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マッシュに翳り?
 昨年11月、グランツリー武蔵小杉のプレス内覧会で見た「コスメキッチン」に??と変化を感じたが、3月4日にルミネ有楽町に導入された「ミラオーウェン」と新業態の「emmi」を見て、??が確信に近付いた。マッシュのMDと店舗オペレーションが明らかに劣化しているのだ。
 「emmi」はファッション系スポーツ業態の例に漏れず、スポーツブランドの本格的機能アイテム(この場合は「NIKE」のスニーカーなど)とオリジナルの柔なファッションアイテムにギャップがあり、駅ビルという立地もあってライフスタイル感は乏しく、ファッション屋の考えたスポーティブファッションに留まる。スポーツ&スニーカーブームが蔓延し過ぎてか、尖りを欠くスポーツキャラクターブランドの売上は昨冬から翳りが目立つ中(ヘビーデューティー系は健在)、ファッション屋の考えた中途半端なスポーツブランドに存在位置が在るとは思えない。
 メンズに始まったノームコアがOL層に波及する中、昨春、好調にスタートした「ミラオーウェン」にしても、類似したMDが氾濫する今春の駅ビル市場では周囲に埋没した感が否めない。パターンや価格設定にはまだ一日の長があるものの、MDの組み方や陳列手法には突出した技がなく、もはや青い海は過去のものになり始めている。
 急成長の中でもODMに流れず原価率も切り下げず、真面目なものづくりで顧客の支持を拡げて来たマッシュだが、MD手法と陳列手法、オムニチャネルな店舗オペレーションには目立った進化がないまま、周囲のライバル達にキャッチアップされ、同質化の混戦に巻き込まれ始めている。主要ブランドの売上数字にも翳りが見える中、体制の刷新と技術革新が急がれる。

 2015/03/17 09:47  この記事のURL  /  コメント(0)

MacとMcの明暗
 表参道の地下鉄出口とオフィスを往復する度にいやでも(嫌じゃなくイイネ!と思う)目につくのが巨大なガラスハウスのAppleStoreだが、かつてはMcDonald'sが在った所だと思うと両者のブランド価値のあまりの格差に想いが馳せる。
 100円マックなど低価格訴求で高単価のセットメニューを売り、直営からFCへの転換で目先の利益を追った果てに相次ぐ食品安全管理問題でブランド価値が地に堕ちたMcDonald's。一方のAppleはショールーム型直営店のAppleStoreを軸に正価流通を確立し、デジタルコンテンツやアプリはもちろんアフターサービスまで商品にして超高収益企業となり、今やITの枠を超えたラグジュアリーブランドビジネスへと変貌しつつある。
 我らファッション業界でも、極端な低原価率で調達した商品をタイムセールやギャンブルセールなど際限のない値引き商法で訴求する企業が横行する一方、バーバリーやミキハウスなど店頭でのセールを行わず正価販売に徹するブランドも在る。どちらが顧客の支持を得て安定した高収益を保っているか言うまでもあるまい。
 AppleとMcDonald'sの明暗に見るまでもなく、品質を追求し正価販売に徹して顧客の信頼感を勝ち取る事こそブランディングの基本中の基本だ。顧客を何処まで騙せるか挑むように原価と品質を切り下げ、際限のない値引き商法で顧客の‘有利誤認’を煽って塀の上を走る商法がハッピーエンドを迎えるとは到底、思えない。何かの契機で顧客に実態が露見し、McDonald'sの二の舞になるのも時間の問題だと思う。
 賢明な業界の方々はそんな危ない商法に煽られる事なく、商業施設デベの方々も‘有利誤認’を煽る問題商法を容認する事なく(見て見ぬ振りをするのも未必の故意の共犯です!)、お客様第一の商人道に徹して自らのブランド価値を磨いて頂きたい。
 2015/03/16 11:21  この記事のURL  /  コメント(0)

SAVE KHAKI はクールすぎかも
 先週の金曜夕刻、翌7日の開店に先立って開催されたSAVE KHAKI UNITED日本上陸一号店のプレス内覧会にお邪魔した。
 SAVE KHAKI UNITEDはJ.CrewやBANANA REPUBLICでデザインを担当したDavid Mulen氏が『デニムばかりが注目される中でカーキ(CHINO)を救いたい』と06年にNYでスタートしたナチュラルワークなライフスタイルブランドで、今回、ベイクルーズグループが独占輸入販売権を獲得して一号店の開店となった。カーキがテーマだがデニムやダンガリー、ジャージも揃え、シャツやパンツが13,000円〜18,000円、Tシャツが4,800円〜6,000円、スウェットが9,000円〜15,000円、アウターが2,8000円〜35,000円と、ワークアイテムとしてはややベターな設定だ。
 シャツやパンツは洗いをかけてナチュラルな風合いを訴求し、シンプルな生活雑貨も加えて爽やかなライフスタイル感を醸し出している。メンズとレディスで売場を分けずXSからサイズ展開しているのも面白いが、日本女子が求めるフィット感に応えられるか不安が残る。
 床も天井もコンクリモルタルの店舗空間は天井も高く広がり感があってクールなロフトのようだが、3000kのLED照明もモルタルの灰色に負けてクールさが強調され過ぎているのが気になった。デニムやダンガリーのブルー系や白は爽やかに見えるのだが肝心のカーキはくすんで平べったく見え、‘SAVE KHAKI’というコンセプトにしてはどうなのかと思った。床を明るめの木材にするか天井のモルタルをもっと白っぽくする方が良いのかも知れない。
 もうひとつ気になったのがKHAKIテーマなのにカモフラ柄などのミリタリー味がまったくない事で、全体に爽やかなライフスタイル感はあってもストリートなリミックスがほとんどなく、キャットストリートという立地の嗜好とは乖離した感じがした。キャットストリートほどではないにしても日本のカジュアル市場では旬のリミックスが不可欠で、米国的な大味さが日本市場でどう評価されるか不安が残る。
 ベイクルさんがせっかく導入したのだから是非とも成功してもらいたいが、日本市場で成功させるには若干の修正が必要だと思う。それは日々、顧客に接する現場のスタッフが一番、理解しているに違いない。

