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グランツリー武蔵小杉の注目店
 先週木曜日に開催されたグランツリー武蔵小杉のプレス内覧会は前後のスケジュールがタイトだったので駆け足で一周したが、一時間半ほどの間に135枚も撮影していたから余程、絵になる店が多かったという事なのだろう。これまでのアリオには失望させられる事が多くグランツリー武蔵小杉にも多くは期待出来ないという見方が大勢だったが、セブン&アイ・ホールディングスの総力を結集した‘旗艦店’とは言え、これほど魅力的なテナントを揃えられるとは良い意味の‘想定外’だった。セブン&アイ・ホールディングスの意気込みに加え、タワーマンションが次々と開発され人口が急増する首都圏一の注目新ターミナル‘武蔵小杉’の魅力が有力テナントを惹き付けたと思われる。
 そんなグランツリー武蔵小杉で目立つのが「ZARA」「GAP」「バナナリパブリック」「チャールス&キース」などの外資SPA、「トゥモローランド」「ビームス」、アーバンリサーチの「サニーレーベル」「ロッソ」、パルの「ラウンジドレス」やサザビーリーグの「アルアバイル」などのセレクトショップだが、私は「シャンブルドゥシャーム イキ」と「ラディカ ドゥスハルモニ」というたまたま隣り合った二店(1F)に注目したい。
 「シャンブルドゥシャーム イキ」はアンビデックスの自社ブランド複合店だが、手を抜かずきちんと開発した商品に好感が持てるのに加えてルック陳列のセンスも秀逸だ。「ラディカ ドゥスハルモニ」は高松のN.D.Cジャパンが展開するセレクトSPAだが、外資かと見紛う洗練されたMDの組み方とVMDはローカルチェーンに終わらない素質を感じさせる。大手の力任せの粗っぽいものづくりや雑なVMDが横行する中、どちらも砂の中でガラス玉を見つけたような爽やかさがあった。


 2014/11/28 09:25  この記事のURL  /  コメント(0)

スノーガールのオンパレード
 本日午後に開催するSPAC月例会に向けてコーディネーターがまとめた直近店頭スタイリング動向のカラーイラストを見ると、駅ビル/ファッションビルのヤングからセレクトショップ、郊外SCのライフスタイルストアまで例年になく梅春物が広がっており、中でも‘スノーガール’が目立っていた。
 ヤングではミリタリーやポップアートをミックスしたスクールガールやファンシーパステルなフラッフィードールが主流の中、オーバーサイズなカントリーアイテムでまとめるビッグボーイやノルディック柄/イカット柄のダウンやニットでまとめるフォーキーなスノーガールが台頭。セクシーガールでもミリタリーなマイルドヤンキーやクールなルージーマスキュリン、フラッフィーなクリスマスドールが主流の中、‘アナ雪’コラボのスノーファンタジーなコスプレガール(とっくに完売!)が目を惹いた。
 ワーキングガールではファンシーなグラマスモードやドメコンなクラシックマスキュリン、ボーイズあるいはヘアリークラフトなブリットモード、レトロクラシックなフェミニンエレガンスが主流の中、ヴィンテージリメイクなレトロフェミニンが目を惹いた。セレクトショップではマスキュリンミックスなブリットモードやファンシーなブリットモダンが主流の中、ミリタリーミックスなファンシーアメカジや白一色にクルーズカラーをアクセントするプレップモードが目立っていた。
 その一方、グローバルSPA勢は未だクルーズ企画も見当たらず、鮮度を失った売れ筋単品の深追いばかりが目立ち、クリスマスに向けた総スパングル企画ぐらいしか目につくものがなかった。
 08年9月13日(リーマンショックの2日前)のH&M上陸以来、グローバル化の一途を辿って来た我が国ファッション市場だが、昨秋ぐらいから外資SPA勢の品揃えが日本市場の嗜好と乖離し始め、今春夏、今秋冬と乖離が広がって来た。日本市場特有のファンシーパステルな梅春が本格復活した今の店頭はローカルブランド優位で、外資SPA勢の店頭は彩りを失ったように見える。グローバルからローカルへと6年振りに潮流が反転した今こそ、OEM/ODMの誘惑に負けず手に汗して自分らしいバリューを追求してほしいものだ。
 2014/11/27 09:12  この記事のURL  /  コメント(0)

