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トラフィックストアとサテライトストア
 ユナイテッドアローズが2月1日でハイウェイストア二店舗(ネオパーサ清水店とエクスパーサ海老名店)を閉店した。11年12月14日にハイウェイストア一号店としてエクスパーサ海老名店を開設してから、わずか三年と一ヶ月半だったが、ダメと判ったら早めに幕引きするのが正解だ。顧客を絞った利幅が厚く回転の遅い商売に慣れたユナイテッドアローズ社が不特定多数を相手に利幅が薄く回転の速い商売に進出する事に始めから無理が在ったと思うが、当事者達はそんな事は考えもしなかったのだろう。
 空港店舗は別として、KIOSKなどのトラフィックストアは様々なカテゴリーの利幅の薄い仕入れ商品を素早い補給と低コストな運営で回して行くCVSに近いビジネスモデルで、三桁四桁のチェーンストアを物流効率最優先で日配ルート上に出店して行くものだから、ジュニアチェーン運営の経験しかないセレクト企業が手を出せるものでは端からなかった。百貨店のサテライトストアも似たような勘違いをしているのだと思う。
 空港からSCまで様々なサテライトストアが開設されているが、どれも百貨店商売をそのまま持ち込んだ仕入れ先依存の支店経営で、セントラルバイイングもロジスティクス効率もまったく視野の外のようだ。個店帳合消化仕入れの差益でまともに家賃と運営人件費を払えば投資回収はおろか営業損益も厳しいはずで、多店化しても採算に乗る目処はない。端からセントラルバイイングでロジスティクス効率を計算した配送ルート出店を策謀しない限り事業として離陸させるのは不可能で、支店経営のまま多店化すれば赤字垂れ流しのお荷物事業になる事は必定だ。
 まずは支店経営で多店化してからセントラルバイイングシステムとロジスティクス体制を整備すれば良いと考えているのかもしれないが、それでは効率的な店舗布陣と乖離してしまうし、体制が整うまで累積赤字が積み上がってしまう。百貨店で成功したのだからサテライトストアもお客が殺到して上手く行くと勝手に思い込んでいるとしたら、ちょっと怖い勘違いだ。何百店、何千店のチェーンストアを構築して来た経営者から見れば素人の火遊びに見えるに違いない。
 2015/02/16 09:47  この記事のURL  /  コメント(0)

行列は意図的な不手際が作る‘渋滞’
 日本人は行列好きだと言うが、人気に追従するミーハーさの現れなのだろう。そんな気質を利用して行列商法を仕掛ける業者が後を絶たないが、実は行列には仕掛け?があるようだ。
 行列商法の代表と言えば「フライングタイガー」(無神経な名称だと思うが)だが、ここの行列が永らく途絶えなかった(もはや過去形)のは怪我の功名だったのか意図した仕掛けだったのかはともかく、必然的な‘渋滞’だった。その仕掛けは一方通行レイアウトとレジ処理の遅さで、一方通行の何処かが詰まれば渋滞が発生するし、スタッフが商品補充に逆走すれば混乱は極致に達する。おまけにレジは逐一バーコードをスキャンしなければならない時代ズレしたもので、百円単位の細々とした雑貨を処理していては何台並べても渋滞は必定だ。まあETC以前の高速の料金所を思っていただければ阿呆らしさが想像つくと言うものだ。
 ICタグを使えばレジカウンターに置いただけで一発処理出来るからETC感覚でスイスイ通過出来るが、百円単位の低価格雑貨にICタグを付けてはコストに合わないし行列も演出したいから放置していると推察される。棚への商品補充もスタッフが一方通行を逆走して行うなど今時のスマートなビジネスモデルとは掛け離れているが、それも行列商法の一貫なのだろう。
 そんな仕組みの不手際による行列を売物にする商法も結構、怪しいと思うが、嬉々として時間を無駄にするお客さん達もどうかしている。そんな阿呆らしい商法がいつまでも続く訳が無いが、短期に稼いで走り抜けようと割り切っているのかも知れない。定期借家商法とでも言えばよいのだろうか。
 2015/02/13 10:07  この記事のURL  /  コメント(0)

ギャンブルセールは有利誤認?
 極端な低原価率で調達した低品質商品を値引き販売で消化して行くファストファッション商法が蔓延し、駅ビルでもSCでも絶え間なくタイムセールや週末セールが氾濫して「正価」がすっかり崩れてしまった今日、もはやショッピングは一種のギャンブルになった感がある。中でも際立った射幸性が指摘されるのが「GAP」の‘ギャンブルセール’だ。
 様々な値引き販売が日常化している「GAP」では「正価」で買うのが阿呆らしくなるが、中でもどうかと思うのが店頭でディスカウント率の異なるカードを箱から籤引きさせる‘ギャンブルセール’だ。20%から50%(60%もあったかも)まで10%単位のディスカウントカードが当たる空籤無しのフリーギャンブルだから、20%や30%のカードを引いた人は間を空けて引き直したりもしている。
 毎週木曜早朝に新規投入して在庫を再編集していると推察される「GAP」ゆえ、‘ギャンブルセール’は水曜日に見かける事が多いから、買い慣れたお客さんは水曜日を狙う。そんなお店と顧客の駆け引きが日常化しているのも米国価格の1.8倍近い(今は円安で差が縮まったが)法外な価格設定が元凶で、「正価」販売でブランド価値を維持するには1.2倍ぐらいに(平均すればそのぐらいの値引き価格で買っているのかも)改めるべきだと思うが、ジャパン社の意志だけでは決められないのだろう。
 「GAP」の事情はともかく、‘ギャンブルセール’は某カジュアルチェーンの‘タイムセール’と並んで二重価格商法が疑われるのに加え、籤引きによる射幸性が著しく、消費者の「有利誤認」を招きかねない。「GAP」に限らず外資ファッションチェーンの値引き商法が「正価不信」を蔓延させているのは傍迷惑なばかりか、日本の消費者保護法規を有名無実化しかねない。消費者庁は国内企業のみならず外資企業の行動にも目を光らせるべきではないか。
 2015/02/12 09:23  この記事のURL  /  コメント(0)