※この写真はデジカメの色調整を2段階も黄色側に振って撮影したものです。
 2015/03/12 12:07  この記事のURL  /  コメント(0)

アップルはラグジュアリーブランドになる
 アップルウォッチの最終ラインナップが発表され日本では4月24日から発売になるが、ラグジュアリー路線の目玉となるEDITION MODEL(18K)は128万円から218万円(税別)というプライスが付けられた。そのウェアラブルPCとしての機能はともかく、ITのアップル社がラグジュアリー服飾市場に本格参入した事が注目される。
 昨年の九月、アップル社がアップルウォッチの今春発売を発表した直後、このプログで『アップルウォッチはラグジュアリービジネスだ』と書いて万ドル単位のラグジュアリーモデルが投入されると予測した。とりあえずは18Kモデルだけだが、やがては宝飾ブランドとコラボしたさらに高価なジュエリーウォッチも登場するに違いない。
 バーバリーやサンローラン欧州のトップを引き抜いて準備して来たアップル社のラグジュアリー路線はアップルウォッチに留まらないだろう。今回の新製品ではゴールド仕上げのマックブックが登場したが、次は著名デザイナーとコラボしたラグジュアリーiPhoneが登場するのかも。
 2015/03/11 11:30  この記事のURL  /  コメント(0)

シーズン細分化の功罪
 ユナイテッドアローズはプロパー消化率と収益性の向上を図ってシーズンMDを細分化するそうだが、逆効果になるのではと心配している。これまで梅春、春、夏、初夏、秋、冬の6区分だったのを梅春、春、初夏、盛夏、晩夏、初秋、秋、冬の8区分に細分化するとの事だが、同社の商品在庫回転は年間3.26回(14年3月期)とスローで、6区分から8区分に細分化すれば投入と在庫回転のギャップがさらに開き、逆に消化歩留まりが悪化するリスクが危ぶまれるからだ。
 一般にシーズンMDは細分化するほど売場に鮮度は出るものの、現実の消化回転とのギャップが大きくなればマークダウンロスが肥大して収益を圧迫するリスクが高まる。当社のSPAC研究会メンバー企業アンケートに拠れば、年間企画調達サイクルが5シーズン未満のブランド/業態の平均商品回転が3.8回に留まるのに対して同8シーズン以上のブランド/業態の平均商品回転は7.7回に達するから、シーズンMDの細分化と商品回転はスライドするかに見えるが、年間20コレクションも投入するH&Mの商品回転は3.46回(14年11月期)に留まって値引き訴求が常態化しているから過度な細分化は逆効果のようだ。
 販売効率にもよるが、一般的なプロパー販売期間の限界が8週間程度という事も考慮すれば、鮮度訴求と販売消化がバランスしてスムースに回転しロス率も抑制出来るのは年間6〜8シーズンと思われる。店頭の鮮度を維持したいなら、そのためだけの見せ筋企画(柄物/色物企画が一般的)をシーズンの狭間に数回、加えれば済む。その商品量はせいぜい数パーセントだから、ロスを心配する必要も無いだろう。
 シーズン設定には調達背景の制約もあり、元ネタが欧米コレクションの場合など2+2(AW/SS+プレフォール/クルーズ)シーズンだから、それ以上の細分化は難しく、商品回転も3回転が上限になる。国内コレクションブランドも同様だがカジュアルなブランドは4〜6シーズンで企画するから、セレクトSPAのシーズン細分化は6シーズンが限界という事になる。それ以上の細分化は元ネタがなく、社内にデザインチームを抱えてネタから創造しない限り、売れ筋のシーズン替え企画に留まらざるを得ない。その意味でも、ユナイテッドアローズの8シーズン化は売れ筋追いのSPA臭を強めてブランド価値を損なうリスクが指摘される。
 むしろ見直すべきはシーズンの区分であり、秋冬比重の高いユナイテッドアローズには春、初夏、盛夏、晩夏初秋、秋、冬、梅春(UAの梅春とは異なる11月投入)の7シーズンが向いていると思う。
 シーズンMDサイクルはその企業の調達背景や開発の深さ、顧客の抱くこだわり期待度などに制約されるから、細分化すれば商品回転が早まってロスが圧縮されるとは限らない。判断基準は常に顧客の期待度であり、裏切ればブランド価値の毀損は避けられない。『店は客の為に在る』という原点をもう一度、見据えるべきだと思う。
 2015/03/10 10:49  この記事のURL  /  コメント(0)

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プロフィール
小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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