入店禁止の新業態
 24日の日経MJは第一面でウォルマートの果敢な業態開発を特集していたが、中でも注目すべきは今9月末からウォルマートが本社を構えるアーカンソー州ベントンビルで営業を始めたドライブスルー専用スーパーの実験店「ウォルマート・ピックアップ・グロッサリー」だ。何せ店舗でありながら顧客は立ち入り禁止で、駐車場の指定位置に車を止めたまま、ネットで注文した商品をスタッフがカートで運んで来てトランクに乗せてくれるのを待つだけという、クリック&コレクト方式(ネット購入品の受取所渡し)の進化形なのだ。
 顧客は同社の近隣型小型スーパー「ネイバーフットマーケット」の食料品や日用品など一万品目の品揃え(価格も同じEDLP)から選んで決済を済ませ、決済から2時間以降の午前7時から午後10時の一時間枠の受け取り時間を指定する。店ではピッキングした商品を生鮮/冷蔵/冷凍/その他と区分して保管し、顧客が駐車場ゲートのタッチパネルで会員ナンバーを入力して指定位置に駐車すると5分以内にカートで車まで届けるという仕組みだ。具体的な使い勝手はウォルマート社の紹介ビデオや地元TVのニュースでビジュアルに解るから、「激しくウォルマートなアメリカ小売業ブログ」(9月30日)を参照されたい。
 これが何で画期的かと言うと、まず顧客にとっては寒い店内(生鮮・冷凍・冷蔵区画)で震えながら長時間、商品を選んでピックアップしてレジまで運び、レジの列で待たされるか自らバーコードをスキャンして決済し、商品を分類して運び易いよう袋に詰め、広大な駐車場に停めた車までカートで運んで積むという長丁場の労働を回避出来るメリットが大きい。週一でまとめ買いする米国の消費者にとっては結構な労働だから、利用したい人は結構多いと思う。
 店にとってはレジスタッフ人件費を大きく削減出来、頭の痛い万引きロスもゼロに出来る。多店化して専用エリアDCでピッキングするようになれば店舗を受け渡し場所に割り切れるから、各店舗の在庫の偏在と二重物流を解消出来るし店舗の不動産コスト/設備コストも圧縮出来る。ピッキングコストも二重物流や品出し陳列作業の解消で相殺されるのではないか。ベントンビルの第一号店は既存の「ネイバーフットマーケット」を転用したようなので店舗面積も同寸(15000sq)だが、多店化すれば保管と受け渡しに限定して小型化されるのだろう。
店舗のショールーム化(販売と物流の分離)もロジスティクスの効率化とコスト削減に直結する画期的な進化だが、クリック&コレクトという手も欧州では既に一般化しており、「ウォルマート・ピックアップ・グロッサリー」の登場は必然の進化だったと思われる。セルフチェックアウトレジなどに較べれば顧客のメリットが解り易く企業のメリットも大きいから、オムニチャネル化とともに日本でも急速に広がるのではなかろうか。
 2014/11/26 09:24  この記事のURL  /  コメント(0)