ウェブルーミングの逆襲
  先週末の日経は米国家電量販店第二位のラジオシャックが先週、チャプター11を申請して破綻し、最大手のベストバイも苦戦していると報じ、アマゾンのショールーミング攻勢が元凶と断じていたが、同様の苦境に在るはずの我が国家電量販店業界では米国の家電業界人が聞いたら腰を抜かすような逆襲劇が急進している。
 アマゾンの14年末決算における日本売上は米ドル建てで3.6%増、期中平均の為替レートで換算すれば円建てでも12.3%増に留まり、前期の20.2%増から減速した。スタートトゥデイなど人気ファッションモールに阻まれて伸び悩む衣料服飾関連もともかく、‘ショールーミングの脅威’の象徴のように言われて来た家電分野が家電量販店の総反撃を食らって伸び悩んだ事が大きいと推察される。
 家電量販店のEC比率は上新電機の11.4%を筆頭にヨドバシカメラが9.4%、ビッグカメラが8.2%に達しており、設置サービスなど店舗ネットワークを活用して急拡大しているが、中でも注目されるのがキタムラのウェブルーミング戦略だ。大手家電量販店のほとんどはEC商品を宅配に限定しているがキタムラは店舗受け取りを積極的に拡大しており、14年3月期の売上は宅配の146億円に対して店舗受け取りは289億円と倍近い。店舗受け取りをウェブルーミング売上と見るなら総売上に占めるウェブルーミング比率は21.5%、宅配を加えたEC比率は32.4%にも達する。14年3〜9月期でも店舗受け取りは宅配の2.6倍と加速しており、家電量販店のオムニチャネル戦略の新局面として注目される。
 それに較べて百貨店4社平均のEC比率は0.9%に留まって店舗受け取りはほぼ皆無で、オムニチャネル戦略が掛け声だけに留まる現状を露呈している。未だショールーミング恐怖症に囚われてウェブルーミングの巨大なチャンスに背を向ける百貨店業界やSC業界に較べれば、ショールーミングの津波をウェブルーミングで押し返す家電量販店は危機をチャンスに転じたと賞賛されよう。
 百貨店にせよアパレル業界にせよ、ECサイトやSNSからの店舗誘導や店舗受け取りというウェブルーミングを積極的に仕掛ければ顧客利便も売上も高まり、来店による追加売上も期待される。オムニチャネル戦略の要は『いつでもどこでも選んで買って受け取れる』顧客利便であるという原点を忘れてはなるまい。
 2015/02/10 10:18  この記事のURL  /  コメント(0)

終わりの季節
 ファストファッションブームも冷却して外資ファッションチェーンの撤退が相次いでいるが、米国でも「C.Wonder」や「Kate Spade Saturday」などファッションブランド/チェーンの倒産や撤収が相次いでいる(詳しくは平山幸江さんのブログを参照されたい)。国内チェーンが近年、華々しく立ち上げたライフスタイル業態?やファストファッション業態も遠からず撤収ラッシュが必定だと思うが、さてどこから音を上げるのだろうか。
 「C.Wonder」なんてトリー・バーチの別れた旦那がコピペ感覚で立ち上げた雑貨軸SPAで、始めっから怪しげな匂いが立ちこめていたし、「Kate Spade Saturday」にしても雑貨軸でお手軽に立ち上げたライフスタイル?ブランドで、『お客なんか簡単に騙せちゃう』という舐め切った態度が見え見えだった。そんな風に見るなら「Michael Kors」なんかも相当に胡散臭く思えてしまう。
 我が国でも立ち上げから「怪しい」「胡散臭い」と直感させるブランドや業態が性懲りも無く出て来て多くは数年で消えて行く。70年代の「PERSON’S」や一昔前の「Kitson」なんか罪が無かったと思うが、近年立ち上げられた泡沫ライフスタイル業態の「□□□」やファストファッション紛い劣悪品質業態の「×××」など、最初から‘上手く騙そう’という魂胆が見え見えで毒があり過ぎる。
 ファストファッション上陸以来、すっかりミーハーになった我が国のファッションマーケットだが、ここまで怪しい業態はさすがに一般消費者も臭うようで猫跨ぎしており、聞こえて来る売上数字は悲惨なものだ。浮ついたライフスタイル業態や劣悪品質のファストファッション業態など、消費者を舐めてものづくりを露骨に手抜いた商売が成り立った花見酒の季節は昨春で終わり、今春は桜散る終わりの季節となりそうだ。
 2015/02/09 09:41  この記事のURL  /  コメント(0)

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プロフィール
小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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