理された図書棚のようでさえあった。今日のイトーヨーカ堂にはもはや見られないが(見せてくれないので真偽のほどは解らない)、90年代に少なからぬイトーヨーカ堂の現場幹部が流れた韓国の「Eマート」(新世界百貨店の量販店)では今日も几帳面に整理された後方ストックを見る事が出来る。
 家電業界では00年代に多くの技術者がサムスンに流れ今日の逆転を招いたが、量販店分野では早くも90年代に同様な技術流出が起こっていた。「Eマート」と「新世界百貨店」は90年代までサムスンの傘下にあったし、サムスンのスマホ「ギャラクシー」は‘韓国の三陽商会’と例えられるグループのアパレルメーカー「第一毛織」の人気ブランドから借りたものと推察される。
 2015/04/22 10:19  この記事のURL  /  コメント(0)

残存者利益ってスゴイ!
 毎月のブランド別販売データを見ていると様々な事が解るが、近頃で面白い傾向だと思うのが‘残存者利益’だ。‘残存者利益’とは衰退するマーケットからライバルが次々と撤退して供給が需要を下回る状態になり、残存事業者が思わぬ利益を得る事を言う。
 アパレル業界は好不調の波が激しく3年サイクルの短期波動と6年サイクルの中期波動が交錯して業績を左右している感があるが、今の変化は6年続いたローカルカジュアルの退潮が底を打とうとする過程で顕著になって来た。それはセクシーガールマーケットの底打ちに先んじて見られたセクシーグラマラスブランドの急浮上だ。アゲハ系の「デイライルノアール」や「ダチュラ」は昨年秋から絶好調が続いているし、やや大人しいエレガンス系の「リエンダ」や「ロイヤルパーティー」も快調に飛ばしている。
 ファストファッション上陸以降のセクシーガールマーケットの急激な退潮下で多くのブランドがOLやモードカジュアルにシフトして撤退して行った中、これらのブランドはセクシーガールマーケットから動かず、需要の縮小を供給の縮小が上回った結果、売上が押し上げられたという‘残存者利益’と推察される。
 衰退の一途だったジーンズ市場でも似たような動きが広がる一方で活況が続いて来たスポーツキャラクター市場では好不調の明暗が広がるなど、需給の変化がブランド業績を顕著に左右している。ビジネスを動かすのはマーケットの拡大とは限らない。皆が好調なマーケットに殺到するアパレル業界では衰退するマーケットで‘残存者利益’を独り占めする方が遥かに美味しい。経験の浅い経営者ほどマーケットの波に右往左往して消耗戦に巻き込まれがちだが、老練な経営者は狡猾に‘残存者利益’を手にしている。マーケティングの基本スタンスを考え直すべきかも知れない。
 2015/04/20 10:31  この記事のURL  /  コメント(0)

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プロフィール
小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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