インフレ下のMD政策
 週末の日経「消費Biz」では『衣料品各社 来年春夏品目スリム』と題して大手アパレル各社が来春夏物のブランドや品番を絞り込んでいる事を伝えていたが、‘円安スタグフレーション’対応の解り易い事例だと思う。長らく続いた円高デフレが震災とアベノミクスで円安インフレに転じた後も、長年のデフレ対応癖が抜けなかったアパレル業界だが、消費増税の反動による消費の冷え込みとさらなる円安が重なった‘円安スタグフレーション’が現実のものとなるに及び、ようやく舵を切り始めたようだ。
 デフレ下ではバリューを後回しにしてもスピードと低価格を訴求する者が優位に立てる一面があったが、価格を抑え難いインフレ下ではバリューで勝る者が圧倒的優位に立つ(11月17日付けの『デフレ時代は良かったね』を参照)。今春以降のブランド別売上や各社の業績を見ても、自社開発で計画生産するブランドや企業が堅調〜好調な反面、OEMやODMで引きつけるブランドや企業の業績は陰りが目立つ。
 11月27日(木)に開催するSPAC月例会『来春夏MD展開総研究』に向けてのメンバーアンケートでも、「自社開発」「計画MD」「開発の前倒し」「素材軸」「定番品」へのシフトが顕著で、MDサイクルも「細分化」から「集約化」に転じ、スピードやコストよりオリジナルな付加価値を志向する回答が大勢を占めた。
 デフレ下で蔓延したOEM/ODM依存の52週MDは赤い海に溺れて苦境を深めただけだったが、スタグフレーション下では商品企画〜開発・調達〜ロジスティクス〜陳列・販売を一貫してバリューと効率を画期的に高めるロジックと組織体制が問われる。27日のSPAC研究会では余す所無く、そのノウハウを伝えたい。
 2014/11/25 09:10  この記事のURL  /  コメント(0)

バーバリーなんてなくてもいいじゃん!
 「COS」を覗いたついでに久しぶりに三陽商会のセレクトショップ「ラブレス」をじっくり見せてもらったが、メンズのオリジナル「LOVELESS」「GUILDPRIME」の魅力が内外の尖ったセレクト商品と遜色ないのには感激した。
 グローバル感覚のストリートコンテンポラリーながら、デザイン性をやや抑えて着回し易い「LOVELESS」、それよりカジュアルにデザインを遊んだ「GUILDPRIME」とも、手頃なニットやジャージを除けば「バーバリー」を生産していた国内工場製で、素材のクオリティも縫製のクオリティも「バーバリーブラックレーベル」より断然、高いのに価格はやや手頃で、難民化する「ブラックレーベル」フアンにとって嬉しい乗り換えブランドになりそうだ。
 高感度で良質ながら価格を抑えられるのは、卸価格の15%も支払っていたと推察されるライセンス料がなく、アプルーバルの制約無く企画出来るゆえで、こんなに魅力的なオリジナルブランドを創れるなら『バーバリーなんかなくてもいいじゃん!』と思ってしまった。「ブラックレーベル」の替わりに百貨店でも展開して欲しいが、百貨店の法外な歩率を払うとこの価格と感度・品質のバランスは維持出来ないのだろうか。
 「バーバリー」を失う事が公になって何かと大変な三陽商会だが、無くなるのを惜しむ顧客は国内外に少なからず、三陽商会製「バーバリー」の売上はうなぎ上りだし、「バーバリー」の生産を終了した国内自社工場製の三陽商会ブランドの評価も高まっている。
 NORDSTROMのオリジナル生産で名を馳せた往時から今日まで、三陽商会の自社工場製品の評価は極めて高いし、営業力はともかく、オリジナルブランドの企画感度もNBメーカーとしては格段に洗練されている。そんな三陽商会が「バーバリー」のライセンスに固執してオリジナルブランドの育成が遅れた事は返す返す悔やまれる。
 三陽商会の商品開発体制は‘業界の宝’と評すべきものだから、「マッキントッシュ」や「エポカ」はもちろん、「LOVELESS」「GUILDPRIME」もポスト「ブラックレーベル」の一角として頑張って欲しい。
 2014/11/21 10:37  この記事のURL  /  コメント(0)

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プロフィール
小島健輔(こじまけんすけ)
小島ファッションマーケティング代表
感性に依存しがちなファッション業界にあって、客観的なデータに基づくマネジメントを提唱し、現場の技術革新を起点とした経営戦略を訴え続けてきたビジネス・エンジニアである。ファッションビジネス、流通業から外資SPAまで及ぶ多彩なコンサルティング、ブランド/小売業態から商業施設までのプロデュース活動の一方、経済紙誌、業界紙誌にも寄稿。
2016年 経済産業省アパレル・サプライチェーン研究会委員。

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